sideセシリア
『では、これより十六夜優人とセシリア・オルコットの対戦を開始する。』
アリーナに千冬先生の声が響く。勝負に勝った私は今、次の対戦相手である十六夜と対峙している。エネルギーの補給だけ行ってからの連戦なので疲れがないとはいえない。
「疲れがたまってるんだったらもう少し後に試合してもいいけど・・・」
目の前から声がかかる。声の主はもちろん対戦相手である十六夜優人のものだ。彼に顔を向けると同時にそのISを眺める。灰色の軽そうな狼を連想させるデザインの装甲に背中に背負った長剣、スピードタイプでしょうか?
「いいえ、敵からの施しを受けるつもりはございませんわ。」
「そうかい、まあ大体予想はついていたけどな。」
言い終えると十六夜は顔を真剣なものへと変える。
「やるからには全力で行くぜ。俺の特訓に付き合ってくれた人に朗報を伝えなきゃいけねぇからな!」
「いわれるまでもなくこちらも全力でしてよ!」
言葉とともにスターライトmkⅢを構え直す。
『試合開始!』
こうして私の二度目の対戦が始まった。
side優人
『試合開始!』
「先手はいただくぜ!」
ボックスからダガーを射出させつかむのと同時にそれをセシリアに投擲する。
「なっ!?」
先制攻撃に驚きながらもダガーを避けるセシリア。彼女を尻目に俺はさっきまで彼女と開いていた距離を詰めていた。スピードタイプの俺には造作もないことだ。
「喰らえっ!」
両手にハティーとスコルを展開して彼女へと向ける。
「零距離射撃だ!」
声とともにトリガーを引きまくる。撃ち出される閃光は銃口の目と鼻の先にあるセシリアの装甲にすべて命中する。
「きゃああああ!!」
「こんなに撃ってるのに装甲に傷もつかないなんてさすがISだな!」
「くっ・・・インターセプター!」
声とともに腕がふるわれる。シールドエネルギーが微量に減ったのを確認するが攻撃の手を緩める気はない。ビームライフルを片方だけ量子変換、収納し代わりにダガーを装備する。
「ここは、俺の距離だ!」
気分が高まって某セブンソードさんの台詞をつかってしまった!ふるわれるインターセプターを最小限の動きで避けながら攻撃を当てていく。元々遠距離で戦うことが前提だったセシリアのことだ。ここまで接近されてナイフ一本で戦うことになるなんて想像もしていなかっただろう。
しかし、突然これまで押され続けていたセシリアの目が座ったような気がした。疑問に想う俺。警戒すればよかったものの気にする程度で止まった俺を次の瞬間、とてつもない衝撃がおそった。
「ぐあっ!?」
「くうぅ・・・」
俺のものだけではない、セシリアの声が聞こえつつも衝撃と同時に現れた煙で何も見えない。戸惑っている俺をよそに「直感」が発動する。
「!?」
見えたのはすべて俺の場所で交わる4本の直線。確かにはじめは1本だったそれは1秒とたたない間に4本となっていた。そしてそれを理解するのも遅すぎた。迸る閃光が次々と直撃しバランスを失う。
「うわぁぁ!!」
落ち着け!落ち着くんだ、俺!一つ一つ弾道を見極めろ!自分に言い聞かせ襲いかかる衝撃の中感覚を研ぎ澄ます。4本ある直線のうち1本が消える。そして新たに直線が生まれ、1本が消えてはまた1本生まれる。
「今だ!」
4本がすべて覚えたものとなった瞬間ブーストを最大出力で噴射させ、無理矢理バランスを取り戻す。残りの3本が俺の方へとずれてくるが順番さえわかればもはや直感を持つ俺の敵ではない!
「うおおおおおお!」
次々と俺へ狙いを定めて飛来するレーザーを避け続ける。直後ハイパーセンサーがセシリアの漏らしたわずかな驚愕の声をとらえる。
「そこか!」
レーザーを避けながら手に持ったダガーを投擲する。狂いはない。楯無さんにしごかれたからな!
ビットにお世話になっていた間ずっと見ていなかったセシリアの姿が目に入る。腰にあるミサイルビットから煙が出ていることからさっきの衝撃はあれのものだったのだろう。しかしそれでは密着状態にあったセシリアも巻き込んだはずだ。
「なるほど。お前もいっぱいいっぱいってことか!」
ダガーの回避のためにビットの攻撃がやむ。その隙を無駄にはすまいとセシリアめがけて突撃を仕掛ける。シールドエネルギーの残量は決して多いとはいえないところまで減少している。おそらくこれが最後の衝突となるだろう。
「!?負けるわけにはいきませんの!」
こちらの接近に気づいたセシリアが銃口を向ける。遅れて背後からブルーティアーズが俺を追い越しセシリアの左右に展開、スカートユニットにあるミサイルビットまでこちらに向けてきた。
「こっちだって負けるつもりはねぇ!」
接近しながらビームライフルをセシリアに向けて乱射する。何の狙いもなしに放たれるビームは牽制のつもりだったのだが展開されていたビットに命中する。
それを皮切りに残ったビットからレーザーが発せられる。
「それでも!」
止まることはできない。今もし足を止めて回避に回れば攻撃のチャンスはもうやってこない!
