かなり長くなってしまいました
「というわけで、チャクラのフォレトスの“だいばくはつ”に巻き込まれた後、倒れていたオデをサカキ様が拾ってくださったんだな」
少し早めの夕食中、オウカはナナシマの戦いから現在までの話をしていた。
「サキは今だに行方不明らしいけど、チャクラはまたやらかして檻に入れられたらしいんだな」
「ええ、まぁ、あれからも色々ありましたから」
「オデもあの時は結局サカキ様の期待を裏切っちまったけど、そんなオデをサカキ様はまたこうして使ってくださっている。うれしいんだなぁ~」
目に涙をうっすら浮かべながらしみじみとするオウカ。ケン、リョウ、ハリーもうんうんと頷いている。ミモザもサカキの慈悲深さに感動していが今はもっと大事なことがある。
「オウカさん、ミモザたちはこのアローラ地方にサカキ様の命令できたの」
「聞いているだなぁ、滞在中はオデがお前たち四人のお世話をするんだな」
「オ、オウカ様が!?」
何故か大声をあげたケン、リョウ、ハリーをオウカが順番に見渡して「不満か?」と少し寂しそうに言った。
「い、いいいいえ!ただ、三銃士のオウカ様の部下としては…」
「今はお前たちはオデの部下ではないんだなぁ、だからせめて“さん”くらいにしてほしいんだなぁ」
「は、し、しかし…」
「わかったか?」
「は、はい…」
ぐいっと迫力ある顔を寄せてきたオウカにケン、リョウ、ハリーは頷いた。三人の会話に区切りがついたのを見計らってミモザが話をもとに戻す。
「命令の内容は“新たな手持ちの獲得”“アローラ地方についての知識の取得”そして…」
「“この地方で目撃されたというR団の調査”なんだな」
食事を終え五人は今後の目的を再確認した。
「オデもサカキ様に言われて調べてみたんだな。でも噂は聞くもののR団は見つからなかったんだな」
「本当にいるんでしょうか?」
「いい加減な噂ではないことは確かなんだな」
「なぜですか?」
「写真や映像があるんだな」
そういうとオウカはエプロンのポケットから写真を数枚取り出した。そこには胸にRの文字が入った黒ずくめの男女数人がギリギリ写っていた。
「!いるじゃないですか!」
「いやでも、画像が荒すぎてわからないぞ」
「これじゃあ、観光客のイタズラという可能性もかんがえられるな」
「そういえばそういう客もいて困っているって書いてあったの」
「そのとおり、解析しても細かいところまではわからないんだな」
「だから我々が調べるんですね?」
「オデが動くと目立ちすぎるんだな、それにお前たちはチームワークがいいから適任なんだな」
「「「いや~、それほどでもぉ~♪」」」
ケン、リョウ、ハリーが全く同じ動作で照れる。ミモザはそれを無視し話をまとめる。
「とりあえず、ミモザたちはアローラの知識を深めつつ、新しい手持ちを確保し、謎のR団について調べる…ということでいいの?」
「その通りなんだな。特に謎のR団に関してはサカキ様が最も気になさっていることなんだな」
「任せてください!俺たち四人がバッチリミッションをこなしてみせますよ!」
ビシッとポーズを決めるケン、リョウ、ハリー。ミモザも頷く。
「最後に一つお前たちに言っておくことがあるんだな」
「なんですか?」
「『エーテル財団』と『空間にあく穴』に気を付けるんだな」
四人は顔を見合わせた。ミモザが疑問を口にする。
「『エーテル財団』ってあのポケモン保護団体のことなの?」
「そうなんだな」
「そこって、人間に傷つけられたポケモンとかを無償で保護してる団体ですよね?」
「俺たちとは正反対だな」
「俺たちの正体がばれないようにってことですか?」
「お前たちの正体に関しては『エーテル財団』に限ったことではないんだな、オデが気にしているのはあの財団の代表のルザミーネなんだな」
「パンフレットとかでも見たけど特に危険な感じはしなかったの」
「若くてキレイだったよな?」
「ミステリアスな中にもチャーミングな感じが見え隠れしてる」
「ナツメ様と………いい勝負だな!!」
