side優人
「じゃあ、始めるわよ。」
時刻は夕方、真っ赤な夕日が照らすアリーナにISを纏った俺と楯無さんの姿はあった。
楯無さんによる訓練が始まってから数日。今日はクラス代表決定戦の前日。彼女の指導が一通り終わったため、最後に模擬戦の誘いがあったのだ。
「いつでもいいですよ。」
「そう、じゃあ…」
楯無さんは突然、鋭い動きで槍を繰り出してくる。
「ぐあ…!!!」
「あら、優人君。準備はできてたんじゃないの!」
言葉とともに放たれるスピアーは彼女の細い腕からは考えられないほどの重みを持つ一撃だった。ISのシールドバリアーでも防ぎきれなかった衝撃が俺にかかってくる。
「ほら!休む暇なんてないのよ!」
言葉が聞こえたのが先なのか後なのか。気がつけば俺はアリーナの奥に吹き飛ばされていた。そうか、今、俺って楯無さんの蹴りを食らったのか…。
「手加減なしですか。かなり張り切ってますね。」
時間稼ぎの意味もかねて言葉を発する。同時に立ち上がり、腰のボックスからビームダガーを1本を取り出し、同時にビームライフル一丁も展開する。
「当たり前じゃない。優人君は私が直々に訓練してあげたんだから。」
「じゃあ、こっちからも行かせてもらいますよ!!」
使うのはビームライフル。この訓練で一番彼女に鍛えられた射撃の腕を見せてやる。
「当たれぇぇぇ!!」
銃身から放たれた緑色の閃光がアリーナを駆ける。レーザー兵器のあるこの世界でもビーム兵器の威力は特に高いものだ。「弾速も早い上に威力さえあるこれなら」と甘すぎる考えが脳に浮かぶ。
「!?」
突如やってきた「直感」によって咄嗟に俺はそこから飛びのく。一瞬遅れて俺のいた場所にスピアーが突き刺さる。
「遠距離用の武器を使おうとしたのはいいけど、ビームライフルはダメよ優人君。ビームライフルは性能は確かにいいけど発光するじゃない。そんなのを連射しちゃ相手が見えなくなるわよ。」
長々と、余裕の表情で彼女は言う。
「楯無さんは余裕みたいですね。でも、俺だって接近戦での読み合いには少し自信があるんですよ?」
ビームライフルを収納する。今ので俺が彼女に射撃で勝ちに行くのは無理だとよくわかった。なら接近戦しかあるまい。物分りの良い(諦めの早いとは言わせない)俺はビームライフルを量子変換しその手でもう一本ボックスからビームダガーを取り出す。
「お姉さんとのダンスは熱いわよ?」
「望むところです!」
ブーストを噴射させ突撃する。
こうして始まった俺と楯無さんのダンスであったが「直感」という能力(チート)をもってしても俺の完敗という形で幕を閉じたのだった。
side???
手に持った物を見つめる。薄暗い中でも輝きを放つソレはこの世界における最強の兵器、ISだった。
「ねえ、エム?あたしたちにはまだ任務が来ないの?」
自身が語りかけた少女、エムは何かを組み立てながらも答えてくれる。
「何を言っている。今まさに任務の最中ではないか。」
「そういうことじゃなくて…。」
「…ああ、お前が言っているのはそういうことか。だったらまだだろう。組織もまだ準備が整っているわけじゃない。その任務がくるのはもっと先のことになるだろうな。」
「ふぅん。…そうよね。」
確かに今が任務中なのだった。今も背後でいろいろな兵器などのチェックを行うエムを一瞥しISを弄るのを止める。
「準備はできた?」
ここからが任務の始まり。生死をかけた戦いに少しだけ緊張している自分の人間らしさを感じてしまう。
「ああ、抜かりなく。」
「じゃあ、行くわよ。」
ISを展開し壁を殴りつける。あらゆるところから煙の立ち上る戦場を「上空から」眺め、意を決して空へと飛び出す。
「ここからは予定通りに行こう。」
「了解。バイバイ。」
そうして私は戦場へと飛び出したのだった。
side優人
原作どおりに一夏は負けた。最適化がぎりぎりで間に合い、セシリアをあと少しのところまで追い詰め零落白夜で自滅。あまりにも知っている展開過ぎて俺もびっくりした。
「次はあなたの番ね。」
いつの間にか楯無さんが横に立っていた。この人授業とかどうしてるんだろう?
「緊張してきた?」
「全然していませんよ。第一、オルコットさんに勝つことよりもあなたと戦い続けるほうが難易度高いでしょう?」
そう。戦い続けることであって勝つことではない。ここ重要。
「嬉しいな。優人君が私のことをそこまで想ってくれるなんて。」
「『思う』ですよ。『想って』まではいません!」
「そんなに否定されると!お姉さん悲しくなっちゃう!グスン。」
泣き真似とともに開かれる「傷心」の扇子。変な人だな、まったく。
『続いてオルコットさんと十六夜君の対戦を行います。十六夜君はアリーナまで来てください。』
そろそろか…。
「じゃあ楯無さん。俺、呼び出しも会ったんで行ってきます!」
「優人君!」
走り出した俺を楯無さんが呼び止める。
「何ですか?」
さっきまでのふざけていた顔とは違う、可憐でありながらも凛々しさを持った顔で楯無さんは言った。
「がんばってきなさい!」
「はい!必ず勝ってきます!」
言葉を残し俺はアリーナへと走り出した。
リアルの事情によってかなり長い間更新してなかったような気がします。おかげで少し主人公の人格が変わっているんじゃないかと心配になっています。
不定期更新のタグをつけているわけではありますがあまりにも不定期すぎると自分でも思っています。すいません。
戦闘はセシリアとではなく楯無さん(二回目)となりました。かなり短いものですが一人称で書いてしまったのですごい大変だったように思えます。
感想、意見がございましたらどんどんください駄文ですけど作者のモチべが超絶×3あがります。
では皆さん、また今度の投稿でお会いしましょう。