周りと同じように自由に生きてたら何故かヴィランになっていた 作:鰹節31
「……は?」
目の前が突然真っ暗になったと思えば、いきなり明るくなる。直ぐに目が慣れず目を細めながら周りを見て驚愕。
「よぉ、来たかヴィラン候補」
「なんだお前」
お顔に肩に、体に手をくっつける変人が俺を見てくる。直ぐに床を触り、床から触手を四本俺の近くに出す。
「ハァ……黒霧、こいつ敵意丸出しじゃねぇか」
「申し訳ありません死柄木弔。連れて来るときも抵抗していまして」
ズモモモと言う表現が似合うほど何もない場所から黒い霧が現れる。どうやら名前は黒霧というらしい。手をくっつけてる奴は死柄木弔という名前。意味不明な状況が続く続く……。やってらんねぇぜ!
「お前を此処に呼んだのは敵対したくて呼んだんじゃない。翡翠、この世界の現状をぶっ壊して自由に生きてやろうぜ」
「正体不明の奴の言葉なんて聞くわけねぇだろバァーカ!」
触手を二本死柄木弔目掛けて伸ばす。しかし簡単に避けられた。
「黙って話を聞くこともできねぇのかよ。だから最近のガキは嫌いなんだ。大人しくしてねぇと──」
死柄木弔が触手に触れた瞬間、触手がボロボロと壊れていく。残る一本を即座に戻そうとしたが時既に遅し。死柄木弔に触れられた。
「お前もこれと同じように壊すぞ」
「っ!」
背筋がゾッとした。顔にくっついてる手の隙間から覗いている冷たい目が恐ろしく感じてしまった。思わず後退りしてしまう。
「……こーさーん! 勝てる気しないから大人しく話を聞く。でも話を聞いてどうするかは俺次第で良い?」
「それでいい」
触手を地面に戻し、俺はその場に座る。死柄木弔は片足をもう片方の足に乗っけて話し始めた。
「俺達はヴィラン連合。このくったれな社会……そうだな、オールマイトぶっ殺して今を壊す! 今は人数が少ないが、もっと数を増やして俺達の存在を世間に知らしめる」
「オールマイト? ああ、あのナンバーワンヒーローの……いや、無理じゃね?」
街を歩いて居たときにチラリとテレビを見たけどオールマイトとかいうナンバーワンヒーローはマジでやばい。あの破壊力はチートやん。
「策があんだよ策が」
ニィ、と死柄木弔は笑う。うっわ怖。しっかしナンバーワンヒーローを殺すとは思い切った行動をするなぁ。
「ん~、まぁ、策があるなら……乗っても問題ないのか?」
バレてるかバレてないかはさておき。ヒーローとその他の愉快な人達を殺しているし、ヴィラン連合とかいうヴィランの溜まり場に居る以上、俺はヴィランなのである。自由に生きたいのにちょっとハメを外したらこうである。なのでバレて捕まる前にやっちゃえ作戦だ。
「ああ、大船に乗ったつもりでいろよ」
「泥船の可能性高いなぁ」
「殺すぞテメェ」
「しか~し、条件が1つある!」
「ちっ、なんだよ」
死柄木弔は首を掻きながら不満そうな声で返事をする。此処はヴィランの溜まり場にしてはかなり良い雰囲気だし、でもあれだ長時間この人達と居るのやだ。
「協力はする。でも、普段は俺の自由がいい。勿論作戦とか実行するときに呼んでくれれば駆けつけるし、用があったら何時でも来てくれてもいいからさ」
「……別に構わねぇ」
「マジ? サンキュー」
俺の自由は守られた。呼んでくれれば、と言ったけどどうやって呼んでもらおうかな。
「では、用事がある時は私が迎えに行きます。念の為にスマホを持っておいて下さい」
「え? ああ、ありがとう。黒霧さん」
「はい。別に黒霧と呼び捨てでも構いませんよ」
「んじゃ、黒さん」
「黒さんねぇ単純だな」
「あんたは弔っちな」
「おいなんだその呼び方。殺すぞ」
なんやかんやあって俺は正式にヴィランになってしまった。この先俺は生きていけるか心配だぜ。ヒーローよりも弔っちに殺されそう。