ウルトラブライルーブ!サンシャイン!!   作:焼き鮭

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届かないイカロスだとしても(B)

 

 次の日、功海と克海は亀裂の調査だとして、Aqoursと善子とともに現場に足を運んだ。

 

「うわー、すごーい! ほんとに地面から風が吹いてる!」

「どうなってるのかな……?」

 

 曜とルビィが引っこ抜いた草を風で飛ばして驚いた。千歌はこの風を見て、パッと思いつく。

 

「そうだ! この風で善子ちゃんを浮かせられないかな? 糸もなしにふわふわと浮いたら、堕天使っぽさがより出せると思う!」

「こら千歌、危ないだろ」

「怪我でもしたら大変だわ」

「えへへ、ごめん」

 

 しかし克海と梨子にたしなめられた。

 花丸は功海を手伝って、観測機器を運ぶ。

 

「功海さん、これはここでいいずら?」

「ああ、ありがとな。後は俺と克兄ぃでやるよ」

「どういたしましてずら!」

 

 功海と話す花丸を見て、善子が花丸に尋ねかける。

 

「ずら丸、あんた功海さん相手に口癖丸出しで話すのね。親しい相手じゃないと、普段は抑えてるのに」

「えへへ。功海さんが、これでいいって言ったずら」

「え?」

 

 花丸ははにかみながら、詳しいところを話す。

 

「マル、自分のこのしゃべり方が恥ずかしいと思ってたずら。だけど、このことを知った功海さんは『つまり方言っ娘? すっげーいいじゃん! 自分の個性なんだから、武器にしてくべきだって!』って言って」

 

 功海の声真似をしながら再現する花丸。

 

「功海さん、自分を抑えて生きるなんてのは良くないとも言ってたずら。それが紛れもない自分なら、一度きりの人生、窮屈するより羽を伸ばしていないと損だって」

「へぇ……。あの人、変わってるわね」

「ふふ、マルもそう思うずら。だけど……そういうところが、功海さんの一番いいところだと思うずら」

 

 花丸の話を聞いて、功海に目を向ける善子。

 

「……ほんと、変わってるわ。こんな私のありのままを肯定するし……」

 

 当の功海は、埋まっているクリスタルについて克海と相談し合っている。

 

「これで正確な位置が分かると思うけど、問題はどうやって見つけるかだよな」

「ああ……。土木業者でもないと、地中深くに埋まってるものを掘り出すなんてのは無理があるぞ」

「スコップでどうにかならねーかなー?」

「馬鹿言うなよ。たかがスコップと腕力で、何メートルも深く掘るなんて無理に決まってるだろ?」

 

 クリスタルの採掘手段を悩む兄弟であるが、この時他にもクリスタルを狙う者がいることを彼らは予想だにしていなかった。

 

 

 

 綾香上空を巡回するアイゼンテックの飛行船を背景にしながら、昨日のようにヘリポートでお茶とテーブルを用意していた愛染は、手の平に「嵐」のクリスタルを出した。それを見てウッチェリーナが聞く。

 

[それはグエバッサーのクリスタルですね!]

「うん。この子に風を探知し、出処を探ってもらおう。そこに、風のクリスタルがあるはずだぁ……!」

 

 愛染は椅子から立ち上がると、左手でジャイロを取り出した。

 

「では行くぞッ! 出でよグエバッサー!!」

 

 クリスタルを高々と掲げた愛染が、意気揚々とジャイロの中央にクリスタルを嵌め込む。

 

グエバッサー!

 

 そうして踊るようにジャイロを振り回しながら、レバーを三回引いていく。

 

「HOOOP! STEEEEEP! JUUUUUUUMP!!」

 

 

 

 曜とルビィに千歌と花丸も混じって、風を感じて遊んでいると、不意に千歌が顔を上げた。

 

「あれ? 何か飛んでくる……」

「え?」

 

 千歌たちが空の彼方を見やると、青い空に白い点のようなものがあるのがおぼろげに見えた。少しずつ大きくなってくる。

 

「白い……鳥?」

 

 と同時に、功海のスマホが怪獣特有のバイブス波の音声を発した。

 

「怪獣!? こんな時に!」

 

 その怪獣は、今まさに彼らの元に飛んできた!

 

「グエ――――! プォォォ――――――!」

 

 普通の鳥類にはありえない、樹木を優に超えるほどの巨体の白い怪鳥! 愛染の召喚した猛禽怪獣グエバッサーが襲撃を掛けてきた!

