では3話始まります〜
———ヤードラット星
『ロコン』として、この世界に転生してから10年の歳月が流れました。ってわけで只今10歳です。
まぁここまで色々刺激的な毎日を過ごしてた訳だけれど、特に記憶に深く残ってるのはアレかな。初めてかめはめ波を打つことが出来た時。もう最初は興奮して大変だったのなんのって……。俺だけじゃなく皆テンションおかしくなると思う。いっぺんやってみたら分かる。
いやなんせさ、俺なんか特に、というか他の人も分かってくれると思うけど前世の子供の頃に何度かめはめ波の練習したことかってね。ホント何度出せると信じ続けて練習したことかと。
大人になって完全に諦めていたけど、来世で実を結んだのならまぁよかったかなと。
あとは……高所恐怖症で観覧車とかも前世では駄目だったんだけど、舞空術で空飛んでる内に慣れたっていうこともあったかな。
空飛べるんだから落ちる心配はないし、仮に落ちても死にはしない身体だから恐怖心が薄れたっていうのもあるかも。
後は辛かったこととかになるけど…………しんどいしやめとこうかな。うん。尺取るかもだし。仕方ない。
——まぁ、そんな回想は放っておいて、今は例の『気のコントロール』を学ぶべくヤードラット星に来てます。
さっき到着して現地の人を飛びながら捜索中って感じ。
それにしても荒野っぽい所に無事に着陸出来てホントよかった。間違えても都市の真ん中に着陸なんてしたら信用に関わるからなぁ……。
何処ぞの王子と巨漢の大男を頭にチラつかせながら飛んでいる内に民家が見えてきた。
「お、見つけた。んじゃあの歩いてる人に尋ねてみよ」
そういって降下していき近くに居たメタモル星人に喋りかける。ちなみに服装はサイヤ人ってバレないように着替えてて、尻尾は服の中に隠してる。
「おや、どうしたのかな?ボク。見たところ違う星から来た旅行者かい?」
「こんにちは!はい。勉強しにこの星にやって参りました」
「勉強?この星に?まぁそれはそうと、何か私に聞きたいことがあったんじゃないかな?」
「はい。風の噂でヤードラット星の方は『瞬間移動』という独自の術を身につけていると耳にしまして。
私もその術を身につけたく思いこの星に来たのですが、どなたか伝授してくださる方にご存知ありませんか?」
「なるほど、事情は分かったよ。しかし、『瞬間移動』か……」
(そう簡単に教えるわけにはいかないんだがなぁ……。
とりあえず村長の元まで案内するか)
「それならこの村の村長の下まで案内するよ。
付いておいで」
「はい!ありがとうございます!」
そうして後ろを付いて行く内に他の民家より一際大きな建物が見えてきた。
「あれが村長の家だよ。話を通してくるから待ってて貰えるかな?」
「はい」
やっぱり村長なだけあって凄い家に住んでるなぁ。俺の家の何倍あるのか……
「ロコン君入っておいで」
合図があったので、「おじゃましまーす」と挨拶して家に入る。すると、応接間のような部屋の椅子に座っているヤードラット星人が迎えてくれた。
「やぁ、こんにちはロコン君。儂はこの村の村長をやっている者です。ささ、どうぞ掛けなさい」
「はい、失礼します」
傍に杖が置いてて腰も曲がってるし、お年を召した方かな?
「話は聞いとるよ。『瞬間移動』を習いたいそうじゃな?」
「はい……どうかご教授願いませんか?」
「教えても構わんが……。ただし条件がある。
悪しき者に我が一族の技術を教えるわけにはいかんからな。そこでじゃ、儂は人の記憶を見ることが出来てな。君の記憶を見て善人であると確証を得たら、その時はこの技術を教えよう。どうじゃ?」
——っ、最長老様と同じこと出来るとは……!誤算だった……!
だけどもうここまで来たんだし、なるようになると思おう。それに第一この技術で悪さしようなんて思っていないし大丈夫の筈。
「……分かりました。よろしくお願いします」
目を閉じて暫し逡巡する間に決意を固め、そして開いた真剣な眼差しで村長を見据えて返答を返す。
「うむ、それでは失礼するよ」
頭に手が置かれる。記憶の読み取りが始まった?
ってなんか頭ふわふわしてきた……。
(む、この坊や……。見かけに反して中々濃い記憶を持ってるな)
「『フリーザ』・『フュージョン』・『気のコントロール』・『瞬間移動』……なるほど。『瞬間移動』は『気のコントロール』を習得するための手段として、さらに母星が破壊される前に家族と逃げる最終手段として保険を掛けておきたいと。むっ、儂が読めない記憶の部分があるとは……。前世の記憶にはモヤがかかっておって見えん」
惑星が破壊される前に『瞬間移動』で逃げる案は父さんが確実に怒ると思うから、フリーザを倒せなかった時の最終保険なんだよな。まぁ、戦術の幅が広がるのと移動が楽に出来ることも理由の一つだけど。
「しかし……まさか転生者じゃったとは。何かあるとは思ったが特大の訳あり者だったわけか。
道理でこんな若い頃から修行なんてしようと……いや、そうとも言えんか。サイヤ人としての在り方も関わっていたりするのかもな」
——思いがけない事態で転生者ってことがバレた訳だけど……そうか、じゃあもう何も隠す必要ないか……。
考えてること読まれた訳だし……きっと、遅刻しそうになった時に瞬間移動便利だな〜使えてよかったぁwwとかそういう目論見もバレてるだろうし。
「通常ならサイヤ人のような悪しき者に手を貸すことはないんじゃが……。しかし、お主は悪人という訳でもなさそうじゃ。お主が修行する動機は家族を守りたいという強い思いから来ているしの。そして悪しきことを企てようともしとらん。
まぁ『瞬間移動』を遅刻の時便利だとかいう不純な考えもお主から読み取ったが……まぁ、目を瞑ってやる。
——よかろう合格。我が一族の技術、お主に伝授しよう」
認められたか!よし!
ガッツポーズを取り喜びに震えている俺の頭からスッと村長が手を離す。
「さて、ではお主の推測通りじゃが、まずは『気』の扱いをマスターする修行からだが、早速今から始める。なに、記憶に触れて儂はお主のことを存外気に入ったからな。全力を以ってお主の修行に付き合ってやろう」
お、おぉ……思わぬ高評価に正直 面映ゆい思いだけど……まぁ、自分の秘密を曝け出した上で認められたんだし正直めっちゃ嬉しい。
それにしても予想以上に修行に乗り気になってくれてるみたいだから折角だ。たくさん吸収させてもらうとしよう。
「はい、ありがとうございます!ではこれからご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします!」
そうして『気のコントロール』の修行は始まった。
自分の秘密を曝け出したロコン君。彼にとって村長は師匠としても秘密を共有する相手としても、大きな存在になるのかも?