side優人
女子の目線をここまで感じるなんて……。それが今の感想だ。
今俺は世界最強の名を持つ織斑千冬に先導してもらいアリーナへと移動している。もちろんこれからISによる大戦をするためだ。
(ここで戦うのってまだ二回目だからな。うまくいくんだろうか?)
前を歩く彼女があまり人と話そうとはしないことをよく知っているので俺は気にせずこの後にある戦闘について考えていた。
「ここがアリーナか……」
思わず声が出てしまう。だって仕方がないだろ!アニメで見たものがそのまま目の前にあるんだぞ!興奮しないわけがない!
「ふふっ、IS用のアリーナを見るのは初めてですか?」
(この声は!!)
後ろを振り返るとアニメで見た通りの姿の山田真那先生がいた。
(おおっ!すげー!本物だ!…なんてやってる場合じゃない!)
「はいっ!そうなんですよ。いつもテレビでしか見てなかったもので生で見るのは初めてだったから。」
良し、無難に答えたぞ。
「話はそこらでいいか?」
気が付いたら織斑先生が真横にいた。あれ?さっき向こうにいたよね?なんでこっちにいるの?俺、動いたの見えなかったぞ!
「そろそろ試験を始めようと思う。いいな十六夜?」
「はい!準備はできています!」
「いい返事だ。今回行うのは名前こそ入学試験だが本当はお前の能力を測るための力試しと思って臨むといい。」
「分かりました。」
力試しか…。一応フェンリルの武装もチェックしたし戦法も考えておいたからいけるかな?でも相手が山田先生とか織斑先生だったらどうしようか絶対負けるな。うん。だって俺見たし!アニメで鈴とセシリアが先生にぼこぼこにされてたの!
「そうだ十六夜伝え忘れていたがお前の相手をする人物はもうすぐ来る。先にアリーナで待機しておけ。」
言われた通りISを起動する。
「フェンリル。」
クリスマスに初めて感じていたあの感覚がよみがえる。
あの時のフェンリルには何も武装がなかったが今はしっかりとした武装が付いている。
腰のあたりにダガーが入っている武装ボックスがあり、背中には大きなブレードが固定されている。
ちなみに展開するときは初めの時みたいにゲートオープンとか呼ばずに機体名であるフェンリルと呼べばいいらしい。…よかった。この世界でも中二病なんて言われないで済む。
あほなことを考えつつ発進準備に入る。えーと、せっかくこの世界にいるんだし無言ってのもな~。
あ、そうだ!ガ〇ダムみたいにしてみるか!言ってみたかったんだよな~。
「十六夜優人 フェンリル、出ます!」
スラスターを使ってピットからアリーナまで移動する。もともとフェンリルはほかのISよりも機動性がいいらしい。人から聞くだけでは実感できなかった速さを身を持って体感しなんだか興奮してくる。
最初の武装は……よし、遠距離武器にしておこう。えっとたしか、武器を手に持ってるイメージだっけ?
両手を銃を持っているようにしたと思ったら次の瞬間には俺の手の中にビームライフルがあった。
「できた!!」
子供みたいに喜ぶ。と同時にこのままで戦えるのかという不安が出てくる。
『十六夜君、あなたの対戦相手の準備が完了しました!頑張ってください!』
声のすぐ後に一機のISが出てくる。あれ?打鉄でもリヴァイブでもないってことは…専用機か!
相手は俺の前まで飛んでくる。水色の髪をした女の子。アニメで見たことのないキャラだ。出てこないキャラなのか。
「君が十六夜優人君ね。私は更識楯無。よろしくね!」
「十六夜優人です。こちらこそよろしくお願いします。」
お互いに自己紹介をして戦闘準備に入る。
「先手は譲るわ。どこからでもかかった来なさい。」
「準備はいいな。では、はじめ!」
織斑先生の声と共に試合が始まる。
(やってやる。絶対に勝つ!)
展開しているハティー・スコルの二挺で開始早々から更識さんに連続で射撃していく。
一発は当たるだろ。なんて考えていたが、
「ウソだろ!?」
更識さんはその打ち出されたビームをすべてよけて見せたのだ。そして彼女は移動しながら展開していたやりを構えて接近してくる。
俺も移動を開始する。目的は逃げて距離を稼ぐことではない。全くの逆、俺は猛スピードで更識さんへと
接近する。
「!!」
目に見えて動揺したわけではないが更識さんが一瞬目を見開いたように見えた。
たしかに素人がすれば上級者からすれば無駄な特攻に映るだろうこの接近も「直感」を持つ俺がすることで、
「攻めの一手になるんだよ!」
更識さんがスピアで突きをしてくるが俺は「直感」によってそれを見事にかわす。
「なんですって!?」
今度こそ目に見えて更識さんが驚く。それもそうださっきの突きは見事に洗練された業だった。「直感」のない俺が相手だったらまず直撃は避けられなかっただろう。
この隙を逃すまいと俺はビームライフルを乱射する。接近していたこともあって全弾命中。
「やった!」
思わず声が漏れる。しかし同時に凄まじい振動が機体全体を襲う!
