家族仲良く過ごしたい。   作:ト——フ

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其之六 別荘にて。

 招かれた別荘でとても美味しそうな料理の数々がテーブルに敷き詰められている。その一つ一つの品を端から端まで見渡していると

 

「いや……そんな目が飛び出しそうなくらい凝視しなくても逃げないから大丈夫だって」

 

「あ……あー……いやどれもかれも美味しそうでつい」

 

 なにしろ前世の頃からこんな豪勢な料理にありつける機会なんて無かったのだ。興味を惹かれてしまうのは当然のことで、さらにサイヤ人の性もあってか非常に腹ペコ状態。

 もう辛抱堪らん。

 

「じゃ、食べましょうか」

 

 そう言い此方に目配せするクロに頷き

 

「あ、じゃ、じゃあいただきます」

 

 興奮を隠し切れず若干どもりながらも手を合わせ、震える身体を抑えながらフォークを伸ばす。

 

「……う、美味すぎる……」

 

 なんかこう……美味すぎるとしか言えんくらい美味い。とにかく美味い。ほっぺたが落ちそうとは言わず、実際に落ちそうなくらい緩みきった表情になってると思う。

 

「でしょー!セラのご飯は絶品なのよってあんた顔……」

 

 俺の顔を見た途端に若干クロがギョッとした顔で引いていたが構うものか。

 

「……美味すぎて」

 

「へ、へぇ……そうなの」

 

 美味すぎるから仕方ないんです。そう自己完結した俺に対して少し引き攣った笑みを浮かべながらもクロが別の話題を振るべく口を開く。

 

「そういえばロコンってなんで森の中にいたの?」

 

「あー……まぁちょっと修行ってことで放り込まれた。ほら、なんか武人とか山籠りしてるじゃん?多分そんな感じで」

 

 悪びれもなく咄嗟に嘘をつく。

 そして、その嘘に対して頭を抱えるクロ。ロコンの親ってもしかしてヤバイ人なんじゃ……と呟いてる。すんません父さん。父さんが与り知らない所で利用させて貰ってます。風潮被害も甚だしいですよね。ホントすみません。

 

 そして談笑しながらご飯を食べ続け、気がつくとクロが少し引き気味に

 

「よ、よく食べるわね……」

 

「んっんっ……んん。……やー、その、俺大食らいなもんで。あと余りにもご飯が美味しくてつい……」

 

 たはは、と目を逸らしながら笑う俺に

 

「い、いや美味しそうに食べるからね。セラも喜んでたわ。作り甲斐があります!って生き生きとしてたし」

 

 そう気遣ってくれるクロ。優しい。

 

「そ、そう?……そ、そりゃよかった……」

 

 それにしても、食べるのに夢中になり過ぎて遠慮ってものを考えるのを忘れてた……めちゃくちゃ美味しくてつい……。

 サイヤ人の性なのか食事に目がないんです……。

 

「それにしてもクロの家ってかなりのお金持ち?

 この別荘とか最早城だし、メイドさんも居るし」

 

「まぁ、結構裕福な家庭ね。この別荘はママが一目惚れして買っちゃったんだって。メイドは本当はもう一人リズっていうセラの妹も雇ってるんだけど、今は普段住んでいる方の家に居る私の妹に付いてるわね」

 

「色々とすげェ……」

 

 けど、そうか……。この城は普通に売ってたのを買った只の別荘か……よかった。

 いや、城が別荘って規模がデカすぎてよく分かんないけど……。

 まぁ、取り敢えず何も不安な部分は無さそうでよかった。

 

「ごちそうさまでした。とても美味しかったです」

 

「はい。お粗末様でした」

 

 セラさんがとてもいい笑顔でそう応えてくれる。はあああ綺麗すぎてしんどい、結婚しよ……とか言ったらこの家の力で社会的に殺されて地球に居られなくなりそうなので口を噤む。まぁまずそんなこと言える度胸も無い前世から彼女居ない歴=年齢の雑魚なんですけどね。

 こうやって一声掛けて貰えるだけで胸に幸福感が湧き上がるんだから、俺はもうこれで充分。

 あとセラさんって高嶺の花ってイメージだから、そんな人と喋れてる時点でもう幸せよね。うん。

 俺が他人だったら絶対遠目から眺めるだけで手なんか出せないもん。他の人も例に漏れず、おいそれと手を出そうなんて輩もそういまい。変な輩でもちょっかいかけるのを躊躇するくらいだろう。まぁそんなの来たら消すけど。

 

 さて、それじゃ食事中に色々聞けたし、そろそろお暇させてもらうかな。

 

「ご飯ありがとう。んじゃ俺そろそろ行くわ」

 

「えぇ──!もう行っちゃうの?」

 

 不満げに口を膨らませるクロ。可愛い。

 まぁ自分で言うのもなんだけど、同年代ってのもあって色々と喋れて結構打ち解けれた気もするしな。前世はともかく今世での年齢に精神も引っ張られてるし、感覚とかも子供っぽい部分があるしさ今の俺。

 

 んー、それにしても別れを惜しんでくれるのは素直に嬉しい。俺としてもクロみたいな可愛い子ともっと喋っていたいけれども、しかし流石に置いてきた宇宙船が心配というのもある。隠し方も甘いし、さっさと洞窟でも見つけなきゃ不安で不安で。

 

「ん──……そうだ!ロコンってこの森で修行してるって言ってたわよね。もしよければまた会えない?ロコンが暇な時間でいいからさ」

 

「あー……」

 

 まぁ当分はこの森を生活拠点にしようとしてたし問題ないかな。

 

「うん、それならok」

 

「ホントっ!?ありがとう!」

 

 此方に少し身を乗り出し、ふふっと、微笑み混じりに答えたクロの笑顔はまるで向日葵のように明るく、且つなんとも綺麗であり、つい見惚れてしまい自分の顔が赤くなるのが分かる。不意打ちすぎる……。

 

「じゃ、じゃ俺行くから。今日は色々ありがとう。それじゃまた」

 

「うん、こちらこそ今日は本当にありがとう。またね」

 

 またまた緊張によりどもりながら、更に赤くなった顔を見せまいと急ぎ足で別荘を後にするのであった。

 

「〜〜っ、ああああ可愛いすぎか!!クロもセラさんも超美人でヤバイヤバイあとセラさんめっちゃいい匂いしたしクロは健康的な小麦肌もいい匂いも笑顔も超可愛いくてああああああああああ!!!この世界は心臓に悪い!……けど好き!」

 

 顔の火照りを冷ますべく全速力で空を駆けながら、胸の内をぶちまけるサイヤ人の男の子の姿を見た人がいたとかいなかったとか。

 

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