ウルトラブライルーブ!サンシャイン!!   作:焼き鮭

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彼らのSTART:DASHはまちがっているのか。(B)

 

(♪キボウノカケラ)

 

 店内のBGMが変わる中、克海たちは金色のサンダルの男と向かい合う。

 

「ルパーツ星人……?」

 

 自らをそう名乗った男に対して警戒を深める克海たち。一方のデュエスなる男は、対照的に自然体で続ける。

 

「宇宙人なんているはずが、なんて白々しいことは言うなよ。お前らは既に宇宙人と会ってるだろ」

「……!」

 

 どうやら愛染正義――サルモーネの正体のことも知っているようだ。ますます何者なのか。

 

「まぁ立ち話も何だ。そこに座りな。椅子は人数分用意したぜ」

 

 半円形のテーブルの円周には、ちょうど十人分の椅子が並べられていた。克海たちは依然警戒しながら、順々に腰を下ろしていく。

 

「兄弟は真ん中座れ。俺の正面」

 

 指示しながら、デュエスはテーブルに新しいマッカンを置く。

 

「飲むか? マッカン。別にんな警戒しなくたって、毒なんか入ってねぇよ」

「……」

 

 何で宇宙人がマックスコーヒー……と思っていると、デュエスは更に「銀河マーケット」と書かれたカゴの中に山積みとなった駄菓子を差し出してきた。

 

「菓子もいっぱい買ってきた」

「お菓子!」

「こら、おやめなさい! はしたないですわよ」

 

 ルビィと花丸が思わず身を乗り出したのを、ダイヤにたしなめられた。

 場が落ち着くと、克海が代表してデュエスに質問を投げかける。

 

「あんたが本当に宇宙人かどうかは置いといて……どうして俺たちのことに詳しいんだ?」

「そりゃあ、お前らがウルトラマンに変身するからさ。興味ぐらい持つ」

 

 あっさり答えたデュエスが、逆に聞いてくる。

 

「それより、お前らはウルトラマンがそもそも何なのか、ちゃんと知ってんのか?」

「いや……」

 

 首を振る克海たち。彼らはもう何回もウルトラマンに変身しているが、それがどういう存在で、どこから来たのかということに関しては何も存じない。サルモーネも、ウルトラマンを「正義のヒーロー」としていたが、詳しいことは何も話さなかった。

 

「やっぱりな。じゃあ教えてやるが、ウルトラマンとは端的に言えば、光を得て進化した超人類。そして宇宙のバランスの調停者だ」

「調停者……?」

「過去に様々なウルトラマンが、あらゆる次元宇宙の均衡を保ってきた。こことは別の宇宙……分かりやすく言えば、パラレルワールドでな。お前らが持ってるクリスタルに描かれてるウルトラ戦士も、別世界の地球を守護した奴らさ」

 

 功海が思わずクリスタルホルダーを取り出して、火や水のクリスタルのウルトラマンの絵を確かめた。

 

「そうなのか……!? パラレルワールドって……」

「完全にSFの世界になってきたね……」

 

 曜が横からクリスタルを覗き込みながらつぶやく。だが鞠莉はデュエスの言うことについて、半信半疑だ。

 

「あなたの言うことが、本当に真実だと?」

「別に信じたくねぇならそれでもいいさ。だが、かく言う俺も別の地球で、ウルトラマンと何人か関わったことがある」

「別の地球って……あの写真とか、そこで撮ったの?」

 

 善子が上座に飾られている写真の一枚を指差した。その中には、「銀河マーケット」というワゴン店の前でデュエスが、歳の頃はダイヤらと同じか少し上くらいの、やたらと目つきの悪い少年や、スレンダーな体型のクールビューティーという言葉がよく似合う長髪の美少女、善子のようなシニヨンをピンク色に染めたギャル風の少女、「THE SPACE AGE」とプリントされたシャツとデニムジャケットを羽織った青年、竹刀袋を担いだ女性と一緒に写っている。

 

「ああ……。あれは友達と撮った奴だ」

「友達?」

「大事な友達だ。ずっと暗闇の中にいた俺を、救い出してくれた」

 

 写真を見つめるデュエスの瞳には、感慨深い輝きが宿っていた。そこにどれほどの想いが込められているのか、事情を知らない克海らには想像がつかない。

 

「……それはいい。ともかく、ウルトラマンは宇宙の安寧を司る、責任重大の存在だってことさ。――だってのに、お前らは……」

 

 話を続けるデュエスの口調が、克海と功海をにらみながら徐々に荒立っていく。

 

「な、何だよ」

「お前らの戦いぶり見たぞ。ひどいのひと言だ。特に初戦! 何だあれ? いくらずぶの素人だからって、あれはねぇよ。自分らの命懸かってるって理解してたのか? 阿呆どもが」

「何だとぉ!?」

「い、功海さん、落ち着いて……」

 

 真正面から罵倒されて、短気な功海がいきり立つのを梨子がなだめる。が、

 

