東方春命録   作:Poteto305

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「どうだ!?気持ちいいだろ!?」

「んなわけあるか!スピード落とせ!」

「そう言われると上げたくなるぜ!」

「やめ……、あぁ!上海落ちた!しゃんはーいっ!」

「あっはっはっはっは!」

「笑ってないで拾いに行ってくれ!」



『使命』とは何かを悟り
『使命』とは何かを悟り・壱符


「よ……っと、着いたぜ」

「つ、疲れた…」

 

神速のフライトの後、春良は一度振り落とされた上海を肩に足を地につけた。

 

「……でかい門だな」

「悪趣味だろ?」

「まぁ、否定はできないけど」

 

いわゆるお金持ちの家とかの門が目の前にあり、その奥にはこれまた大きな館が見える。

とにかく、紅い。

 

「ここに吸血鬼がいるのか?」

「多分春良が探してる吸血鬼はレミリアの方だな」

「れみりあ?」

「レミリア・スカーレット様。この紅魔館の主です」

 

急に門の方から聞こえてきたのは、透き通った女性の声だ。

 

「人間二人、何の用ですか?……まぁ、一人は予想つきますけど」

 

スリット深め、翠の中国服で身を包み、頭のかぶり物には、星と『龍』の文字がある。

中国服な女性は、呆れたようにそう言った。

 

「用が分かってるなら話は早いぜ」

「ま、魔理沙?」

 

箒にまたがった魔理沙は飛び上がり、春良を置いて門を越えて館へ突っ込んでいった。

 

「……まじかよ…!」

「……えっと、人間ですよね?」

「え?あ、はい」

「悪いことは言わないんで、帰った方が良いと思いますよ…?」

「いや、俺もそのレミリア?さんに用があるんです」

 

流れがわかる。

その流れを読み取りつつ、春良はそうならないことを望む。

 

「魔理沙さんに無理矢理連れてこられたんじゃないんですか?」

「魔理沙は道案内をしてくれただけです」

「……それでも、魔理沙さんと一緒に来た貴方を信用するわけにはいきません」

 

 

すっ、と門番の手が上がる。

 

「正直、暇だったので……この紅美鈴、久々に門番として働きます」

 

門番、紅 美鈴(ホン メイリン)はくしくも流れ通りに戦闘態勢に入った。

 

「弓符『サジタリウス』!」

 

春良は蒼弓を握ると同時に引き、先手必勝を体現するかのように矢を放った。

気絶をさせる必要はない。

ただ、吸血鬼に用があるだけということを理解させれるくらいに追いつめればいい。

 

「スペルカード…?」

 

だが、呆けているような声と共に美鈴は矢をいとも簡単に受け流した。

 

「ば、ばけもんかよ…」

「一応、妖怪です、よ!」

 

スタタン、と高速の足踏みと共に春良の目の前まで美鈴の体が接近してきた。

そこから放たれた回し蹴りをかわせるはずはなく、春良はとっさに手を前にやる。

 

「武器、ありがとうございます」

 

衝撃に備えて一瞬目を瞑ってしまった春良に、美鈴は足を止め、春良の手から弓を奪い取った。

 

「しまっ……!」

「……せぁっ!」

 

美鈴は弓を棍のように振り、春良を吹き飛ばす。

めり、と横腹に鈍い感触を感じたとき、すでに春良は地面を転がっていた。

 

「いって……」

「どうします?帰りますか?」

「……いや、後一回行きます」

 

なんとか立ち上がり、春良は武器も無しに美鈴に突っ込んだ。

 

「無謀ですよ!」

「俺もそう思います。……上海!」

「え!?」

 

先ほど飛ばされた時、上海は美鈴の後ろに回り込んでいた。

完璧に背を取った上海はその手から青色の弾幕を放った。

 

「……っ!」

 

だが、それも美鈴は弓を使って防ぎ、また後方から迫る春良に弓を振るう。

が、

 

「サジタリウス!」

「……!?」

 

その声と共に弓は美鈴の手から春良の手へと瞬間的に移動。

攻撃の途中で武器を無くした美鈴は大きく体勢を崩し、

 

「……話を聞いて下さい」

 

完璧に引かれた弓を突きつけられた。

 

「時間稼ぎ、体勢崩し……うわぁ…、咲夜さんに怒られる…」

 

ひょい、と両手を上げ、降参の意志を見せる美鈴。

 

「でも、50点ですね」

 

それに釣られて力を抜いたその一瞬後、春良の体は地面に押さえつけられていた。

 

「えぇ!?」

「せっかく王手を取ったんですから、相手の自由を完璧に奪ってからじゃないと交渉は始まりませんよ」

 

動きが全く見えなかった。

弓は払われ、関節技は完璧に決まっている。

 

「……手、抜いてました?」

「そりゃ、もちろんですよ」

「くっそぉ……」

「まぁ、でも合格点です」

「え?」

 

関節技をとくと、美鈴は倒れたままの春良に手をさしのべた。

 

「お嬢様に用があるんですよね?案内しますよ」

 

その手を支えに立ち上がり、春良は音もなく開いていく門を見つめた。

再び肩に乗ってきた上海にお礼のなでなでをしてあげると、嬉しそうに首にしがみついてきた。

 

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