「ギュオオォォ――――ン!」
研究所の残骸を蹴散らして、公園に踏み出そうとする骨格型の巨大怪生物――グルジオボーンの姿に戦慄を覚える克海。
「まさか、グルジオ様が本当にいたなんて……!」
震える克海とは対照的に、功海はグルジオボーンに目を輝かせている。
「追いかけよう克兄ぃ!」
「何言ってんだ逃げなきゃ!」
動き出したグルジオボーンの方へ走っていこうとする功海の袖を克海は慌てて引っ張って止めた。しかし功海は聞こうとしない。
「こんな機会二度とないってば! 俺は誇り高き科学者だ、逃げる訳ねぇだろ!」
と豪語してグルジオボーンへ向かっていこうとするが……。
「ギュオオォォ――――ン!」
けたたましく吼え立てるグルジオボーンの厳つい顔を目の当たりにして、立ち止まった。
「やっぱ……逃げよ」
意見も身体の向きも180度翻して、克海とともに脱兎の如く逃げ出す。
「お前って奴はぁぁぁッ!」
「命あっての物種だって!」
「おい、急げ! 速く!」
追ってくるグルジオボーンから死に物狂いで逃げる克海と功海。と、その途中で功海が路肩に設置されてあるレンタル自転車に目を留めた。
「自転車、お貸しします……」
功海はすぐに自転車にまたがり、克海を追い抜いていく。
「克兄ぃ早くッ!」
「あッ! あいつ自分だけ!」
功海と克海は公園手前の陸橋にまで差し掛かったが、グルジオボーンはここまで追ってくる。
「おい功海ちょっと待て!」
「克兄ぃ盗塁得意だったろ!」
「そういう問題じゃないだろ!」
「つべこべ言ってっと追いつかれるぞ!」
懸命に逃げる二人だが、グルジオボーンは口内に真っ赤な火炎を溜めると、一気に吐き出して攻撃してきた!
「うわぁッ!? いってぇ……!」
火炎放射による爆発で、功海は自転車から放り出された。
「功海! 大丈夫か!?」
克海が慌てて駆け寄って助け起こすが、その間にもグルジオボーンは迫ってきている。
「ギュオオォォ――――ン!」
「ほら立て! 早く!」
功海を抱えるようにして、二人で遁走し出した。
グルジオボーンは火炎を振りまいて辺りをどんどん焼き尽くしていく。その威容と破壊力は、公園にいる人たちの目にも映り出した。
「お兄ちゃんたち、どこまで行ったんだろ……って」
「あ、あれ!! グルジオ様!?」
千歌たちも公園に接近してくるグルジオボーンを見上げて仰天。周りの人々は、混乱に陥りながらも命の危険を感じて散り散りに逃げ惑い出した。
「う、嘘……!? あれって伝説に出てくる!?」
「私たち、夢でも見てるの~!?」
「お兄ちゃん……!」
思わず兄たちを捜そうとする千歌の腕を、曜が反射的に掴んだ。
「だ、駄目だよ千歌ちゃん! 危ないよ! 早く逃げないと!」
「う、うん……!」
「秋月先生も早く! 立ち止まってないで!」
千歌たちが逃げ出すのと同じように、克海と功海も公園の人々に混じってグルジオボーンから逃げている。
「だから言っただろ! 大体お前は……!」
「説教は後! 追いつかれるぞ!」
「大体こうなったのは誰のせいだ!」
「あーそれ言っちゃう!?」
口喧嘩しながら必死に逃げ回る克海たちであったが、その時、
「あっ……!?」
「梨子ちゃん!」
「ギュオオォォ――――ン!」
梨子の足がもつれて転倒。咄嗟に立ち止まる千歌と曜だが、梨子の方にグルジオボーンが迫り来る。
「きゃあああああっ!!」
「ッ!」
梨子の悲鳴で足を止めた克海に功海が振り返る。
「克兄ぃ! まさか……!」
「功海、お前は奴の注意を引け! その間に俺が行く!」
「いやいや無茶だよ克兄ぃー!」
功海の制止も聞かずに梨子を助けに駆け出す克海。功海はやむなく地面に転がっている石をグルジオボーンに向かって投げながら大声で叫んだ。
「グルジオー! でっけー面、してんじゃねーぞ!」
功海の声に気を取られたグルジオボーンは、注意が梨子からそれた。その隙に克海が梨子に駆け寄って彼女を抱え上げる。
「大丈夫か?」
「は、はい……!?」
突然抱えられた梨子は思わず赤面。克海はそのまま彼女を連れて、千歌と曜の元へ走っていった。
「克海お兄ちゃん!」
「克兄ぃ!」
「この子を頼む」
二人に梨子を預ける克海。だがその一方で、梨子の代わりにグルジオボーンに追われる身となった功海が震動によって転倒した。
「おわぁぁッ!」
「あっ!? 功兄ぃが!」
「功海ッ!!」
「克海お兄ちゃん!?」
克海は、今度は功海へと走っていく。
「ギュオオォォ――――ン!」
「まずい……!」
グルジオボーンはもう功海に間近。そこへ、功海へ手を伸ばしながらダッシュしていく克海。
「功海ぃ―――――!!」
「克兄ぃ―――――!!」
互いに手を伸ばし合う克海と功海だが、そこにグルジオボーンが火炎を吐き出す!
