家族仲良く過ごしたい。   作:ト——フ

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 突然ですが、今回から切嗣の今に至るまでのお話に移ります。
ですので、切嗣視点の過去のお話となります。ルシフェルと衛宮一家の因縁についてです。

今作の切嗣の経歴は途中までは原作とほぼ一緒です。
下にざっと纏めましたので、Fate/zero観てないって方は良ければ読んで頂ければ。
逆に観たよって方は飛ばしてもらっても支障は全然ありません!

 
 ●父「衛宮矩賢」の行う研究の有用性から、親子共々狙われる身のため共に各地を転々とする中、南国の島「アリマゴ島」へと潜伏することになる。


 ●研究内容は「時間の操作」について。しかし、この研究が進むにつれ、自身の存命の間は実を結ぶことはないだろうと察し、不老不死に関する吸血鬼の研究も並行して進める。


 ●アリマゴ島での切嗣の生活は順風満帆。島の人と打ち解けて友達も出来、原住民の少女「シャーレイ」に初恋する等々、村に馴染めていた。

 一方、矩賢の方はというと、村の人間との付き合いを絶ち研究ばかりしていて家に籠りっきみなので村の人間からは敬遠されがち。特に、住んでいる家の場所が、村の伝承の「お供え物に手を出した女の子を祟り、サワガニの姿へと変えた神様」の祀られていた場所と近くだった為、村の人には家に出入りすれば祟られる等と不吉に思われていた。その為、教会の神父には目の敵にされている。


 ●切嗣の初恋の相手であるシャーレイという少女は、通信教育のみで13歳のうちに修士課程まで獲得してしまう天才少女であり、その才能を見込まれ矩賢の助手もどき、家事全般を任せられる雑用係として起用される。

 そして、その持ち前の知識欲から、矩賢の研究を手伝う傍ら貪欲に様々な知識を吸収していく。

 矩賢の知識や発見、研究は世の中の為になると思っていて、尊敬している。
 切嗣のことは弟分の様に思っていて、良好な仲。

 しかし、上述のことから、不吉な場所(衛宮家)に出入りしているということで「悪魔に魅入られる」等と神父に頻繁に説教されている。(霊験あらたかなお守り「銀色の短剣」を押し付けられ、肌身離さず持っているようにと言い聞かされるくらい)


 ●ある日、事件が起きる。

 シャーレイが矩賢の作った試薬を持ち出し、無断で服用してしまう。理由は上述しているように、彼女は矩賢の研究が世の中の、人の為になるものだと信じていて、村の皆にそのことを実証しようとしたかった為。

 しかし、試薬が不完全であった為、不完全な吸血鬼と化す。

 このままでは自我を失い、吸血衝動に駆られ村の人間を襲ってしまい、地獄絵図になることを危惧する。(ゾンビの如く噛まれた相手も吸血鬼になるため。※無印でクリリンがドラキュラマンに噛まれた際、吸血鬼化しなかったのは彼が完全な吸血鬼で、噛んだ相手を同族へとするかは彼の匙加減次第って設定でお願いします)

 吸血衝動をなんとか抑えようと耐えていたところ、切嗣に発見され、その際に彼女が持っていた「銀色の短剣」で手遅れになる前に殺して貰うように、懇願するが、まだ幼なかった少年切嗣はその場から逃げ、教会に助けを求める。その後、神父をシャーレイがいた場所へ案内したが、既に彼女の姿は無かった。


●その後、彼女が危惧した通り島が地獄と化し、この騒ぎに駆け付けた連中によって、吸血鬼(村の人達)は殲滅されていく。この状況に混乱していた切嗣は、吸血鬼に追い詰められピンチに陥るが、偶然にも雇われのフリーランサーである「ナタリア・カミンスキー」という女性に助けられる。(この女性は主に、報奨金を目当てに「危険な思想を持っている危険人物」や「お尋ね者」等の部類の者を狩っているハンター)
 
 この女性の言によると、村に来た連中は、この惨事を引き起こした吸血鬼を造り出した者・研究内容を独り占めしようとしている。

 その為、事の事情を知っている者は殲滅されるとのこと。(証拠隠滅の為、村中に火をつけるほどの徹底ぶり)。

 このことから、父を放っておくと、いずれ違う場所でも危険を顧みずに研究を続け、今回の様に犠牲者が出ると考えた切嗣は自らの手で父親を銃殺する。


●今回の件から彼は、「愛する人ひとりを殺せなかったために大勢を殺した」というトラウマを刻み込まれることになる。

そのことから、悲劇・闘争から多くの人間を救うことを自身に課しているが、私情を排し救う優先順位を命の数で判断することを信条とするようになる。


 ●その後、村から脱してナタリアに師事し、暗殺術・兵器の取り扱い・追跡術等を学び、彼女と同じ稼業に就く。それから、彼女のパートナーとして世界を巡る中で、父の様に周囲も巻き込む輩を何度も目の当たりにし、幼い頃からの夢であった「正義の味方」は歪んでいくこととなる。

