ウルトラブライルーブ!サンシャイン!!   作:焼き鮭

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ウルトラマンDREAMER(A)

 

\前回のウルトラブライルー「『THE ULTRAM@STER ORB DARK NOIR BLACK SCHWARTZ』ゥゥゥゥッ!!」

 

サルモーネ「ウワ――――ハハハハァ――――! これまでは与えられた力の意味をなーんも理解してないなんちゃってウルトラマンどもがでしゃばっていたが、これからは違うぞぉ! この私、サルモーネ・グリルドが真のウルトラマン伝説を始めるのだッ! 絆の力でぇぇぇぇッ、輝きの向こう側へぇぇぇぇぇッ!!」

 

 

 

 内浦の海岸周辺の上空を、小原家所有のヘリコプターが飛行していた。それに搭乗しているのは、小原鞠莉。

 

「ふぅ……各方面への根回しも楽じゃないわ。でも、これも浦の星のため……」

 

 鞠莉はヘリに揺られながら、大きなため息を吐いた。生徒数減少のため、廃校寸前の浦の星女学院を存続させるために、彼女は学校経営の関係者に話を通しにこうして飛び回っているのだ。

 

「だけどこれでひと段落ついたし、ようやくスクールアイドルに専念できるわ。あとは果南がもう一度スクールアイドルをやってくれれば……果南が考えを改めれば、ダイヤだって……」

 

 二年前に喧嘩別れしてしまい、未だ仲が戻らぬ友に想いを馳せた鞠莉は、ふと思考を別のところに切り替える。

 

「それにしても……この映像……」

 

 取り出したタブレットの画面に再生したのは、綾香にグルジオボーンが再度出現した際に撮影された動画。グルジオボーンに飛び蹴りを決めたロッソが、急にしゃがみ込んで動かなくなる。

 傍から見たら不可解な行動だが、鞠莉はこれを、地上にいる誰かと話をしているのではないかと分析していた。ロッソの目線は、地面の方を向いているのだ。この角度だと、その先に誰がいるのかまでは見えないが……。

 

「もしかしたら、ウルトラマンって……でも、まさかそんな……」

 

 草野球の時に、功海や克海が不自然に球場を離れたことも思い出しながら、一つの可能性を思い浮かべる鞠莉だが、普通ならあまりに突飛な考えなので、今一つ確証が持てない……。

 悶々としていたその時――突然ヘリを衝撃が襲い、鞠莉と操縦士が激しく揺さぶられた。

 

「な、何事!?」

「大変ですお嬢さま! 操縦不能! 高度が落ちていきます!」

 

 操縦士が半分パニックになりながら告げた。

 

「何ですって!? 原因は!?」

「わ、分かりません! うわあああぁぁぁぁぁぁ―――――!?」

 

 操縦桿が全く効かず、地面にめがけ一直線に落ちていくヘリ。――しかし、

 

『でゅうわッ!』

 

 機体が突然巨大な何かに掴まれ、落下は止められた。

 鞠莉は窓の外に見える、巨大な顔を目の当たりにして驚愕した。

 

「う……ウルトラマン!? だけど、黒い……!」

 

 その顔立ちの特徴は、ウルトラマンのもの。しかし、ロッソともブルとも違う、黒い身体のウルトラマンであった――。

 

 

 

『ウルトラマンDREAMER』

 

 

 

「あぁーもうっ! あったま来るぅぅぅぅーっ!」

 

 『四つ角』の居間で、善子がガシガシと頭をかきむしった。その後ろでは、花丸と果南が克海と功海、梨子、曜の手当てをしている。

 

「梨子ちゃん、みんな……大丈夫ずら……?」

「うん……。ありがとう、花丸ちゃん」

「……私たち、負けたんだね……」

「認めたくねぇけどな……」

「ノーヒットノーラン……コールドゲームのボロ負けだ……」

 

 落胆する曜たち。クリスタルの力を使って黒いウルトラマンと化した愛染――宇宙生命体サルモーネ・グリルドに完全敗北を喫した彼らは、ほうほうの体でこの『四つ角』に帰ってきたのであった。

 しいたけも今ばかりは、何かを察したのか、梨子には寄りつかずに庭で心配そうにしていた。

 

「くぅーん……」

 

 戻ってからも、善子は怒りが収まらぬ様子だった。

 

「誰の頭がおかしいよ! あんたの名前なんか、オーブダーク黒黒黒! そっちの方が頭おかしいじゃないっ!」

 

