ウルトラブライルーブ!サンシャイン!!   作:焼き鮭

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HEROESの証明(B)

 

 功海の告白を前にして、克海たちは何も言えずに立ち尽くしていたが、そんな彼らを突然の震動が襲う。

 

「ギュオオォォ――――ン!」

 

 バッと振り向いた克海たちの視線の先に、グルジオボーンが雄たけびを上げながら出現した!

 

「またあの怪獣か! 功海ッ!」

 

 ジャイロを握って功海に振り返る克海だが、功海は怖気づいたままジャイロを取り出そうともしなかった。

 

「俺は克兄ぃとはちげーんだよッ! ……俺がいなくたって克兄ぃは戦えんだろ? 梨子たちもいるんだしな……」

「功兄ぃ……」

 

 自暴自棄になっている功海に、曜たちが困惑する。

 

「俺のことなんかほっといてさっさと行けよッ!」

「お前……」

 

 足が進まない克海だが、グルジオボーンはその間にも街に火を放って綾香を破壊していく。ここで立ち止まっている時間はない。

 

「……功海、先に行くよ……!」

 

 やむなく克海は、梨子に振り向いて呼び掛けた。

 

「梨子ちゃん、頼む!」

「は、はいっ!」

 

 戸惑いながらもうなずいた梨子を後ろにつけながら、克海がルーブジャイロを構えた。

 

「俺たち色に染め上げろ! ルーブ!!」

 

 克海がクリスタルホルダーに手を伸ばして、火のクリスタルをつまみ取る。

 

「セレクト、クリスタル!」

[ウルトラマンタロウ!]

 

 クリスタルから二本角を出した克海がジャイロにセットし、梨子と上を見上げて決め台詞を唱える。

 

「纏うは火! 紅蓮の炎!!」

「ビーチスケッチさくらうち!」

 

 克海がジャイロのグリップを三回引き、エネルギーチャージ。

 

[ウルトラマンロッソ! フレイム!!]

 

 火柱に包まれた克海と梨子が、ウルトラマンロッソに変身してグルジオボーンの正面に登場した。

 

『俺たちが九秒で片づけてやる!』

 

 功海に皮肉を飛ばしてから、ロッソがグルジオボーンに体当たりしていった。

 

『「克海さんの仕返しよっ!」』

 

 グルジオボーンに激突したロッソが、グルジオボーンの横面にビンタを浴びせた。更にもう一発。

 

『倍返しッ!』

 

 ロッソの戦う背中を呆然と見つめる功海だったが、その時に病院から非常用ベルのけたたましい音が発生した。

 

「ルビィちゃん……!」

「あっ、功兄ぃ!?」

 

 功海はいてもたってもいられず、病院へと駆け出していく。それを曜と善子が慌てて追いかけていった。

 院内は近くに怪獣が出現したことで狂乱状態であり、多くの怪我人や病院が医者や看護師たちの手によって避難させられていく。その中をかき分けてルビィの病室を目指して走る功海は、途中の階段で、千歌たちに連れられて下りるところのルビィを発見した。

 

「千歌っ!」

「功海お兄ちゃん! 来てたの!?」

 

 功海は反射的にルビィの身体を抱え上げた。

 

「ひゃっ!? 功海さん……?」

「じっとしててくれ。君のことは、俺が絶対に護るッ!」

 

 熱を込めてルビィに告げた功海が、千歌たちと追いついた曜、善子に振り向く。

 

「みんな、逃げるぞッ!」

「うん!」

 

 功海たちが病院からの脱出を図る中、ロッソは両手にスラッガーを握り締めた。

 

「『ルーブスラッガーロッソ!!」』

 

 双剣でグルジオボーンに斬りかかっていくロッソだが、グルジオボーンは斬撃をかわし、ロッソにカウンターの張り手を食らわせた。

 

「ギュオオォォ――――ン!」

『くッ!? 前より強くなってる……!?』

 

