東方春命録   作:Poteto305

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『使命』とは何かを悟り・肆符

「それじゃ、あそぼ!ハル」

「おぉし、何して遊ぶ?」

 

上海の震えに気づかず、春良は一歩フランドールに近寄る。

その時だった。

 

「……ん?」

 

何かを、踏んだ。

春良はそれを拾い上げ、見つめる。

白い、棒みたいな……。

 

「…………っつ!?」

 

骨だ。

 

「えぇっとね、それじゃぁ…」

 

思わずソレを放り投げ、春良はフランドールに向き直る。

 

「弾幕ごっこしよ!」

 

フランドールが、笑った。

さきほどの様な子どもの可愛らしい笑いではなく。

姉の様な笑いだ。

 

「お、おぉ、弾幕ごっこか。でも俺、あんまし強くな…」

 

ドゴン、と春良の足元の何かが砕けた。

砕いたのはフランドールの放った弾幕。

砕けたのは、紛れもない白い棒だ。

 

「――――!」

 

身の危険を感じ、大きく後退する。

 

「この前の『お人形』はすぐ『壊れちゃった』から…」

 

いまさら慣れてきた目に、フランドールの姿がはっきりと見えた。

ブロンドヘアに、紅い灼眼。

 

「ハルは、簡単に壊れないよね?」

 

背中から突き出る細い木の棒のようなものに、水晶体のような色鮮やかな宝石がぶら下がっている翼。

 

「弓符『サジタリウス』…」

「スペルカードも持ってるんだ!やったぁ!」

 

弓を持ち、フランドールに対してやや斜め向きに構える。

忘れていたが、

 

「……それじゃ、いくよ?」

 

この子も吸血鬼なのには、変わりないのだ。

 

「上海……」

 

肩にしがみつき、ガタガタと震える上海。

今回、上海は参加出来なそうだ。

 

「よし!遊ぼうぜ!フランドール!」

「フランで良いよ!ハル!」

 

半ばやけくそに、春良は弓を引いた。

 

「上海、部屋の隅に隠れてろ」

 

春良の呟きに、上海は首を振って肩にしがみついた。

なんとなく気持ちが伝わるその行動に、状況関係なく笑みがこぼれてしまった。

 

「何、笑ってるのっ!」

「…………っと…!」

 

飛び交う紅い弾幕を避け、フランに狙いを定める。

諏訪子の時も、子どもに向かって弓を引くのは抵抗があるが、弾幕ごっこでは死にはしないらしい。

 

「……ぁがっ!!」

 

もちろん、死にはしないだけだと、諏訪子に教わった。

右肩に被弾、激痛が春良を襲った。

 

「っ、上海!」

 

その衝撃で上海が離れてしまう。

すぐに上海も避けにはいるが、互いに被弾するのは時間の問題だった。

 

「上海!今そっちに……!」

 

上海の元へ走ろうとした瞬間。

 

壁を反射した弾が、春良の腹部に突き刺さった。

 

「……っ、かっ…!」

 

固い床をバウンドして転がる。

バスケットボールほどの弾一つで、妖怪の攻撃並の力だった。

 

「まだ、壊れないでね?」

 

壁に背中を打ち、息が止まった状態の春良に、フランが飛ぶ。

手を開いて、唱える。

 

「禁忌『レーヴァテイン』」

 

フランの手に、燃える剣のような物が握られ、それを躊躇なく振りかぶり、

 

(……ちょっ…と、待て…!)

「あはははははははははははっ!」

 

無邪気に笑いながら、振り下ろす。

ゴァッ、と熱風と破砕音が辺りを包み、上海は飛ぶことすら敵わなかった。

 

「……あれ?」

「……あ?」

 

にも関わらず、春良は無傷だ。

春良自身、斬りかかったフラン自身でさえも、驚きで体が止まる。

春良は、今自分に起きたのは何だったのかを、一瞬で考えた。

 

「……諏訪子様…!」

「何?早苗」

 

山の上の神社で、巫女、早苗は自分の力を感じ、諏訪子に声をかけた。

 

「今、紅魔館で『奇跡』がおきましたよ!」

「こ、紅魔館で!?春良、なにしてるの!?」

「分かりませんよ!と、とにかく…」

「うん!」

 

風と共に二人の体が浮き、一瞬後に早苗と諏訪子は紅魔館に向けて疾走した。

 

「あ、あれ?どこ行くんだい?二人ともー…」

 

一人残された神奈子は、飛んでいく二人の姿を見ながら、ため息をもらす。

 

「なんだい……。私ここの神様なのに…」

 

ばたーんと畳に倒れ込み、ばたばたと手足を叩きつけて、やがて疲れたように静かになった。

くぅぅぅ、と自分の腹の音に若干顔を紅くしながら、神奈子はまたばたばたと小さく暴れる。

 

「お腹、空いたねぇ……」

 

昨日、今日と口にしたのは酒のみで、神のお腹はカラだった。

 

 

 

 

 

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