勝手にルザミーネの自分達の評価を語り出すケン、リョウ、ハリーにミモザもオウカもため息をついた。
「…一応教えてやるぞ、ルザミーネは40代で二人の子供がいるらしいんだな」
「「「…………………は…………い?」」」
思わぬ情報に頭の中の処理が明らかに遅れたケン、リョウ、ハリー。ミモザも年齢までは知らなかった。
「40!?頑張って見ても20後半くらいにしか見えないの!!」
「子供もいるのかよ!見えねぇ…」
「確かにやべぇ」
「要注意だな!!」
「…そういう意味の注意じゃないんだな…」
今度はミモザまで加わって騒ぎだしたのでオウカは頭をかいた。
「注意するのは見た目じゃなくて『中身』なんだな」
「中身、ですか?」
「オデが調べたところによるとエーテル財団は裏でなにか企んでいるらしいんだな」
「なにを企んでいるのですか?」
「そこまではわからないんだな。とにかくあまり関わらない方がいいんだな」
「わかりました」
「話はここまでなんだな。あとは明日に備えて早めに就寝するんだな」
「わかったの」
「あ、そのオウカさん」
素直に返事をしたミモザのあとでケンとリョウがおずおずと手をあげた。
「どうしたんだな?」
「ここにくるまでに聞いたんですが、近くのタウンでなにやらお祭りがあるとか…」
「リリイタウンのお祭りなんだな?」
「そうそれです!あの~任務のことはわかっているのですが…」
「行ってくるといいんだな、この地方の知識を得るっていおのもひとつの目標なんだな」
「「ありがとうございます!!」」
喜びハイタッチするケンとリョウ。ミモザとハリーは疲れたから遠慮した。
二人がお祭りに行った少しあと、ミモザは小屋の近くの岩の上で海を眺めていた。そこにハリーがやってくる。
「なにしてんだ?」
「海を見ていたの、あと星」
「ふ~ん?」
ハリーも空を見ては見るが興味がないようだ。
「今頃ケンとリョウは楽しんでるのかな?」
「ハリーはなんでいかなかったの?」
「いや…結構船の時間長かったろ?さすが疲れるって」
「あの二人は体力バカなの」
「あぁまったくだ…わぁ!?」
そんな会話をしていると狙いすましたタイミングで二人のポケギアにケンとリョウから電話が入った。
「も、もしもし?」
『おい!大変だ今謎の光が祠のあるって方向からお前たちのほうへ飛んでいったぞ!』
「光…?」
言われて見上げれば確かに大きな光がミモザとハリーの方へ飛んできていた。
「ぎるぎる!」
「ベトベトン!」
二人はすかさず手持ちをくりだし、同時にその光が目の前に降り立った。
「なんだ…コイツ??」
目の前に降り立ったのは鳥の被り物のような物体だった。両サイドに描かれた目が二人を睨み付ける。
「ポケモンなの?」
二人が警戒していると、お面が突然二つに割れて中から一匹の生物が現れた。
「わ、われた!?」
「あの姿は!」
ミモザは急いでポケットに入れておいたアローラのガイドブックを開く。
「あれは、カプ・コケコなの!」
「カ…コケコッコー?」
「カプ・コケコ!この島の守り神なの!」
「ってことはもしかして貴重なポケモンなのか!?」
「当たり前なの!」
「よーしじゃあ捕獲を…」
ハリーがボールを構えようとした時、カプ・コケコが発光し地面に電気のフィールドが広がった。
「おわぁ!?」
「これは…“エレキフィールド”!?」
二人が一瞬目をはなした隙にカプ・コケコは目の前から消え去った。
「に、逃げた?」
「!違うの!ぎるぎ…」
ミモザの意思を直感で認識したギルガルドはミモザの指示が始まると同時に“キングシールド”を展開した。展開とほぼ同時にカプ・コケコが“ワイルドボルト”で突っ込んできた。『シールドフォルム』が不完全だったので攻撃を受けきれずギルガルドが弾かれる。
「ぎるぎる!」
「“ダストシュート”!」
すかさずハリーがカプ・コケコに攻撃するが簡単にかわされまた姿を消す。
「また…」
「ハリー!上なの!“エレキボール”がくるの!」
上を見るといつの間に移動したのかカプ・コケコが攻撃した瞬間だった。
