再開
4月
「おはようございまーす!」
「ご入学おめでとうございます!」
春、今日から高校生だ。まだ休み気分の抜けない頭を無理やり起こしまだ着慣れない学校の制服を来て校門をくぐる。
俺、三ノ輪修はどこにでもいる普通の男子校生、頭はそこまで良いわけでもなく少しスポーツは得意、だけど習い事や中学の時は部活なんて事はした事ない。恋愛?彼女いない歴=年齢ですが?
まあそんなことはどうでもいい、彼女なんてこれから作って花の高校生活を送ればいいんだから。俺はそんな期待を胸に教室の扉を開けた。
「はぁ...わかっちゃいたけどよぉ」
彼女ができるどころか他の奴に声なんてかけれるわけがない。
当たり前だ、俺は生まれついてのコミュ障なんだから。中学の時も女子と話したことなんて係の仕事の時とかだけだ。話しかけようとしても「目付きが怖い」とか「そもそもあんな人いたっけ?」とかヒソヒソと言われてる気がして俺みたいなオタク系男子が話しかけられるわけがない。いや...1人だけ居た、女だとはとても思えないけど1人だけいつも話をしている奴がいる。
「よお修、この高校でも同じクラスかー」
「またお前と一緒なんて俺の高校生活もお先真っ暗か...」
俺に話しかけてきた髪の短い女子生徒、中学3年間同じクラスだった弓月明日香、見た目通りどこからどう見ても男にしか見えないスポーツ女子だ。
「だーれがお先真っ暗だってぇ?顔だけ無駄に良いクソ陰キャ野郎が」
「お褒めに預かり光栄ですねー男勝りのやさぐれビッチさん、はやく席に着いたらどうでしょうか」
「言ったな?今ビッチって言ったな?」
「いいから早く行けよ」
「だって私あんたの隣だし」
そう言い明日香は隣に座った。なんてこった、せめて清楚で可愛げのある女の子がよかった。
「はぁ...憂鬱だ」
「そんな嬉しがるなー、3年間よろしくなっ!」
「へーへー、よろしくー」
俺は大きなため息をついて携帯をいじる、そういえばまだ前の席の人が座ってないな。誰が来るんだろうか...せめて横のうるさいゴリラ女なんかよりもっと可愛い女の子がいいなぁ......まあ男かもしれないけど
流石に高望みし過ぎか、そんなことを思っていた時期も俺にはあった。
「ひまり席どこ?」
「私はあそこ!巴隣だね!」
「私は......あそこだ!モカちゃんは1番前か〜」
「そうだよ〜、みんな同じクラスでラッキーだね〜」
なんか騒がしい4人組が入ってきた どうやらお互い知り合い同士みたいだな、いいよなぁクラスに知ってる奴いるとか、俺もだけど...
そのうちの1人が俺の前に座った。背が小さくて茶髪の女の子だ。
(声掛けてみるか?いやけど相手は女子だし初対面だし変な印象与えて嫌われるのも嫌だし...いやいや何迷ってんだよ俺!彼女作るんだろ!しっかりしろ!いやけどこえーよ!)
ぶつぶつと葛藤する俺、横からじとーっとした変な視線を感じるが気の所為だろう。
ただその時、その女の子が何を思ったのか...不意に振り向いた。
実際はキョロキョロと教室を不安げに眺めていただけなのだが、その時の俺にはその女子が俺の方を振り向いたようにしか見えなかった。
俺も顔をたまたま上げた時にその女の子が振り向いたから、目が合った。文字通り目と目が合って、静寂が流れたような気がする。
「あ...え.....えっと...」
俺は何か言おうと頭をフル回転させるが上手く言葉が出てこない。
その女子は俺の顔をまじまじと見ている.....なんだ?何か俺の顔にでもなにか付いてるのだろうか?
「もしかして...しゅーくん...?」
ん?今しゅーくんって言ったか?誰だっけ?なんかそんな呼び方をするやつを知っている気がする。
「え...えっと......ごめん、誰?」
「あ......う...ごめんなさい、人違いでした!」
「い、いや....!そうじゃ....なくて....」
なんか凄い気まづいんだけど?え、何?この子もコミュ障なの?同類なの?めっちゃ話しずらいんだけど.....
「名前、教えて」
「は、はい?」
「名前です!私は羽沢つぐみ」
つぐみ?なんか聞いたことある気がする。どこか懐かしさを覚える名前だな。
「俺は三ノ輪修、よろしくな」
「やっぱり...しゅーくんだった...」
うーん?やっぱり?わからんけどどうやらこいつは俺の事を知っているらしい。
「えっと、そのしゅーくんって...やっぱ俺の事だよな?」
「当たり前だよ!...私の事覚えてないの?」
「うーん...すまん、その呼ばれ方には覚えがあるけど羽沢さんの事は覚えてない...」
「そっか......今回も失敗しちゃった......」
「ん?何か言ったか?」
つぐみが何か呟いた気がしたが上手く聞き取れなかった。
「ううん!何も無いよ!」
「何?修の知り合い?」
「まあ....そんなとこだ」
横から入ってくるんじゃねーよ...!知り合いっつってもこっちは覚えてねーっての。
「誰ですか?」
「うちは弓月明日香、修とは中学三年間同じクラスでよくつるんでんだよ」
「勝手に引っ付いてきてんのは明日香の方だろうが」
「いつもボッチだから私が声掛けてやってんだろうがクソ陰キャ!」
「だーれも頼んでねーっての糞ビッチ!」
こうなるからできれば話しかけてこないでほしいものだ 周りの視線がなんか凄く痛い気がする 入学早々変な奴だと思われてんだろうなぁ〜......
「おーし、私が来たぞー席に着けー!」
なんだか気さくな女の先生が教室に入ってきた。そういえば何か足りない気がするな......こんなに時間って早く経つものだったか?
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入学式で校長の長ったらしくてありがたーーーいお話を聞き流し、午前中で学校は終わった。
放課後、部活も無いし真っ直ぐ帰るかーと思っていたところに前の席からお声がかかる。
「しゅーくんはこの後何か予定あるの?」
「いや、別に無いけど?」
「なら私と一緒に帰ろう!私の家珈琲店だからご馳走するよ!」
ん?これはもしや何かフラグの起こるイベントだったりするのか?
いやしかしだな、別にデートのお誘いという訳でもない、ここは紳士に対応するのがいいかな。
「いいけど、友達はいいの?」
「うん、みんなお店でバイトしてるから。あ、けどモカちゃんは別だけどね」
「モカちゃん...?」
何か頭に引っかかる。何か遠いところに記憶を置き忘れてきたかのような感覚、何か忘れてる.....?
だけど俺は気のせいだと思い、頭を振ってそれらを打ち消す。
「じゃあ行こうか」
「うん!」
なんか凄い緊張する だって女の子と2人で帰るなんて初めてのことだぜ?明日香とは帰る方向が違うから一緒に帰るなんてこと無かったから本当にはじめてのことだ やばいめっちゃドキドキする。
ただ俺は知らなかった。この子との出会い...もとい再会がこの高校生活を大きく狂わせることになるとは。
さあて、はじまるぞー