「ギュオオォォ――――ン!」
「うわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――!!」
二人の兄弟は、一瞬にして灼熱の業火の中に呑まれてしまった。
「功兄ぃ!! 克兄ぃ!!」
「お兄ちゃん!! いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
最悪の事態を目の当たりにして、千歌が絶叫を発した。
だがその瞬間! 太陽が激しく輝いた!
「きゃあっ!?」
「な、何!? この光っ!」
まばゆい光を浴びた千歌たちが反射的に顔を背けた。それでもどうにか目を開けると……彼女たちの前に、晴れ渡った青空から二人の巨人が振ってきた!
「えっ!?」
仰天する千歌たちの視線の先で、二人の巨人が土砂を巻き上げながら豪快に着地。赤い二本角の巨人と、青い一本角の巨人がゆっくりと立ち上がる様子に、千歌たちは呆然としてしまった。
「……き、巨人さん……?」
「何なの、あれ……」
開いた口がふさがらない曜と梨子の前で、千歌はまじまじと二人の巨人の威容を見上げた――。
――この突然、どこからともなく現れた二人の巨人は、現場に居合わせていた人や緊急生中継を見ていた人の目にもしっかりと焼きつけられる。
「花丸ちゃん、あれ見て! すっごいよぉ……」
「はぇ~……おったまげたずら……」
避難民に混じっている二人の少女、黒澤ルビィと国木田花丸は唖然とし、
「ど、どうなってるの~!? まさか、私の普段の妄想が現実のものになっちゃったとか!?」
顔をマスクで隠して外を出歩いていた津島善子は勝手にそんなことを口走って、
「わたくし、夢でも見てるのかしら……?」
生中継を見ていた黒澤ダイヤは現実を疑い、
「巨人って……グルジオ様と関係があるの……?」
同じように生中継を見ていた松浦果南は首をひねり、
「ワーオ! アンビリーバボー! とってもファンタスティックねー!」
自家用のヘリで現場を見下ろしていた小原鞠莉はすっかり興奮気味になっていた。
様々な人たちの注目を一身に浴びた二人の巨人は――。
「――何やってるの? あれ……」
何故かその場で自分の身体をベタベタ触ったり、近くの車をつまみ上げたりしていた。
巨人たちの奇行に曜は目が丸くなっていた。
「車が珍しいのかな……?」
曜がそんな風に感じていたが、実際は違う。何を隠そう、この巨人二人の正体は――あろうことか、克海と功海なのであった。
グルジオボーンの放った火炎に呑み込まれてしまったかと思われた二人だが、気がついた時には二人とも謎の白い光の空間を漂っていた。
「どこだここは……?」
「何だ? どうなってんだよ?」
助かったことよりも、不可思議な空間が自分たちの周りに広がっていることに克海と功海は驚いていた。
そんな二人の視界を、突然の閃光が塗り潰す。
「「うわッ!?」」
一瞬顔を背けた克海たちだが、光が収まると、自分たちの目の前に謎のアイテムが出現していた。
左右に取っ手がついてある円形の機械のようなものが二つ。手帳型のケース。そしてそれらのくぼみにちょうど収まる大きさの、メダルのような丸いクリスタル。それぞれ「火」「水」と書かれていて、一緒に赤と銀色の超人の絵が刻み込まれている。
「何これ……?」
「分からん……」
見たこともない道具の数々に唖然とする功海と克海。すると、計五つのアイテムがまばゆい光を放った。
「「うッ!?」」
それとともに、兄弟の脳裏にあるイメージが強く浮かび上がった。
