魔法科高校の劣等生IF   作:桜花乱舞

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初めまして、桜花乱舞です。
普段は読む側ですが、ふと書いてみたくなり投稿してみました。
作者に文才は無く、誤字・脱字もあるであろう駄文ですが、温かく閲覧して頂けると幸いです。
後アドバイス等頂けると助かります。


入学編第一話

「納得できません。」

 

「まだ言っているのか‥?」

 

第一高校入学式の日、その二時間程前の早朝。

 

その会場となる講堂を前にして真新しい制服に身を包んだ三人の男女が何やら言い争っていた。

 

「何故お兄様が補欠なのですか? 入試の成績はトップだったではありませんか!? 本来なら私でなく、お兄様か翔が総代を務めるべきですのに!!」

 

「お前が何処で入試結果を知ったかは、この際置いといて、魔法学校なのだから筆記より実技が優先されるのは当然だろう。 俺の実技能力は深雪と翔も良く知っているだろう? 自分じゃ二科とはいえ良く受かったと驚いているんだけどね。」

 

「それに、俺の場合筆記も実技も次席だったしね。」

 

お兄様と呼ばれている男と二人と親しそうに話しているもう一人の男は揃って深雪を宥めていた。

 

「そんな覇気の無い事でどうしますか! 勉学に於いてお兄様に勝てる者など居ないというのに! 体術でも勝てるのは翔位でしょうに! 魔法だって本来なら」

 

兄の弱気の発言に妹は叱咤するが、

 

「深雪!!」

 

それ以上に強い口調で名を呼ばれ、深雪はハッと口を閉ざした。

 

「分かっているだろう? それは口にしても仕方無い事なんだ。」

 

「それに幾ら早朝だからって此処は校内だからね、誰が聞き耳立ててるか分かったものじゃないよ?」

 

「‥申し訳ございません。」

 

「深雪‥」

 

項垂れた頭に手を置き黒髪を優しく撫でながら、どう機嫌をとろうかという視線をこの場に居るもう一人の男、翔に向けると、本人は内心溜息を付きながら深雪に声を掛ける。

 

「深雪の気持ちは達也も嬉しいと思うよ? 自分の代わりに其れ程までに思ってくれているんだから。 それに俺も達也も深雪の晴れ舞台を楽しみにしているんだ。達也の自慢の妹であり、俺の大切な女性である深雪のね。だからそんな俺達に見せてくれ。」

 

「‥分かりました。我が儘を言って申し訳ありませんでした。」

 

「謝る程の事でもないし、我が儘だなんて思ってないさ。」

 

「それでは行って参ります。 ‥見ていてくださいねお兄様、翔」

 

「行っておいで。本番を楽しみにしているから。」

 

はい、と会釈した少女の姿が講堂に消えたのを確認して、達也と翔は軽い溜息を付く。

「さて達也、まだ時間も有るが、どうする?」

 

「そうだな‥暫くベンチにでも座って今読んでいる文献の続きでも見るかな。」

 

「なら俺は隣で新しい魔法でも考えるか。」

 

それを聞き、達也は翔の発言に呆れながら文献を漁って行く。

 

それから暫くすると達也の開いていた端末に時計が表示された。 二人か各々のしていた事に没頭していた意識が現実に戻される。

 

「新入生ですね? 開場の時間ですよ」

 

達也は愛用の書籍サイトからログアウトし、翔はいつでも動ける状態である事を確認し、ベンチから立ち上がろうとしたその時、頭上から声が降ってきた。

 

まず目に付くは制服のスカート、それから左腕に巻かれた幅広のブレスレット。

 

普及型より大幅に薄型化され、ファッション性も考慮された最新型のCADである。

 

達也と翔の記憶によれば、生徒で学内に於けるCADの常時携行が認められているのは、生徒会の役員と一部の委員会のメンバーのみであるはず。

 

「有り難う御座います。直ぐに向かいます。」

 

相手の左胸には当然、八枚花弁のエンブレム。

 

ブレザーを押し上げる胸の膨らみは、達也と翔の意識に投影されない。

 