「ベトベトン!“ヘドロばくだん”!!」
ベトベトンが“ヘドロばくだん”を放つがそれ以上に“エレキボール”がたくさん飛んできてベトベトンとギルガルドを襲う。
「きゃあぁぁ!」
「ぎぎゃあ!?」
ミモザとハリーにもヒットししびれる二人。すぐに《サプリケース》から《クラボサプリ》を取り出し飲み込む。体を襲いつつあったまひがとれる。だが休んでる暇はない。カプ・コケコは“こうそくいどう”でさらにスピードをあげ襲ってくる。そして防御する間もなくカプ・コケコの攻撃がミモザをとらえた。
「かっ…あっ…」
「ミモザァー!」
カプ・コケコの右腕がミモザの細い腰あたりにめり込んでいた。
「!!」
しかし驚いたのはカプ・コケコのほうだった。カプ・コケコが右腕をひくとその手に薄いピンク色の綿のようなものが貼り付いていた。カプ・コケコはブンブン手を振ってとろうとするが全く離れない。その隙にミモザはバックステップで距離をとった。その手にペロリームを抱えて。
「“わたほうし”、これでスピードが下がったの」
「…!」
ギロリとミモザを睨むカプ・コケコ。だがミモザは全く動じず海のほうを眺めていた。
「ミモザ!大丈夫…ん?」
ミモザがチラッと目配せしたそれを見たハリーは少し考えなにかを思いつき頷いた。カプ・コケコは“わたほうし”を振り払うことをあきらめミモザへの攻撃を再開しようとした。しかしその時海のほうから強い潮風がふいてきた。
「!!」
カプ・コケコは慌てて止まった。なぜなら目の前に“わたほうし”が舞い上がってきたからだ。周りを見渡すとたくさんの“わたほうし”が風に乗って雲のようにふわふわと浮いている。
「これで空中の移動は制限されるの」
「…」
カプ・コケコは「この程度か…」と内心がっかりしていた。始めは驚いたがこの程度なら難なくかわせる。それにこの島を長年守ってきたカプ・コケコにはこの島に流れる風はすべて把握していた。カプ・コケコは“わたほうし”を避けながら攻撃を続ける。ミモザとハリーはふたてに別れた。カプ・コケコはミモザを追った。
「“ヘドロばくだん”!」
それを見越していたハリーは背後から攻撃を行う。カプ・コケコは慌てて避けるがそこで違和感に気づく。
「にゃおにゃおに交代!“エナジーボール”!」
今度はミモザの攻撃。カプ・コケコはまたかわすがやはり違和感が拭えない。何度か攻防を繰り返しカプ・コケコは自分の感じた違和感の正体にたどり着いた。「回避行動が遅くなっている」ということに。戦いに集中しすぎたせいでほのかに漂う“あまいかおり”に気づかなかった。
「一気に香りを放てば気づかれるけど、かすかに少しずつ“あまいかおり”を漂わせれば気づかれないの」
すべてミモザの計画通りだった。始めにカプ・コケコの攻撃を“わたほうし”で受けることでカプ・コケコに「“わたほうし”をまとわりつかせ動きを制限するのが目的」と思わせておくことで次に放った“わたほうし”も同じ目的と思わせる。動きの制限だと思い込んだカプ・コケコは回避と攻撃に専念するようになりほんのり漂ってくる香りには気づかない。そして少しずつ素早さと回避率を奪っていったのだ。
相手の意図に気づいたカプ・コケコは“ほうでん”と“スパーク”を繰り返し“わたほうし”をなぎはらいながらミモザの方へ“でんこうせっか”した。
「させるかよ!“かなしばり”!」
ベトベトンが“でんこうせっか”を封じる。その間にミモザはニャオニクスのエスパーの力で遠くへ離れる。カプ・コケコはハリーにターゲットを変え、“ワイルドボルト”で突っ込む。ベトベトンは“ちいさくなる”で避けようとしたがカプ・コケコは“ワイルドボルト”を途中でキャンセルし“いやなおと”を鳴らした。
「ぎいぃぃぃ!?」
ベトベトンは難を逃れたがハリーはそうはいかず想像を絶する不快な音に膝をつく。そしてカプ・コケコがベトベトンを攻撃しようとすると
そこには
「!?」
「にゃー!!」
