武天老師様の元での修行から1年が経ち、ある日、課題を出されることとなる。
「突然だが今日は課題を出す。魔神城のねむり姫という単語に聞き覚えはあるか?」
「……ねむり姫?」
「まぁ、切嗣は知らんじゃろうなぁ」
「私は耳にしたことがあります」
「おっ!では綺礼答えてみよ」
むっ、ちょっと癪だな。まぁコイツが知ってることだ。碌なもんじゃなさそうだ。
「はい。
——なんでも大昔、悪魔に攫われて城に閉じ込められ、数千年もの眠りに就いている美女のことだとか……」
「うむ、その通り。しかもその美しさは女神にも引けを取らんらしい。今回の課題はそんな彼女を救い出し連れてくることじゃ」
なるほど、そういうことか……。数千年もの間眠り続けるとは俄かには信じがたいが、武天老師様のように不老不死の薬を飲んで長命になったという例(ウミガメさんから聞いたが、どうにも胡散臭いとは思っている)もあることだ。可能性としては無くはないだろう。まぁこの人が課題として出すくらいだから、きっと何かがあるに違いない。
それに、仮に存命ならいい加減、千年なんていうばか長い眠りから解放されるべきだ。
「分かりました。しかし、その魔神城とは一体何処にあるのでしょうか?」
「うむ、ここからずーっと西に行った先に、悪魔の手と言われる連なった5つの山が見える。魔神城はその山の何処かにあるとされている。まぁ要はひたすら西に進めってわけじゃ」
「はぁ……ひたすらに西へですか……」
「うむ」
これはまた……えらく抽象的な……。それ故にきっと大変な課題になりそうだ。
「よし、では早速出発するのじゃ」
「「はい」」
「おっと、言い忘れておった。乗り物などは一切不可。二人とも己の肉体の身で進むんじゃぞ。これも修行じゃ」
「は、はい……」
相変わらず出鱈目なことを要求されるなぁ、全く……
「それと、お主ら二人で帰ってくるんじゃぞ。時に力を合わせ、くれぐれも喧嘩せんようにな」
「「善処します、では行って参ります」」
「あっ、これ待たんか!
——行ってしもうた。はぁ……、あの二人はどうにも張り合ってばかりじゃな。まぁ、そのおかげでお互いに負けまいと成長するスピードは目を見張るものがあるが……。全く難儀な奴等じゃ」
—
——
———
「「ハァッ、ハァッ、ハァッ」」
野を超え山を超え谷を超え、なんとか例の悪魔の手と呼ばれる山に辿り着いた。
——しかし相当疲れた……。武天老師様の元で修行してはや1年……身体能力をはじめ色々と向上したんだが、僕もまだまだといったところか……。
……と思ったが、あのクソ神父の所為だ。アイツ僕が綱橋を渡っている途中に綱を切って崖に落としやがったからな。まぁお返しに崖を登っているアイツの元に岩石を落としておいてやったが……。
そんな妨害行為をし合いながら進んでいると、いつの間にかここに着いていたというわけだが、本当に5つの山が手のようにそびえ立っている。
そして心なしか、何が邪悪な気配がする……。
「おい、何か邪悪な気配を感じないか?」
「あぁ、恐らくこれは……悪魔の類といったところか」
「はぁ……。本当に悪魔が居るのか……。
武天老師様のことだから一筋縄ではいかないと思っていたが、今回も苦労しそうだ」
そう喋りながら歩いていくと、巨大な悪魔?の顔の彫刻があり、中に入口らしきものがあったので入っていく。
しばらく進んでいくうちに、とても広い開けた場所が見えてくる。そこには大勢の悪魔のような者達が集まっている。
集会でもしているのか?
念のため、岩陰に隠れておく。
「おい、もしかしてあそこにいる奴ら全員悪魔だったりするのか?」
「あぁ、間違いないだろうな。父の悪魔祓いを見学した時と同じ気配が奴らからする」
「そうか、ん?あれは……人間……?」
銀髪の髪に緋色の綺麗な瞳、端正な顔立ちをしている女性が居た。
その瞳には感情の色が無く生気が抜かれているように見えるが、佇まいは正に淑女を思わせるかのように背筋がしゃん、と伸びており、そのアンバランスさに気味が悪く感じる。
——もしや、伝承にあったように攫われてきて洗脳でも掛けられたのか!? もし、そうだっなら——ん?何か中央に居る奴が喋っているな。取り敢えず話を聞いてみるか。
「皆さん、今宵は遂に我らが悲願、暗黒と極寒の世界が誕生することとなる」
うおおおおおお、と周囲の悪魔達の雄叫びが上がる。
「膨大な力が封印された宝石『ねむり姫』、そして、その『ねむり姫』の力を解放する為の我等が故郷、暗黒魔界に伝わる伝説の兵器……人間の生命エネルギーを糧に起動する『太陽破壊光線砲』、そして……その為の生贄としての人造人間……『アイリスフィール・フォン・アインツベルン』
——ッッ!? 人造人間……だって!?
