周りと同じように自由に生きてたら何故かヴィランになっていた 作:鰹節31
弔っちと黒さんに出久君から聞いた考察を伝え終わり、俺は黒さんから貰ったオレンジジュースを飲んでいる。黒さんに迎えに来てもらった時になんだかバーが五月蝿いなと思ったら弔っちが人集めてたみたい。めっちゃ威嚇されたので触手(ミニ)で威嚇した奴を拘束しといた。
「黒さんごちそーさま。ジュース幾ら?」
「いえいえ、お代は大丈夫ですよ。代わりにいい情報も頂けましたし」
「そっか」
「ところで翡翠」
「ん?」
「彼の拘束を解いていただけませんか?」
黒さんの視線を辿ると俺の後ろに拘束されている威嚇してた輩が頑張って抜け出そうとしてる。おお、頑張れもっとキツくしてやるから。
「ほれ」
「ぐっ! がああああ!」
「なんで逆に締めるんですか?」
「試練……的な?」
「はぁ……」
まぁ、未だに睨んできたからって理由なんだけどね。一応俺はヴィラン連合の協力関係だから殺しはしないけど、もしなんの関係もなかったら殺してたね。
「殺しはしないから大丈夫。それにどれぐらいやったら殺せるかも知ってるからさぁ」
ニィと笑いながら言うと拘束された奴が顔を青ざめる。拘束を解き、立ちあがって集められた人達を見る。
「俺を襲うのは一向に構わないけど、殺されたくなかったら止めた方が良いぜ? 今回は見せしめで殺さなかったけど次は殺すよ。だってヴィラン連合の協力関係にある俺を襲うってことは裏切りだろ?」
「翡翠、それまでだ。こいつ等がビビって何も出来なくなったらどうすんだよ」
「ええ~今超良いとこだったのになぁ。ま、いいや」
弔っちに制止をかけられ俺は止まる。時間を確認してから黒さんを見てニコニコと笑う。
「ねぇ黒さん」
「なんですか?」
「ちょっと、静岡まで送ってってくれない?」
「構いませんが、あの時と同じ場所でよろしいですか?」
「うん。お願いします」
「分かりました」
黒さんに静岡まで連れてって貰ってからまたぶらぶらと歩き出す。今日泊まれるホテルを探すために。願わくば、また出久君に会って色々話を聞きたいな。
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特になんのイベントも起こらず数日が過ぎた。未だに俺はどこに住んでいるかも分からない出久君に会うために静岡を彷徨っている。と、言っても何もイベントが起きない事に不満が募ってきた所なので新天地に向かうのも良いかもしれない。
「暇だなぁ」
午後になれば路地裏に多少のハプニングがあるのだが今日は何故かない。あれか、弔っちが全部引き入れちまったか。
「よっと」
そうなると本格的にやることも無くなるので俺の“個性”の限界を調べるために色々やっている。建物の屋上から屋上に跳び移ったり、動物とかやんちゃな方々を干渉してみたり。干渉の上限、つまり操れる数は三種類のみで動物とか人などの生物を操る場合は一人(一匹)で同時に他に操るない事が分かった。それ以上干渉したら限界突破して吐血する事も分かった(白目)。
なら自分自身を干渉した場合どうなっちゃうのかと疑問に思った。やってみたところ身体能力の強化と、ありえない角度に関節を曲げること等が出来た。尚、ありえない角度に関節を曲げたら戻らなくなりそうで焦ったし、普通に骨折した。そんなこんなで使用者である俺にも牙を剥きまくるがこの“個性”は便利である。現に俺が建物から建物に跳び移れているのはこの“個性”のお陰な訳だし。
「おっとっと。調子に乗りすぎてかなり高いところまで来ちまったな」
気づけば夕方になりかけている。夢中になりすぎるのも良くないなぁ。結構高い建物まで跳んできたことで周りが良く見え~る。ん? 彼処……燃えてないか?
「うわぁ、燃えてる~」
少し遠いがなんか爆発しまくってるところがある。やべぇ、彼処やべぇよ。戦争が起きてるよ。
「よし、見に行こう」
ヴィランが暴れてんならヒーローが居るだろうしそいつの“個性”を出久君のように考察させてもらうとしよう。今後の為になるかもしれないからね。
「よっ、ほっ!」
近くまで来てから百均で買った双眼鏡を使ってファイヤーしている所を見る。みた感じドロドロ状のヴィランが男の子に乗り移ろうとしてるみたい。男の子が抵抗するついでに爆破をおこして周りが燃えてる。おぉ……爆破起こすとかとんだ“強個性”なことで。
「ん? あれは……出久君?」
近くに居るヒーローを観察してたら出久君と思わしき人物が居た。いや、出久君だ(確信)。しばらく観察していたらいきなり走り出したと思ったらヴィランに突っ込んでいった。おいおい、それは自殺行為じゃん。それは絶対止めた方がいいって。すげぇヒーローっぽいけどさ。幾ら何でも相性が悪すぎる。
「ヒーロー、か」
僕、ヒーローになりたいんです。なんて言ってたのを思い出す。それに俺はなんと返しただろう。そうだ、ヒーローになれるって返したんだ。彼は立派なものを持っている此処で死ぬような奴じゃない。少なくとも俺はそれを認めない。
「ああ、もう! 仕方がないなぁ!」
双眼鏡を目から離し、建物の屋上を蹴って事故が起きている所へ急接近する。もう少しで出久君の真上にある建物に着きそうになった瞬間、空気が震えた。
「プロはいつだって命懸け!」
直ぐに来るであろう強力な余波に耐えるため俺は気づけば守りの体制に入っていた。その場に俺が居る訳でもないのに感じ取れる気迫。ヴィランの前に立つ一人の男に俺は多少恐怖を抱いた。
「DETROITSMASH!」
男、いや、
「は、ははは。拳の一振りで雨降らせるとかどんなチートだよそれ……。弔っちが策があるって言ってたけどさ、ありゃ無理だって」
肌で感じたあの気迫。あれはヤバい。今まで感じた中でも余裕でチビるよ。
「いやぁ、本当にヴィラン連合勝てんのか?」
色んな人に囲まれたオールマイトを見ながら俺は乾いた笑みを浮かべた。