何かが隕石のように地球上に落下し、大地に巨大なクレーターを作り上げる。そのクレーターの中でグルジオボーンが咆哮し、面と向かう二人の巨人が崩れ落ち、無数のクリスタルとなって弾け飛ぶ……。
「ウルトラマン、ロッソ……」
「ウルトラマン……ブル……」
克海と功海は無意識の内に、そんな名前を呼んでいた。そしてその名前が、二本角と一本角の巨人のものだということを直感で理解する。
そこまでで兄弟の意識が元の空間に帰ってきた。
「見た? 克兄ぃ……」
「ああ……。もしかして、俺たちにこれを使えということか?」
二人は強烈なイメージによって、目の前のジャイロの使い方を脳裏に刷り込まれていた。
「じゃあ、一、二の三で行こう」
そう決めると、兄弟二人で合図を唱える。
「一……」
「二……」
「「三! 俺色に染め上げろ! ルーブ!!」」
口から突いて出た決め台詞とともに、二人同時にジャイロに手を伸ばした!
まずは克海がクリスタルホルダーを開き、その中から横に二本の角が生えた超人の「火」のクリスタルを取り出した。
「セレクト、クリスタル!」
クリスタルを胸の前に持っていくと、指で弾いて赤い二本角を伸ばし、ジャイロの中心にセットした。
[ウルトラマンタロウ!]
克海の背後にクリスタルの絵柄の超人のビジョンが現れ、炎が弾ける。
「纏うは火! 紅蓮の炎!!」
呪文を唱えながら克海はジャイロの左右のレバーを引っ張っていく。一回引くごとにエネルギーがジャイロに充填されていき、三回目でジャイロから渦巻き状にエネルギーがあふれ出た。
[ウルトラマンロッソ! フレイム!!]
「うおぉぉーッ!」
克海の身体を猛々しい火柱が包み、赤い巨人へと変身して右手を振り上げ飛び出していく!
功海はクリスタルホルダーから「水」のクリスタルを取り出した。
「セレクト、クリスタル!」
功海の方はクリスタルから青い一本角が出てきて、それをジャイロに嵌め込む。
[ウルトラマンギンガ!]
功海の背後に、身体の各所に水晶を持つ超人のビジョンが現れて水の波動に変わった。
「纏うは水! 紺碧の海!!」
克海と同じように、呪文とともにジャイロのレバーを引く功海。一回、二回とジャイロにエネルギーが集められ、三回目で解放される。
[ウルトラマンブル! アクア!!]
「はあぁぁーッ!」
功海の身体は水柱に包まれ、青い巨人となって左手を振り上げて飛び出していった!
こうして克海と功海の兄弟は神秘の巨人戦士、ウルトラマンロッソとウルトラマンブルに変身して大地に降り立ったのである。
『マジか! 俺たちすげーことになってんぞ!』
『一体どうなってんだ……!?』
巨人となった自分たちの変化に自分たちで驚いていた功海と克海だが、グルジオボーンはロッソとブルを目の当たりにすると、すかさず駆け出して二人に襲いかかってきた!
「ギュオオォォ――――ン!」
『どうする功海!?』
『おっしゃ! 行くぜぇぇッ!』
『おぉいちょっと待てって!』
迫り来るグルジオボーンを警戒した克海と対照的に、お調子者の功海は元気はつらつにグルジオボーンを迎え撃ちに行った。
『ジャンピングキック!』
飛び蹴りをかまして攻撃しようとしたブルだが、勢いだけのキックは外れ。おまけにブルはグルジオボーンを見失ってしまう。
『あれ? あれ?』
「ギュオオォォ――――ン!」
『うわぁぁ――――!?』
キョロキョロしている内に背後から掴みかかられ、投げ捨てられた。
『おおおおい!?』
動揺したロッソは正面にブルを食らい、二人もつれ合って倒れ込んだ。
「ギュオオォォ――――ン!」
ブルを投げ飛ばしたグルジオボーンは怪しく目を光らせ、高速で接近してくる!
