家族仲良く過ごしたい。   作:ト——フ

9 / 24
ロコン君が頑張ります!


其之八 天下一武道会 一回戦!

「えぇ!?天下一武道会に出るの!?あなたが!?」

 

「うん、父さんが出ててみろって」

 

 クロの家に遊びに来て、ふと件の話題が上がる。

 

「いや、あなたが強いのは分かるわよ?熊に対処出来るくらいだからね。でも、いくらなんでも天下一武道会は危ないわ!全国の猛者が集ってくるのよ?」

 

 そう心配してくれるクロ。うん、やっぱりこの子優しい。けど俺は……。

 

「いや、まぁ……それが燃えるっていうかね……」

 

 正直この時代の地球の猛者と闘ってみたい。原作遵守じゃない世界だから戦闘力高い人が来る可能性もあるし、単純に天下一武道会には参加したいって気持ちもあるし。

 

「こ、この戦闘バカは……いや、もういいわ……。そんなキラキラした目をしてる人に何も言えない……」

 

 まったくしょうがない奴め、と苦笑いでため息を一つ零す彼女。

 

 まぁ、バトルジャンキーってほどではないけど戦闘は好きな方かもしれない。勿論うちの末っ子の闘い大好きマンのカカロットほどではないけれど。まぁしかし、新たな武人との出会いに内心少しワクワクしている自分がいるのは確かで、やっぱりサイヤ人なんだなと思い知らされる。

 

「ま、あなたらしいけどね。よし!じゃあ当日は応援しに行くわ!頑張ってね!」

 

「おう!」

 

 

 

 

 ——パパイヤ島 天下一武道会 会場

 

 当日。とりあえず予選は通過して只今本選です。そろそろ俺の順番かな?

 

「なんとー!今大会最年少のファイターにして本選まで勝ち上がってきた実力者!ロコン選手ー!」

 

『え、あんな小っちゃな子が?大丈夫なのか?』

 

『危ないわよー!』

 

『見た所子供なのに凄いなぁ。よく勝ち上がったもんだよ』

 

『バカ、どーせコネでも使ったんだって』

 

 出場する俺にそんな声がかかる。まぁそーなるわなと思いながら歩いてると

 

『ロコンー!頑張れー!』

 

 こちらに手を振り応援してくれる地球で始めて出来た俺の友達、クロが居た。周りの熱気で熱くなるとのことで髪はツインテールにして、服は白黒の半袖ボーダーシャツにデニムとラフな格好。すッッげェ似合ってる可愛い っよし!俄然やる気出てきた頑張ります!

 

「その大きな身体から繰り出されるパンチは岩をも砕く!ギドラ選手ー!」

 

『怪獣じゃないか!』

 

『おいおいあの子ヤバイぞ!』

 

『棄権してボクー!』

 

 ……?悟空が天下一武道会で戦ってた怪獣に似てるような……同じ種族?

 

「準備はよろしいですか?……始め──!!」

 

 そして鐘がなり試合がスタートされる。よし、友達も応援してくれてるし無様は晒せない。頑張ろう。

 

 相手が背中の翼で飛びながら距離を詰めてくる。

 

「っと」

 

「ほぉ、これを避けるのか。出来れば直ぐに終わらせてやろうとしたが、中々できる奴のようだなァ?」

 

「まぁ、そこそこできるとは思う」

 

 なんせサイヤ人なんで。それに無茶苦茶やらかす師匠にしごかれたし自信はある。

 

「なら手加減は無しでいくぞ! がああああ!!!」

 

「っ、マジか!?」

 

 ぎゅば──!!っと相手の口から固く、しなやかなガムが生成される。 この人もグルグルガムを使えるの!?

