ねむり姫の騒動から6年もの歳月が過ぎた。
あれから僕は武天老師様の修行を終えて、元の生活に戻ることに。
以前のように、危険人物の抹殺や、虐げられている人達を救う活動をしている。
そして、変わったことと言えば……
「行ってきます!おとうさん!ママ!」
「あぁ、行ってらっしゃい。イリヤ」
「行ってらっしゃい、イリヤちゃん」
愛おしい我が娘、イリヤだ。
あの1件からアイリスフィール……アイリに情操教育を施すよう命じられた僕は、彼女に付きっ切りで様々なことを教えることに。その甲斐あってか、半年程する頃には感情豊かになり、天真爛漫で好奇心旺盛、元気な…少々元気すぎるかもな女性に成長した。
その後、異様に僕に懐いて寄ってくる彼女に根負けする形で付き合うことに。
そして更に1年後、彼女と結婚し夫婦となり、子供を授かることになる。その子供がイリヤというわけだ。
18歳の頃の出来事である。
しばらくは家族で新築の家で暮らしていたんだが、イリヤが2歳になる頃、自分のなすべきことをするべく再び以前のような活動を再開する。その為、しばしば家を空けることになるので、メイドのセラとリズを雇うことになった。
我が家のお金事情は僕の稼ぎで充分に補えているのもあるが、何より、アイリが持ち前の豪運で時々引くぐらい稼いでくるので、メイドを雇う為のお金の工面は心配ない。
なんなら最近、アイリが一目惚れで城を買ったと言っていたくらいだ。
それから時が過ぎ、23歳になった僕は仕事がひと段落したお陰で、昨日久方ぶりに家に帰れたという訳だか……またもや、事件が起きることになる。
その日は平日だった為イリヤを幼稚園に送り届け、それからアイリと2人で出掛けていて、今はスイーツバイキングに来ている。
「う〜〜ん!こんなにも美味しいケーキが幾らでも食べられるなんて幸せだわ〜!ね、あなた?」
ほくほくとした表情で、膨らませたほっぺに両手を当て、此方を伺ってくるアイリ。
——全く、僕の奥さんはなんでこんなにも可愛いんだろうか……。
思わず写真を撮ろうと携帯を取り出そうとするが、つい先日、家族の写真で容量が限界に達してしまったことを思い出し諦めることに。
どうにも写真を整理することは慣れない。
1つ1つのアイリや、イリヤの家族の写真がどれもこれも大切で、とてもじゃないが消せないんだ。
やはり64GBじゃ全然足りないな。今度助手の舞弥に相談してみるとしようか。
彼女にも溺愛している息子が居るからきっと共感してくれるだろう。
「あぁ、そうだね。このティラミスと苺シャーベットなんか特に絶品だな、流石舞弥のお墨付きなだけある」
「そうなの?なら私も一口頂いてもいいかしら?」
「うん、勿論いいとも」
すっ、と自分の皿を差し出すが、何故か一向に手を出そうとしない。不思議に思い彼女の方に顔を向けると、ジッ、と、此方を見つめている。
「ん、どうしだんだいアイリ?」
なにやらムムム、と唸っており、何かやってしまったかと焦ったが
「あ〜〜ん、してくれないかしら?♡」
ずずいっ、とニッコリとした顔を乗り出して、甘えた声でねだってくる。
「——ッ!、う、いやその、ほら、ここは人目もあることだし、何より公共の場というかだね」
まさかの要求に動揺を隠せないで反応してしまったが、追い討ちを掛けるように
「ね?お願い」
とどめのウィンクときた。
「——はぁ……全く、どうにも敵わないなぁ、アイリには」
「ふふふ、私は強情な女だからね♪」
ははは、と互いに笑みを浮かべ、朗らかな空気になる。
因みに、この時通りかかった店員さんの言によると、途轍もない幸せオーラが漂っていたとかなんとか。
「ふぅーー……、じゃ、じゃあ、いくよ」
「え、えぇ、お願い」
夫婦といってもなんか緊張するな。心なしかアイリもちょっと頬に赤みがかっているし、なんやかんや恥ずかしいんだろう。
「あ、あーん」
「あー、あむっ」
むぐむぐ、と視線を僕から横に外し、顔を赤らめながらも咀嚼しているアイリ。
「ど、どうだい?美味しいかな?」
「——ごくん。……なんでしょうね、ふふ、緊張しちゃって味が分からなかったわ」
「そ、そうかい」
あ、あははは、と互いに赤面して顔を見れずに俯いてしまう。
またもや通りかかった店員さんによると、甘酸っぱいオーラが漂っていたとかなんとか。
「そ、そろそろ出るとしないかな?今思えば次に行く映画が始まる前にジュースとか買っておきたいし、混んでしまう前に向かった方がい、いいだろうからね」
「そ、そうね!それがいいわ!そうしましょうか!」
ご馳走様でした、とそそくさと店から出る仲良し夫婦さんであった。
というわけで、話しは進まず只々仲良し夫婦さんがイチャイチャしてる回でした〜〜。
ぶっちゃけますと、この小説を書こう思ったのは原作で浮かばれなかった人達とかを強引に幸せにしようっていう理由もあったんで、やりたい放題やりました!
特に舞弥さんっていう切嗣の仕事上の助手さんがいるんですけど、彼女は原作では息子を出産した後、引き離されています。ですが、この世界じゃ切嗣さんが色々となんとかしてくれました(投げやり)!流石ァ!
ですんで、彼女は息子のシグマ君と暮らしてます。
基本人間性は希薄な彼女ですが、息子と触れ合う内に家族愛に目覚めたっていうことでお願いしますm(_ _)m
それと、原作通り甘党で、数多のケーキバイキングを渡り歩いているそうな。
最近は息子とケーキバイキングに行くことが幸せなんだと、いつになく楽しそうに切嗣に語っていたらしいです。