GODGRID ─決戦機動電光超人─   作:ミレニあん

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第8回 対・話 ‐ゴジラニ死ヲ‐

 二大怪獣の攻撃によって、メカゴジラシティが爆炎に包まれる。

 

 やがて炎が晴れると、ドームも周辺に並ぶ砲台も無残に溶解していた。砲台から滴り落ちたナノメタルが、地面に広がるのも見て取れる。

 

 これでしばらくは攻撃出来ないかもしれない。頭部に向かうなら今しかなかった。

 

『サカキ、タニ、急ごう。奴がいつ動き出すか分からない』

 

『あ、ああ……!』

 

 二機のヴァルチャーを連れ、シティ中枢へと向かうグリッドマン。

 彼はドームの中を飛行しながら辺りを見回す。未だにシティはドロドロに溶けているが、中には歪になりながらも修復されていく様子もあった。

 

 完全に直るのも時間の問題のはず。

 

 すぐにメカゴジラの頭部があるとされるドームに向かうと、キャリバーで両断。青黒い壁に巨大な亀裂を入れた後、ヴァルチャーと共に中に入ろうとする。

 

『グリッドマンすまない、俺はマックス達の援護に向かう!』

 

『……分かった。後の事は私達が何とかする』

 

『悪い、すぐに皆で戻る!!』

 

 ヴィットは中に入らず、その場から離れた。彼を見届けたグリッドマンがヴァルチャーを連れ、中に突入する。

 

 鈍い足音を鳴らしながらメカゴジラシティの通路を突き進む。中は規則的で無機質な空間をしており、不気味さを思わせる。

 辺りを見回すグリッドマンだが、途中何かがつま先に当たった。確認すると、人型をしたナノメタルが何体も転がっている。

 

『これは……』

 

『……逃げ遅れた兵士が取り込まれた姿だ』

 

 後から着いてきたハルオのヴァルチャーが、人型を見下ろす。

 これこそがナノメタルに侵された人間の成れの果て。その言葉を聞いて、グリッドマンはただ呆然と見つめるしかなかった。

 

『……元には戻せないのか?』

 

『完全に生命反応が途絶えている。彼らはシティに同化され、その思考をデータの一部として利用されている……これがこの怪獣のやり方なんだ』

 

 キャリバーとの会話から分かる、ハルオの怒りに震える様。

 

 そしてグリッドマンは、何故メカゴジラシティが人間を襲うのか分かってきた。このシティは人間という高度なAIを欲しており、浸食と言う形でAIを吸収しようとしている。

 AIを吸収したシティは、さらに複雑な思考体に進化。どうすれば外敵を倒せるのか、複雑な機能をどのように制御するのかなど、いくつもの問題をクリアしていく。

 

 そうして敵も、何もかも、全てを飲み込み、果ては地球と同化する。

 

 物理的な破壊をもたらすツツジ台の怪獣と違う、身の毛がよだつ脅威その物。まさに『怪獣』と呼ぶに相応しい所業だ。

 

『……! グリッドマン!!』

 

 ユウコの声に、考え浸っていたグリッドマンが我に返る。

 

 天井からナノメタルが伸び、機械仕掛けの腕になった。襲い掛かる腕を回避しつつ、キャリバーで一刀両断。

 しかし動きが止まってしまう。死角から伸びた腕によって、両足が拘束されたのだ。

 

『しまった……!』

 

 二機のヴァルチャーが駆け付けるも、無数の機械腕が行く手を阻む。

 超高速で回避しようとするが、グリッドマンと同様掴まってしまう。銃砲を押さえ付けられて満足に撃てない状態だった。

 

 さらに追い打ちを掛けるように、機械腕がグリッドマンの両腕を捕縛する。

 

 完全に身動きが取れなくなった。その思いもよらない握力でキャリバーを落としてしまう。

 

『グリッドマン!!』

 

『グッ……!』

 

 誰も動けない状態。さらにグリッドマンを浸食しようとしているのか、四肢にナノメタルが這う。

 すぐに鱗粉の効果で剥がれ落ちるが、それすら関わらず浸食を続けようとしてくる。まるでメカゴジラシティの執念が形になったかのよう。

 