 現在は梨子の協力の下にパワーアップしているのに、グルジオボーンは互角以上に張り合う。明らかに、パワーもスピードも以前戦った時より増しているのだ。

 

『「だけど、負けない! 私たちでルビィちゃんたちを守らなきゃ!」』

 

 梨子がより気合いを入れることでロッソの動きのキレも増し、グルジオボーンの腕を止めて右の剣を浴びせた。斬られた腕を痛そうに振るグルジオボーン。

 

『はぁぁッ!』

 

 ロッソは勢いに乗って連続でグルジオボーンを斬りつける。押されていくように見えたグルジオボーンだったが、

 

「ギュオオォォ――――ン!」

 

 攻撃後の隙を突いてロッソの懐に踏み込み、両腕をガシッと掴んで動きを抑え込んできた。

 

『うわッ!? しまった……!』

 

 ロッソを捕らえたまま振り回すグルジオボーン。それとともに振るわれる尻尾が、病院に叩きつけられる。

 

「大丈夫?」

「は、はい……」

 

 それは功海たちが出入り口から出てくるのと同時であり、彼らの頭上に崩れた瓦礫が降りかかる!

 

「なッ!」

「危ないっ!」

「きゃあぁっ!?」

 

 功海が咄嗟にルビィをかばいながら身をかがめ、果南は千歌たちを突き飛ばした。そこに瓦礫が襲い掛かる!

 

『功海ぃッ!』

『「みんなっ! た、大変……!」』

 

 青ざめた梨子たちが力を振り絞って、グルジオボーンを押し返して病院から引き離していった。

 

「うッ……!」

 

 病院の壁が崩れた結果、ルビィを抱える功海は千歌たちと分断されて瓦礫の中に閉じ込められてしまい、千歌たちは果南に助けられてどうにか無事だったものの、果南はショックで気を失って倒れ込んでいた。

 

「か、果南ちゃん!! 功海お兄ちゃんもっ!」

「俺たちのことはいい! それより、果南を早く安全なところへ!」

 

 失神した果南を案じて、功海は千歌たちに指示を飛ばした。

 

「千歌ちゃん、功兄ぃたちは私が!」

「う、うん! お願い、曜ちゃん!」

「ずら丸、脚持って!」

「ずらっ!」

 

 千歌たちは曜を残して、三人協力して果南の身体を抱え上げてこの場から連れ出していった。

 

「功兄ぃ、頑張って! うぅ……!」

「くっそぉ……!」

 

 曜と功海はルビィを助けるべく力を振り絞って瓦礫の障害をどかそうとするも、びくともしない。功海は弱気になって吐き捨てる。

 

「駄目だ……! やっぱり克兄ぃがいねぇと何にも出来ねぇよ俺……!」

「しっかりして功兄ぃ! 今は功兄ぃが頑張らないと、ルビィちゃんを助けられないんだよ!」

「だけど……!」

 

 激しく落ち込み、悩み苦しむ功海の横顔を見て、彼の腕の中のルビィは――苦悶の顔で剣を振り下ろすウルトラマンブルの顔を思い出し、それが今の功海の顔と重なった。

 ルビィはそっと、功海の手を握り返した。

 

「ルビィちゃん……?」

 

 不思議そうに顔を上げた功海に、ルビィはそっと微笑みかける。

 

「大丈夫です、功海さん……。ルビィ、功海さんにすっごく感謝してます……。だって、こんなにもルビィのことを助けてくれようと、必死なんですもん……。だから功海さん、自分のこと追いつめないで、自分のことを信じて下さい……。功海さん、がんばルビィ!」

 

 にこっと笑顔を向けられて、功海の胸が一瞬ドキッと高鳴った。

 ルビィの応援に続くように、曜も功海に呼び掛ける。

 

「ねぇ功兄ぃ、覚えてる? 功兄ぃが小学校に上がる直前……学校を怖がる功兄ぃを、克兄ぃが勇気づけようとしたことがあったよね。一緒にはしご昇って……。だけど功兄ぃ、高くて途中で泣き出しちゃって……。克兄ぃが手を伸ばしたんだけど、そしたら克兄ぃがずり落ちちゃって……」

 

 思い出を話しながら、曜は力強く功海に笑いかけた。

 

「私も果南ちゃんも目を覆ったけど、その時克兄ぃの手を掴んで受け止めたのが功兄ぃだったじゃん! それからだよ、功兄ぃが泣かなくなったの! 功兄ぃには、おっきな勇気があるんだよ!!」

 

 曜の励ましで、功海の瞳に輝きが戻る!