 ウガーと叫ぶことでストレスを発散しているが、すぐに湧き上がってくる善子。と、そこに、千歌とルビィが息せき切って居間に駆け込んできた。

 

「お兄ちゃんもう帰ってるー!? って、果南ちゃん来てたの? っていうか梨子ちゃんたちどうしたの!? お兄ちゃんまでっ! 特別レッスンってそんなキツかったの!?」

 

 目に飛び込んできた光景の情報量が多すぎて混乱気味の千歌を克海が落ち着かせる。

 

「まぁそんなとこ……。それより千歌、一体どうしたんだ?」

「あっそうそう! 今さっきニュースで流れたんだけど……これ見て! 大変だよっ!」

 

 千歌が皆にスマホの画面を見せる。その中に、ニュースの動画が流された。

 

『見て! ヘリがっ!』

 

 内浦の人が偶然撮影したもので、カメラが海の方向に向けられると、小原のヘリコプターが黒い煙を上げて急速に落下していくところが映される。

 

「!? これって鞠莉ちゃんのところのヘリじゃ!」

「えっ!? 鞠莉!!」

 

 克海の言葉に、果南が色を失ってスマホにかじりついた。

 映像の中でヘリが落ちていくが、そこにかのウルトラマンオーブダークの姿のサルモーネが飛んできて、ヘリを受け止めた。

 

「……!」

『黒い巨人は、ヘリコプターを海岸に下ろして飛び去った、とのことです。一体この巨人は何者でしょうか……』

「ね? すごいでしょ? 新しいウルトラマンさんだよー!」

 

 このウルトラマンの正体を知らない千歌は、無邪気にはしゃいでいる。

 

「危ないところで鞠莉さんのヘリを助けるなんて、まさにヒーローだよ! かっこいい……」

「やめて! そいつの話をするのはっ!」

 

 千歌の言葉を、善子が声を荒げてさえぎった。

 

「ど、どうしたの善子ちゃん……?」

 

 面食らって固まる千歌。しかし、善子は名前の訂正も忘れるほどに自分を抑えるのに必死だった。

 

「……?」

 

 克海たちのただごとではない様子と動画を見比べて、ルビィが不思議そうに首を傾げた。

 

 

 

 アルトアルベロタワーでは、ウッチェリーナが記録した先ほどの戦闘の映像をサルモーネが見返していた。

 

[パワー、スピード、スタイル! 全て五段階評価の五といったところです! いえ、スピードは六、パワーに至っては七と言えるでしょう!]

 

 それを受けてサルモーネが気を良くした。

 

「うむ、素晴らしい! まさに7! 6! 5! という訳だ!」

 

 鼻歌交じりにサルモーネが、これからの活動予定を語る。

 

「明日からどんどん活躍して、新たなウルトラ伝説を打ち立てるぞぉ! Saint Snowもアイゼンテックの権力で推して推しまくって、私がアイドルマスターにプロデュースするのだぁッ! アイゼンテック、ファイトぉーッ!」

 

 

 

 千歌たちを退席させると、克海たちの秘密を知った果南が、克海と功海に呼び掛けた。

 

「克兄ぃ、功兄ぃ……ウルトラマンなんてもう辞めてっ!」

「果南ちゃん、何を!?」

 

 曜が驚いて振り向くが、果南の必死の形相で思わず口をつぐんだ。

 

「今回だってそうだし、これまでだって、克兄ぃたちすごく危ない目に遭ってたじゃない……。次は怪我じゃ済まないかもしれない……。克兄ぃたちがそんなことになったら……千歌ちゃんはどうなるの!?」

 

 懸命に訴えかける果南だが、それに善子が感情的に反論した。

 

「それって、負けっぱなしで泣き寝入りしろってこと!? 冗談じゃないわ! 今度はヨハネが梨子と曜の仇を討つのに変身……」

「気分を晴らすなんかより、命の方が大事でしょ!? 未来がなくなっちゃうかもしれないんだよ……!?」

 

 果南が鬼気迫る表情で怒鳴ったので、善子も思わず口を閉ざした。

 

「……確かに、あいつにボロカスに言われて腹が立つ。だが……」

 

 逆説で続ける克海に、果南は一瞬ほっと息を吐いた。

 しかし、

 

「だが――一番腹が立つのは、みんなの夢を侮辱されて、一矢も報いられなかった俺自身だ」

「!? 克兄ぃ、駄目だよ……!」

 

 続く言葉を果南が制そうとしたが、克海はより大きい声で封じ返した。

 

