泡色恋模様   作:イブp

1 / 1
本気で連載小説描こうと思います!
ボチボチ投稿するので、みなさんからの評価楽しみにしてます。



入学

1話 入学

 

朝だ。俺はいつも通り目を覚まし、顔を洗い朝ごはんを食べる。

けれど一ヶ月前と違うのは高校生だということだ。

新しい制服に袖を通し、髪を整える。

「行ってきます」

「はい、行ってらっしゃい浩樹」

お母さんに見送られながら外に出る。

中学の頃は基本一人だったから、高校デビューも兼ねて少し遠目の学校を選んだ。

駅までは自転車で十分から十五分ってところかな。

駅まで行く道には途中に桜並木がある。並木にさしかかると、桜がふわりと中に舞い季節の訪れを感じる。

そんなこんなしてるうちに駅に着いた。

うちの高校だけ入学式が一日早いらしく、今日は人が少ない。

駅のホームまではエスカレーターもしくは階段を上らなければいけない。

俺は春休みの間ずっと引きこもってゲームばかりしてたからな…流石にこたえるぜ。

重い体を動かしながら階段を登り改札を通る。

電車の時間は事前に調べてあるからバッチリだ。

七時四十一分。

電車が来た。ぞろぞろと同じ制服を着た奴らが乗り込む。俺は前の方にいたからかはじの方に座ることができた。

よし、ここは俺の特等席にしよう。

そう心に決めた。

電車が発車し春の日差しが窓から差し込む。

ポカポカとした日差しは電車の心地よい揺れとマッチし、極上の眠気を誘う。

うつらうつらしていると声をかけられた。

「隣いい?」

ポケーっとしながら「どーぞ」なんて答えた。隣に座ってきたのは同じ制服の女子だった。高い位置で一つに縛られた黒髪。小柄だが出るとこはきちんとでた身体。天然の二重に小さな顔と手。

美少女でした。はい。

「君、同じ高校だよね…?」

「そうだけど…何か」

「私、南優奈って言うの!君は?」

「水瀬浩樹…」

「水瀬?どういう字を書くの?」

「水道の水に瀬って字だ」

「へ〜。じゃあみずせだね!」

「いや…俺みなせ…」

完全にペースと苗字を持ってかれた。

初対面で呼び捨て⁉︎こいつさてはリア充的なあれだな。うん、そうに違いない。

「どーせだから一緒に登校しない?」

「まあ断る理由もないし、いいよ」

「ほんと?やった!」

「なんで初対面の奴と登校できるだけで喜ぶんだ…」

リア充南(仮)俺が勝手につけた。は、不思議そうな顔をして理由を口にした。

「だって、はじめての友達だよ?嬉しいじゃん!」

あ…これで友達なのね。三年間友達できなかったのに一瞬で友達できたよ…お母さん。

「えっえぇぇ!なんで泣いてるのみずせ!」

「違う!泣いてなんかない、べつに友達いなくて嬉しいとかそういうわけじゃないからな!」

「いなかったんだ!」

「うるさいっ!」

「じゃあ私が初めてだね。えへへ」

なんでそんな赤らめていうんだよ。

勘違いしちゃうでしょ!

「そ…そうだな」

そうこうしてるうちに電車がついた。

「ほら!みずせ行こっ?」

「はいよ」

流石リア充南(仮)誘導もお手の物か…

このおなごやりおるな。

「ん?降りないの?」

「今降りるよ」

「早くいこっ!」

なんだこいつの笑顔。ドキッとしちまうじゃねえか。

駅から学校までの道は予習済みだ。

駅を降りて平坦な道を進み坂を登った先にあるのが私立海雲高校だ。

「みずせ一緒のクラスだといいね」

「急にどうした」

「んーん、そうだといいなって…」

「あぁ、そうだな」

「知らない奴がいないよりいい」

「みずせは部活とかやらないの?」

「どうだと思う?」

「知らないよー、教えて」

「根性ないな……俺は部活するよ」

「何部?」

瞬間春風がブワッと吹いた。

「陸上」

「陸上…陸上部⁉︎」

え、なに。俺ってそんな驚かれるの?

泣きそうなんだけど、たしかにたまたま友達いなくて髪も少し長めだけど。ここまで驚くかよ。

「そんな驚くなよ」

「だって、全然イメージわかないもん。みずせが走る姿なんて」

「馬鹿野郎、中学時代は剣道部だ」

「もっとない!」

「もうそろっと泣くぞ?俺」

「ごめんって」

あせあせしながら謝ってきた。泣くのは冗談だけどさ。

「許してやるよ」

「上からだー」

「ははっ」

「あ!みずせが笑った!」

俺今笑ったのか。全く分からなかった。

「笑ったらおかしいかよ」

「んーん、すごいいい笑顔だったよ!」

くそ、俺はリア充南(仮)にどれだけドキドキさせられるんだ。

やはりこいつ、やり手だ!

