ハゲ時々タツマキ注意報   作:はか

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第5話

現在ハゲは浮遊していた

 

ゆっくりと空高く上昇して行き流れる雲に青い空に眩しいほどの日光が照り、こんなに空の景色を眺めるのは初めてかも知れない。

 

全身が太陽の光で温まり心地いい気分になり眠くなってくる

 

「ふぁあ…」このまま昼寝でもしたい気分だがそうもいかないだろう

 

何故なら

 

「ぐぐぎぎぎ…ッ!重ッ重ィィィィ!!」

 

現在も鼻を膨らましながら地上で頑張っているタツマキの相手をしないといけないからだ

 

今何故こんなことになっているかというと

前回の戦いの影響でA市周辺を協会関係者が調査しているのが関係している

前回タツマキといた場所に行くと大人数で調査中の協会関係者からそう聞かされ、派手なことをすると間違いなく面倒ごとになりそうだった

 

事情も事情だしお開きにすることをタツマキに提案するサイタマだったが「は?やるに決まってんでしょ。馬鹿なの?」と一蹴された。

 

人気のない場所を探し

 

「ようは派手に暴れなければいいんでしょ?」

 

「そうだけどお前無理じゃん」

 

「失礼ね。アンタ人を狂犬みたいに…ようは周りに迷惑かけずに静かにアンタが負けを認めるようにすればいいってことね」

 

「何で俺が負けるってのしかないんだよ」

 

「私が勝つに決まってんだからそんなの考えなくていいのよ」

 

言い返すのも面倒臭くなって大きなため息をつくサイタマにタツマキは勝負の説明をし始めた

 

「これからアンタを宇宙まで飛ばしてあげる。流石のアンタも宇宙までいったら戻ってこれないでしょ?

アンタがギブアップしたら私の勝ちってのはどう?これなら周りに迷惑かけないでしょ?」

 

「いや帰れたけど」

 

「ふん。そういう強がりはいいわよ。

泣いて負けを認めるなら速くしといた方がいいわよ?

そしたらすぐに地上におろしてあげる…さあ始めるわよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぬぬぬ…うぎぃぃぃ!!」

 

そんなこんなで始まったが既に15分はたっている、宇宙まではまだまだ遠そうだ

 

サイタマは元々超能力がかかりずらい体質のため空にあげるのも一苦労だ

フブキとの一件でも同様のことを試みてみたが重くて厳しかった。

時間を掛ければ行けると思っていたが自身の見積りが相当に甘かったのを思い知らされた

 

(でも…でもぉちょっとずつ慣れて来たわよ!)

 

時間を掛けたことで段々サイタマへの超能力のかけ方が分かってきて浮かせる距離が伸びてきた

 

だが宇宙が遠い遠すぎる

(この調子!…この調子でハゲを星にするの!空で輝かせんのよ!!)

 

この調子で行けば何時間も掛かるとかは考えない。

一切考えない

 

段々頭が痛くなってきたが気にしない、今やってることに集中するがサイタマの方をみてボケぇっとした顔を見るとイライラして集中力が乱れる

 

(ムカつく!!あのハゲ危機感無さ過ぎ!ちょっとは焦ったりしなさいよ!)

 

本気過ぎて汗がでてくる。具合も悪くなってきた。

限界が近づいてるのを感じる。

先ほどよりはかなり高くあげることが出来たが宇宙まではまだ遠そうだった

 

後何メートル?いや何キロだろうか?

 

「なあちょっと恥ずかしい話なんだけどさあ」

 

米粒ほどのサイタマからようやく声がかかった

 

「ギブ!?ギブアップ!?そうよね!

そうに決まってるわよね!!はっはやくいいなさいよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「トイレいきたいんだけど…」

 

「死ねえぇぇぇ!!!!」

 

絶叫しサイタマを地上に叩きつけた

 

「アアアぁぁぁぁ!!」

 

怒りに任せてついやってしまったことに後悔したがもう遅い、今までの頑張りがパアになり大分ショックを受ける

 

サイタマが立ち上がったのを見て怒鳴り散らしてやろうと口を開こうとするが

 

「お前鼻血でてんぞ」

 

そう言われて口を閉じた。手で拭ってみると確かに血がつく大分無理をしたようだった

 

「それで…」

 

「家で言ったろもう終わりだ。でっまあ…」

 

今タツマキは思ったより大人しいが、俺の勝ちと言えば確実に噛みついてくるだろうしお前の勝ちでいいと言うとプライドの高いタツマキは噛みついてくるだろうし

 

「仕切り直しってことで…」一番無難な答えをすることにした

 

「…わかったわ」

 

納得してくれたことでホッとした。会って数度だが少しあつかいかたが分かってきた気がする。

 

「じゃあ帰るから」

 

トイレにも行きたいしそそくさと帰ろうとする。そんなサイタマをタツマキが呼び止めた

 

