side優人
篠ノ之束。この世界における最強の兵器ISを作り出し、世界を「変えた」女。おどけた態度で悪戯を好む飄々とした性格だがそれは彼女が「身内」と判断したもののみで、他人に対しては無関心というコミュニケーション能力に問題のある人物。
これが俺の知っている篠ノ之束に関することだ。それ以外のことは知らない。
まずIS自体がまだ完結していなくてさらに俺が出版されていたISの原作を買っていなくてアニメしか見ていなかったというのがこの知識不足の原因だ。
頭をフル回転させる。まだこの人についての情報がないか必死に思い出す。
(ないもんはないかぁ。俺も寝よ。)
しかし何十分かけても何も思いだせないから俺は寝ることにした。
◆数時間後◆
ゆさり、ゆさり。体がゆすられている。
「ン……。」
(飛行機が着陸してるのか?)
目を開けてみる。意識がぼうっとしていたが目に飛び込んで来る光のまぶしさで目が眩む。
(あれ?前から?)
少ししておかしいことに気付く。前にあるのは座席のはずだ。目が眩むほどきつい光があるわけがない。
意識を無理やり覚醒させて飛び起き、状況を確認する。
自分がいるのは見覚えのない真っ暗な部屋。少し先のほうにパソコンやモニターがかなりの数あり部屋の中をモニターの光が青白く照らしている。
「どこだ此処!?」「うわぁ!!」
思わず出た声に誰かが驚く。声の聞こえたほうに視線を向けるとそこには篠ノ之束がいた。もう変装は解いていてアニメでみたおなじみの格好になっている。
手をこちらに少し伸ばした状態で固まっている。俺の体をゆすっていたのは彼女のようだ。
しかし、寝る前まで飛行機にいたはずの自分が目が覚めると全く知らないどこかにいるのだ。
(コイツの仕業としか考えられないよな……)
何から聞こうかと考えている俺に彼女が話しかけてくる。
「あっ、やっと起きたんだ。束さん君が起きなかったらどうしようと思ったよ。」
「そんなことよりここはどこです!?俺たち飛行機にいたはずですよね!?」
普通ならだれでもおかしいと思うことを俺は素直に聞いてみる。
「私の研究所だよ!!名前はねー、『吾輩は猫である名前はまだない(仮)ver.2』だよ。すごいよ!君が世界初だよ。ここに入った私以外の人間は!」
束はまるで子供の様に話している。つまり俺は寝ているすきに拉致られたという事なんだろう。
「どうやってとかそんなことは聞きません。本題に移りましょう。」
「そうだね。ここだったら誰にも聞かれないし頃合いもいいね。」
束は俺がさっきまで寝ていたソファに腰かける。
「私が今日君に会ったのはね。なぜか君がISを持っているからなんだよ。」
「………嘘ですよね。」
思ってもいなっかったことを聞かれた。おれはてっきり転生者であることを聞かれると思っていたため
あまりびっくりはしなかった。しかし内容がそれではなっかったのだとすると不明な点が出てくる。
「それだけではないはずです。」
「どういう事かな?」
「それだけがわざわざ俺みたいなやつに会いに来る理由になるはずないです。」
そう。それだけでは足らないのだ。「身内」以外の人間には無関心である彼女なら、ISを持っているだけならアニメのように無人機を出したり、こっそりと盗み出せばよかったんだ。
「よくわかったねぇ、正解だよ。束さんが会おうと思ったのには理由があるんだ。その理由ってこれまでの経緯なんだけど、きいてくれるかな?」
「はい。聞きます。」
俺が答えると束は理由を語り始める。
「私ってさ、ISコアの位置とかいろんなものを知ることができるんだよね。それで暇つぶし程度に世界中のISの位置を見ていたらなんといきなりコアが『増えた』んだよ。ありえないよね~、コアはこの束さんが世界に467個しか出してないのに468個目が出てきたんだよ。無人機に取ってこさせることもできるんだけど面倒事なんて嫌だから束さんが直々に取りに行ったんだよ。でも束さんって超有名人だから変装していかないといけないわけ。で、こんな風に変装してみたんだ。」