 グリッドマンはこの状況をどうにかしようかと考え……

 

 

 

 

 

 

 …………##########死ヲ…………######ニ死ヲ…………ゴジ#######死ヲ……ゴジラ####死ヲ……

 

 

 

 

 

 ゴジラ##死ヲゴジラニ死ヲ…………ゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲ

 

 

 

 

 

 

 ゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲ

 ゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲ

 ゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲ

 ゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲ

 ゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲ

 ゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲ

 

 

 

 

 

 

                ゴジラニ死ヲ

     

 

『……何だ?』

 

 グリッドマンの脳内に、謎の怪文が浮上する。

 やがて怪文の後、ノイズ交じりの映像が浮かび上がる。映像にはあるのは燃え上がる火の海……だがそれだけではなく、ある物が倒れていた。

 

 それは機械仕掛けの怪獣。所々損傷して、火花が散っている。どう見てもまともに歩けない状態にある。

 

 その怪獣が棘のような口を展開させ、レーザーを発射している。レーザーは山のような物体に直撃するが、まるで無意味とばかりに跳ね返ってしまう。山には傷一つおろか焦げ跡すら付いていなかった。

 

 いや、山ではない。それは動いている。

 獣の顔を持ち、手足を持ち、尻尾がある。

 ノイズの音声でも聞き取れる、荘厳な咆哮。

 

 山のような怪獣が背びれを帯電させ、口元に収束。直後として機械仕掛けの怪獣と同じような、青白いレーザーが放たれた。

 

 レーザーが動けない機械怪獣に直撃し、粉砕。

 

 そこから先の映像が途切れ、視界が闇に染まってしまった。

 

 

 

 #SSSS#

 

 

 

「……? 何だここ……」

 

 グリッドマンの中にいた裕太。気が付けば見知らぬ場所に立っている事に、彼は気付く。

 

 まず用途が分からない機器が立ち並んでいた。モニターが取り付けてあるが、映像には何らかの文字のような物が羅列している。

 壁もプラグや機械が取り付けられて、まるでSFに出てくる指令室のよう。裕太がそれらを見渡したが、急にある物が目に入る。

 

「……これは……」

 

 壁の一面に強化ガラスが張られている。

 

 その奥に、怪獣の姿をした機械が鎮座されていた。刺々しい頭部と装甲が、さっきグリッドマンと見た映像の怪獣だと分かった。

 裕太はガラスに近付き、機械の怪獣を見上げる。

 

「……これがメカゴジラか……」

 

「その通り。我々が血肉を注いで作り上げた決戦兵器。我らに繁栄を与えてくる存在だ」

 

 背後からの声に、反射的に振り返る裕太。

 

 そこには褐色肌をした大男が立っていた。ハルオと同じく白い戦闘服を着ている事から、彼の仲間なのは間違いない。

 

「……あなたがサカキさんが言っていたガルグさん……」

 

「そうだ。君は今、メカゴジラシティの量子コンピューターの中にいる。メカゴジラ自身の記憶とも言っておこう」

 

 そう言ってガルグもガラスに近付き、メカゴジラを眺める。

 裕太はハルオから彼の事を聞かされていた。科学力を極めた異星人ビルサルドの一員でメカゴジラの開発責任者。現在はシティに取り込まれて死亡しているとの事。

 

 ここがシティのコンピューター内と言っていた為、その取り込まれたガルグとこうして話す事が出来るのだろう。

 

「君の事はメカゴジラが解析をしてくれた。別世界の住人……それも未知の巨人に変身出来る異能者の類。まさかそんなのがいるとは調べるまで思わなかった」

 

「……あなたは……」

 

「むっ?」

 

 もちろん裕太はシティで何が起きたのかも知っている。

 その張本人と話せる以上、聞きたい事が山ほどあった。

 

「あなたは何でナノメタルを暴走させたんですか……? 人が死んでいるというのに、どうしてここまで……」

 

「我々はメカゴジラの意思に従っただけの事だ。『ゴジラを殺す』という最大の目的の為に」

 