『来るぞ!』
ブルの頭をどかしたロッソは咄嗟に指をグルジオボーンに向けた。その指先から、小さな火球が飛んだ!
「ギュオオォォ――――ン!」
火球を食らったグルジオボーンが急停止する。その一方で、火を出したロッソは驚いて自分の手を見つめた。
『克兄ぃ、今のどうやったんだ!?』
『分からん……何か、ピュッて出た』
『よっしゃあ! じゃ、俺も!』
手から何か出ることを知ったブルは、ロッソをはねのけて意気揚々と起き上がると二本指をグルジオボーンに向ける。
『はッ!』
ブルの指からは、高圧の水流が発射された! 水流はグルジオボーンの足元を攻撃し、その周りの木々がへし折れるほどの威力を見せた。
『すげー! 見た?』
自身の出した水流をロッソに自慢するブル。だがその背後で、グルジオボーンがいよいよ怒り出した。
「ギュオオォォ――――ン!」
『! どけ!』
『あうッ!?』
猛然と迫ってきたグルジオボーンに気づいたロッソはブルを無理矢理どかし、自身の身体で受け止めた。だが転がったブルが起き上がった時には、いなされて倒れ込んでしまう。
『うおぉぉッ!』
『このヤロー!』
ロッソに代わってブルが飛びかかるものの、振り回したグルジオボーンの尻尾がロッソに当たった。
『ぐはッ!?』
脇に食らったロッソがもんどりうったが、先ほどブルが折った木を拾い上げて武器とする。そしてブルを振り払ったグルジオボーンに後ろからバットの要領で殴りつけた。
『んんん! うりゃあッ!』
「ギュオオォォ――――ン!」
しかしまるで効果がない。グルジオボーンが牙を剥いて噛みついてくるので、咄嗟に木を盾にした。
『うおぉッ!』
木で牙を止めたが、ロッソはそのまま振り回される。そこにブルが回し蹴りを仕掛けるが、
『でやッ!』
『うわぁッ!?』
タイミング悪く、ロッソに当たってしまった。ロッソが倒れるが衝撃でグルジオボーンも転倒。
『大丈夫?』
『いってぇ~……お前蹴るなよ!』
ブルに助け起こされるロッソ。だがそこにグルジオボーンの尻尾が飛んできて、二人纏めて殴り倒された。
『『うわぁぁ―――!!』』
更にグルジオボーンが火炎を吐いてくる! 爆炎に襲われるロッソとブル!
『『うわああああぁぁぁぁぁぁッ!!』』
「ギュオオォォ――――ン!」
グルジオボーンの猛攻に追い詰められ、二人は肩で息をする。
『どうしよう、克兄ぃ!』
『歯が立たない……!』
焦るロッソとブル。戦いなど全く無縁の生活をしていた二人では、怪獣を相手にどう戦えば良いのかまるで分からないのだ。
『やべぇじゃん! このままだとやられちゃうよ!』
『そんなこと言ったってどうすりゃいいんだ!』
何とか打開策を考えるブル。すると、自分とロッソの能力の性質の違いに着目した。
『そうだ! 克兄ぃ、俺とクリスタルを交換してくれ!』
『何言ってんだそんなこと出来るのか!?』
『克兄ぃと俺とじゃ、光線の形が違う。ちょっと試したいことがあるんだ!』
『でも……!』
『はーやーく!』
ブルに急かされ、ロッソはしぶしぶ承諾。
『ったく、しょうがないな!』
二人は今使用しているクリスタルを互いに送り合う。そうしてクリスタルに一本角と二本角を出し、ジャイロにセットし直した。
『纏うは火! 紅蓮の炎!!』
[ウルトラマンブル! フレイム!!]
『纏うは水! 紺碧の海!!』
[ウルトラマンロッソ! アクア!!]