生徒会役員になるような優等生と、積極的に関わりたくない二人は早々に立ち去ろうとしたが、相手はそう思わなかったらしく達也の手で畳まれる携帯情報端末のスクリーンに目を遣りながら、何が楽しいのか微笑んでいる。

 

達也達は此処に至り、漸く相手の顔を見た。

 

相手の顔の位置は、達也の視線より二十センチは低いく、女性の中でも小柄な方だと結論付ける。

 

「私は第一高校の生徒会長を務めています、七草 真由美です。ななくさ と書いて さえぐさ と読みます、宜しくね」

 

彼女の自己紹介を聞いて二人は思わず顔をしかめそうになった。

 

(数字付き‥それも「七草」か)

 

魔法師の能力は遺伝によって大きく左右される。魔法師としての素質に、家系が大きな意味を持つ。

そしてこの国に於いて魔法に優れた血を持つ家は、慣例的に数字を含む名字を持つ。

 

その中でも 七草家 は現在この国にて最有力と目されている二つの家系の一つであり、エリート中のエリートである。

 

「自分は、司波達也です。」

 

「俺は、皇翔です。」

 

「そう、貴方達があの司波君と皇君ね‥」

 

目を丸くして驚きを表現した後、意味ありげに頷く生徒会長を見て翔は達也に問いかける。

 

「達也、俺達て何か目立つような事したか?」

 

「いや、そんな覚えは無いが‥。」

 

二人は心当たりが見当たらず礼儀正しい沈黙を選んだ。

 

「先生方の間では貴方達の噂で持ちきりよ」

 

黙り込んだ達也達を気にした様子も無く、真由美は楽しそうな含み笑いの後そう言った。

「司波君は、入学試験七教科平均、九十六点。皇君は、七教科平均九十五点。 特に圧巻だったのが魔法理論と魔法工学。合格者の平均が七十点弱に対し、二人共両教科とも小論文含め文句無しの満点。皇君に至っては、実技も主席と僅差の次席。前代未聞の高得点だって。」

 

「翔は別として、自分の成績は所詮ペーパーテスト、情報システムの中だけの話ですよ。」

 

「達也、何気に俺を除けるなよ。」

 

翔は達也に文句を言うが誰も聞いてない事に気付き言うのを諦めた。

 

「‥そろそろ時間なので失礼します。」

 

これ以上話したくないのか強引に切り上げて講堂に向かう達也を見て、苦手なタイプの人間だろうなと思いつつ翔も達也を追い掛けた。

 

生徒会長と話し込んだ所為で、達也と翔が講堂に入った時には、既に席の半分以上が埋まっていた。

 

席は自由席の筈なのだが、新入生の分布には明らかな区別が出来ていた。前半部に一科生、後半部に二科生という感じに‥。

 

(最も差別意識が強いのは、差別を受けているものである‥か。)

 

(くだらねぇ)

 

講堂の状況を見て達也は達観的に、翔は端的に思った。

 

「お隣は空いてますか?」

 

式の開始まで後二十分、何をして時間を潰そうかと二人は考えていると、隣から声が掛かった。

 

「どうぞ」

 

達也がそう返すと、有り難う御座いますと頭を下げ席に腰掛ける少女、その隣にもう一人少女が座る。

 

「‥あの」

 

偶然隣り合わせる事になった同級生に対し、それ程興味を示さず、視線を元に戻した達也に再び声が掛けられた。

 

「私、柴田 美月って言います。 宜しくお願いします」

 

何か気に触る事でもしたのだろうか?と考えている達也に予想外の自己紹介。

 

「司波 達也です。こちらこそ宜しく」

 

気弱そうな口調と態度に多少なりとも無理をしているのかと思った達也は、極力柔らかな態度で自己紹介を返し、もう一人の友人を紹介しようと翔の方を向くと本人は席に座りながら居眠りしていた。

 

それを見て達也は少し溜息を付きながら開始前に起こせば良いかと思い、翔の紹介に入る。

 

「隣で寝てるのが、皇 翔 だ。」

 