 ガルグが顔色変えず断言する。

 

 すると彼と裕太の周りに男達が集まってくる。これが全員シティに取り込まれたビルサルドか。

 

「我々にとって、ゴジラは倒さなければならない存在だ。奴は幾度も我々の科学力を跳ね除け、地球の頂点として君臨している。メカゴジラはその奴によって倒されたのだ。

 それがメカゴジラに憎悪のような物を芽生えさせ、我々を同化させた。故に我々はそれに従い、こうしてメカゴジラの一部として存在しているに過ぎない。ナノメタル拡散もまた、その目的の為に必要な事なのだ」

 

「必要って……そんなのをしたら地球がシティに飲み込まれるんでしょう? あなた達がよくても、サカキさん達が許さないはずです!」

 

「……青いな。言っておくが少年、ハルオの目的を達する為には、どうしてもメカゴジラが必要なのだ。例え彼が拒んだとしても」

 

「……えっ?」

 

 裕太が怪訝に思った時、ガラスの奥から駆動音が聞こえてくる。メカゴジラが急に動いてきたのだ。

 唖然とする裕太へと、メカゴジラがゆっくりと腕を伸ばしてくる。ガルグとビルサルドはその光景を無表情で見つめるだけ。

 

「ハルオもまた地球の頂点になったゴジラを憎んでいる……同じなのだよ、今のメカゴジラとハルオは。だから彼がどんなに拒んでも、必ずやメカゴジラを頼るようになる。俺達はそんな彼と共に奴を倒したい」

 

 メカゴジラの腕がガラスを割り、裕太を掴む。

 掴んだ箇所からナノメタルが溢れ、裕太の身体に這っていく。浸食しようと試みている事を、裕太は呆然として見つめるしかなかった。

 

「別世界から来た君には分からないだろう……我々が奴に何度屈辱を与えられたのか。もう後戻り出来ないのだ……我々も、ハルオも、そしてメカゴジラ自身も」

 

 ……ゴジラニ死ヲ……ゴジラニ死ヲ……ゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲゴジラニ死ヲ

 

 浸食されたナノメタルからメカゴジラの憎悪が伝わってくる。

 そのメカゴジラを開発したガルグ達もまた、無意識に敵への憎悪を抱いている事だろうか。だからこそナノメタルに浸食されようとも目的を達成しようとしている。

 

 裕太には分かっていた。分かっていたが、

 

「……それでも、あなた達のやり方は間違っている」

 

 彼の発言と共に、ナノメタルの浸食が止まった。

 無表情に近かったガルグの眉が微かに動くのも分かる。

 

「確かに別世界から来た俺達は、この世界の事情をよく知らない。あなた達がどんな屈辱を与えられたかも正直分からない……。でもナノメタルを使って目的を達成しようとするやり方には、どうしても許す事が出来ない」

 

「……だから青いのだ、君は。だったら我々はどうすればいい? どうすればハルオの憎しみを晴らす事が出来る!?」

 

 声を荒げるガルグ。それに呼応するように、メカゴジラが裕太の握る腕を強くする。

 苦痛を感じた裕太の顔が歪む。しかしそれでも俄然とした表情で、ガルグ達やメカゴジラに振り向いた。

 

「サカキさんの憎しみがどのようなのも分からない……正直晴らす事も出来ないかもしれない。だけど彼が傷ついたりくじけそうになったら、必ず()……いや()達がそばにいて支えてあげる。青いやり方だけど(だが)、それでも彼が変わるのを信じる」

 

 身体に這っていたナノメタルが引いていく。同時にメカゴジラの腕が溶け出し、裕太を解放した。

 そして彼自身は気付いていない。その声にもう一人の人物が混ざる事を。 

 青い目が光のような()()に変わった事を。

 

あなた()達の悲しみや苦しみはよく分かる……だからこそメカゴジラを止めたい。そしてサカキ・ハルオの憎しみも、一心に受け止めたい!!」

 

 裕太の背後から、無数の光が飛び交う。その光がメカゴジラを向かい、粉砕させる。

 そうして部屋全体が光に包み込まれていき、何も見えなくなる。

 