エネルギーをチャージして変身すると、ブルとロッソの体色が入れ替わって腕を振り上げた状態で立ち上がった。
ウルトラマンと怪獣の戦いを恐る恐るながめていた千歌たちは、このことに驚愕した。
「色が変わった!」
クリスタルを交換して形態を入れ替えたロッソとブルは、改めてグルジオボーンに挑んでいく。
「ギュオオォォ――――ン!」
『おぉッ!』
グルジオボーンが吐き出した火炎を、ロッソが水の盾で防御。火炎が消えたところで肉薄し、肉弾を叩き込む。
『よぉーし俺もッ! はッ!』
勇んだブルが両手から火炎弾を連続発射! ――だがグルジオボーンに接近していたロッソも被弾する。
『うおおおおおおおッ!? あッ、熱ちぃッ! 熱ちッ!』
まさかの誤射を食らってあたふたしたロッソは、ブルに食ってかかりに行った。
『やばいだろ! 周り確認して撃てよ!』
『やっぱ交換すると違う火が出るんだ! かっけー!』
しかしブルはさっぱり相手をしなかった。
『聞いちゃいないなこいつ……なぁ?』
がっくりしたロッソが同意を求めたが……振り返った先には、グルジオボーンの顔が間近にあった。
『『あ』』
「ギュオオォォ――――ン!」
グルジオボーンが腕を振り回して襲い掛かってきたのを、すんでのところでかわすロッソたちであった。
だがグルジオボーンの起こす地響きが千歌たちを巻き込み、三人が悲鳴を発する。
「いやああぁぁぁぁぁっ!」
その声に気づいたロッソとブルはハッと意識が切り替わった。
『『千歌!!』』
それと同時に二人の雰囲気が変わり、真剣にグルジオボーンを迎え撃とうと構える。
『遊んでる場合じゃないな、功海!』
『ああ! これ以上千歌たちに怖い思いはさせられねぇぜ!』
ロッソとブルの調子がガラリと変わり、二人交互による連続攻撃をグルジオボーンにぶち込み出した。
『『はぁッ!!』』
兄弟のダブルキックがグルジオボーンに入った。形勢逆転したかに見えたロッソたちだが、その時に胸の中心にある発光器官が赤くなって点滅し出し、同時にロッソたちも焦りを見せた。
『やばい、克兄ぃ……何か、急に胸がドキドキしてきた……』
『俺もだ……。もう時間を掛けてらんない感じだな……!』
アイコンタクトを取った二人はいよいよ意を決し、全力でグルジオボーンにぶつかっていった。
『『はぁぁッ!』』
ロッソがグルジオボーンの上体を抑えている間にブルが足をすくい上げ、ロッソが押すことで転倒させることに成功した。
「ギュオオォォ――――ン!」
『『せぇのッ!』』
すかさず尻尾を捕らえ、二人がかりでグルジオボーンを振り回す! そして放り投げて地面に叩きつけると、ブルがロッソへ呼びかけた。
『克兄ぃ! 怪獣を水のバリアで覆ってくれ!』
『分かった!』
ロッソが水の塊を作り出すと、アンダースローで投擲する。
『からのー! 熱線ッ!』
ロッソの水球を追いかける形で熱線を発射するブル。グルジオボーンを包み込んだ水のバリアが熱せられ、水蒸気爆発によってグルジオボーンを空高く弾き飛ばした!
「ギュオオォォ――――ン!」
『『セレクト!』』
グルジオボーンが落下してくるまでに、ロッソとブルは元の形態に戻って最後の攻撃の構えを取る。ロッソが巨大な火球を作り出し、両腕を十字に組む。ブルは腕に水を溜めてL字に組んだ。
『フレイムスフィアシュート!』
『アクアストリューム!』
落ちてきたグルジオボーンが、二人の渾身の一撃の直撃を受ける!