「果南ちゃん、確かに命は大事だ。けど、みんなのことをああも貶されて黙って引き下がるような奴は男じゃないッ! どんな危険があったとしても、絶対に負けられない戦いがあるんだ!!」

 

 克海の強い熱気に当てられ、果南は反対する言葉を出せなくなった。

 

「とはいえ、今のままじゃ勝ち目がないのも分かってる」

「克兄ぃ。あいつと戦って、分かったことがある」

 

 功海も真剣な面持ちとなって発言した。

 

「あいつと比べて、俺たちは攻撃の振りや動作がいちいち大きすぎる。当たらない訳だよ」

「ああ……。梨子ちゃんと曜ちゃんの協力で、俺たちはパワーアップはしてた。だけどそのパワーを制御できてなかった。どれだけパワーを上げたところで、俺たち自身に扱い切れるだけの実力がなかったら何の意味もないんだッ!」

 

 そう結論づけて、勢いよく立ち上がる克海と功海。

 

「特訓だ! 俺たち自身を集中的に鍛えて、一分一秒でも早く奴に食らいつけるようにするぞ、功海!」

「おうよッ! じっとしちゃいられねーぜ! もう今すぐに始めようぜ克兄ぃ!」

 

 血気にはやる克海と功海は、その勢いのままに『四つ角』を飛び出していった。

 

「あっ! 手当てがまだ終わってないずらよ!?」

「克兄ぃ……功兄ぃ……」

 

 傷を癒す暇も惜しむ兄弟の熱意に当てられて、曜、梨子、善子も表情を引き締めた。

 

「功兄ぃたちばかりに苦しい思いはさせられないよ! 私たちも頑張らなきゃ!」

「ええ! パフォーマンスももっと磨いて、二度と地味だなんて言わせないようにするわ!」

「向こうもSaint Snowを取り込んでたからあんなに強かったはず。ヨハネたちも強くなれば、功海たちはもっともっと強くなるわ! 高みを目指すわよぉっ!」

 

 おー! と張り切る三人を、感服したように見つめる花丸。

 

「みんなやる気満々ずら……。マルも、置いてかれないようにしないと!」

 

 その傍らで、皆の様子を目の当たりにした果南は、うつむいて何かを思い返しながら独白した。

 

「負けられない戦い……か……」

 

 

 

 翌日の放課後、梨子、曜、善子は誰よりも早く校舎の屋上に来て、トレーニングを始めていた。

 

「いちっ! にっ! さんっ!……」

 

 三人が声をそろえて一心不乱にバーピーを行う場面に、後から来た千歌が面食らう。

 

「曜ちゃんたち、すごい熱心だね……! 東京でのことを差し引いても……。どうしたの?」

 

 尋ねかけた千歌に、曜たちはトレーニングを続けながら答えた。

 

「ちょっとね……! どうしても、今より実力を高めないとって思うことがあって……!」

「千歌ちゃんは気にしないで……! 私たちが、自主的にやってることだから……!」

「そ、そういう訳にはいかないよ! みんなが頑張ってるのに、私が頑張らない訳には! でも、そんなに頑張るのは……」

 

 一生懸命な梨子たちの姿に、千歌は何かを得心した。

 

「……そんなに夏祭りのイベントが楽しみなんだね!」

 

 ずれた解釈をしていた。

 とそこに、屋上にルビィと花丸がスマホを抱えながら駆け込んできた。

 

「た、大変だよぉ~!」

「これ見てずらぁーっ!」

「どうしたの?」

 

 千歌たちがスマホの画面に注目する。

 そこには、内浦と綾香間を運行するバスが崖から落ちかけ、そこをオーブダークが救出する内容の動画が流れていた。

 

「また黒いウルトラマンさんが出て、バスを事故から救ったってニュースで……」

「また!?」

「すごい! 二日連続で町の人たちを助けるなんて……ヒーローそのものだね!」

 

 何も知らない千歌は無邪気に興奮しているが、オーブダークの正体を知る梨子たちは複雑な顔をしていた。

 

 

 

 理事長室では、鞠莉が小原家のヘリコプターの整備士と電話をしていた。

 

「ええ、クラスのみんなにもすごい心配されちゃったの。……気にしないで。あなたたちの整備に不備があったなんて、思ってなんかいないから」

 

 責任を感じている整備士を優しくなだめた鞠莉は、相手に問いかけた。

 

「でも、事故の原因は何だったのかしら。急に操縦不能になるなんて……。何か分かった?」

『それが……』

 