 

「そうだ……思い出しだぞ! ルビィちゃん!」

 

 ルビィに振り向く功海だが、ルビィは息が苦しくなり、ぐったりと力を失っていた。

 

「ルビィちゃん!! おおおおおおッ!」

 

 功海が奮起すると、懐の中のジャイロが輝き、功海が瓦礫を押し返して檻の中から脱出した!

 

「功兄ぃ!! やったよ功兄ぃ!」

 

 歓喜する曜。だがその時に、ロッソの苦痛の声が轟く。

 

『うわああぁぁぁぁぁッ!』

 

 ロッソは功海たちの盾となって、その身でグルジオボーンの火炎を食らい続けていた。功海たちをかばう彼は身動きが取れない状態にある。

 

「克兄ぃ! 梨子ちゃん!」

 

 焦る曜だが、その前にルビィをそっと下ろした功海がジャイロを手に進み出た。

 

「曜、俺はもう恐れない! この力を……自分を信じるッ!」

「功兄ぃ……! うんっ!」

 

 目を潤ませた曜がうなずき、功海がジャイロを掲げた。

 

「俺たち色に染め上げろ! ルーブ!!」

 

 ルーブジャイロが光を放ち、功海と曜を包み込む――!

 

「セレクト、クリスタル!」

 

 意気揚々と敬礼する曜を背後に、水のクリスタルから一本角を出した功海がジャイロの中心にセットする。

 

[ウルトラマンギンガ!]

 

 水が波打ち、曜と功海が天を見上げた。

 

「纏うは水! 紺碧の海!!」

「ヨーソロー!」

 

 功海がジャイロのグリップを三回引き、エネルギーチャージ。

 

[ウルトラマンブル! アクア!!]

 

 水柱に包まれた功海と曜がウルトラマンブルに変身し、ロッソにとどめの火炎を食らわそうとしていたグルジオボーンの頭にドロップキックを炸裂させた!

 

『はぁーッ!』

 

 ――ぐったりとしながらも、意識があったルビィは、目の前からいなくなった功海に微笑を浮かべた。

 

「えへへ……やりましたね、功海さん……」

 

 グルジオボーンを蹴り倒したブルはロッソの側に駆け寄り、彼の腕を引っ張って助け起こした。

 

『克兄ぃ、おっ待たせー』

『「梨子ちゃん、遅くなっちゃってごめんね」』

 

 実に軽いノリのブルにロッソが文句を発した。

 

『お前遅いよ功海~……!』

『あれあれ? 九秒で倒すって言ってなかったっけ』

『何だと生意気言ってんじゃねぇぞこのーッ!』

『ごめんごめん!』

 

 ブルにヘッドロックを掛けて頭をぐりぐりするロッソ。この二人に梨子が呆れたように注意した。

 

『「二人とも、じゃれてないで怪獣に集中して下さい! 起き上がりますよ!」』

「ギュオオォォ――――ン!」

 

 立ち上がったグルジオボーンは、即座に火炎を吐いてロッソとブルを攻撃してくる!