「そ、そうか」

「うん!」

しかも目を見て真っ直ぐ言ってくるから余計ドキドキする。このままじゃ好きになってもおかしくないぞ。

うわー単純な奴俺。

「ほ、ほら学校見えたぞ」

「わー!大っきいね」

「そりゃ私立高校だしな、公立とは金のかけ方が違う」

校門の前に着くと南が足を止めた。

俺の制服の裾を掴んで、

「写真一枚撮らない?」

そう言ってきた。女子と写真なんて妹と撮ったくらいだぞ俺。なんて返せばいいんだ。

とりあえずオッケーか?

「あ…あぁ。いいよ」

「じゃあこっち向いて!」

そう言って身体を寄せてくる。南の髪が触れる距離だ。うわっ、髪超いい匂いする。これじゃ俺変態みたいじゃん。

「なにボーッとしてるの!ほらほら、カメラの方向いて!」

「三、二、一とるよ!」

パシャっと言うカメラの音と共にシャッターが押された。

「後でこれあげるね!」

「ほらほら次は校舎に行ってクラス表見よーよ!」

南優奈。台風みたいな奴だな。ハキハキしてて笑顔をよく見せて、初対面の俺にも優しい。いい奴なのか?

俺がまたそんなことを考えてると南に手を引かれた。

そのまま玄関前に連れられ、

「クラス表見るよ!」

と言われた。

「わかったわかった」

一分ほど表を流し見していると自分のクラスがあった。俺は一年二組か。そして名簿の後ろは…

「みずせの後ろだよ!」

「ひゃぁぁ」

「何今の声?」

「びっくりして変な声出たわ!」

「変なのー」

南はそう言って笑った。

「それよりそれより、同じクラスだね」

「本当になるなんてな」

「運命かな?」

「運命なんて簡単には決まんないだろ」

「冗談だって、釣れないなー」

またからかいやがってどこの高木さんだこのやろう。

「教室行って席確認するぞ」

「うんっ!」

俺たち一年生は四階建ての校舎の一番上。すなわち四階に教室がある。

エレベーターもあったけれど先輩にどやされるのが怖いのでやめとこう。

「みずせー、ここじゃない?」

「見取り図からすればここだな」

「えーっと俺の席は…」

「隣だね!」

「うわっ…!いきなり大声だすなよびっくりしちゃうだろ」

「あはは…ごめんごめん」

「でも本当に隣だな」

「これで学校楽しくなるね!」

「……そうだな」

「確認したら次は入学式の会場に行くぞ」

「俺たちは新入生だ。遅れるわけにはいかないからな」

「ふぇー、真面目だね」

「とりあえず行くぞ」

そう言って俺は南を連れて体育館に行った。

そこには各クラスの担任がクラスごとに並べられていた。

「ほらー、来た者から順に並べ」

「順番は……適当に並べー、紙をなくしたから適当だ」

うっわー、超適当な人だな。けど結構綺麗な人だな。特に胸がでかいしあれは人気出る気がする。

「みずせくーん?どこ見てるのかなぁ?」

隣にいた南が怒気のこもった声で俺に話しかける。

やめて!怖いって俺だって思春期なの!

「申し訳ありません」

「よろしいっ!並ぼ?」

「はいよ」

そして入学式の時間になり俺たち新入生は入場し一人ずつ名前を点呼されていった。

その後は新入生代表挨拶…トップで合格したやつのはなしだ。

「はじめまして、古井悠真です」

「入学して何もわからないので言う事は特にありませんが、各々充実した生活を送りましょう」

ぼけっとしながら聞いていると南から話しかけられた。

「まだ終わらないのー、私トイレ行きたいよ…」

さっきから横でモジモジしてると思ったらトイレか。

行ってこればいいのに。

「行ってこいよ、先生に言ってさ」

「恥ずかしいよぉ〜、我慢できないよ」

「漏らされても困る」

「ふぇぇー」

俺は大きくため息をつくと近くにいた先生に

「すいません、こいつ気分悪くなったので保健室連れて行きます」

「そうか、落ち着くまで付き添っててあげなさい」

「あざっす…」

「ほら、南行くぞ」

「みずせありがとうぅ」

このやり取りは全て小声です。

 

南を連れ体育館を出てトイレへ向かった。

「ここで待っててよ?」

「わかってる」

女子トイレの前で座って待つことにした。

これ、はたから見たらおかしいやつかな?