本人は寝ているので名前の紹介だけに留めた。

 

それ以上に達也が注目したのは、彼女の掛けている眼鏡である。

 

余程重度の視力障害で無い限り、視力矯正具は不必要であり、彼女の第一印象からファッションで掛けている訳でも無さそうだと判断した達也は残る可能性を思案する。

 

(霊視放射光過敏症か‥しかも常に特殊レンズで霊視放射光を遮断し続けなければならない程の)

 

そう思い達也は彼女の前では、普段以上に注意深い行動を心掛けるべきかと少し警戒心を抱いた。

 

「あたしは、千葉 エリカ よろしくね司波君」

 

「こちらこそ」

 

達也の思考は美月の向こう側に座った少女の声に中断された。

 

(それにしても 千葉ね、また数字付きか?‥だとしたら、生徒会長の件に続き今日は良く会う日だな)

 

そう達也が考えていると入学式の開始時間になるので寝ている翔を起こして視線を正面に向ける。

 

深雪の答辞は、結構際どいフレーズが幾つか入っていた気はしたが、上手く建前でくるみ、刺を一切感じさせない言葉は身贔屓抜きにしても見事と言わざるを得ないだろう。

 

式も恙無く終わり、IDカードの交付に移る。

 

「司波君は何組?」

 

窓口に移動し、最後尾でIDカードを受け取った達也と翔にエリカが問いかける。

 

「E組だ」

 

「俺は、A組だな。」

 

「司波君と同じクラスになれたのは嬉しいけど流石に皇君とは別クラスかぁ」

 

「私もE組です。」

 

「どうする?もうホームルーム行く?」

 

実技や実験の授業の都合上ホームルームに早く行くに越した事は無いが、達也はエリカの誘いに頭を振る。

 

「悪い。俺と翔は妹と待ち合わせてるんだ」

 

「そうだな。すっぽかすと後が怖いからなぁ」

 

今日はもう授業も連絡事項も無く達也達は手続きが終わり次第、深雪と帰る約束をしていたのだ。

 

「妹さんてもしかして、新入生総代の 司波 深雪さんですか?」

 

美月の質問に対して達也は、頷く事で確認の意味が強い問いに答えた。

 

「それじゃ、双子?」

 

エリカの最もな質問は達也にとってお馴染みの質問なので迷わず答える。

 

「良く聞かれるけど双子じゃないよ。俺が四月生まれで妹が三月生まれだから。」

 

「まぁ、達也が前に一ヶ月ずれて生まれても深雪が後に一ヶ月生まれても同じ学年では無かったからそう意味では、生まれるべくして生まれたのかもなぁ。」

 

達也のいつも通りの答えに対し翔もいつも通りに茶々を入れる。二人にとって最早日常会話に為りつつあった。

 

「翔、お兄様、お待たせしました。」

 

講堂の出口に近い場所で話していた達也達の背後から待ち人の声がした。

 

人垣から深雪が抜け出して来たのだ。

 

達也は、振り返りながら「早かったね」と応えるつもりだったが、予定されていた待ち人は、背後に予想外の同行者を連れて居た。

 

「こんにちは。司波君、皇君、また会いましたね。」

 

人懐っこい笑顔と言葉遣いを取り繕った台詞に達也は無言で翔は厄介な人が来た事を隠そうともしないで、頭を下げた。

 

だが、深雪は、達也達の生徒会長に対する微妙な対応よりも、達也と翔(主に翔)の傍らに親しげに寄り添う少女達の方が気になるようだ。

 

「翔、お兄様、そちらの方たちは?」

 

翔と達也は隠す必要も無いので瞬時に応えた。

 

「こちらが柴田 美月さん、そしてこちらが千葉 エリカさん、同じクラスになったんだ。」

 

「そうですか‥翔、早速クラスメートとデートですか?」

 

可愛らしく小首を傾げ含む所など無いと言いたい表情を見て、翔は何故俺に火の粉がと半ば本気で考えていた。

 