 

『はッ!』

 

 咄嗟に後ろに跳んでかわした兄弟は、体勢を立て直しながらグルジオボーンと対峙した。

 

『「あっつぅ……炎を吐かれ続けてたら危ないよ!」』

 

 曜が警告すると、ブルがパチンと指を鳴らす。

 

『閃いた! 克兄ぃは水、俺は風で攻撃だ!』

『え? 何だって?』

『だーかーらぁ~! 克兄ぃは水で、俺は風!』

『「モタモタしてないで! 早くしないと、また攻撃されますよ!」』

『『ご、ごめん』』

 

 ぷんすかと咎める梨子にロッソたちが謝りながら、クリスタルチェンジを行う。

 

『「セレクト、クリスタル!」』

 

 梨子が曜から投げ渡された水のクリスタルから二本角を出して、ジャイロにセットした。

 

[ウルトラマンギンガ!]

『纏うは水! 紺碧の海!!』

 

 ロッソの合図の下に梨子がジャイロのグリップを引き、エネルギーをチャージする。

 

[ウルトラマンロッソ! アクア!!]

 

 曜の方はホルダーから風のクリスタルを取り出した。

 

『「セレクト、クリスタル!」』

 

 一本角をクリスタルから出して、ジャイロにセット。

 

[ウルトラマンティガ!]

『纏うは風! 紫電の疾風!!』

 

 ブルの合図で曜がグリップを引いて、エネルギーをチャージ。

 

[ウルトラマンブル! ウインド!!]

 

 クリスタルチェンジを終えると、ロッソは空に向かって飛び上がり、ブルは風の力による高速移動でグルジオボーンの周囲を駆け回り出した。

 

『はッ!』

「ギュオオォォ――――ン!」

 

 ブルが走ることで竜巻が発生し、グルジオボーンが火炎を吐いても風に流されて空にそれていき、街への被害を防いだ。

 

『「やるね功兄ぃ! だけど……これ、目が回りそうだよぉ~!」』

『こらえろ曜! もう少しだ!』

 

 善子ほど風の力との相性が良くない曜は、ブルのスピードについていけずにふらふらになっていた。

 竜巻による包囲を完成させると、ブルがグルジオボーンから離れた。そこに空からロッソが呼び掛ける。

 

『功海ー! お前の言う通りにしたぞー!』

『「うぅ……水って結構重いんですね……!」』

 

 ロッソはいつもよりはるかに巨大なジャイアントスフィアを掲げている。梨子は水球の重量に、腕がぷるぷると震えていた。

 

『ああ。オッケー、それでいいよ!』

 

 腕で大きく丸印を作ったブルは、角からルーブスラッガーを引き抜く。

 

「『ルーブスラッガーブル!!」』

 

 スラッガーを中腰に構えると、ロッソに向かって叫んだ。

 

『今だ克兄ぃ!』

『了解……! おぉぉぉぉぉりゃあぁぁぁッ!』

 

 ロッソがジャイアントスフィアをグルジオボーンへと投げつけた。水球は竜巻ごとグルジオボーンを覆い、グルジオボーンは水の竜巻の中に閉じ込められることとなる。

 

「ギュオオォォ――――ン!」

『おお……すげぇな』

 

 完全に動きが封じ込まれたグルジオボーンに対し、曜は「雷」のクリスタルから一本角を出してルーブスラッガーブルにセットした。

 

[ウルトラマンエックス!]

 

 クリスタルの力によって、刀身に緑色の電撃が纏わりついた。ブルは雷の剣を水平に構えながら駆け出す。

 

「『スパークアタッカー!!」』

 

 天高く跳躍したブルは、落下の勢いを乗せてグルジオボーンを竜巻ごと切り裂いた! 電撃が水にほとばしり、グルジオボーンに更なるダメージを与える!

 

『「決まったぁっ!」』

『どうだ! 風、水、雷の合わせ技!』

「ギュオオォォ――――ン……!」

 

 グルジオボーンは完全に麻痺しており、最早指一本まともに動かすことも出来ないありさまであった。

 

『それじゃあ仕上げと行きますか!』

『ああ!』

 

 ハイタッチしたロッソとブルが、最後のクリスタルチェンジを行う。

 

『「ビーチスケッチさくらうち!」』

『「ヨーソロー!」』

 

 ロッソフレイムとブルアクアに戻ると、両腕を十字とL字に組む。

 

「『フレイム!!」』

「『アクア!!」』

「『「『ハイブリッドシュート!!!!」』」』

 

 炎と水が螺旋を描いて飛んでいき、一本の光線となってグルジオボーンに命中した!