「待ちなさいよ。アンタ、ヒーロー狩りの時にいたんだってね?」

 

「あ?うんそうだけど」

 

話が唐突過ぎて何のことかわからなかったがガロウのことを思い出してそう答えた

 

S級ヒーローのタツマキ、バング、ジェノス、アトミック侍、豚神、ゾンビマン、閃光のフラッシュ、クロビカリ、ぷりぷりプリズナー、童帝、キングが怪人協会本部に乗り込み壊滅させガロウを撃退したとヒーロー協会で記録されている。

 

誰にも聞かなかったがずっと違和感を持っていることがある

 

「ヒーロー狩りはアンタが倒したの?」

 

「そうだけど何で?」

 

何でもないようにそういったがタツマキは唇を噛み締めた。

 

そんなアッサリ流せるような相手では断じてなかったからだ

 

「私以外のあの場にいたS級でヒーロー狩りに勝てる奴なんていないもの…キングは子供の避難してたみたいだしね」

 

ガロウは次元が違う

 

自分を含めあの場のS級の誰もが思ったであろう。

圧倒的なスピードに破壊力、タフネスを兼ね備え相手の技を見切り技術を吸収し急激に進化していく

今まで相手してきたどんな怪人だろうが赤子に見えてしまうほどの圧倒的な強さを持っていた

 

「ヒーロー狩りは強かった?」

 

「強かった。俺武術ってのがいまいちよくわかんなかったんだけど…あいつのは感動したな」

 

サイタマは戦いらしい戦いになるのは非常に稀で殴れば一撃でけりがつく、ここ最近ではそれが当たり前だった。

実力を引き出すために様子見で殴ったり殴らせたりはあったが当てるつもりで振るった拳を避けられる経験は本当に久しぶりだった。

こっちの攻撃は当たらず相手の攻撃は当たる

当たり前に起こりえることが最近までのサイタマには縁がなかったのだ

 

素人主観で武術がよくわからなかったサイタマでもこれが武術なのだとはっきりと違いがわかるほどガロウの武術は群を抜いていたのだ

 

タツマキからこんな話されるとは思っていなかったので不思議そうな顔で見つめる

 

「アンタその時のこと報告してないんでしょ?S級ヒーローの何人かはアンタの話を協会にしてたみたいよ。

最もヒーロー狩りを倒せたのは私達が弱らせたからって思ってるみたいだけど

アンタ前にも弱った怪人を後から倒した前科があるんだってね?」

 

深海王がシェルターを襲撃した際にヒーロー達が奮戦、そのあとにサイタマが来て怪人を倒した時のことをいってるのだろう

 

「何で直接協会に報告しないのよ?アンタ実力隠してるわけじゃないっていってなかった?」

 

合理的にいけば報告するのが筋だろう。

ヒーロー狩りの一件でS級の目も十分あるのだ。タツマキはサイタマの言葉を待つが出てきた言葉は

 

「…面倒だし」

 

「はあ?」

 

拍子抜けもいいところだがちょっとだけ共感はできる確かに面倒ではある。

しかしそれで低いランクにいるこの男は馬鹿なんじゃないだろうか…

 

「いやまあ、それもあるんだけどうーん…」

 

「なによ」

 

「自分のやったこといちいち報告するのって何かヒーローらしくないじゃん」

 

「はあ?」

 

言ってる意味がよく分からないがようは格好つけのためということだろうか?

 

「何それ格好つけてるつもり?馬鹿じゃないの?」

 

「いや格好つけっていうか俺は俺の思い描いたヒーローやってるだけだから」

 

「変なの!意味わかんないわよ。大体アンタなんでヒーローになったのよ!」

 

「俺は…」

 

どうせ下らない理由だろうと期待せずにまってやる

 

「俺は…『趣味』でヒーローやってんだ」

 

「………」

 

「ん?どうした?」

 

思い出してた

 

ヒーローを趣味でやってるなんて変なのって思ったのを思い出していた。

 

『私はブラスト…ヒーロー活動をしているものだ。』

 

『まあヒーローと言っても普段はちゃんと働いていて…これは趣味なんだがね』

 

私がヒーローになるきっかけになった人の言葉

 

私の中の価値観を変えてくれた人の言葉

 

「ぜっ…!!」

 

「ぜ?」

 

「全っ然似てないんだからこのハゲッ!!

大体アンタと違って髪の毛だってあるし!!就職だってしてんだから!!

一緒じゃないんだから真似してんじゃないわよこのハゲ!!

パクりよパクり!このパクりゆで卵!!」

 

「…なんなの?」

 

サイタマと少しでもブラストの姿が重なったことに無性に腹が立ち罵声を浴びせた

 

サイタマは急にキレだしたタツマキに苛立ちつつ落ち着くまで便意を我慢しながら罵倒を聞かされつづけた

 

 

 

 

 

 

 

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