今回は微妙にグロテスクな表現、不快な描写が含まれます
〇月〇日
目の前に広がるのは鮮血の海。
横たわる女の子の死体は四肢がバラバラになっていて、まだ胴体にくっ付いている頭の表情は人間とは思えない恐怖に歪んだ顔のまま絶命している。
この惨劇を作ったのは私、両の手には血にまみれたチェーンソーが握られていて鋭い刃から滴る血が不気味に光っている。
「蘭ちゃんが悪いんだよ......?何回繰り返しても何度巡っても......何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もやったのに......あの人はいつも貴女の傍にいて、蘭ちゃんが殺してしまう」
もう返事をしないそれに静かで、冷酷に、それでいて激しい怒りをぶつける。
「あの人には私が必要なんだよ、蘭ちゃんじゃない...モカちゃんでもひまりちゃんでも巴ちゃんでもない......あの人は私しか理解できないんだよ、美しさを引き出せないんだよ.....」
袖が破れて剥き出しになった私の左腕には植物の蔦が巻きついていて鋭利な棘がついている。その棘からは猛毒が滲み出て、粉塵となって邪悪なオーラを纏っているかのように私を包み込む。
「このループした世界ももうおしまい、邪魔な蘭ちゃんは死んだ、私を殺そうとしたモカちゃんも、口うるさいひまりちゃんも巴ちゃんもみんな、みんな死んだ!ふふふ......モカちゃん、知ってるんだよ?モカちゃんのその左足、白の呪いがあること」
蘭ちゃんの左上の影の部分、壁に十字に磔にされて死んでいる白髪の親友の無残な姿。服はボロボロになり、ほぼ裸体に近い姿でその身体は腹部が切り裂かれていて中身が全て露わになっていた。
そして左足には白い蛇のように足にまとわりついている葦、私の腕と同じようだがその白い葦は優しい光に包まれている。
「もうそんな姿になっちゃったなら、いらないよね?私が使ってあげるよ」
チェーンソーがウィィイイイインという不快な音を響かせる。私はモカちゃんの左足をその刃を入れ、切り落とす。黒く濁った血が頬に飛び散るがそれを無心で拭い、手に持っていたものを投げ捨てるとその足に絡みついた白い葦を私は、食べた。他人が見たら完全に死体の足を貪り食っているようにしか見えないだろう、だがそんな事は気にせずにその足ごと喰らう。
「ぐ...ぐぁはぁ...!!ぐあぁぁぁぁ!!!!!!うぐぁあああぁぁぁぁぁああああああ!!!!!!あああ!!!!!!!!」
喰らい終わると胃の中が不快な感覚に陥る。胸は焼けるように熱く、身体中に電撃を浴びせられたような激痛が走った。
「あぐああああああああ!!!!!!!!」
私は喉の奥から泡を吹き白目を剥いて、なお激痛に身体を震わせる。意識が朦朧としてきてもう声は出ないのにそれでも声にならない声をあげ、目からは涙ではなく血が流れ出してきた。
やがて、私の全身を縛りあげるように葦がうねうねと伸びてきて、私の股間の大事な部分に入り込んだ。葦の先端が一気に膜を食い破り、子宮へと一瞬で到達する。私は耐え難い恥辱と激痛による激しい快楽に身も心も堕とされ、更なる快感を求めるように這いつくばって身をよじる。
腹の中に何かが噴射される。それは私の中から血液に循環するように全身を流れ、全ての血管を黒く染めていく。
そして、静寂に包まれる。痛みも快感も全て無かったことかのように引いていた。私は身体を起こして自分の姿を確認する。全身に葦が絡みつき、鋼のような棘が私を守るように突き出ていてそこからは霧状の毒素が満遍なく吹き出ている。
「モカちゃん、蘭ちゃん、ありがとう......さようなら」
私は右手を天に突き上げる。すると巨大な魔法陣が4つ折り重なるように出現し、いくつもの不規則に向いた針が時を刻んでいるかのように動いている。
「次の世界で、また会おうね」
私の体は光に包まれた瞬間に魔法陣と共に一瞬で消え去ってしまった。
これが私の呪い。
10日間を繰り返す禁呪。
しかし今回は今まででも最大の収穫、みんなを殺してのリンカーネーション。
羽沢つぐみという一人の女の子は、今回で『ヒト』ではなく、世界を犯す『ドク』となり、最凶の魔女と化した。
えへへ、やっちゃったぜ(๑>•̀๑)