「……後悔するぞ。その考えが間違っていたと、必ず思うようになる」

 

 真っ白になった空間の中で、ガルグの声が微かに聞こえながら……。

 

 

 

 #SSSS#

 

 

 

『わりぃ、遅くなっちまった!!』

 

 辺りにあった機械腕が粉々に砕かれていく。

 

 グリッドマンが振り返ると、新世紀中学生の三人が駆け付けてきたのだ。持てる火器でグリッドマンとヴァルチャーを拘束した機械腕を破壊する。

 

 先ほどの光はボラーのミサイルだった。すぐにグリッドマンは把握する。

 

『マックス、ボラー、ヴィット!!』

 

『何とか間に合ったようだな! タンカーキャノン!!』

 

 マックスのタンカーキャノンが機械腕を粉砕。これでグリッドマンを拘束する物がなくなった。

 

 脱したグリッドマンはすかざすキャリバーを持ち、新世紀中学生を見やる。どれも装甲に損傷や亀裂が入っており、ダメージがあるのは明白。

 にも関わらず、彼らはやって来た。グリッドマンを助ける為に。

 

『皆……そこまでになって……』

 

『我々はグリッドマンの仲間だ。これくらいは当然の事』

 

『どんな事でも一人にさせない。それが俺のモットーなんでね』

 

『…………』

 

 マックスとヴィットの言葉が、グリッドマンの心に深く刺さる。

 そんな時、前方から無数の機械腕が出現。まるで無数の蛇のようにぬたくりながら迫ってくる。それでもグリッドマンは忽然(こつぜん)とした姿勢を崩さなかった。

 

 仲間を、信じれるのだから。

 

『……今がその時だ。全員の力、私に貸して欲しい!!』

 

『『おう!!』』

 

 ここで出し惜しみする必要はない。今こそ五人の力を合わせる時。

 

 マックス、ボラー、ヴィットの身体が分離。それぞれ両腕、胴体、両足に合体させ、巨大なシルエットを作らせる。

 次にキャリバーのパーツを胸に装着させ展開。グリッドマンの頭部に専用ヘルメットを被らせる。

 

 そして最後にキャリバーを手にしながら、彼らは叫ぶ。

 

 

 

『超合体超人フルパワーグリッドマン!!』

 

 

 

 

 最強の形態フルパワーグリッドマン。

 

 華奢な人型をしたグリッドマンと比べて、巨大で力強い印象。両肩などにあらゆる武装を備えており、遠近ともに隙を見せない。

 それはさながら巨大ロボットの姿だった。

 

『……それが君達の力……』

 

『ああ、その通りだ。……ツインドリルブレイク!!』

 

 ハルオに返事した後、両肩のドリルを発射。

 

 回転する強力なドリルで、無数の機械腕を貫通。通り過ぎた後に、空間に溢れんばかりの爆発を起こさせた。

 やがて爆発が消え、残ったのは腕の残骸だけ。

 

『……急ごう、サカキ。頭部はすぐ目の前だ』

 

 メカゴジラシティを止める為、ハルオを促すグリッドマン。

 

 ハルオの方は呆然としていたのか、すぐには答えず。だがヴァルチャーの翼から噴く光が、さらに増したのが見えた。

 

『ああ! 行こう、グリッドマン、ユウコ!』

 

『はい!!』

 

 三機の機体は敵の本丸に向け、長い通路を走り出す。

 

 そしてついに目の前に巨大な扉が見えてくる。ヴァルチャーが発砲して扉を粉砕。熱と威力で空いた穴から突入する。

 

『……これが、メカゴジラシティの中枢……』

 

 その全貌を見て、グリッドマンが呟く。

 

 目の前にはドーム状の空間が広がっている。その中央に、まるで打ち捨てられたような残骸が横たわっていた。

 

 それが他ならぬ、メカゴジラの頭部だった……。




今回のメカゴジラは「二万年前のゴジラと戦ったが敗れた」という設定です。またフルパワーの前にパワードゼノンを出す予定でしたが、結果として没となりました……(汗)
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