人工的に造られた生命……。
なら、あの感情のない瞳は……本当に感情が喪失しているっていうことか!?
「遂にダーブラ様より命じられた使命を果たすことが出来る……。
さて、では人造人間よ……早速この兵器の中へ入りたまえ」
「はい……」
なにやら『太陽破壊光線砲』と呼ばれる兵器に備え付けられている扉が開き、その中に銀髪の女性が誘導されていく
——どうする?あの男の言と、兵器の名前が本当なら太陽が破壊されるかもしれない。そんなことになったら……それよりも、あの女性は無事でいられるのか!?
生贄と言ったな……なら、あの女性の命は……ッックソ!!
「——
居ても立っても居られなくなり、女性の元まで疾走し抱き抱え、兵器の傍から離し後ろずさる。
「——ッッ!?なんだ貴様!?」
「悪いが見ていられなくてね。この女性を攫っていく」
「なんだと……?」
途端、相手の雰囲気が殺気の篭ったものへと変わる。
「Dr.ゲロに造らせ、一年の末ようやく完成したのだぞ……。邪魔立ては許さん!!みすみす逃そんぞ!!
我が同胞達よ!この侵入者を八つ裂きにしろ!!」
周囲の悪魔達が一斉に襲いかかってくる。
一々全員を相手にはしていられない。
狙うは一点突破だ。
右手を銃の形に変え人差し指に気を溜め、勢い良く放ち進行上の敵を屠り、一目散に駆ける。
「なにィッッ!?ただの人間じゃない!!
マズイ、逃げられる!!」
悪魔達が追ってくるが、なんとか躱しながら逃げていき途中で言峰と合流する。
「全く、とんだ厄災を拾ってきたものだな」
「——ちッ、こんな状況で嫌味とは余裕だな」
「その女はどうする?そいつがいる限りヤツらは追ってくるぞ」
「取り敢えず、武天老師様の元へと一旦帰って考える」
「はぁ……つまり、私まで巻き込みやがったということか」
心底面倒だといった様な顔をして、溜息をつく横のエセ神父。
いやぁ悪いな、お前にも協力してもらうとする。
そういってる間に出口が見えてくる。
ここからは武天老師様の元まで逃げ切らなければならない。 常に気を張って帰らなければ。
魔神城関連の設定は弄りましたので、原作と異なってます。ご了承下さいm(_ _)m
また、普通の人造人間には「気」即ち生命エネルギーが無いはずですが、アイリは特別、といった設定でよろしくお願いしますm(_ _)m
それと、改めて自分の作品を通して読んでみたら、拙い部分が目立つなぁって所が多かったので加筆修正しました。
基本内容は一緒ですが、違ってくるところ・新しく追加されたこと等、下に纏めておきます。
●5話から、クロの容姿について言及がありますが、主人公よりも身長が高いことが分かります。
主人公118cm クロ133sm って感じです。
●6,7話で、クロのいた別荘は、現在の森に建てられていた所を売りに出されていて、母親が一目ぼれして購入したことになってます。
あと、カプセルで収納できます。
それと、セーラの妹「リズ」というメイドも雇ってるけど、今は普段住んでいる方の家に居るクロの妹に付いてるらしいです。
●7話では、西の都にやってきた主人公ですが、買い物のラインナップが以前より増えています。
小麦の他にも、ゴボウとネギ、とうもろこしとハツカダイコンと人参まで買っていこうとしてます。
他には、パソコンを欲しがってます。理由は野菜の栽培方法など調べるためだったり、youtube、SNSが見たいためです。(なお、クロの持っているスマホには上記のアプリがインストールされていた為、存在はしているものとなっています)
それと、前世でONEPIECEの最終回を見届けられなかったことに未練を残している為、この世界でも存在しているか本屋さんに行こうとしています。
●8話では、対戦相手のギドラ選手、天下一武道会で悟空と闘った怪獣「ギラン」の父親ということが発覚します。あのグルグルガムは、父親譲りだったということになります。但し、父より性能は劣りますが。
●第9話 対戦相手のブヨン選手は何者かに改造されたと自分で言っていました。喋れること、原作より強化されているのは、その所為でということでお願いします。
ロコン君の界王拳の反動での身体への負担を増やしました。1.5倍の負荷で、身体が痛み始め、しんどくもなります。
●10話あとがきに書いたのですが、切嗣は原作で娘に彼氏が出来たら排除するという描写があったそうな……。
ですので、今作の切嗣は少しその辺は軟化したってことでどうかお願いします……。