「ギュオオォォ――――ン!!」
そして頭から地面に落下したと同時に、大爆発! グルジオボーンの撃破を確認した二人は思わず安堵の吐息を漏らした。
『やった……!』
『やったぞ!』
怪獣に勝利したロッソとブルは、拳を上下に打ち合わせて手の平を叩き合った。
『決まったね、俺たち……!』
喜びに震えるブルだが、直後にその身体が薄れて消えていく。
『お、おい!? しっかりしろ功海!』
動揺したロッソの身体も透き通っていき、脱力しながら消えていった。
『あぁ~……』
――グルジオボーンの消滅と同時に、何者かの手が降ってきたクリスタルをキャッチした。
そのクリスタルには、「魔」の一文字とグルジオボーンの姿が刻み込まれていた……。
突然公園を襲った怪獣が謎の二人組の巨人に倒され、巨人もすぐに消え去ったことで、人々は徐々に落ち着きを取り戻していった。そして千歌と曜は、巨人の出現前後から安否の分からない克海と功海を捜して駆け回っていた。
「お兄ちゃんたち、無事なの……? どこ行ったんだろう……」
「あっ、千歌ちゃん! あそこ!」
曜が指差した先に、仰向けで折り重なって失神している克海と功海の姿があった。
「克海お兄ちゃん! 功海お兄ちゃん!」
すぐ駆け寄った千歌と曜が克海たちに呼びかけて目覚めさせようとする。
「克兄ぃ、功兄ぃ、しっかりして!」
「う、うーん……」
二人は曜たちの声によって覚醒し、おもむろに身体を起こした。
「千歌、曜……」
「二人とも、大丈夫だったか?」
「それはこっちの台詞だよっ!」
「お兄ちゃんたち、怪我はないの? 何か怪獣の他に巨人さんが二人も出てきて大変だったんだよ!」
克海たちに外傷が見られないので安心した千歌と曜は微笑を見せる。
「すっごい疲れちゃったよ。千歌ちゃん、今日はもう帰ろうよ」
「うん。お兄ちゃんたち、ちゃんと歩ける? 梨子ちゃんはもう帰っちゃったのかな……」
千歌が気にした梨子は、遠巻きに彼女と向かい合っている克海を見つめていた。
「あの人……あの子のお兄さんなんだ……」
曜は功海の手を取って引っ張り出す。
「ほらほら功兄ぃ。また何か起こるかもしれないし、幼馴染をエスコートしてよね!」
「おい引っ張んなって! もうクタクタなんだよ……。腹も減ったしな~」
「あっ、ミカンならあるよ!」
先を行く千歌たちの後ろについていきながら、克海が心中で独白した。
(何だか俺たち、大変なことになってしまったみたいだ。これからどうなっちゃうんだろう……。けどまぁ、なるようにしかならないか)
考えるほど不安が沸き上がるが、楽しげに戯れる功海、千歌、曜の後ろ姿を見ていると、気持ちが和らぐ克海であった。
(とりあえず、俺たち――ウルトラマンはじめました)
『高海兄妹のウルトラソングナビ!』
千歌「千歌だよ! 今回紹介するのは『帰ってきたウルトラマン』主題歌だ!」
千歌「この歌を歌ったのはみすず児童合唱団と、主演俳優の団次朗さん! ウルトラシリーズで初めてドラマの主演俳優さんがオープニングテーマを歌唱したんだよ!」
千歌「歌詞もとても特徴的で、ウルトラマンが登場して怪獣と戦って、勝負に勝つという番組の基本的な流れを踏襲したものになってるの! だからオープニングの一番だけじゃ、歌の本当の意味は分からないってことになるのかな」
千歌「ちなみに主題歌の候補に最後まで残った『戦え!ウルトラマン』という曲もあるの。録音もされてるから、機会があれば聴いてみてね」
克海「そして今回のラブライブ!サンシャイン!!の歌は『青空Jumping Heart』だ!」
功海「アニメ第一期のオープニングテーマだな! アニメ版を代表する曲で、第二期でもある場面で印象的な使われ方をしたぜ!」
克海「Aqours全員によるユニット曲。アニメの始まりには最適だな!」
千歌「それじゃ、また次回っ!」
克海「突然ウルトラマンの力を得てしまった俺たち……。そんな重い責任を背負えるのか?」
功海「考えすぎだぜ克兄ぃ。怪獣がまた千歌たちを襲うんだ。俺たちが助けなきゃ!」
功海「次回、『兄弟Hand in Hand』!」
克海&功海「俺色に染め上げろ! ルーブ!!」