 

「ギュオオォォ――――ン!!」

 

 光線に貫かれたグルジオボーンが瞬時に爆裂! これを見届けたブルがロッソに拳を向ける。

 

『やったね!』

『ああ!』

 

 ロッソとブルは拳を打ち鳴らし合い、軽快にタッチを決めた。

 

 

 

「くっそ~あいつら……! 復活したらしたで調子に乗りおってぇ……!」

 

 グルジオボーンから戻った愛染は、ほうほうの体でアイゼンテック社に帰ってきた。そこに若い女性社員が通りかかる。

 

「社長、お疲れさまです」

「おお、お疲れぇ……」

 

 愛染のありさまをよく見た女性社員は、彼のことを案じて声を掛けた。

 

「あらあら。社長、そんなにくたびれてしまって……もうお若くないんですから、あんまりはしゃいでたら駄目ですよ」

「ああうんありがとう……ん? あらあら……」

 

 注意された愛染だが、女性社員の口走ったひと言に反応して、グロッキーだったのが嘘のようにすっくと立ち上がった。

 

「いいねぇ実にいいッ! よぉし決めたッ! 十一人目は、君だぁーッ!」

「あ……あらあら……?」

 

 女性社員は、愛染の言っていることがさっぱり分からずにたじろいだ。

 

 

 

 後日、千歌たちAqoursは綾香駅の前に集合していた。

 

「ルビィちゃんも無事に退院できたし! 絶好の東京日和! よーし、張り切って行っくぞー! いざ東京っ!」

 

 東京に向かう電車に乗る前に早くも意気込んでいる千歌を、見送りの功海がからかう。

 

「千歌ぁ、お前ほんとに大丈夫なのかぁ? 地方感丸出しの格好で行こうとしてたし、東京行って本場のスクールアイドルとの実力差にけちょんけちょんにされちまうんじゃねーの?」

「むっ、そんなことないよー! 私たちだってすっごい頑張ってるんだからね! きっと結果出してみせるもん!」

 

 ムキになって功海に言い返す千歌だが、一方でルビィが何やら物憂げにうつむいているのに花丸が気がついた。

 

「ルビィちゃん、どうしたの? まだどこか悪いんじゃ……」

「ううん、そうじゃないの。ただ……家を出る時に、お姉ちゃんが気持ちを強く持って、なんて言ってたから、どういうことなのかなぁって……」

 

 思い悩むルビィに、千歌をいなした功海がぐっと親指を立てた。

 

「暗い顔してんなよ、ルビィ。どんな時も元気に、自分に自信を持ってりゃ、未来は切り開けるぜ! な?」

「……はいっ!」

「あっれぇ~!?」

 

 ルビィと自然に笑顔を交わし合う功海に、千歌が冷や汗を垂らして詰め寄ってきた。

 

「功海お兄ちゃん、いつの間にルビィちゃんとそんなに仲良しさんになったのぉ!? お兄ちゃんながら、抜け目ない……!」

「そんなもんいつだっていいだろ? 兄には兄の人づき合いってもんがあるんだよ」

「む~、何か釈然としない……! 何か分からないけど、蚊帳の外に置かれてるような感じがする……!」

 

 千歌がむくれている一方で、キャリーバッグを車から下ろした梨子が、彼女たちを駅に送ってきた克海に頼みごとをされた。

 

「梨子ちゃん、みんな東京には慣れてないから、あんまりおかしなことしないように目をつけてやってくれな」

「は、はいっ! 任せて下さい!」

「ああ、それと……」

「はい?」

「……どんな結果になったとしても、それを真摯に受け止めるんだ。みんなにも言っておいてくれ」

「……? はい……」

 

