ハゲ時々タツマキ注意報   作:はか

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6話前編

最近サイタマは疲れていた。何でかと聞かれれば一つしかないタツマキのことである。

姉妹喧嘩の仲裁をした縁から始まり、勝負を挑まれたあの日から度々タツマキはサイタマの家を訪ねるようになった、引き分けになってる戦いの勝敗をつけるために

 

最初の反省を生かし周りに被害があまりでないようにするため前と同じ勝負方法で行っている。

 

【サイタマを宇宙に持ち上げれたら勝ち、タツマキに出血や体調不良があったらその時点で勝負は仕切り直し】

 

月から帰還したサイタマにとってそれで何故勝ちになるのかはわからなかったがとりあえず今はこの形で勝敗を決めている

 

タツマキの体調で勝負は取り止めというのはサイタマが考えたことである、最初は面倒ですぐ終わらせたいがために考えた一文だったが

 

タツマキは高すぎるプライドのため自分からは負けを認めようとしない

限界を越えて何とか目的を果たそうとし超能力による身体の負荷により吐血、鼻血

サイタマが見とがめ勝負を仕切り直す

 

という妙なサイクルが出来上がりもう今月そんなんで五回目になる

肉体的なのはともかくとしてタツマキの相手はサイタマにとって精神的に疲れることだった

 

サイタマにとっては割と真剣な悩みをゲーム中にさらっと話したわけだが

 

「その人女の人?えっ?何それエロゲ?」

 

「いや、ちがうから」

 

話した相手がキングだったからかそんな事を言われた

 

【キング】激しい歴戦の戦いを思わせる目に三本の傷が入った金髪のオールバックの男。

地上最強の男と言われS級内でも最強クラスの実力者とされている…が実際はゲーム好きの一般人である。

たまたま怪人がやっつけられる現場に何度も居合わせ、それを評価されS級という地位まで登り詰めてしまった男。

 

サイタマとは過去に怪人から救ってもらいキングの嘘を知る唯一の存在であり現在では友人といっても過言ではない仲である

 

「冗談だよ、でも全然接点なかったのに急に定期的に会いに来る何て面白いね」

 

「俺は全然面白くないんだけどな…

あのさあ今ガードしたのに俺のキャラ攻撃食らってんの可笑しくね?」

 

「俺がガー不しただけだから可笑しくないよ。

超能力者ってもしかしてヒーロー?」

 

「チートじゃねえか。

キングと同じヒーローだな」

 

「マスケット銃は走って殴ればいいんだからチートじゃないよ、

ヒーローかあ…でもさもしかしたらサイタマ氏に気があるんじゃないのその子?」

 

「いや絶対ないから、

後パイナップルみたいな爆弾投げんのやめろ」

 

「このキャラの持ち味なので

…そうかな?

本当に嫌いなら会いに来ないと思うけど」

 

「プライド高いみたいだし自分が勝つまでやる気なんだろ

…そのショットガンみたいなのやめろ!ガードの上からすげえ削れるんだけど!!」

 

KO

 

「だああぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

頭をかきむしって絶叫するサイタマを横目で見ながら少し疲れたので一旦コントローラを置いてジュースを飲んで一息ついた

 

「何だよキング、ゲームは終わりか?」

 

「ちょっと休憩しよ。そう言えばさジェノス氏はさっき出てったけと何処行ったの?」

 

「ああ、あいつ博士んとこに行くっていってたな。何か超能力を無効化する機械の実験とかいってた」

 

ふーんと返事をしたキングであったが不意にチャイムの音が鳴った

 

「マジかあ…今日もかよ」

 

「え?もしかしてさっき話してた子?」

 

間が悪いなと思いつつも最近サイタマに付きまとっているという女の子が気になる

 

「そういえばその子のヒーローネームは何て言うの?」

 

「ヒーローネームとか覚えてねえわ」

 

ズボラなサイタマにとって珍しくもないことなのはキングも短い付き合いながらわかっていたが本当に興味ないんだなといつも通り過ぎるサイタマにキングは少し安心した

 

「じゃあランクは?」

 

「S級」

 

「…………ん?」

 

あれおかしいな?聞き間違いかな?

 

S級の女性っていったら一人しか思い付かない

ていうかS級の女性って一人しかいない

 

「S級のタツマキ」

 

「嘘おぉ!?サイタマ氏ぃ~そう言うのは早く言ってよぉ!!」

 

(タツマキちゃんかもしれないのかよぉ~

嫌だなあの子苦手なんだよなあ)

 

キングはタツマキからは一目置かれている存在だったがキングにとってのタツマキは常に高圧的で頻繁に周りに食って掛かる苦手な存在だった。厳つい表情をしながら内心ビビりまくってるキングをよそにサイタマは玄関に行きため息をつきながらドアを開けた

 

「久しぶりねサイタマ」

 

「あれ?フブキか?」

 

エスパー姉妹の妹の方が来た、B級1位ヒーローネーム地獄のフブキ。

 

B級派閥フブキ組の長でありタツマキの妹である

 

「何かよう?」そう言ったサイタマに黙って手に持っていた袋を突き出し

 