 

「っ、危なッ! うおっ!」

 

「ふふふ俺様のグルグルガムは相手へ追尾していくのだ。これを逃れられた者はいない」

 

 追尾機能もあんの!?強ッ! 初戦から厄介な敵に当たったもんだ。 さてどうするか……と考えていると

 

「因みにあのお前を応援している女の子はお前の彼女か?」

 

「──はっ?え、いや、彼女とか……ち、違うから。いやいやクロは俺の友達なんで……」

 

 そう顔を赤くしながら狼狽える。クロの方に目を向けると、声が届いてないのかキョトンとしてる。ぐっ、前世の年齢+今世の年齢=彼女いない歴の童貞の心を弄びやがって……っ!

 

「ふ、チョロいな」

 

「ん、え?」

 

 そう相手が呟いたと同時に俺の背後からガシッと技が見事に決まる。…………あ、あああああああああ!!

 

「しまったああアアアア!!」

 

「はっはっはァ!所詮餓鬼って所かァ? ちょろいぜェ!」

 

 く、くそ……やってしまった。またしても俺のうっかり癖が…… 正直今の俺の戦闘力なら余裕やろって舐めてたのもあるかもしれないけど……敵の言動に簡単に惑わされるようじゃまだまだ半人前だ。

 

 あ、クロが何やってんのよって顔してる。初っ端から無様な所見せてすみませんね……。

 

 ……ふと思ったけど父さんに見られてなくて良かったな。もし見られたら……って考えるだけでゾッとする。

 

 

 

 

『おい!!またやりやがったなテメェ! !なんべん同じこと言わせれば気が済むんだ!?あア゛!?』

 

 とか言われるの予想できる。 怖すぎる。

 

「こうなったら力づくで破壊するしかないよな……っ、え、ビクともしない!?」

 

「はっはー!俺のグルグルガムはちと特別性でな。どんなに力を入れても壊れないのさ!俺の出す溶解液で溶かす以外は方法が無ェよ!」

 

 なんせ、俺は一族の棟梁だからなぁ!スゲェだろ!はっはっー!、と笑いながら、もう勝った気でいるのか俺を見下した目で見てくる。

 

 え、ヤバ大分面倒な技にやられた……拘束系の技で力でなんとか出来ないとか強すぎん? ギランの上位互換すぎん?

 ………………いや、待てよ。これ徐々にキツくなってくるとかじゃ無さそうだな。 つまり時間はあるってことか。

 しかもこんな状況の俺が何も出来ないだろうと奴は舐めているだろうからその間に打開策を……。

 

「さーて、どう料理してくれようかなっ……と!」

 

「くっ!」

 

 奴のパンチをなんとか横にジャンプして避ける。ちょっと?床めり込んでるんですけど? 手加減なしですか!?俺こんな状態なのに!?

 

「ロコン──!!自分の身を第一に考えなさい!棄権したっていいんだからね!?」

 

 そうクロが声を上げ、俺の身を案じてくれる。有り難い…… けど、勝ちたいんだよな。負けたくない。それにこんなピンチで躓いてたらこの先やっていけないだろうし。これも勉強と思って、なんとかこの状況を打開するよう努める。

 

「へっへっへ、そうだぜ?怪我したくなきゃあ棄権したっていいんだぜ?」

 

「いや、それは嫌だなぁーって」

 

「はっはっはァ!まだ勝てるとでも思ってやがんのか!?あめでたい奴だ! ならもうちょっと遊ばせてもらうぜェ!」

 

 とは言ってもどうしたものか。 きっと奴が止めを刺すまで「ちょっと──! 」え、クロ?

 

「人を拘束するなんて卑怯よー!こんなのロコンが何も出来ないじゃないのー!」

 

「ウルセェ!!これも俺の技の一つなんだ!!文句言うなら出てきやがれ!!」

 

 あー……いや確かに考えてみると、そういう技っていうことでアリなのかな。拘束されて何も出来ないのは辛い……あれ? 待てよ…………何も出来ない、ってことは…………なるほど。うん。面白いこと考えた。よし、ならとりあえずもう少し時間を稼いで……。

 

「そうだぞ!こんなの俺何も出来ねぇし!普通に戦ったら俺だって良い勝負が出来るんだから解除しろ!」

 

「へっ!負け惜しみが!そんなに構って欲しければ遊んでやるよォ!」

 