 ハンターとして血と硝煙にまみれた生活を送っていた為に、彼のまなざしは10代の少年のものではなくなる。


●そんな生活がしばらく経ち、ある出来事が起きる。

蜂を媒体に人を屍食鬼に変える危険人物をターゲットとした暗殺の仕事が舞い込んできた。

ナタリアは過去に取り逃がした人物だということから、自ら後始末を付けると言い、切嗣とは別行動で仕事に臨むことに。

そうして、彼女はターゲットが搭乗する旅客機に、切嗣はターゲットの仲間を殲滅する為にニューヨークへと行くことに。
 
切嗣は滞りなく仕事を完遂させ、ナタリアも暗殺は成功しターゲットの持っていたトラッシュケースの中の蜂の駆除に成功した。

しかし、ターゲットは体内に蜂を仕込んでおり、既にナタリア以外の乗員全てを屍食鬼に変えていた。


●それでも彼女は生きて帰ることを諦めることなく、コックピットに赴き操縦し、空港に向かう。

空港に着くまでは時間があるとのことで、切嗣と通信で会話することに。

その中で、お互いのことを家族みたいなものだと思っていたこと、面白おかしいものだったと零す。長い間師弟として過ごす中で、互いを母親と息子だと感じていたと語り合う。

そして旅客機が空港に近づく頃、切嗣はミサイルを携え海にいた。

「あんたは僕の──本当の、家族だ」という言葉を合図に、彼女の搭乗する旅客機へとミサイルを放つ。

見事ミサイルは旅客機に直撃し、炎に包まれ撃墜。だが、彼女はこうなることを予見していたのかのように、散り際には笑みを浮かべていた。

切嗣がこのような行動をとった原因は、彼女が生き残り旅客機が空港に着陸した場合、屍食鬼が解き放たれ、災厄が拡大する最悪の事態を阻止する為。

こうして、彼は自分の母のように慕っていた人物を、他の大勢の命の為に殺害するという非常な決断を下した。


●その後、彼は呆然とした顔でシャーレイに語り掛けるように、君の時のようなへまはしなかった、今度もまた、父さんの時と同じように殺したと、大勢の人を救ったと、一人呟く。

ナタリアの犠牲で被害が防げた、と悲痛な面持ちで吐露したのち、耐え切れずひとり涙を流し慟哭した。

 



——

———

 

という感じです。

長かったですよね!すみません!!

前書き長ェわ!って思われた方が多いですよね!

 

一応理由としましては、この話を書くに当たって改めてZeroの18.19話(切嗣の昔のお話)を見直してたんですけど、彼のこれまで歩んできた道のりを簡潔に纏めるのはなんか嫌だなって思いまして……。それでもなるべく短く纏めようと思ったんですがこの結果です……。(くっ、作者の技量がもっとあれば!)

というわけで、長文読んで下さった方はありがとうございますm(_ _)m

ここから彼の歩む道は変わっていきます。

では、本編始まります!!

 


其之十四 (過去篇) トリックか……?

 ナタリアの死後、僕は独立し活動するようになり、数年が経ったある日、一匹の亀に出会う。

 

 今思うと、この出来事が僕の人生のターニングポイントだったのだろう。

 

 

 なんでもその亀曰く、松茸狩りに行ったきり海に帰ることが出来なくなったらしい。

 

 まぁ、その日の仕事は終わっていて後は帰るだけだったということで、その亀を海まで連れて行ってやったんだが……そうすると今度はお礼をさせて欲しいと言う。

 

 そんなものはいらないと断ったんだが、余りにも相手が引かない為に、そのお礼を受け取ることに。

 

 そして、浜辺で待つこと数分。

 

 ——ご老人が亀に乗ってやって来た。

 

「ハロー〜〜グッドアフタヌーン」

 

「ど、どうも」

 

 随分と派手な爺さんが来たな……。

 

「亀を助けてくれたそうだな」

 

「はぁ……」

 

 すると突然、何か思い出したのか、むっ、と顔をしかめるご老人。

 

「お主……衛宮切嗣……ではないか?」

 

「——!……僕のことを知っているとは、只のご老人ではないようですね」

 

「左様。儂は亀仙人。武天老師と呼ぶ者もおるな」

 

「——!!」

 

 武天老師……!?僕でも聞いたことがある……。

 なんでも、こと武術においては神と謳われる程の実力を持つと……!