「タツマキとの喧嘩で世話になったから…お詫びよ」

 

前の姉妹喧嘩のことを言っているのか、渡された袋を見ると肉が入っていた。

サイタマですら知っているブランド物の高級肉

マジマジとそれを見てようやくサイタマは言葉を開いた

 

「これでフブキ組に勧誘とか考えてねえだろうな?」

 

「え?ち!?違うわよそんな訳ないじゃない!」

 

内心しまったと考えていたりする、前にクセーノが持ってきた高級肉であっさりと釣れそうだったサイタマを見てそう言う打算的なところもあったため少し焦って返してしまった。

自分で否定したため今更そう言う話はしづらい雰囲気だが、最初に感謝の気持ちだと伝えているのにそれでも尚疑いにかかるこの男の態度も中々腹立しかった

 

「いらないなら持って帰るけど」「いや、いる!いるから!ありがとなフブキ」

 

袋を持っていこうとするフブキに少し食いぎみで感謝をのべるサイタマ

思いもがけず今日の食事は豪華なものになり何の料理にするかを考え始めていたがフブキが中々帰る様子を見せないことに疑問をもった

 

「帰んねえの?まだ他にようがあるのか?」

 

「あなたそれ一人で食べるつもりなの?」

 

「はっ?お前まさか食ってく気なのかよ?」

 

「私が買ってきたんだから私にも食べる権利があるでしょ?その肉本当に…ホントッに高かったんだから!」

 

えぇ…と渋るサイタマだったが肉をもらった手前断りづらく部屋に上げることにした

 

玄関から上がり部屋に入るとキングがいたのでフブキが驚いていたが何度か見た光景なのですぐに冷静さを取り戻した。

前々から思っていたがキングとサイタマは随分仲が良さそうだ友人と言えるほどに

 

そう考えていると前にフブキのことを友人ではないとはっきり言い【ただの知り合い】と言い切ったサイタマのことを思い出す

そりゃ友人かと言われれば違ったろうがあれだけ目の前ではっきり言われてかなりフブキはショックを受けていた。

過去の苦い記憶を思いだしたと同時に腹立出しい気分になったフブキ

 

だが次にキングから発せられた言葉に今度は血の気が引いた

 

「あれ?タツマキちゃんじゃなくてフブキ氏だったの?」

 

……ん?

 

何故お姉ちゃんの名前がでてくるのかがいまいちわからないフブキ

 

「違ったわ」と応対して軽く流そうとする二人だったがフブキにとって気になり過ぎるワードだったためその事を聞いてみた

 

「何でタツマキの名前が出てくるの?まるでくるみたいに」

 

「タツマキちゃんサイタマ氏の部屋に最近結構な頻度でくるみたいなんだって」

 

何で???という疑問が沸いてくるがサイタマの家にタツマキがくるようになったということだけはわかった

 

「サイタマ!!何でそう言うこと先に言わないのよ!!」

 

(フブキ氏も俺と同じようなこと言ってる…)

 

大問題である。タツマキが来るかもしれない何てわかっていたらサイタマの家にお邪魔しようなんて思わなかったのに

 

「お姉ちゃんが来るかもしれないならこんなところにいてられないわ!サイタマ私帰るから」

 

早歩きでさっき通ったばかりの玄関に再び向かう。靴を履き後はドアを開けて出るだけになって…

 

 

 

 

ピンポーン

 

後は出るだけというところで呼び鈴が鳴った

 

冷や汗がブワッと流れだし息を飲む、いやまだだまだ姉だと決まった訳じゃない。

違うかもという淡い期待を抱いているフブキだったが

 

ピンポンピンポンピンポンピンポン

 

呼び鈴の鳴らし方でモロに性格が表れておりお姉ちゃんならやりそうとしつこく鳴らしまくっている呼び鈴とフブキのイメージのタツマキがぴったりと重なっていた。

恐る恐る超能力でドアの向こうの人物を調べてみようと試みる…

 

(あっ…これお姉ちゃんだ)

 

調べた結果100%間違いようのない現実

 

つまり【ドアの向こうにタツマキがいる】という

 

「うわあ…今度はマジでお前の姉ちゃんっぽいな」

 

どうしよう…と途方にくれてるフブキのことなど気にせず扉を開けようとするサイタマを正気に戻ったフブキが止めようとする

 

今自分がサイタマの部屋にいることが知られると絶対ややこしいことになると

 

だが無駄な努力である

 

「…何でフブキがアンタの部屋にいるのよ」

 

メキメキとドアの軋む音の後に勢いよく扉が引き剥がされる

 

無くなった扉の向こうには予想通りタツマキが立っておりその表情は一見すると無表情に見えるが声色で腹の底から怒ってるのが感じられた

 

「おっお姉ちゃん何でわかったの!?」

 

「俺ん家のドアが!?」

 

「こんな近くで超能力使って気付かない訳ないでしょ。前の時も妙に仲が良さそうにみえたけどアンタ達前あった時はただの知り合いとかいってなかったっけ?

