side優人
◆飛行機内◆
「ふう。あとはこのまま待っとくだけか……。」
荷物を棚にマフラーを手持ち鞄に入れ、座席の下へこれで完璧だ。今俺はアメリカ行きの飛行機に乗っている。時間通りでタイムスケジュールでは全く問題はないのだが一つだけ問題があった。
それは姉さんの席のことである。もともと飛行機は小型のもので窓際の二席をとったのだが空港に着いた時係員の人がなぜかこちらに来て
「すいません。お客様少々問題がございまして座席の変更をさせて頂けませんか。」
なんてことを言い出したのだ。もちろんこちらは予約を取っていたというのに席を変えられるというのは
了承しがたいものであったのだがお詫びとして結構いろいろなもの(商品券等)を押し付けるように渡され有無をも言わせずどこかへと言ってしまった。
「全くなんだっていうんだよ。」
その席の変更は俺と優花で一緒に移動するのではなく俺と優花が離れてしまうものだったのもさらに災難だっただろう。
「はあ………」
まさかまさかのところでは起こったハプニングに少しだけため息が出てきてしまう。
「ため息をすると幸せが逃げちゃうよ。」
「えっ!?」
いきなり横から知らない声が聞こえて反射的にふりむいてしまう。そこには女性が立っていた。俺は少し身構えてしまう。もともと優花と席を隣にしていたのは家族だからという事のほかにもう一つあるそれは
「俺が知らない女ととなりにならないようにする」ということもあった。なぜなら今の世界は女尊男卑の風潮が強い女性が嘘であったとしても「痴漢にあった」と言えば言われたほうは即お縄なのである。
よってこの状況は俺にとって最悪の状況だと言えた。
しかし相手が絶対に質の悪い人だとは限らないし無視するのはいけないので言葉を返す。
「ああ、横の席の人ですか。お互い災難でしたね。いきなり席が変更させられるなんて。」
「そんなことないよ。私がこうなるようにしたんだもん。」
「ですよね~。ってエエェ!!」
衝撃的な告白によって一瞬理解が追い付かなくなってしまった。確かにこの女性は「自分がこうなるようにした」って言ったよな。
「どういう「し~。今からの話は内緒ってことでこっちでしようよ。」あっ、はい。」
女性は携帯のチャットツールが開かれた画面を見せてくる。
俺も携帯を取り出して電源をつける。
『で、どういう事なんですか席を自分で変えたって』
『む、結論ばっかり求めるのは最近の若者の悪いところだよ。十六夜優人君』
(ウソだろこんな人知らないぞ俺)
改めて女性のほうを見る黒のスーツを身に着ける黒髪の女性。さっきも言ったとおり俺はこんな人を知らないし親族の中にもいない。つまり初対面の人に名前を知られているのだ。
『なぜおれの名前を知っているんですか?』
言いようのない不安を感じながらも相手との会話を途切れさせないようにする。
しかし次に来た返答は俺の予想外のものだった。
『なんでって、そりゃあこの束さんからしたら君の名前を知るくらい赤子の手をひねるくらい簡単なんだよ~』
(束だと!?)そう今俺の目の前にいるこの女性はこの世界、インフィニットストラトスの世界のキーパーソンである篠ノ之束と名乗ったのだ。
(待てよ俺、冷静になるんだ。この人が本当の篠ノ乃束とは限らないんだ。少しずつ質問をして状況を把握するんだ)
どうにか自分を落ち着かせようとしているところに女性?の打ち込んだメッセージが表示される。
『おおっ、疑っちゃってるのかな~。でもでもこの私こそ篠ノ之束なのだ!』
『でもニュースで見かける写真と外見が全く違うのですが。』
『やっぱり別人に見える?これはねISをちょっと特殊に使っているんだよ。まったくどこの国もバカばっかりだよね~。ISを兵器としか見れずロクに別の使い方を探そうともしない。束さんはがっかりだよ~。』
(疑っていても話が進まなさそうだな…。とりあえずこの人は篠ノ之束だとしよう。でも、なんで俺に話しかけてくる?その理由は?)
そう、理由だ。理由がない。俺はまず転生者で「直感」があるという事を除けばそこら辺にいる中学生と全く同じで織斑一夏のようにISが動かせるわけじゃない。ISとはかかわりのない俺が篠ノ之束に話しかけられる理由などないはずなのだ。
とにかく俺は最初にした質問をもう一度してみることにした。
『最初の質問なんですけど席を変えたってどういうことですか』
『そのまんまだよ。束さんが仕組んだんだよ。君と話をするためにね。』
俺と話をするために?何かは分からないがとりあえず聞いてみたほうがいいだろう。
「何について?」と書き込もうとしたとき飛行機のアナウンスが始まる。
『お客様、本便は間もなく離陸いたします。シートベルトをお付けになり、ケータイなどの電子機器の電源はお切りください。』
どうやらこれ以上は続けられないようだ。メッセージを入れてから電源を切ろうと画面を見ると新たなメッセージが表示されている。
『あ、そろそろ離陸か仕方ないね。あの話は此処でするわけにもいかないから向こうについてから話すことにするよ。ちょっと時間を作っておいてね。それと寝ておくからついたら起こしてね。』
横を見るともう女性は寝てしまっている。
「困ったな……。」
そう困る。別についたらすぐ移動しなければならないほどきついスケジュールは組んでいないのだが、
この人が篠ノ之束であるにせよそうでないにせよ話をするのならきっと優花は置いて行かないといけない。
(あとで何か買って機嫌を直してもらうか)
篠ノ之束がどんな理由で会いに来たのかは分からないが今騒いでも仕方がないとりあえず俺は優花のことや両親のことを考え、横にある大きな現実から目をそらそうとするのだった。
ついに原作キャラを登場させることができました!!
しかし登場させたはいい物の「そのキャラのしゃべり方」って意識するとなかなか再現し辛いものですね。なので本文での束さんが「こいつだれ?」ってことになっているかもしれません。
さてさて私の予定では第五話ではタイトルを「聖夜」にして、オリISも出す予定だったのですが結構飛行機内での話が長くなってしまいまして泣く泣く予定を変更しこのような結果になりました。次で出せるように頑張りたいです。(ものすごく長くなりそうな予感 汗汗)
ギャグ等につきましては私は下手なので入れられるかどうかはわかりません。まずこの後の1,2話はまず無理だと思います。
ではまた、第六話「聖夜」で!