「うわぁ!!」
驚くのと同時にすぐに更識さんから離れる。
どうやら撃たれたらしい。更識さんがもっていたあの銃にはガトリングガンが付いているらしい。槍から煙が上がっていた。
「やるわね、十六夜君。さっきの思い切りと回避はすごかったよ。お姉さん本当はこの槍しか使わない予定だったんだけどやめるね。ここからはすべてを使わせてもらうわ!」
『おい!楯無!十六夜はまだISでの戦闘経験が「分かってますよ」!!』
「だからこそですよ。能力を測るんでしょう?なら真剣にやらないとだめでしょう。」
『分かった。だが、やりすぎるなよ。』
「了解です♪」
更識さんはこちらを向いて、
「という事だから。始めるわよ!」
「望むところです!」
「いい返事よ!」
両者とも一斉に動き始める。
更識さんは俺から距離を取りながらガドリングガンを連射、俺は全速力で更識さんへと再び接近を試みる。俺のシールドエネルギーは残り70%。向かってくる弾を「直感」でよけるも雨のように撃たれてくる弾丸のいくつかが俺に直撃する。だが、
「武装は、まだまだあるんだ!」
腰部の武装ボックスが開く。俺はハティ―とスコルを量子変換で消すと、同時にボックスからダガーが二本飛び出してくる。これがフェンリルの武装の一つ、ビームダガーと普通のダガーがボックスには収納されており任意でダガーを射出し、すぐに装備できる優れものだ。またビームダガーは相手に触れることで相手をしびれさせることもできるのだ。
出てきたビームダガーをそのまま更識さんへ投擲する。
「そんな攻撃!」
何も知らない更識さんは槍でダガーを打ち落とそうとして
「きゃああああ!!」
電流によってしびれていた。
その機を逃すまいと俺はスラスターを全開にして突撃する。
手にあるのは対ISロングブレード レーヴァテイン説明通りならこの剣はあの槍だって破壊できる!
「これで、終わりだ!」
しびれがやっと解けるもまだうまく動けない更識さんへブレードを振り下ろす!
しかし、
「何!?」
もう少しで直撃といったところでブレードは何かに堰き止められる。いや、「何か」は分かっているんだがそれを理解できない。
「水がブレードを防ぐなんて!」
そう、水。信じられないことに水が俺のブレードを防いだのだ。
「その水はナノマシンっていうのを使っててね、普通の水とは違った武器なの。」
なぜか後ろから声が聞こえてくる。恐る恐る振り返るとそこにはもう一人の更識さんがいた。
「!?」
すぐに目の前の更識さんに視線を移す。そこにも更識さんがいる。俺の後ろと前そのどちらにも全く同じ姿の楯無さんがいた。しかし、次の瞬間には目の前にいた更識さんは水となって跡形もなくなっていた。
「すごいね、十六夜君。とてもISを動かすのが二回目とは思えないほど強いよ、君は。だからお姉さん…」
そこで言葉を区切る。俺は機体を本物の更識さんに向ける。
「本気で相手をさせてもらうね。」
そして俺はその2分後に更識さんにシールドエネルギーを0にされ敗北した。
◆帰り道
すがすがしいほどに負けたな最後は。俺には「直感」があるっていうのにあの後、まったく攻撃をよけることすらできなかった。このままじゃいけないはずだ。俺が倒さなければならない世界のゆがみは俺でしか倒せないもののはずだから。そう、あの更識さんも山田先生も織斑千冬でさえも敵わないものだろうから。
「絶対に強くなる。」
俺はそうつぶやいて学園から出るモノレールに乗った。
side楯無
◆学園
「で、どうだったんだ?初の男性ISパイロットとの戦闘は?」
「まだ二回目ってこともあってかかなり弱かったですよ。」
そう、結局は私が勝った。しかし、それは当たり前のことなのだ。ISは基本乗っていた時間だけある程度まで強くなることができる。だからISに乗っていた時間が累計一時間未満の彼が私に勝てる道理はないのだ。でも
「アクアナノマシンを使ってしまった。」
この試験をするとき絶対に使わないと心に決めていたはずのアレを使ってしまったことは微妙に心に響いている。
「ああ、さすがにあれは大人げなかったな。いくら負けるのが自分のプライドが許さないからと言ってあそこまでこだわる必要もなかっただろう。しかしそれくらいしか感想はないのか。まあいい、入学してから十六夜のことを見るようにするよ。もう帰っていいぞ。」
言葉を残して織斑先生は去っていく。
「ふふっ。」
自分以外誰もいないピットに自分の笑い声が響く。
「織斑先生、あなたは一つ間違っているわ。私がナノマシンを使ったのは負けるのが嫌だったからっていうわけじゃない。楽しかったのよ、純粋に。」
ハンデがあったとはいえ自分はIS学園最強負けるなど論外であるとともに「下手すれば負ける」という事もあってはならないのだ。
ならば、何かがある。彼が自分に勝つことができる要因となる「何か」が。
思い当たるのは試合中盤自分が撃った弾丸を必要最低限だけあたり致命的な弾をすべて躱したあの時。
彼の経歴はいたって普通。どこかの軍に身を置いたわけでもないし、どこかの組織に属しているというわけでもない。
「ならより調べないとね。」
すぐに考え始める。怪しいところは徹底的に、それこそが自分が生徒会長として、更識の人間として自分に課している信条だ。
少年は強くなることと守ることを決意し、少女は新たな興味を持つ。世界と天災は己が事情で動いていき、世界の裏の住民はひそかに動き出す。
こうして新たな彼、十六夜優人の学園生活は始まる。
どうもロキです!
ついに原作前のパートを書き終えました!いやー長かった!それでこれも終わり!次からは原作です!張り切っていきたいと思います。
また今回は一応戦闘シーンが入っておりまして「結構考えて書いて行ったのにこんなに少ないっておかしいだろ!」と作者は読み返して思いました。
今回の感想は「楯無さんってわかりにくい人だな」です。会話文を書くときにメチャクチャ困りました!
ここから補足
優人君は「この世界を守る」的なことを言ってましたが、学園ではふざけたり笑ったりします。
決意についても同様でだからと言って優人が暗くなるというわけではありません!
以上です!また今度会いましょう!有難うございました!