「その後も悲惨のひと言だ! よそ見するわ、私語が多いわ、戦いに不真面目だわ! 緊張感ってもんがないのかお前ら! 挙句の果てには、オーブダークとかいう見た目だけ取り繕った紛い物に二人がかりで負ける始末! お前ら俺が見てきたウルトラマンの中で、ぶっちぎりの最低だよッ! そもそも俺は、所用でここに来ただけでお前らに干渉するつもりなんかなかった! だがお前らがあんまりにも情けねぇから、喝を入れることにしたんだ! あんなザマでこの先やってけると、思ってんのかお前ら!?」

 

 怒鳴り散らした喉を潤すようにマッカンをグビグビ飲むデュエス。一方的な物言いに、功海たち以外も徐々に気分を害していく。つい先日に横暴極まるサルモーネと戦ったばかりなのでなおさらだ。

 功海と克海が眉間に皺を寄せて言い返す。

 

「そんなん、余計なお世話だっつーの!」

「そりゃ、俺たちがウルトラマンのことをどこか軽く考えてたのは認める。だけどあの敗戦で反省して、今は毎日トレーニングを重ねてる……」

「甘いッ!!」

 

 デュエスがドンッ! と缶ごとテーブルを叩いて克海の言葉をさえぎった。思わずビクリと肩を震わすルビィたち。

 

「このマッカンよりも甘めぇよ、お前らの考えなんか」

「……」

 

 上手いこと言ったつもりか、と内心ツッコむ善子ら。

 

「ダイエットじゃねぇんだぞ。これこれこういうことをすればオッケーですよなんてもんはウルトラマンにはねぇんだ。というかそもそも、そういうとこじゃねぇんだよお前らの問題は!」

「何?」

「お前らに欠けてるのは! 世界を守る使命を背負う正義を貫く茨の道を進んでく意志だ! 自分らの後ろに守らなきゃいけねぇもんがあるっていう意識だよ!」

 

 とのたまうデュエスに、ムッとして反論する果南。

 

「あんたに克兄ぃたちの何が分かるの!? 克兄ぃたちは、いつもみんなを助けようとがんばって……」

「気持ちだけじゃ足りねぇんだよ! こいつらにはな、覚悟がねぇんだ!」

「覚悟だぁ!? あるに決まってんだろ! 甘く見んなよ!」

 

 怒鳴り返す功海だが、デュエスはフンと鼻で笑った。

 

「つい昨日、俺のキングオブモンスに手も足も出せずにびびってたってのによく言う」

「あ!? あれお前の怪獣かよ!」

「もしも俺があの時本気で町をぶっ壊すつもりだったら、どうなってた? あの時それが考えられて、必死になれてたか? 覚悟っていうのはそういうことだ!」

 

 痛いところを突かれ、功海も克海もぐッ……とうなるばかりであった。

 そんな二人に代わり、ダイヤがデュエスをにらみつける。

 

「先ほどから聞いていれば、随分と偉そうなことばかり……。あなたがどのような人か知りませんが、ウルトラマンの何を知っていますの!?」

 

 するとデュエスはきっぱりと言い放つ。

 

「ウルトラマンはな、ただ敵を倒すだけじゃねぇ。世界中の人間を明日に導き、全てを救う存在だ。時には敵対する相手をもな」

「敵対する相手も?」

「そうだ。周りに馴染めないってだけで何もかもに絶望して全てをぶっ壊そうとするノミより弱い心の、手下に殿下なんて超痛てぇ呼び方させるようなろくでなしでどうしようもないド畜生のゴミクズ野郎をもだッ!」

「喩えがやたら具体的な上にすごい言いよう!?」

 

 ガーンとショックを受ける曜たち。一体過去にどんなことがあったのかは知らないが、モデルとなる人物がいて、その人と何かあったのだろうか。

 

「単に敵を倒しゃいいんなら極端な話、惑星ごとぶっ飛ばす超兵器でもありゃいいんだ! そうじゃねぇだろ!? ウルトラマンになる奴は、たとえ相手がどんな化け物だろうと、背にしてるものを護った上で、『倒す』んじゃなく『勝』たなきゃならねぇ! その修羅の道を突き進むには、決して折れない鋼の精神力が必要なんだ! 今のお前らにはねぇだろそれ! そんなことじゃあこの先に待ってる戦い、絶対生き残れねぇ! 断言してやるッ!」

「ぐぅ……!」

 

 厳しい言葉をひたすらぶつけてくるデュエスに歯ぎしりする克海と功海。そんな時に、梨子が問いかける。

 

「何で断言なんて出来るんですか? さっきからのあなたの口ぶり……まるで、これから起こるだろうことの予測がついてるみたいです」

 

 デュエスがむッ、と一瞬口をつぐんだ。

 

「もしかして、あなたは妖奇星……どうして最初のウルトラマンが地球に落ちてきたか、何でクリスタルになって分散したのか……1300年前に起きたことの真相を、掴んでるんですか?」

「……!」

 