それにしてもいい天気だなーなんて考えながらウトウトしてると南が出てきた。

「ありがとね、ギリギリセーフ!」

「…そりゃよかったな」

「体育館戻った方がいいかな?」

「先生には体調不良にしてあるし戻るのもへんだな」

「じゃあ…付き合ってよ」

「へっ…」

え?今こいつなんて言った…

「こっちついてきて」

嘘だろ…入学初日に初対面に告白された。

いやいや……でも付き合ってって…

色々考えながら俺は南についていった。

そしてたどり着いたのは屋上だった。

雰囲気から入るタイプか?

「わー!ここだよ!」

「ありがと!付き合ってくれて」

………付き合うって屋上かよ。

少し期待しちゃったじゃないの!どうしてくれるのよ!

恥ずかしすぎるな。

俺って心の声うるさいなー。

「屋上に来て何したいんだ?」

「来たかっただけだよ」

「何故に?」

「マンガとかでも屋上に行くシーンあるでしょ?昔から憧れてたの‼︎」

「ここが屋上!これからここでお弁当食べたり、授業サボったりするのかぁ!」

「へへ…なんか楽しみだね」

「弁当はともかく、サボるって…」

「高校生だよ?わたしJK だよ!」

「そんなもん知っとるわ!」

「サボるなよ……」

「じゃあみずせも一緒にサボろっか!」

サボること確定かよ。こいつの頭の中いらない情報ばっか入ってるな。整理って言葉が似合わないやつだな。

何言っても無駄か…

「たまにだぞ。サボるなら晴れてる日で暖かい日。じゃないと俺はやだからな」

「わーかってるって!」

「後、あそこのハシゴに登ってお昼寝したい!」

「わがままだな、終わるまでだぞ」

南はハシゴに登り始めた。

ん?登り始めた!?

「みずせもおいでよ!」

「お…あぁ」

ほら見えた!パンツ見えた!

ピンクのパンツなんて見てないもん。少しフリフリついてて可愛いななんて思ってないもん。

ダメだとわかっているがパンツを見てしまうぅぅ。

魔力だ、パンツマジックだ!

 

登り終えると南がムーっとした顔で俺を睨んでくる。

「えっと…なんですか?」

「見たでしょ?」

「なにを?」

「私のパンツ!」

「見てないって!」

「嘘だ!スカートの下にいて見てないなんて嘘だ!」

「知らないわ!」

一瞬黙った後南が

「私のパンツどうだった?」

「ピンクでフリフリ……あ、」

「ほらぁ!やっぱり見てるじゃん!」

「お前が先に登るからだろ!」

「そうだけど…うぅ」

「みずせのエッチ!」

「見たことは不可抗力だ…けど見たもんな。悪かった」

「エッチ!」

「わかったから、今度なんか奢るから許してくれ」

南は目を輝かせて、

「仕方ないなぁ、約束だからね!」

わかりやすいやつだな。

チョロすぎるぜ!

そんなやりとりをしてるうちにチャイムが鳴った。

確かこの後はクラスで自己紹介の後解散だったな。

「南、もうそろっと行くぞ」

「えーまだいたいのにー…」

「またこればいいだろ」

「一人はやだのー!」

「いつでも付き合ってやるから、ほら行くぞ」

「なら行く!約束ね!」

約束ね。

忘れないようにするよ。

 

俺たちは教室に向かうとみんながもう席についていた。

担任の先生に座るよう指示され指定の位置に座った。

「このクラスの担任になった愛田だ、よろしく頼む」

「話すことも特にないしな、テキトーに名前と一言言ってけ」

「はい、名簿一番からな」

そうして自己紹介が、始まった。一番の子可愛そう。相澤さんねうん、覚えたよ。二番はもうわからないです。

記憶力なさすぎな…自分で言ってて悲しくなってくる。

「次水瀬浩樹」

俺の番か

「水瀬浩樹です。テキトーに仲良くしてください。よろしくおねがいします」

「次、南優奈」

「南優奈です!もう友達できました!よろしくです!」

うっわー自己紹介っていうかPRにちかいな。てか友達とか言わないで、恥ずかしいわ。

けど、こいつ可愛いしモテるんだろうな。そしたら俺って……

今考えるのはやめよう。

 

 

「よし一通り終わったか。じゃあ気をつけて帰れよー解散」

「先生ー解散って帰っていいんですか?」

「もう帰ってよし、早く帰れ」

相変わらず雑だな。

だけど、やっと俺の高校生活がはじまった…俺はこの高校生活で……いや、今言うのはやめておこう。

また、時が来たらな。

 




次回からはもっともっと要素がつめつめですよ!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。