東方春命録   作:Poteto305

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「ぅあ~…。頭いたい~…」

「どうぞ、諏訪子様。お水ですよ」

「小悪魔も、二日酔いかい?」

「世界が、ぐるぐる回ってます……」

「……神奈子様は平気ですよね…」

「私は軍神だからねぇ」

「いや、全く関係ないと思います…」



妖々の使命
妖々の使命


二人だけの、宴会が開かれていた。

 

「さぁさぁ、ぐいっとどうぞ~」

「……うん…」

 

いや、一人だけの宴会が、開かれていた。

 

「私は、考えすぎてたんですかね…」

「どうした?急に」

 

西行妖の下で笑い合う二人を遠目に見つめる春良と上海と妖夢は、座り込んで話していた。

 

「幻覚とはいえ、満開なのに、幽々子様は何ともなさそうですし…」

「そうだとしても、妖夢は自分の役目を果たしたんだと、俺は思うぞ?」

「ま、そういうことね」

 

とすん、と妖夢と春良の間に、アリスが腰掛ける。

 

「まだいたのか…」

「貴方を助けに来てやったのに、そう言う口を聞くのかしら?」

「すいませんでしたっ!」

 

ばっと頭を下げる春良を見て、アリスはくすりと笑う。

 

「……どうかしたか?」

「いや、本当に魔理沙と似てるから……ノリとか」

「……それは、褒め言葉か?」

「ちょっと語尾に『だぜ』って付けてみてくれない?」

「嫌だぜ」

「戌井さん、付けてますよ」

 

大にぎわいとまでは行かないが、これも宴会。

楽しい事には、なんら変わりはない。

そんなこんなで時は進み、一つの変化が訪れた。

 

「……あらぁ?」

「……すぅ…」

 

体の方の幽々子が、寝に入ったのだ。

一体どれほど飲ませたのだろう

と心配になるが、とりあえず手は出さない。

 

「よーむ?」

「あ、はい?布団の用意ですか?」

「それもだけど、招集を掛けてくれる?」

「……誰にですか…?」

 

頬を紅く染め、にっこりと笑う幽々子は自分の体をつつきながら呟く。

 

「もちろん、『皆』によぉ?」

 

そうだ。

約束は『皆で宴会』だ。

その約束を自分で忘れているのか、幽々子の体はとても満足そうに、安らいだ寝顔をしている。

 

(明日起きたら二日酔いで……、それで更に宴会の事実を伝えられるんだろうなぁ…)

 

同情するような春良を、アリスがぽん、と軽く叩く。

 

「それじゃ、私達は帰ろうかしら?」

「送ってくれるのか?」

「そうでもしないと、帰れないわよ?」

「まぁ、それもそうだな…」

 

ゆっくりと立ち上がり、白玉楼の門に向けて歩く。

そこで、春良はあることに気がついた。

 

「そういえば、『使命』は…?」

 

ぽつりと呟き、腕の紋章を見る。

もちろん、最初の使命以外、染まってはいない。

 

「使命?」

「俺が元の世界に戻るために、幻想郷でしないといけないこと、らしい」

「……あぁ、それでさっきから危険なことに首突っ込むようなまねをしてたの?」

「まぁ、その通りです…」

「何もないんなら、使命じゃなかった。そういうことなのよ」

 

確かに、そう言ってしまえば疑問は晴れるのだが、その代わり不満が残る。

 

「……まぁ、仕方がないか」

 

自分はいざ知らず、知り合った人を助けることが出来たのなら、それはそれで良し。

 

「そんじゃ、幽々子さん、妖夢!」

「はい」

「はぁい?」

「ありがとうございました!」

 

バッ、と深く一礼。

顔を上げると同時に、春良は門を押した。

 

「また、手合わせしてくださいね!」

「宴会にはちゃんと呼ぶから、空けておいてね~」

 

楽しげな声を後ろに聞きながら、春良は外へと足を踏み出す。

アリスと上海も、春良を今か今かと待ちわびていた。

そんな、問題解決後の清々しい空気のせいで、

 

「…………」

 

春良は、後ろを振り向くことをしなかったせいで、気づけなかった。

 

「やっぱりなかなか、面白い人間ねぇ…」

 

空から、春良達を見つめる、小さな隙間があったことに。

 

「紫じゃない!さぁさぁ、こっちに来て飲みましょうよぉ」

「まぁ、今回のは幽々子にとっての『使命』だったものね」

 

隙間はゆっくりと空から幽々子の元へと近づいていく。

まるで、空気、いやその空間を裂いているかのような隙間には、両サイドに小さなリボンが結びつけられていた。

 

「何してたのぉ?面白いことが起きてたのに」

「知ってるわよ。貴方が無事でなによりだわ」

 

その隙間の奥から、大胆な、されど奥ゆかしさをかね揃えたような。

一言で言うと不明。

何を考えているのか、読み取ることさえ出来ないような、気品と妖艶さ。

そんな女性が、隙間から顔だけを出して幽々子の隣におさまった。

 

「……あの子、紫の知り合い?」

「いえ、まったく知らないわ」

「じゃぁ、知るために会いにいかないのぉ?」

「今は、会うべきではない。それだけ」

 

 

確かな怪しさと、確かな鮮やかさ。

 

「いずれ、あの外来人は『異変』になる。その時を待っているのよ」

 

共に存在してしまうと、明らかに意味をそがれてしまうはずのそれらは、しかし何一つ変わらずそれを発揮して見せる。

 

「……紫の言うことは、いっつも分からないわねぇ…」

「それで良いのよ。知らない方が幸せなこともあるんだから」

 

 

限りなく、限りなく生と死の間に近いその場所でこそ、見れる物がある。

それを死から見るか生から見るか、それだけで圧倒的に世界が変わる。

しかしそれでも、美しいことは確実な世界。

 

 

 

それが、妖々夢。

 




あとがきってどんな風にうつってるかのテストー。

この妖々夢編は言いたくないんですけど微妙です!
この機会にリニューアルしても良かったんですけど、せっかくの二次処女作なので。
とは言っても気分屋なので、いきなり話変わってるかもw

という訳でテストあとがきでしたー。ここまで読んでくれている方ありがとうございます!
これからもよろしくお願いいたします!
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