 

「きゃああああっ!?」

 

 グエバッサーが翼を羽ばたかせる毎に、荒れ狂う嵐のような猛烈な暴風が巻き起こり、千歌たちは飛ばされそうになって地面にしがみついた。

 

「うわッ!」

「梨子ちゃんッ!」

 

 功海も必死にふんばり、克海は近くにいた梨子の腕を掴んで、浮き上がりかけた彼女を引き寄せた。

 

「あ、ありがとうございます……」

「千歌! 曜ちゃん! 早くルビィちゃんたちを逃がすんだ!」

「う、うん!」

 

 グエバッサーがまだ空にいてこれなのだから、地上に下りてきたらますます危ない。その前に、千歌たちは隙を見てグエバッサーから逃れていく。

 

「……あれ、善子ちゃんは!?」

 

 しかし善子の姿がその中にないことで梨子が叫んだ。功海が辺りに目を走らせると、

 

「ヨハネ!?」

 

 善子は、功海が持ってきた観測機材を抱えて抑え込んでいた。功海がよろけながらもそちらへ走っていく。

 

「ヨハネ! 何してんだ! 逃げないと危ねーぞ!」

 

 グエバッサーが高度を下げてくる度、風も強くなっていく。焦って善子を逃がそうとする功海に、善子が訴えかけた。

 

「これ、功海さんの夢のための道具なんでしょ!? どっかに飛ばされる訳にはいかないじゃない!」

「ヨハネ……!」

「功海さんは、私の天に昇る夢を笑わずに応援してくれた……! だから、私も功海さんの夢を守りたい!」

 

 善子の言葉を受けた功海の顔つきが変わった。

 

「グエ――――! プォォォ――――――!」

 

 グエバッサーの影がいよいよ彼らの頭上に差し掛かる。功海は、善子の腕を引いて呼び掛けた。

 

「ヨハネ! 俺と一緒に、空を飛ぼう!!」

「えっ……?」

 

 そう叫び、功海がルーブジャイロを取り出す。

 

「俺たち色に染め上げろ! ルーブ!!」

 

 叫んだ功海が、善子を側に置きながらクリスタルホルダーより水のクリスタルを取り出した。

 

「セレクト、クリスタル!」

[ウルトラマンギンガ!]

 

 一本角を出したクリスタルをジャイロにセットする。

 

「纏うは水、紺碧の海!!」

 

 ジャイロの両脇のレバーを三回引いて、ウルトラマンに変身!

 

[ウルトラマンブル! アクア!!]

 

 功海に続く形で、梨子と顔を合わせてうなずき合った克海がホルダーに手を伸ばした。

 

「セレクト、クリスタル!」

[ウルトラマンタロウ!]

 

 火のクリスタルを選ぶ克海の後ろで、梨子が胸の前でぐっと右手を握る。

 

「纏うは火! 紅蓮の炎!!」

「ビーチスケッチさくらうち!」

 

 克海がレバーを三回引いて、梨子とともにウルトラマンに変身!

 

[ウルトラマンロッソ! フレイム!!]

 

 着陸したグエバッサーの真正面に、ロッソとブルが並び立った。――ブルの水に包まれたインナースペースで、善子が唖然としていた。

 

『「こ、ここって……ウルトラマンの中!? ……功海さんが、ウルトラマンだったんだ……!」』

 

 置かれた状況から、何が起こったのかを理解する善子。視線を正面に向けると、こちらに向かって威嚇してくるグエバッサーの姿が見える。

 

「グエ――――! プォォォ――――――!」

『はぁッ!』

 

 ロッソが先制してグエバッサーに飛び込んでいき、片翼を掴んで動きを封じ込もうとする。

 善子がハッと背後に顔を向けると、千歌たちがグエバッサーと反対方向へと逃げていく姿が目に映り込んだ。

 

『千歌たちを守らなきゃならねぇ。ヨハネ、協力してくれ!』

『「……分かった!」』

 

 突然のことで戸惑いを禁じ得なかった善子だが、背にしている千歌たちを目にしたことで、表情を引き締めた。

 

『とあッ!』

 

 善子が覚悟を固めると、ブルもロッソに続く形でグエバッサーの翼に掴みかかり、千歌たちが避難する時間を稼ぐ。

 

「ウルトラマンさんたちだ!」

「今の内だよっ!」

 

 曜が先導して四人はグエバッサーから離れていく。暴れるグエバッサーはブルを振り払うが、梨子との合体でパワーアップしているロッソには敵わずに押しのけられた。

 