 整備士はとても言いづらそうにしながらも、次のように回答した。

 

『ありえないことだとは重々承知しておりますが……どう調べても、外から強い衝撃が加えられたとしか思えないんです……』

「強い衝撃……!? 外から……?」

 

 思わず唱え返す鞠莉。

 

「……いいえ、嘘を吐いてるなんて思わないわ。だけど……一体誰がどうやって……。まさか……」

 

 

 

 その日の帰り。綾香に到着したバスから降りた曜と善子は、オーブダークの二度目の救出劇のことを話し合った。

 

「でも、何か変じゃないかな……。今まではヘリや車が落ちかけるなんて大きな事故、一度もなかったのに、二日立て続けで起きるなんて」

「それに、あの男はどうして事故を事前に察知できるのかしら。まさか、天界の宣告が聞けるんじゃ!?」

「……まぁ、克兄ぃも直感力じゃないかって言ってたけど……ほんとにそうなのかな……」

 

 疑問に思いながら公園前に差し掛かると――公園内に走っていくサルモーネの後ろ姿を発見した。

 

「あっ……!」

「あいつ、こんなところで何を……」

 

 サルモーネを警戒する曜と善子は、隠れながら後をつけて様子を見張る。

 公園に入ったサルモーネは、待ち惚けている小さい女の子の下へ駆け寄っていった。

 

「ミヨちゃーん、お待たせー。愛と正義の伝道師、愛染正義です」

「マサちゃん遅いよぉ」

「ごめーん。はいこれ」

 

 サルモーネは女の子に、ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツの人形を差し出した。

 

「わぁ~、ありがとう!」

「こっちこそありがと。けど、ちょっとだけ間違えちゃったね。シュワルツ、じゃなくて、シュバルツ、なんだよ」

「長いんだもん。その名前嫌い! 覚えらんない!」

「……!」

 

 女の子が走り去っていっても、サルモーネはショックを受けて立ち尽くしていた。一連の流れを、怪訝な顔で見届けた曜と善子。

 

「……何やってたんだろ?」

「さぁ……。知りたくもないわ」

 

 

 

 次の日の休日、克海と功海は旅館のことを父親に頼み、朝から山で特訓に打ち込む手筈だった。の、だが……。

 

「なーんで、千歌たちまでいるんだよ?」

 

 特訓場に千歌、梨子、花丸、ルビィの四人がいることに功海が突っ込んだ。千歌以外は苦笑を浮かべている。

 

「いいじゃーん。お兄ちゃんたち、野球の特訓してるっていうから、一緒に練習しようって思って。私たちも今、夏祭りに向けて特訓中なんだよ!」

 

 千歌がそう言うと、梨子が克海に囁きかけた。

 

「私たちもトレーニングしてるのを見て、千歌ちゃんもすっかり乗り気になっちゃったんです」

「すまない、梨子ちゃんたちまで巻き込んで……」

「いいんです……。私たちも、負けたくない気持ちは同じです」

「そうか……。けどそれじゃ、曜ちゃんと善子ちゃんも?」

「はい。でも、ちょっと遅いですね……」

 

 

 

 その頃、曜と善子は内浦へのバス停に向かおうとしていたのだが、今は喫茶店の店先のテーブルをとある二人と囲んでいた。

 

「それで……本当に、愛染――ううん、サルモーネの仲間になるつもりなんだね? Saint Snowのお二人さん」

 

 その相手とは、聖良と理亞の二人。街中でばったり会った曜たちは、内浦に行く前に彼女たちと話をすることにしたのだ。

 

「そもそも、あなたたちはどうやってあいつと出会ったの?」

 

 先日のこともあり、つんけんしている善子が問いかけると、聖良が落ち着き払いながら答えた。

 

「東京でのイベント後、あの人から直々にお誘いを受けました。私たちの才能を見込んだということで。もちろん初めは、あまりにも突飛な話に戸惑いましたが……彼から見せてもらったんです。私たちの知らない、宇宙という広大な世界で活躍するアイドルの姿を」

 

 そう語ると、聖良の頬はやや上気する。

 

「衝撃でした。μ'sやA-RISEにも劣らぬ輝きを放ち、更に命をも護る力を持った人たち……。サルモーネさんは、自分に協力すれば私たちをあの人たちと同等のアイドルに導いてくれると約束してくれました。私たちも、私たちが人命を助けることが出来るのなら助力は惜しみません」

 

 聖良の言葉に、理亞が無言でうなずいた。

 聖良は曜と善子の瞳を正面から覗き込みながら宣言する。

 