 梨子が指摘した可能性に、曜たちは驚いて目を剥いた。

 対するデュエスは腕を組んで、しばし沈黙。そしてひと言発した。

 

「全てを、知ってる」

「!!」

 

 大きく息を呑む一同。次に続く言葉を、固唾を呑んで待つが、

 

「だが教えねぇ」

「何だよそれぇ!!」

「ケチずらー!」

 

 ガクッ! と一斉に肩を落とす功海ら。それに冷めた目を送るデュエス。

 

「何がケチだ! さっきも言ったが、俺は本来部外者だぞ。そんな俺から教えを乞うような心持ちでどうする! そんな甘ったれた精神じゃ、どの道話したところで何も変えられねぇぞ!」

「あーもうッ! 何なんだよお前ぇ! さっきから何も肝心なこと言わねーでこっちをなじってきてぇッ!」

 

 フラストレーションがたまり続ける功海が頭をかきむしった。いよいよ場は口喧嘩の様相になってくる。

 

「とにかくッ! 何が何でもこの星を護り抜こうって覚悟が決まらないんなら! ウルトラマン辞めちまえッ!! 俺がもっと相応しい奴を捜してやる!」

「余計なお世話だってんだよッ!」

 

 たまりかねた功海と克海がガタッと荒々しく立ち上がった。

 

「お前みたいな訳わかんねー奴の助けになるくらいだったら、覚悟ぐらい決めてやるよ!」

「あんまり俺たちをなめるなよ! この先何があったって、俺たちは地球でも何でも護ってみせる!」

 

 半ば勢いで宣言した二人。

 デュエスはそれを待っていたとばかりに、こちらも席を立った。

 

「言ったな? じゃあその言葉、本当かどうか試してやろう」

 

 と言い放って取り出したのは、表面に怪獣が描かれた小さなカプセル。

 

「イッツ!」

『ギャオオオオオオオオ!』

 

 カプセルの側面のスイッチをスライドすると、怪獣の鳴き声がカプセルから発せられて、デュエスはそれを、腰に取りつけたホルダーに装填した。

 

「アワー!」

『ピッギャ――ゴオオオオウ!』

 

 更にもう一つカプセルを起動する。そちらに描かれているのは、克海たちが戦ったことのある黄色い怪獣だ。

 同じように装填ナックルに押し込むと、三つ目に赤と黒の握力計のような道具を取り出した。

 

「ショウタイム!!」

 

 そのアイテム、ライザーで二つのカプセルをスキャンするデュエス。

 

フュージョンライズ!

「おおおおおおおッ!」

 

 ライザーを横向きに胸の前に置くと、取っ手にあるトリガーを握り込んだ!

 

「はぁッ!」

 

 ライザーの液晶画面の螺旋が激しく回り、デュエスの左右に怪獣たちのビジョンが現れる。

 

ゴモラ! レッドキング!

ルパーツ星人デュエス! スカルゴモラ!!

 

 フランス人形とレコードプレーヤーに見守られながら、デュエスが怪獣のビジョンと融合して肉体を変貌。右腕を突き上げて飛び出していく!

 

「えっ!?」

「変身した!!」

 

 直後にズシィンッ! と外から響く轟音と震動。克海たちがそろって店から飛び出すと、山のような異形の巨体を見上げる形となる。

 

「ギャオオオオオオオオ! ピッギャ――ゴオオオオウ!」

「か、怪獣!」

 

 鞠莉たちの目の前に、ちょうど二体の怪獣――ゴモラとレッドキングが合成されたような大怪獣がそびえ立っている。デュエス融合獣スカルゴモラ!

 

『「さぁ、変身して戦え! 俺に負けたら、お前らの変身アイテムは没収だ!!」』

 

 克海たちを見下ろして豪語してくるデュエス。克海と功海は、この挑戦を迎え撃つ構えだ。

 

「要は、俺たちの力を見せろってことか!」

「だったら最初からそう言えってんだ! 回りくどい奴だぜ!」

 

 勇んでルーブジャイロを取り出す克海と功海。その側に、梨子と曜が並んだ。

 

「克海さん、私たちも一緒に!」

「私たちも、功兄ぃたちがダメじゃないってあいつに教えるんだから!」

「ありがとう!」

「よっしゃ行くぜ!」

 

 梨子と曜を後ろにしながら、兄弟がジャイロを前に突き出した。

 

「「俺たち色に染め上げろ! ルーブ!!」」

 

 クリスタルホルダーから克海が水、功海が火のクリスタルを選択する。

 

「「セレクト、クリスタル!」」

 

 それぞれ選んだクリスタルをジャイロにセット。

 

「纏うは水! 紺碧の海!!」「纏うは火! 紅蓮の炎!!」

 

 水柱と火柱の二つが立ち昇り、その中からロッソアクアとブルフレイムが腕を振り上げて立ち上がる。

 

『『はッ!!』』

 

 変身を遂げた二人のウルトラマンが、スカルゴモラと相対して堂々と見得を切った。

 

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