『はぁぁッ!』

「グエ――――! プォォォ――――――!」

 

 ロッソは火球弾フレイムダーツを撃って攻撃するが、グエバッサーの方も羽根を矢のように飛ばしてきて対抗。

 雨あられと飛んでくる羽根をロッソが叩き落としながら前進し、グエバッサーの胴体を殴り飛ばす。

 

『おりゃあぁぁッ!』

「グエ――――! プォォォ――――――!」

 

 軽々と殴り飛ばされるグエバッサー。梨子の力を得たロッソのパワーは、グエバッサーを大きく上回っていた。

 だがグエバッサーもやられてばかりではおらず、翼を大きく羽ばたかせることですさまじい暴風を引き起こし出した!

 

『うわぁぁぁッ!?』

『「きゃあああっ!」』

『克兄ぃッ! うッ、うおぉぉ……!』

 

 異常なほどの風圧でロッソが飛ばされそうになるのを後ろからブルが支えたが、あまりの風力に二人の力を合わせても踏ん張るのが精一杯というありさまであった。

 

 

 

 愛染がサラサラと短冊に一文をしたためる。

 

「『蝶のように舞い ヒールも折れた』」

[調子に乗っていると痛い目を見るという意味ですね!]

 

 ウッチェリーナが愛染に合いの手を打った。

 

 

 

「グエ――――! プォォォ――――――!」

 

 グエバッサーの巻き起こす暴風は天候にまで影響し、厚い雲が空を覆い隠す。ロッソとブルは近づくことさえ出来ず、このままでは活動時間が尽きてしまう。

 

『くっそぉ……どうしたら……!』

 

 必死に足を踏ん張って地面にしがみつくブル。その時に、善子が叱咤の言葉を叫んだ。

 

『「しっかりして、功海さん! 私と……ヨハネと、空を飛んでくれるんじゃなかったの!?」』

『はッ……!』

 

 善子の激励により、ブルが気力を呼び覚まされる。

 

『そうだ、あんな向かい風に翼を折られる訳にはいかねぇぜ! 克兄ぃ!』

 

 ロッソに顔を向けて呼び掛けるブル。

 

『風のクリスタルを使おう!』

『風には風をか……! でもクリスタルは地面の中だろ!?』

『こないだの、水に火をぶつける奴で……!』

『水蒸気爆発か……! よしッ!』

 

 ロッソと相談し合うと、ブルが力を振り絞って地面の亀裂へと水流を発射した。

 

『せやぁッ!』

 

 地中に水が満たされると、ロッソが大きく振りかぶって火球を投擲した。

 

『はぁぁぁぁぁッ! てやぁぁッ!』

 

 火球は見事なコントロールで、水があふれた亀裂の中に吸い込まれた。

 これによって急加熱された水が爆発を起こし、土が吹っ飛んで地中に隠れていた紫色のクリスタルが空中に放り出された!

 そしてそのクリスタルをブルの手の平が掴み取り――インナースペースの善子の手に渡る。

 

『ヨハネ! それが俺たちの翼だ!』

『「……!」』

 

 「風」と書かれたクリスタルを見つめた善子が固くうなずき、胸の前に掲げた。

 

『「セレクト、クリスタル!」』

 

 功海がやったようにクリスタルから一本角を出して、ジャイロの中央に嵌め込む。

 

[ウルトラマンティガ!]

 

 善子の背後で赤と紫色のウルトラ戦士のビジョンが胸を張り、風が善子の髪をなびかせた。

 

『纏うは風! 紫電の疾風!!』

 

 ブルの合図でジャイロのレバーを一回、二回と引っ張り、高々と掲げる。

 

『「堕天降臨!」』

 

 三回レバーを引くと、善子の周囲が紫色の竜巻で包まれる。

 

[ウルトラマンブル! ウインド!!]

 

 風の力をその身に宿したブルが紫色に変色し、両腕をピンと前に伸ばして飛び出していく!