『親父──!!ファイトー!!』

 

「おう!ギラン!見てろよォ!」

 

「親子かよ!?」

 

「息子も見てるんでなァ!派手にいかせて貰うぜェ!」

 

 それからなんとか相手の攻撃を避けていくこと数十秒。

 

 ——よし、これくらいなら大丈夫か。

 

「なぁ!——おっと、ところでさ、ドーナツの穴って、なんで開いてるか知ってる?」

 

「はぁ?なんだお前?いきなり意味の分からんことを言いやがって。熱さと恐怖で頭やられちまったのか?」

 

 くっくっと笑みを溢しながら

 

「答えは……火が通りやすいんだよォ!」

 

「は、なんだよ?って何ィィいい!?」

 

 ガッキィィンン、と俺の言葉を合図に、奴の背後に浮くオレンジ色に輝くドーナツ状の気で出来た塊がその身体を締め付ける。

 

「ぐぅぅ……締め付けられる。ぐ、て、テメェ!一体何をしやがった!?」

 

「俺もグルグルガムと似たような技を使わせて貰ってさ。相手を拘束し、締め付けるな技を」

 

「俺のグルグルガムと一緒だと!?」

 

「まぁ名前はドーナツなんだけど」

 

 さっきのクロの発言からヒント貰って、それでなんとか前世の記憶を頼りにやってみたけど上手くいってよかった。

 

 手順としては、奴がクロの方を向いて怒鳴っていた隙に自分の背後に気をドーナツ状に生成させる。

 それと観客に手を加えない確証が無い分、あのままクロと口論させるのは避けたかったから、奴を呼びつけ注意を逸らす。

 で、攻撃のラッシュを避け続けながら、背後のドーナツの気の密度を高めていく。

 いい頃合いまで出来上がったら奴の背後に移動させて、ドーナツの大きさを上げ、拘束って流れ。

 

 ——いや正直案外上手くいって俺も内心ビックリしてる。まぁ、ヤードラット星での気の修行が活きたってことだろうか。ありがとうございます村長様。そしてゴテンクスにもありがとう。技パクったのはゴメンだけど。

 

「そしてその技は分かってる通り、身体を締め付け続ける。だから酷い怪我したくなかったら棄権して欲しいんだけど」

 

「——ッッ!!くそッ!くそッくそ!クソがァ!!勝った気でいやがって!」

 

 激昂し捲したてるギドラ。だけどもう、これからは時間の問題。

 

「このギドラ様がこんな餓鬼にぃ!俺は敗けない!棄権なぞするものかァ!」

 

 そうしてやがて……

 

「こんな技に!こんな、く、そがァ!く、そ……」

 

 と、気絶したので

 

「ギドラ選手気絶しています!ロコン選手の勝ちー!」

 

「よしっ」

 

『うぉー!マジかすげーぞ!』

 

『やるじゃねぇか坊主!』

 

『やると思ってたんだよね俺は』

 

『えぇ……お前……』

 

『よかったー!』

 

 と周りの喧騒を背にギドラに掛かっている技を外していると、クロの声が。

 

「ロコン!おめでとう!」

 

「ありがとークロ。いやー危なかったけどなんとかなってホントよかった。それでさー実はさっきの技クロが言ってくれた言葉がヒントになって思いついてさ、それで……」

 

「うん、本当にお疲れ様。

 少しでも役に立てたのならよかった。

 でもね、あなた……

 いつまで縛られてるの?」

 

「ん?……はっ」

 

 最後までうっかりが抜けなかったらしい。

 

 え、いや、これって今運ばれていったあの怪獣が起きるまでこのままってことか?俺トイレ行きたいんだけど……え?いつ目覚めるか分からない? は?マジで言ってんの?いや……え?

 

「締まらないわね……」

 

 青ざめた顔で絶望する俺を見て、苦い顔で呟くクロであった。




ロコン君!試合頑張ったね、お疲れ様!それじゃあ試合後も頑張ってね!(愉悦)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。