 まさか、こんな所で会うことになるとは……。

 

「しかしお主、見た所まだ若いというのにその瞳は……。どれ、少し失礼するぞ」

 

「え?」

 

 切嗣の頭に杖をかざし記憶を探っていく

 

(なんと……。この少年からは良い噂を聞かんかったから、もしやと思ったが……まさかこれほどまでとは……。

 この少年が歩んできた人生……このような血と硝煙にまみれた生活を送っていれば瞳の光が消えてしまうのも無理はない。そして極めつけは母のように慕っていた女性の一件か。

 ——ふぅ、全く……長いこと生きてきたがこんな経歴を歩んだ少年なぞ、そうそう見ることもない。まだ若いのにのぅ。

 ふむ……)

 

「な、なんでしょうか?」

 

「ん?あぁ、いや。体調でも崩しとるんじゃないかと、ちっとばかし身体の状態を見とったんじゃよ」

 

「それはどうも」

 

(そんな事も出来るのか)

 

「さて、では本題に入る。

 亀を助けてくれた礼に素敵なプレゼントをあげようと思ったのじゃが……どうじゃ?儂の弟子になってみんか?」

 

(事情を知ってしまった以上、この少年を放っておけん。

 それにこのままじゃと、この少年、鶴のジジイに目をつけられるかもしれん。この少年に悪影響じゃろうし、そうなる前にせめて奴からは自衛出来るくらいの力を付けておいた方がいい。

 それに、昨日来た璃正のせがれの良きライバルに、良い武道家になりそうだと思ったしな)

 

 

 あの伝説の武天老師の元で修行か……。

 だが、武術なんてモノ……手段を問わず、だまし討ちや、毒殺なんかをしてきた僕みたいな奴とは正反対なモノだな……似合わないにも程がある。

 それに、弟子にでもなれば時間が拘束される。

 その時間があればどれだけの人を救えることが出来るか……考えるまでもない。

 

「折角のお誘いのところ申し訳ありません。断らせて頂きます」

 

「むっ、そうか……理由を聞いても?」

 

(まぁ、そう言うと思ったがの)

 

「まず、僕のことを知っているようなので説明は省きますが、僕は武道家とは対極の存在です。それに、師から兵器の扱いや、追跡術等、徹底的に叩き込まれています。武術を学ばずとも、今の仕事をする分には困っていません。僕は1人でも多くの人を救わなければならない。だから、その為にも武術の修行をしている時間はありません」

 

「ふむ……」

 

「折角のご好意を無下にしてしまい申し訳ありません。では、失礼します」

 

「まぁ、待て。なら、修行の有益性が証明できれば、お前さんのその考え、改めてくれるか?」

 

「……」

 

 やけに食い下がるな……。

 だが、幾ら粘ろうと僕の考えは変わらないだろうけど。

 

「まぁ見ておれ」

 

 そう言うと、徐に背中に背負っている甲羅を外し出し、地面に置き、肩を回したり、足を伸ばしたりと、ストレッチを始めた。

 

「あそこに大きな岩があるじゃろ」

 

 海岸から30mほど離れた場所にある凡そ20mは優に越している非常に巨大な岩を指差して言う。

 

「腕力のみでこの位置まで運んでみせよう」

 

「……は?」

 

 いや、どう考えてもこのご老人の身体からそんな力を出せそうにはないが……。幾ら伝説の存在とはいえ、同じく人間。そんなこと出来るわけがない。

 

「い、いや、危ないですし、止めた方がいいかと……」

 

「いいから見ておれ、伊達に武天老師と呼ばれとらんと証明してみせるわ」

 

 有無を言わせない迫力に、頭を縦に振ることしか出来なかった。

 そうして、ご老人は岩の下まで走って行き、今度は服を脱ぎ出す。痩せ細った上半身が露わになる。

 

 やはり、あんな身体では無理がある、と思っていたが

 

「んんん〜〜……はっ!!!!」

 

「——ッ!?な、あ、あれは一体……どういう原理で……!?」

 

 ずごごご…!!と、擬音でも出ているかのような凄まじい迫力とともに、ご老人の身体が元の姿より二回り以上も大きく、筋骨隆々な姿へと変化していく。

 

 ——な、どういうことなんだ……人間じゃあないのか!?