 今の梨子には、克海の言うことの意味が理解できていなかった。

 そしてAqours六人は、最後にクラスメイトからの餞別ののっぽパンをもらう。

 

「それ食べて、浦女のすごいところを見せてやって!」

「……うんっ! 頑張る!」

 

 顔を引き締めた千歌がうなずくと、Aqoursは改札をくぐって東京への旅立ちに出ていった。

 

「いってらっしゃーい!」

「いってきまーす!」

 

 克海と功海、クラスメイトたちに送り出された千歌たちが、張り切って出発していった――。

 

 

 

 その頃、アルトアルベロタワーの社長室――その隠し部屋にて。

 

「はい! 今日はー、皆さんに新しいお仲間を紹介しまーす」

 

 愛染が先日の女性社員を連れて、並んだ十人の少女たちに告げた。

 ボーイッシュな少女、長い髪を金髪に染めた少女、双子の少女、リボンを二つ髪に結んだ少女、青みの掛かった長髪の少女、ショートボブカットの少女、ツーテールの少女、おでこの広い少女、眼鏡を掛けた少女……全員、愛染が自分のアイドルスクールの特待生コースに迎えた子たちである。

 それだけならまだしも……彼女たちは全員、隠し部屋の中央にある怪しげな装置につながれた赤い輪を頭に被せられて、虚ろな目で立ち尽くしていた。

 

「し、社長……? この子たちに、何をしたんですか……?」

「はいこれ被ってね。はいそっちに並んで」

 

 あまりにも異様な光景に女性社員も気が動転していたが、愛染は構うことなく赤い輪を彼女にも被せて少女たちの列に追いやった。

 それから愛染はパンと手を叩いて、テンションを上げて自意識のない少女たちに語る。

 

「さぁッ! これで残るはいよいよあと二人ッ! 変わる世界が輝いてきたぞー!」

 

 愛染が手の平を差し向けた先は、中央の謎の装置。その上には、「炎」「氷」「岩」「嵐」の四つのクリスタルに囲まれた、「剣」のクリスタルが置かれてあった。

 愛染は声を張って宣言する。

 

「絆の力で、輝きの向こう側へぇ!!」

 

 

 

『Aqoursのウルトラソングナビ!』

 

果南「ハグしよっ! 今回紹介するのは、『ウルトラマンX』だよ!」

果南「この曲はもちろん『新ウルトラマン列伝』内で放送されたドラマ『ウルトラマンX』の主題歌! 歌ったのはお馴染みのvoyagerと、大空大地役の高橋健介さんだよ!」

果南「歌詞は『X』の作風や世界観を強く反映してて、他者とつながる絆を特に強く歌い上げてるんだ。一方で「世界が滅びる」「地球の未来がなくなる」なんて物騒なワードが出てくるけど、今思えばこれは最終回への伏線だったんだね」

果南「その最終回ではこの歌がエンディングテーマに使用され、映画ではクライマックスシーンで挿入歌として使われたりしてて、『X』という作品において重要な役割を担ったと言えるね。それで印象に残ったという人も多いと思うよ!」

克海「そして今回のラブライブ!サンシャイン!!の歌は『AQOURS☆HEROES』だ!」

功海「Aqoursのファーストシングル『君のこころは輝いてるかい?』のカップリング曲だ! HEROESなんて単語がタイトルに使われてる通り、ひたすら人を元気にする言葉を送る応援曲だぞ!」

克海「『君のこころは輝いてるかい?』はAqoursのデビューシングルだから、ファンには思い出深い一曲でもあるな」

果南「それじゃ、また次回でね!」

 




愛染
「ぬあぁッ! お前らそれでもウルトラマンかッ! これでアイドルのつもりかぁッ!! お前ら全員落第点だぁぁぁッ!!」
「こうなったら教えてやろう。真のアイドルをプロデュースする、私こそが! ウルトラマンだとッ!!」
「次回、『世界中CONTROL!!』!」
「絆の力でぇ、輝きの向こう側へぇぇッ!!」
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