東方春命録   作:Poteto305

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少年は、それを行うべく駆ける・終符

あまりにも、強大。

自然界では到底ありえない輝きを放つ少女は、本当にただの人間なのか。

 

「どうした!二人がかりでこんな物なのか!?」

「……っ!」

 

彼女は、忘れている。

 

「春良さんっ!押し負けます、逃げて下さい!」

「こあ、大丈夫だ」

 

彼女も、忘れている。

 

「このまま、押し切らさせて……」

「魔理沙!」

「……ん?」

 

理不尽な力に押し切られそうになっていたその時、魔理沙の後ろに『何か』が飛来する。

 

「『3』対1だ!」

「…………っ!!」

 

バッ、と魔理沙は背後を睨む。

そこには、

 

「上海人形……っ!?」

 

申し訳なさそうに、弓、サジタリウスを小さく引ききる上海がいた。

 

「くっ……!」

「いけ!上海!」

 

完全なまでの、不意打ち。

ほぼ零距離で放たれた矢は一瞬で魔理沙の眼前に飛ぶ。

 

「まっ……だ、だぜっ!」

 

それさえも超反応で体を反らされ、帽子をかすめ取るだけに終わってしまう。

しかし、回避行動に気を向けたせいか、マスタースパークは霧散した。

それとほぼ同時に、春良達の魔術も消える。

 

「……あ…!」

「っ!上海!逃げろ!」

 

吠えるが、どちらも動かない。

ぱさっ、と少し傷ついた魔理沙の帽子が春良の足元に落ちた。

 

「……魔理沙…?」

「…………ははっ…。あっはっはっはっはっは!」

 

女性としてはあり得ない程の高笑いを振りまき、魔理沙は春良達に向き直った。

 

「私の負けだぜ!」

「……え?」

「帽子、落とされたからな!」

 

帽子がないと、魔女っぽくないだろ?と彼女は笑った。

魔女らしからぬ、可愛らしい笑顔で。

唖然とする春良立の前にゆっくりと降りてくる魔女。

 

「まさか上海人形が決め球だったとはな。驚いたぜ」

 

すとっ、と床に足を降ろし、帽子を拾い上げる。

 

「……まぁ、仲間だしな」

「そうか。良い答えだぜ」

「今日は、本。持って行かないんですか…?」

「あぁ、負けたしな。……でも」

 

パチンッ、と魔理沙が指を鳴らす。

すると、春良とこあくま、上海を囲むように何かが数個、宙に浮かんだ。

 

「あの……魔力、使い果たしたんじゃ…」

「私の魔力は無尽蔵だぜ。真に受けたのか?」

 

もう一度甲高い音が鳴ると、それらは全て消え去る。

安心した春良達を横目に、魔理沙は帽子をかぶりなおす。

 

「一応主人公だからな、完全敗北じゃないってだけは言っておくぜ」

「良く言うな……もともとから全力じゃなかったくせに……」

「ま、なかなか楽しかったぜ」

「……あぁ、こちらこそ」

 

握手を交わし、魔理沙は空へと飛ぶ。

館から出ようとし、止まる。

 

「小悪魔!」

「は、はい!?」

「春良のこと、『異変』呼ばわりなんかして、悪かったな!」

「い、いえ!お気になさらずに!」

「それ、俺の台詞だぞ…」

 

それだけ言うと、今度こそ魔女は飛び去っていった。

 

 

ご丁寧に、自分が割った窓とは違う窓を、また割って。

 

 

 

 

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