夜が明け朝になったので移動を始める。
言峰によると悪魔達は陽の光を好まないらしく、今の内に一気に帰るのが得策とのこと。
そうして、武天老師様の待つかめハウスまで時々来る追っ手を撃退しながらも無事到着した。
「武天老師様只今帰りました!」
「むっ、早かったの切嗣。まだ1日しか経っとらんのに」
よっこいしょ、と読んでいた新聞をテーブルの上に置き、こちらに近づいてくる武天老師様。
「は、はい。実は少し厄介な事態になっておりまして相談が……取り敢えずアイリスフィール、入ってきてくれ」
「アイリスフィール?」
扉の方に目を向ける僕に倣い、武天老師様も「?」を頭に浮かべながら怪訝な表情で頭を動かす。
「……」
「うっひょーーー!!!こりゃあ、とんでもないべっぴんさんじゃのーー!!切嗣でかしたぞい!……って空気じゃなさそうじゃの」
「はい、実は——」
—
——
———
「なるほど、そうか。道理でこの娘さんの瞳に感情の色が見えなかったわけじゃ。そして、悪魔達の企み……よもや太陽を破壊しようなどと大それたことを企んでおったとはな……ふ〜む、こりゃ厄介なことになったもんじゃ……」
「はい、そういう訳で僕達では対処できず武天老師様の助力を願おうと帰ってきた次第です」
「ふむ……それにしても切嗣、よくこの娘さんを救ってきてくれた。わしの教えたことをよいことに活かしてくれたの」
にっかりと表情を崩し暖かな目でこちらを見やる武天老師様に、気恥ずかしさからか俯いてしまう。
「……っ、はい」
「さて、ではこれからどうするかじゃが……まぁ、ことがことじゃからな、今回は儂が何とかしよう。話を聞く限り、その悪魔達と、例の兵器をどうにかすりゃええじゃろうしな」
「はい」
「そして、この娘さんの件はお主に一任することにする。色々とこの世界について教えてやりなさい」
「——え?いや、僕が、ですが……?いやいや!武天老師様の方がこういったことに向いてるかと思うのですが!」
「まぁまぁ、お主にも良い経験になるじゃろうて。本当に困ったら相談に乗ってやるから、まぁ、頑張ってみい」
(それにこの娘さん……僅かだが切嗣に懐いておるしの。
こやつの心をほぐしてくれる、そんな存在になってくれると良ぇのう)
し、しかし!、と抗議をするも中々折れてくれないので仕方なく了々の返事を返すことに。
「よし。じゃあ早速行ってくる。昼食作って待っといてくれ」
「は、はい!!よろしくお願いします!」
その後、軽いノリの台詞を残し行ってしまった武天老師様だが、本当に昼時に帰ってきて、あっけなくこの件は終わってしまった……。
「城にいたアルシエルとかいう親玉らしき奴に少し手こずったが、まぁなんとかなったわい」
相変わらず武天老師様は常識外れなお方だということを再認識した。
—
——
———
——暗黒魔界
暗黒魔界の王の城、その玉座に掛ける王の元に、ある報せが入る。
「ダーブラ様、ご報告が」
「ん?なんだこの忙しい時に。手短に済ませ」
「はっ!地球に送り込んだアルシエルが死亡しました」
「——なんだと?アイツがか?そうなると……おい、ねむり姫はどうなっている?」
「はい。あやつの最後の足掻きで「ねむり姫」と「太陽破壊光線砲」はこの暗黒魔界に転送されておりますので、ご安心を」
「そうか……なら早速次の刺客を送るとするか」
「そ、それがてすね……肝心の兵器が少々傷ついており修理の必要がありまして……」
「なに?……仕方ない。まぁ、急を要することではないからな。気長に待つとする」
「ははっ!お心遣い感謝致します!では失礼致します!」
ばたん、と扉の閉まる音が王の部屋に静かに響く。
「そうか……アルシエルがやられたか。
どうやら地球人共を甘く見ていたらしい。
これは私の落ち度でもあるな。
ふむ……では次はもっと力のある奴に、ルシフェル辺りに任せるとするか。
——さて、この件はまた今度考えるとして……仕事に戻るとするか」
そうして、仕事に戻る王様であった。
という訳で、駆け足気味ですが過去編の第一幕が終わりました。
もうちょっとだけ続きます!!
それと、アイリが膨大な生命エネルギーを宿していて、悪魔達を蹴散らすポテンシャルを秘めているのにも関わらず、何故ゲロはそうしなかったというと、アイリ自身に戦闘のデータ等インプットすること等が出来なかった為。どうしても戦闘に関する機能を付けれなくて(時間が足りなかったのもあるかも)、諦めたって感じでお願いしますm(_ _)m