「先の対決で分かったと思いますが、あなたたちではヒーローには力不足です。これからは、私たちがこの街を守ります」

 

 

 

 克海と功海と一緒にトレーニングを始めた千歌たちであるが、千歌は二人の特訓のあまりの激しさに、見ているだけで疲れてしまっていた。

 

「はぁ、お兄ちゃんたちすごい張り切ってるなぁ……。だけど、野球にあんな特訓必要なのかな?」

 

 筋トレや投球練習ならいざ知らず、剣技の練習まで行っていることに流石に疑問を感じる千歌。

 

「梨子ちゃんはどう思う?」

「わ、私にはよく分からないわ。でも、克海さんたちがやるからにはそうなのよ」

 

 真実を知る梨子は目を泳がせながらごまかした。

 

「そうなのかな……。あれ?」

「どうしたの?」

 

 視線を梨子から外した千歌が、不意にあらぬ方向を見やった。

 

「何か、誰かに呼ばれたような……あっちの方から……」

「あっ、千歌ちゃん!?」

 

 ふらふらと山の奥へ立ち入っていく千歌を慌てて追いかける梨子。異常に気づいた花丸やルビィ、克海と功海も手を止めて後を追っていった。

 

「待って千歌ちゃん! どうしたの……」

「あっ、あそこ見て!」

 

 茂みをかき分けていった千歌が、正面を指差す。

 その先、一本の樹が上に生えた洞穴から、琥珀色の光が漏れ出ていた。明らかに、普通の光景ではない。

 

「あの光、何だろ……?」

「みんな待った。危険なものかもしれない。俺と功海が先に見てくる」

「気をつけてね、お兄ちゃん!」

 

 注意を引きつけられる千歌たちをその場に留めて、克海が慎重に洞穴の中に入っていった。

 洞穴はさほど広くはないが、その奥部で幾重にも積まれた石の下から、琥珀色の光は生じていた。この石に、何かが隠されているようだ。

 

「何だありゃ……」

「石を崩してみるか」

「よぅし……!」

 

 克海と功海は協力して積まれた石を取り払っていった。すると下から、輝く何かが浮き上がってきて、克海の手の平の中に収まった。

 

「これって……!」

「……ルーブクリスタル!」

 

 琥珀色の光の正体は、「土」の字がV型の冠のウルトラ戦士とともに刻まれたクリスタルであった。

 

 

 

 聖良の話を聞いた善子は、バンとテーブルを叩いて腰を浮かした。

 

「だけど、あいつのこと見てたでしょう!? あんな人に散々罵声を浴びせるような奴が、本物の聖戦士だと思うの!?」

 

 そう言われると聖良も理亞も一瞬言葉に詰まったが、それでも聖良が反論した。

 

「ですが、あなたたちは彼に全く太刀打ちできなかった。それが現実です」

「うっ……それは、そうだけど……」

「それに、あの人の正義のために行動する気持ちは確かです。あなたたちも、知ってるでしょう? サルモーネさんは、既に二度も事故を未然に防いでます。失礼ながら、あなたたちにその経験はありますか?」

 

 これに善子たちは何も言い返せなかった。確かに、自分たちは怪獣が現れてからでしかウルトラマンに変身したことがないが……。

 その時に、街頭テレビにあるニュースが流れる。

 

『続いての話題は、黒い巨人です。連日綾香市の人々を事故から救っている黒い巨人ですが、昨日も小学三年生の相馬美代子ちゃんの手を離れた、赤い風船を捕まえ返してくれた、とのことです』

 

 オーブダークの話題が流れ、四人の目が街頭テレビに向けられるが、曜と善子はインタビューを受ける件の少女の顔に注目して目を細めた。

 

『ミヨちゃんね、お名前聞いたの』

「あれ? あの子……」

 

 その顔に見覚えがあったのだ。昨日、サルモーネが公園で会っていた女の子と、同じ顔なのだ。

 更に女の子は、こう唱えた。

 

『あのね……ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュワルツ!』

「!!」

 

 いきなり曜たちが立ち上がったので、聖良たちは面食らった。

 

「シュワルツじゃなくて……!」

「シュバルツ! そういうことだったんだ!」

「ど、どうしたんですか?」

 

 戸惑う聖良と理亞に、曜と善子は顔を近づけて訴えかけた。

 

「よく聞いて! あいつは、正義の味方なんかじゃない!」

「あなたたちは騙されてるのよ! あの天使の面を被った悪魔に!!」

 

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