 

「ふんっ!」

 

 ズズズズ…!!と、そのまま巨大な岩を10秒もかからずに、こちらへと移動させて来た。

 

「どうじゃ、まぁ、ざっとこんなもんかの」

 

「……し、失礼ですが貴方は人間ではなかったりしませんか?」

 

「なにを失礼な!れっきとした人間じゃよ」

 

「で、ですが……人間にあんなことが」

 

「儂は人間の壁を超えとるからの。完成された武道家というのはそんなもんじゃ」

 

「そ、そうですか……」

 

 人間に、その壁とやらを越えると、こんな出鱈目なことが可能だというのか……?

 

「ふーむ、まだちょっと怪しんどるのぉ」

 

 にやり、と笑みを浮かべ

 

「よし、特別サービスじゃ。これを見ればお前さんの気も変わろう」

 

「……?」

 

 危ないから下がっておれ、と言い、僕と亀を後ろに下がらすと、なにやら岩から離れた所で謎のポーズを取り出す。

 

 一体なんだ……?

 

「か……めは……め……」

 

 両手を右の腰に携え、なにやら力んでいる。

 すると、その掌に光が灯りだし、やがて溢れんばかりに膨れ上がっていく。

 

「波!!」

 

 ボッ!!と突き出した掌から膨大な光が放出される。

 すると、轟音が鳴り響き岩が破壊され、粉微塵と化した。

 

「ふ~……」

 

「……」

 

 言葉が出ない……。なんだ?僕は何を見た……?

 ミサイルでも使わなければ破壊できないであろう巨大な岩を、ご老人の掌から放出された光が粉々にした。

 全く持って意味が分からない。まさか魔法とでも言うのか……?

 

「貴方は……魔法使いだとでも言うのか……?」

 

「違うわい。儂は武道家じゃて」

 

「じゃあ、今のは一体なんだっていうんだ……?」

 

「かめはめ波じゃよ」

 

「──かめはめ波……?」

 

 たしか……さっきそんなことを言っていたような。

 

「うむ。体内の潜在エネルギーを凝縮し、一気に放出させる技じゃ」

 

「……」

 

 明らかに僕の知っている常識とはかけ離れている。こんなトリックのようなことを本当にやってのける人間がいるとは……。

 

 体内の潜在エネルギー……か。

 

「それは僕にもあるんですか?」

 

「うむ、誰にでも備わっておる。皆それを使っていないだけじゃ」

 

「それじゃあ僕も、かめはめ波を使える、ということですね」

 

「まぁ、そういう訳じゃが……儂でも50年はかかったからのぅ。直ぐに出来るというわけではないぞよ」

 

「50年……」

 

 そんなにも時間が……

 

「まぁ、さっき見せた儂の手本を参考に鍛錬を積めば、もっと短い時間でも習得できるかもしれんがの。まぁ、どちらにしろ人間の壁を超えるということじゃ」

 

「人間の壁を超える……」

 

「どうじゃ?儂の修行を真面目にしっかりと取り組めば超えることが出来る。それに壁を越えれば、お前さんの言う『より多くの人たちを救うこと』にだって大いに貢献すると思うがの」

 

「……」

 

 確かに、これまでご老人が見せたような超人的なことが出来るのであれば……僕は今よりも最小限の犠牲で多くの人々を救うことが出来るかもしれない。

 この爺さんが言うように人間の壁を超えることが出来れば……!!

 

 賭けてみる価値はあるかもしれないな……。

 

「僕に……そんな人間を超えた可能性が秘められているのなら……より多くの人々を救える手立てが存在するのなら……やってやる……どんな苦行でもやってやるさ……」

 

 目を瞑り、改めて今、自分の選択が正しいのか考える。

 今まで支払った代価、積み上げた犠牲に沿うものかを──

 

「僕を……鍛えてください」

 

「うむ。では、これから儂はお前の師匠じゃ。よろしくな」

 

(なんとか説得できたか……。

 それにしても璃正のせがれにこの少年。全く、癖のある奴らが揃ったもんじゃわい。

 ——これから忙しくなりそう……)

 

 

 

 こうして僕は武天老師様の元で修行に勤しむことになり、形上は兄弟子にあたるクソ神父、言峰綺礼と出会うことになる。




というわけで、武天老師様との出会い、でした!
これから彼はどんな道を歩んでいくのか?
乞うご期待です!!

(切嗣の考え方とか解釈とか間違えてたら申し訳ございませんm(_ _)m)

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