 そしてグエバッサーの起こす暴風を切り裂いて、ブルが空をグルリと回り込んだ。

 

『「飛んでる……! 私、いま、空を飛んでるっ!!」』

 

 地面に足をつけていた人生の中で味わったことのない解放感と自由の感触に感極まった声を上げる善子。彼女を包み込む風は、善子に更なるパワーを引き出させてブルのエネルギーに変えていた。

 

 

 

「風のクリスタルぅぅッ! また先に使われたぁぁぁぁ―――――!!」

 

 ブルが風のクリスタルを使用したことを感知した愛染が大声で喚き、ヤケになってクッキーを一気にほおばった。

 

 

 

「グエ――――! プォォォ――――――!」

 

 焦りを見せるグエバッサーは翼を更に羽ばたかせて突風を繰り出す。旋回を終えたブルは伸ばした指先をグエバッサーに向け、空中を進みながらまっすぐに突貫していく。

 

『行くぞヨハネ!』

『「ええ!」』

 

 ブルの呼びかけに、善子、いや、堕天使ヨハネが右の目元にブイサインをやりながら応じた。

 グエバッサーの突風をものともせずに前へ前へと突き進むブル。急接近してくるブルに対してグエバッサーは飛び上がって逃げようとしたが、ブルは角からルーブスラッガーブルを引き抜いて相手の胸部に一撃を入れた。だがグエバッサーは落ちずにスラッガーをクチバシでくわえ込み、ブルとの空中でのもつれ合いに発展する。グエバッサーの鉤爪の生えた足が何度もブルを蹴りつけるがブルはひるまず、スラッガーを引き抜いて再度一閃。だがグエバッサーは上昇して回避し、追ってくるブルに羽根の矢を降らせる。羽根をスラッガーで弾きながらブルが追いかけていると、グエバッサーに横からフレイムダーツが命中。『「大丈夫、善子ちゃん!」』『「善子じゃなくてヨハネよ!」』呼びかけた梨子にヨハネが言い返すと、ロッソとブルが並んでグエバッサーを追跡していく。そのグエバッサーは上空で大きく旋回し続け、黒雲を動かして竜巻を作り出した。竜巻の中に閉じ込められたロッソとブルは身動きを封じられ、カラータイマーが赤に転ずる。

 

『まずいな……! エネルギーが残り少ないぜ……!』

 

 ブルが焦りを浮かべるが、ヨハネは毅然と叫んだ。

 

『「どんな逆風が吹き荒れようとも、このヨハネの翼を妨げることは出来ないわ!」』

『逆風……! そうだッ!』

 

 スラッガーを握り直したブルが、竜巻の回転方向とは逆に回り始めた。

 

『えああああぁぁぁぁぁぁ――――――――!!』

 

 飛びながらスラッガーを竜巻の壁に走らせるブル。

 

『おおおおおッ!?』

『「功海さん、何を……!?」』

 

 スラッガーの刃が竜巻を切り裂いていき――そして、竜巻が弾け飛んで暴風が収まった!

 

「グエ――――! プォォォ――――――!」

 

 グエバッサーも自身の能力を破られて停止する。

 

『消えた……!』

『逆回転の竜巻だ! 力を打ち消し合うッ!』

 

 グエバッサーの動きが止まっている内に、ロッソとブルは最後の攻撃に取りかかる!

 

『「セレクト、クリスタル!」』

[ウルトラマンロッソ! アクア!!]

 

 梨子がクリスタルチェンジしてロッソアクアとなると、烈のクリスタルをルーブスラッガーロッソにセットした。

 

[ウルトラマンゼロ!]

 

 双剣に水の力をチャージして、斬撃を発射する!

 

「『ゼロツインスライサー!!」』

 

 ブルは前に伸ばした両腕を重ね合わせて風を渦巻かせ、光線状にして一気に射出した!

 

「『ストームシューティング!!」』

 

 斬撃と光線の同時攻撃が、グエバッサーに突き刺さる!

 

「グエ――――!!」

 

 身体を撃ち抜かれたグエバッサーが天から堕ちていき、地面に激突して大爆発した。

 グエバッサーの消滅によって雲が晴れていき、差し込んだ陽光に照らされながら、ロッソとブルが空の彼方へと飛び去っていく。

 自由な風を肌で感じ、ブルの中で善子が心の中で独白した。

 

(さよならイカロス……私は、堕天使という翼でどこまでも飛び続ける……! あの天上の世界を目指して……!!)