やってくる三本のレーザーを最小限の動きで躱しながら進む。近くなるにつれてレーザーの隙間は短くなりこちらの被弾率は上がる。しかし、それは向こうも同じことだ。撃ち続けていたビームがさらに2機のビットに命中し、破壊する。
「よし、次!」
しかし、何度トリガーを引こうともビームは発射されない。セシリアとの距離はあと少しなのに!
「くそっ!弾切れか!」
もう一つのライフルを呼び出そうにもその間に撃たれてしまう。俺は背中にあるレーヴァテインを引き抜く。
「まだですわ!」
言葉とともにミサイルが発射される。それは原作での一夏とセシリアの戦いと全く同じ展開だ。しかし俺にはあいつと同じようなことは起きない。
「なら!」
自力で何とかするのみ!俺は「直感」を発動させる。当然俺にはミサイルに追いかけられた経験なんか無い。でもそれがミサイルでなければ、何でもない飛んでくるボールの軌道などであればいくらでも読んだことがある。
「うおおおおぉ!」
咆哮とともに俺は剣をミサイルにお袈裟懸けに振り下ろす。爆発で煙が発生するが気にせず機体を反転させ腰にあるボックスを開放だがーを射出する。放たれたダガーは狂い無くミサイルに突き刺さり爆発させる。爆発によって生まれた煙をブースターによる加速で突っ切る。
「っ!」
至近距離で放たれたミサイルを防いだ俺にセシリアは表情に一瞬だけ驚きの色を見せるが次の瞬間にはその手にもつライフルを構えていた。並みの高校生ならそこまでの素早い判断を下せなかっただろう。それこそが代表候補生であるセシリア・オルコットの実力を十分に現していた。
「チェックメイトですわ!」
今度こそ、その銃口からレーザーが飛び出す。天から放たれた閃光は何の手も打たなければ俺を貫いていただろう。
だが、
「おおおおおおおおおおぉぉぉっ!」
俺はレーヴァテインを直感に従って前方へ放り投げる。一瞬空いて飛来したレーザーと激突する。その横を最大まで加速した俺が通り抜ける。
「そんな!?」
こんどこそセシリアの顔が驚愕に染まる。俺が唯一持つ武器を手放すとは到底思いもしなかっただろう。しかし、俺にはある。
「最後は、拳(こいつ)で決着をつけるのが・・・」
この世界にきて、あいつから、皇樹なぎさから身につけさせてもらった力とこの拳がある!その拳を目の前にいるセシリアへと解き放つ!
「男ってモンだろ!」
『試合終了!勝者、十六夜優人!』
織斑先生のアナウンスが響く。
「ま、女を泣かせるのが男だとは思わないけどな。」
俺はセシリアへと目を向ける。俺の拳はセシリアの目の前で止まっている。所謂寸止めってやつだ。
放心していたセシリアが元に戻る前に俺はピットへと戻った。
side束(三人称)
かたかたとキーボードを打つ音が部屋に響く。無数のディスプレイによって青く照らされる部屋の中に天災、篠ノ之束はいた。
「いや~。ゆうくん本当にすごいねぇ!」
イスに腰掛け手ではキーボードに何かを打ち込みながら束は一つのモニターをずっと見ていた。その後ろには小さな影があった。
「あれだけの回避運動をただの高校生がとれるとはにわかに信じがたいですね。」
「あ、くーちゃんも見てたんだ!」
くーちゃんと呼ばれたシルエットは未だにモニターを不思議そうに見つめる。
「それにしても今回わかったのは武装だけかー。くやしいなぁ。」
足をぶらぶらさせながらつぶやく束。その仕草が大人な体をした彼女と相まって違和感を生み出す。
「あれが例の468番目ですか?」
「そうだよ!どんなものか知りたくて見てたんだけど結局わからなかったね!」
あっけらかんとした調子で言ってのける束。そして束はキーボードのエンターキーを押し込む。その瞬間今まで暗かった部屋は電灯によって照らされ、全てのモニターの電源が切れた。
「なら今度はこっちから見せに生かせてもらおっか♪」
くーちゃんと呼ばれた少女、クロエ・クロニクルと言う名の少女は篠ノ之束の顔を見る。そこには新しいおもちゃに顔を輝かせる子供のような笑みがあった。
「じゃ、ご飯にしよっか!」
「はい。」
そう言って二人は出て行った。
どうも久しぶりです。前の投稿から約一年たった気がします。作者にとってこの小説は完全に趣味なんでまたこんなことがありそう。(汗)実を言うと今回の戦いが全くまとまらずここまで時間がかかりました。次回は日常回ですのでしっかりかけるかと。
なんだか戦闘が一人称で行こうとするとすごく難しくって大変でした。正直今回全く文章がうまくないかも。(いつものことかもしれませんが)
最後のところはロキの個人的な三人称レッスンです。やっぱり戦闘ものだし三人称がいいかも?と思う今日この頃です。
ではまた次回の投稿でお会いしましょう!
P.S. カデンツァを攻略!なんだか有塚陣が好きになる作品でした!まだトロフィー集めきってないんでがんばります!