それを見た達也は、翔の鈍感さに内心溜息を付きながらいつもの事かと思い助け船を出す事にした。

 

「それは、誤解だよ深雪。お前を待っている間話していただけさ。そういう言い方は二人に失礼だよ。」

 

達也が目に軽い非難を乗せながら深雪に言うと、一層お淑やかな笑顔を取り繕った。

 

「はじめまして、柴田さん、千葉さん、司波 深雪です。私も新入生なので翔とお兄様同様、宜しくお願いしますね」

 

「柴田 美月です。こちらこそ宜しくお願いします。」

 

「よろしく。私の事は、エリカでいいわ。貴女の事も深雪って呼ばせてもらっていい?」

 

「ええ、どうぞ。名字だとお兄様と区別しにくいですものね。」

 

三人の女子が改めて自己紹介を交わした。

 

深雪と美月の自己紹介は至極妥当なものに対し、エリカの自己紹介はかなりフレンドリーなものであり、彼女はコミュ力が高いんだなと翔は、思った。

 

それよりも早くこの場から(主に生徒会長)から立ち去りたい翔は深雪に話しかける。

 

「深雪、生徒会の用事はいいのか? まだ掛かりそうなら達也ともう少し時間潰しとくし」

 

「大丈夫ですよ」

 

翔の質問に対する答えは別の方向からもたらされた。

 

「今日は、ご挨拶させて頂いただけですから。では、深雪さん、お話しの続きはまた後日」

 

「しかし会長、それでは予定が‥」

 

「予め約束していた事では有りませんから。予定があるなら、そちらを優先するべきでしょう?」

 

尚も食い下がろうとする男子生徒を制して達也と翔に意味深な微笑みを向けた。

 

「それでは深雪さん、今日はこれで。司波君と皇君もいずれまたゆっくりと」

 

再度会釈して去る真由美。その背後に続く男子生徒が振り返り達也を睨む。

 

それを見て翔は、差別意識は生徒会にまで及んでいるのかと呆れていた。

 

「すみません。翔、お兄様、私の所為で心証を」

 

「お前が謝る事じゃないさ。」

 

「そうだな、あれは不可抗力と言うよりあの男子生徒の選民思想が無駄に強いだけだろうし。」

 

表情を曇らせた深雪の台詞を最後まで言わせずに、達也は首を横に振り、ポンと妹の頭に手を置き、翔は気にしてないと言いたげに深雪に帰りを促していた。

 

「折角ですから、お茶でも飲んでいきませんか?」

 

「良いね、近くに美味しいケーキ屋さんがあるらしいんだ。」

 

「どうしましょうか?翔、お兄様」

 

「いいんじゃないか?折角知り合いになった事だし、同性、同年代の友人は多いに越した事はないだろう。」

 

「相変わらず達也は深雪が絡むと自分を計算に入れないよな。 でも、千葉や柴田は、これから先得難い友になれるだろうから交流を深めるのに越した事は無いと思うよ。」

 

寄り道を済ませ、翔と別れた後、家に帰り着いた時には既に夕暮れの時間になっていた。

 

平均を大きく上回る家は殆ど達也と深雪の二人で暮らしている為、余計に広く感じる。

 

達也は手早く着替えを済ませ、リビングで寛いでいると程なくして部屋着に着替えた深雪が下りてきた。

 

「お兄様、何かお飲み物をお持ちしましょうか?」

 

「そうだね。コーヒーを頼む。」

 

「かしこまりました。」

 

それから少しして、コーヒーを淹れて来た深雪は「どうぞ」と言い、達也の前にコーヒーを差し出し、深雪は反対側の席に座る。

 

「深雪の淹れるコーヒーは一番美味い」

 

称賛に多言は不要。その一言で深雪が微笑む。

 

知らない人が見れば夫婦のやり取りにも見える光景は最早日常茶飯事であった。

 

そんな二人の夜は更けて行く。




お疲れ様です。
初投稿終了です。
意外と投稿て疲れるものですね。作者のモチベ持つ限り続けたいと思うので宜しくお願いします。
では、又次回お会いしましょう。
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