 

 その瞳は、果てしのない天空へと向けられていた――。

 

 

 

 内浦を覆った暗雲が晴れると、内浦の人々は空に向けて顔を上げた。

 

「晴れていきますわ……。あっ!」

「ワオ! ウルトラマンデース!」

 

 それによって、ダイヤやヘリコプターで移動中の鞠莉らが飛び去っていくロッソとブルの姿を目撃した。

 ――一方で、果南は町の電器屋である話を打ち明けられていた。

 

「えっ……盗聴器……!?」

 

 噛み砕けなかったクッキーが気に掛かった果南は、それが機械であることを確認し、電器屋に持ち込んで何なのかを調べてもらったのだ。

 電器屋のおばさんは深刻な表情で、果南に分解したクッキー型盗聴器を見せる。

 

「よく出来てるけど、ほら、これが集音器……。果南ちゃん、こんなものどうしたんだい? 何なら、警察に通報するけど……」

「う、ううん、大丈夫。ありがとう、おばちゃん!」

 

 慌てて盗聴器を回収した果南は電器屋から飛び出し、外で盗聴器に目を落とした。

 

「こんなものが、どうして四つ角に……。そういえば克兄ぃが、私が来る前に愛染さんが来てたって……」

 

 果南は思わず、綾香の方角に顔を向けた。

 

「まさか……でも、そんなことが……」

 

 

 

 愛染はティーセットを片づけたテーブルの上にアタッシェケースを置くと、金に物を言わせて無理矢理買い取ったマトリョーシカ人形の頭をうっとりと指でなでた。そこにウッチェリーナが戻ってくる。

 

[グエバッサーのクリスタルを回収し、帰還しました!]

「ありがとう、ウッチェリーナ君。愛してるよ」

[私もです、社長!]

 

 ウッチェリーナからクリスタルを受け取った愛染が、アタッシェケースを開いてその中に入れてあったホルダーにクリスタルを収めた。

 その時に氷室からの電話が掛かってきて、愛染がスマホを取り出す。

 

「やぁやぁ氷室君、どうしたのかな?」

『社長。新たに勧誘していたスクールアイドル二名が、特待生コースの加入に承諾しました』

 

 スマホの画面に、そのスクールアイドルの顔写真――ツーテールの幼い顔立ちの少女と、おでこを大きく出したロングヘアの少女が映し出されると、愛染はますます気を良くした。

 

「おぉー! これで遂に3分の2を超える! よくやってくれたねぇ氷室君!」

『ありがとうございます』

「連れてきてくれるのを楽しみに待ってるよ! バイバーイ!」

 

 機嫌良く通話を終えた愛染は、円形のクリスタルホルダーに手を伸ばした。愛染から見て左側に、今しがた戻した「嵐」のクリスタル、手前に「岩」、右側に「氷」、奥の側に「炎」のクリスタルが収められている。その中央に――一つだけ縁が錆びついているかのように歪んでいる、「剣」のウルトラ戦士が描かれたクリスタルがあり、愛染はそれを手に取った。

 そのクリスタルを愛おしそうにハンカチで磨きながら、愛染は鼻歌を唄っていた。

 

「~♪ やればできるー♪ きーっとー♪ ぜーったーいー♪ ……」

 

 

 

『Aqoursのウルトラソングナビ!』

 

善子「堕天降臨! 今回紹介するのは『TAKE ME HIGHER』よ!」

善子「この歌の歌手は、何とあのジャニーズ事務所の人気アイドルグループの一つ、V6よ! 90年代だと特撮番組で現役アイドルとタイアップすることは珍しくて、しかも既にトップクラスの知名度のV6が主題歌を担当するというのはそれこそ事件だったわ!」

善子「しかも例年だと主題歌には必ずウルトラマンの名前を入れられていたけど、これには「TIGA」こそあれど「ウルトラマン」の方は歌詞に一つも出てこないわ。平成という新時代のシリーズを迎えるにあたっての意欲的な試みと言えるわね!」

善子「更に主役のマドカ・ダイゴを演じたのはV6の長野博さん! 過去作とのつながりをあえて排した世界観と言い、どこまでも挑戦的な作品だったわね!」

克海「そして今回のラブライブ!サンシャイン!!の歌は『届かない星だとしても』だ!」

功海「前回の『待ってて愛のうた』と同じで『恋になりたいAQUARIUM』のカップリング曲だ。こんなタイトルだけど意外と明るい曲調で、挑戦することの大事さを歌ってるぜ!」

克海「星というのはμ'sの隠喩という説もある。伝説にあきらめず挑戦するAqoursの精神の表れとも取れるな」

善子「それでは次回で、堕天しましょう?」

 




ルビィ「私たちAqoursは内浦の魅力を紹介するPVを作り始めました。だけど……えっ? ぴぎぃぃー!?」
善子「ちょっ!? 何で怪獣の中にルビィがいるのよ!? こんなの、一体どうしたらいいのー!?」
善子「次回、『Guilty Fire, Guilty Below』!」
ルビィ「次回もがんばルビィ!」
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