ニャオニクスの“ふいうち”がきゅうしょにあたる。自分の回避率と素早さが思った以上に下がっていることを認識したカプ・コケコは再び距離をとって戦うために“こうそくいどう”で上昇する。“あまいかおり”の効果も少しずつ薄れてきていた。
「“アシッドボム”!」
「“エナジーボール”!」
ミモザとハリーの攻撃が激しさを増していく。カプ・コケコも応戦するが徐々に押され始める。打開策を考えるカプ・コケコに更なる悲劇ぐ起こる。
「!!?」
空中で急に体が動かなくなった。体になにかが巻き付いている。それも何重にもなって重なってる。
「“ヘドロばくだん”!!」
動けないカプ・コケコにベトベトンの攻撃がヒットする。
「~~~!!」
声にならない叫びをあげるカプ・コケコ。二人は追撃する。
「“マジカルリーフ”!」
「“ヘドロウェーブ”!」
避けようにも動けないカプ・コケコはただただ無抵抗で攻撃を受け続け、数分後動けなくなった。ミモザとハリーもひんしの寸前を見切り攻撃をやめた。
「にゃおにゃお、ゆっくりと下ろしてなの」
ニャオニクスは頷くとゆっくりとずっと浮かせていた“わたほうし”をおろした。
「よし、アリアドス」
ハリーが名前を呼ぶと夜の闇に紛れて隠れていたアリアドスが現れ“いとをはく”でカプ・コケコを縛った。
「こういう戦術に関してはハリーはうまいの」
「そりゃあキョウ様の下で働いてたからな。それよりこの戦術を考えたミモザもすごいって」
「ミモザはハリーたち三人より頭はいいからそこで頑張るの」
「言ってくれるね」
からからと笑うハリー。
ミモザの作戦には続きがあった。空中に浮かせた“わたほうし”に“あまいかおり”を仕込むだけではなく、ハリーが密かに出していたアリアドスが“わたほうし”すべてに見えなくて頑丈な糸をつけておいた。さらにニャオニクスに入れ替え“サイコキネシス”で“わたほうし”を空中に長くとどまらせ、カプ・コケコが“わたほうし”を避けて戦うことで細く頑丈な糸が気づかない間に何重も体に巻き付き最後には動けなくなる。何重にも仕組まれた罠にカプ・コケコははまってしまったのだった。
「じゃあ捕まえるか」
ポケットをまさぐったハリーの動きがピタッと止まる。
「ハリー?」
「…よし、この伝説のポケモンを捕獲するという栄誉をミモザに譲ってあげよう」
「………ボールを置いてきたの?」
「いやっ!?そんなことはないゾ!??」
明らかに動揺するハリーにミモザはため息をついた。
「いつでも空のボールは持ち歩くべきなの、しょうがないからミモザが捕まえるの」
ミモザはポケットからモンスターボールを取り出しカプ・コケコに向かって投げた。カプ・コケコにボールが当たる寸前目を覚ましたカプ・コケコは手に持っている鳥のお面のようなものの半分でボールをはじいた。
「まだ動けるの!?」
「野郎!!」
二人が手持ちに手をかけるより早くカプ・コケコはその場から飛んでいった。
「逃がしたか!」
「いや、あの様子だとまだ結構余力はあったみたいなの」
伝説のポケモンの底力を目の当たりにいた二人は手持ちをポールに戻した。その時カプ・コケコがいたあたりになにかが落ちていた。
「ん?なにか落ちてるの」
ミモザがそれを拾う。それはキラキラ輝く石だった。だが輝いているだけで特に変わったところはない。
「ただの石か?」
「うーん、そうみたいなの」
二人でかがやくいしを観察しているとオウカとケン、リョウが走ってきた。
「おーい!大丈夫か!?」
「すごい光が飛んでいったんだな」
「さっき伝えたポケモンか!?」
口々に叫びながら近寄ってきた三人に今までの事情を説明した。そのなかでオウカはミモザが持っていたかがやくいしに強い興味を示した。
「その石オデに預けてくれないか?」
「え?はい、どうぞなの」
ミモザがオウカの手の中にかがやくいしを置く。オウカはそれを大事そうにしまいこんだ。
「これですごいアイテムを作るんだな」
「すごいアイテム?」
「できてからのお楽しみなんだな!とりあえず今日は休むんだな、明日から本格的に調査開始なんだな」
「「「わかりました」」」
「なの」
五人はオウカの小屋に帰っていった。