言いながら束さんは空中になにかのディスプレイを出現させ捜査をする。部屋のモニターよりも強い光が束から発せられ、俺はとっさに目を覆った。
光がやむとそこには飛行機の中とも違う姿の女性になっていた。その姿に何か引っかかりを感じる。
「あれあれ?覚えてないのかな?あのときあんなに束さんを見ていたのに。」
その一言でやっと気が付く。
「あの時の!」
空港に優花と出かける前なぎさと勝負するために歩いていた時にすれ違った女性。
なぜかいきなり「直感」が発動してしまい立ち止まったあの時俺がみた女性。
今の束の姿はその女性と全く同じだった。
「思い出したようだね。それが理由だよ。あの時、ただの学生なのにISで完璧な変装をしていた束さんをどうして君はすれ違っただけなのに気付いたのかな?束さんはそれが知りたいんだよ。」
その時俺は気が付いた。束の俺を見る瞳の異常さに。それは人が人を見る目ではなく、子供が紙で包まれたプレゼント箱の中身を見る目、好奇心の目だ。
「理由はわかりました。でもそれは考えすぎです。あの時俺はただ知人に似ているあなたを見て記憶をたどっていただけです。」
俺はうそをついた。ここで「直感」について話すのは得策ではなかったから。
「ではこちらの質問に答えて頂きます。俺がもっているというISはどこにあるんですか?」
「やっぱり知らなかったんだね。でももういいや、興味もなくなったよ。今日はもらわないからまたいつか回収しに行くよ。」
「えっ!?」
いきなり態度が変わった束に驚く。しかし少し考えれば分かる彼女は「俺がなぜ変装を見破ったのか」という事を聞きたくておれを連れてきたのだ。それが「ただの偶然」とわかったのならもう俺は用済みなのだ。その証拠に彼女の俺を見る目は全く先のものとは別のものになっていた。
「あっ、帰る方法は気にしないでよ。あの空港に寝かせといてあげるから。」
体が危険を訴えてくる。「直感」がなくてもわかるほどの危険が。
思わず後ずさる俺。束が動きを見せようとしたその瞬間
後ろの壁が吹き飛んだ。
「「はあ?」」
俺だけではない束までもが唖然とする。
直後、今までで感じたことのない強さで「直感」が危険を訴えてくる。
「束さん、危ない!」
とっさに彼女を押し倒したのは自分をほめてやりたくなる。
爆発によって壁に空いた穴から銃弾が飛んできたのだ。銃弾は俺たちの立っていた位置を通り奥のパソコン群に直撃する。
銃弾と爆発でもろくなった壁を破壊しながら二機のISが部屋に入ってくる。
「こんばんは、篠ノ之束博士。お迎えに上がりました。」
うち一機のパイロットが告げる。言葉には上品さがあってもまるでいい感じはしない。束に弾が当たらないという保証なしにこちらへ実弾を撃ってきたのだ。まともであるはずがない。
(俺は……生きて優花と会えるのか?)
自分がこの後撃たれるという最悪の光景が目に浮かぶ。しかしすぐさま頭を冷やす。
(何を考えているんだ俺は!会えるかじゃない!会うんだ!)
自然と口から言葉が出る。
「絶対に生き延びてやる!」
俺のこれまでで一番危険な聖夜の始まりだった。
オリISをまたもや登場させられなかった(泣)
タイトルの前もそれのために着いたものです「お前これで何度目だよ!」とお思いの方もいらっしゃいますでしょうがどうかお許しください。次こそ書いて見せます。
さて話は変わりますがまえにお話ししたヒロインの件。今のところ楯無さんがいいという意見の一票だけという事になっております。正直「楯無さんっていい感じの人だから結構ありかも」
と思っています。もしほかの意見がおありの方がいらっしゃいましたら、どうぞ感想の欄にご投稿ください。
以上「今年も一人でクリスマス♪」なロキでした。ではまた次の投稿で。