それがこそこそ人の妹を連れ込んで…私に嘘ついてたわけ?」

 

「いや連れ込んでねーから!!お前の妹の方からきてんだよ!

つーかそんなことより何でドア壊した?

絶対弁償させるからな」

 

「【そんなこと】?それにフブキの方から来てる?

フブキが男の家に軽々しくあがるような子だって言いたいわけ?

嘘つくのも大概にしなさいよこのハゲ!!」

 

(ごめんお姉ちゃんわりとお邪魔してる)

 

最初の勧誘や怪人協会への今後の対策を練るためや鍋を囲んだりと割と頻繁に来ていたがそれを言うと矛先が自分に向き変に拗れそうだったので言わないでおいた。

 

タツマキはフブキに対して過保護で束縛しようとする所があった。

姉の立場として良かれと思ってやるが妹であるフブキの考えは一切考慮しないためフブキにとって生き辛くてしょうがない。

 

そのためフブキに反発心をもたれつい最近になって姉妹喧嘩にまで発展しサイタマが間に入ることになった

その1件から今タツマキがサイタマに関わる原因となることになる。

 

タツマキがサイタマに関わるのは一言で言うと【不安】だったからだ

 

タツマキは自分は強いという絶対的な自信とそれを裏打ちする実力をもっていた。

幼少の頃周りの大人が自分を助けてくれなかったという現実に直面した時のショックとブラストの言葉で今のタツマキの人格が形成されている

 

周りが助けてくれるとおもってはいけない。

だから自分のことは自分で助けるしかない。

 

周りが助けてくれると思ってはいけない。

じゃあ妹は自分が助けてあげなければ

 

物ごとをなんでも自分が何とかするようになりそれを成してしまえそうな強大な力も持っていた。

 

だが最近になり自身の超能力に抵抗してみせた【黄金精子】や自身の超能力を受けても圧倒的な戦闘力を見せつけた【ガロウ】

 

そして自分の超能力が一切通じなかった目の前の【サイタマ】

 

これらが現れたことで絶対的なタツマキの自信に見過ごせない不安を抱いてしまったためだ

 

だが今は関係ないタツマキは妹が関わるといつもより苛烈なのだ

 

サイタマの住んでるヒーローマンション全体が揺れはじめる。地震ではなくタツマキの超能力によって

 

「アンタが変な影響をフブキに与えたんでしょ?

昔はお姉ちゃんの言うことよく聞く子だったのに…

まさかアンタ達付き合ってんじゃないでしょうね?」

「ねーよ」「それはないから」

 

 

2人は即答した

 

 

「そうやってすぐに否定するあたりが更に怪しいわね…

まあいいわ、元からアンタとはいつか決着つけるつもりだったけど今日捻り潰してあげる」

 

一際大きく建物が揺れ初めた。

 

ドッドッドッドッ

 

「おいやめろっ!?まだ引っ越したばっかなんだぞ!」

 

住居の心配をし一切自分の心配はしないサイタマ

 

ドッドッドッドッ

 

タツマキの激怒っぷりにどうすればいいのかオロオロし初めるフブキ

 

そしてもう1人

 

 

いつ攻撃してもおかしくないタツマキだったが急に冷静になった

 

聞き覚えのある

 

でもそんなはずない

 

居るはずない

 

音の発生しているサイタマの部屋の奥を見てみる

 

ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ

【挿絵表示】

 

 

「…キング!?」

 

奥のドアの隙間から覗きこむ縦に3本入った目の傷、鳴り響くキングエンジン

 

見間違いようがない

 

タツマキが認める数少ない実力者地上最強キングであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(やべぇ目あっちゃったよ…)

 

「キング…アンタ何でハゲの部屋にいるのよ」

 

ドッドッドッドッ

【挿絵表示】

 

 

「アンタ…ハゲの仲間なの?」

 

ドッドドッドッドドッドッドドッドッ

【挿絵表示】

 

 

「なっ何よ!何キングエンジン鳴らしてるのよ!?止めなさいよ!!」

 

(無理ぃ!?タツマキちゃんそれは俺に死ねっていってるのかな?)

 

キングエンジンとはキングが戦闘態勢入ったときに鳴らされる音でこれを聞いた怪人で生き残ったものがいないとされている…

 

が実際は馬鹿でかい心音である

 

キングエンジンのエンジン音はキングの心臓から発せられている心音つまり

 

止める=死 である

 

タツマキは顔色が悪くなりキングエンジンで臨戦態勢に入っているキングとサイタマを何度も交互に見初める

 

「キング…アンタ私と殺る気?地上最強だか何だか知らないけど私に勝てると思ってんじゃないわよ!!

アンタがその気なら容赦しないわよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

【挿絵表示】

 

 

「じょっ!?上等よおおおおおおぉぉぉぉ

ハゲと2人まとめて相手してやるわよおおおおおぉぉぉ!!」

 

「いや、やらねえからな」

 

急加速したキングエンジンによりパニックになったタツマキを相手に冷静さを取り戻したフブキが説明しこの場は収まった

 

因みに加速したキングエンジンを鳴らしていたキングの思考は

 

【サイタマ氏はやくたすけて】であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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