サルモーネによって召喚された巨大な猛獣に、曜や梨子たちが目を見張る。
「何あれ! 狼!? ライオン!?」
「怪獣だわっ!」
巨大猛獣は山の頂上から一足飛びで、内浦の真ん中に着地する。怪獣の出現に、内浦は一気にパニック状態となった。
「ウオオオオオ―――――ン!」
克海たちが猛獣に気を引きつけられている間に、サルモーネは飛行装置を背負っていた。
「豪烈暴獣ホロボロスだ。強いぞぉ~? あれに勝てたら、認めてあげてもいいよ。じゃ、がんばってねー♪」
「ま、待てっ!」
「怪獣を消してっ!」
果南やルビィがサルモーネを捕まえようとしたが、サルモーネは空中に飛び上がり、彼女たちの手の届かないところへと逃げていってしまった。
「くそッ……! 怪獣もジャイロで呼び出してたのか!」
「あれも取り上げとくんだったぜ!」
後悔する克海と功海に、ダイヤと善子が駆け寄る。
「今は怪獣を止めるのが先ですわ! あれが暴れ出す前に、早く!」
「あのサタンの使徒の思惑を粉砕するのよ!」
「ああ!」
克海と功海は拳を打ち鳴らし合い、ルーブジャイロを取り出した。
「「俺たち色に染め上げろ! ルーブ!!」」
克海がクリスタルホルダーから火を、功海が水のクリスタルを選択する後ろで、ダイヤが後ろ髪をかき上げ、善子が右目元にブイサインを置く。
「「セレクト、クリスタル!」」
兄弟がジャイロにクリスタルをセットし、タロウとギンガのビジョンを呼び出す。
[ウルトラマンタロウ!][ウルトラマンギンガ!]
「纏うは火! 紅蓮の炎!!」
「纏うは水! 紺碧の海!!」
クリスタルの力で、ダイヤと善子と変身したロッソとブルが、怪獣ホロボロスの正面に着地。その様子を、固唾を呑んで見守る梨子たち。
『「町には人がいっぱいいるわ! 早く裁きを下してしまいましょう!」』
『よ~し……!』
ホロボロスが動き出す前に、ブルが速攻を決めようとするが、それを制止するロッソ。
『「お待ちを! あの怪獣、恐らくサルモーネの切り札。ひと筋縄ではいかないでしょう……!」』
『俺たちから行く……!』
ホロボロスの動きを警戒しながら、ロッソがジリジリと間合いを図り合った。
「ウオオオオオ―――――ン!」
戦いを一望できるビルの屋上まで移動してきたサルモーネは、飛んできた自社の飛行船をバックに、レポート用紙とペンを取り出してロッソたちの戦闘を観察し始めた。
ダイヤは開幕早々にオーブリングNEOを取り出す。その手に握られたリングが光り輝き、ダイヤの指がスイッチを押した。
「『ゼットシウム光線!!」』
ロッソの右腕に光と闇の稲妻が纏わりつき、両腕を十字に組んで光線にして発射する!
光線はホロボロスに直撃し、その全身を爆発が呑み込んだ。
『やったか!?』
必殺技が決まったことで一瞬安堵したロッソとブルだが……。
『「……待って! いないわ!」』
善子が叫んだ通り、硝煙が晴れると、ホロボロスの姿が忽然となくなっていた。爆散した痕跡もない。爆発に乗じてどこかに隠れたのだ。
『どこ行った!?』
背中合わせになって周囲に目を走らせるロッソたち。だが、あの巨躯にも関わらずホロボロスの影すら見つけ出すことが出来ない。
「いきなりの光線は往々にして失敗しがちだ! 光線の扱いバツ!」
サルモーネがレポート用紙の項目の一つに大きなバツ印を記した。
「ウオオオオオ―――――ン!」
必死に周りを警戒するロッソとブルの耳に、ホロボロスの吠える声が聞こえる。しかし姿が見えない。
『「どこですの……!?」』
冷や汗を垂らすダイヤの視界の端に、青い影が一瞬だけ入り込んだ。
『「あそこ! 今山の後ろにいたっ!」』
指差す善子。ホロボロスは内浦を囲む山々や、ビルの陰から陰を移動しているようだ。だがロッソたちの目は、残像しか捉えられない。
『速い……!』
『どこに隠れたんだ……!?』
ホロボロスの隠れ場所を見つけられず、立ち往生するロッソとブル。下手に動けば不意打ちをもらうかもしれないが、かと言って見境なく周りを攻撃できるはずもない。最初の攻撃は悪手であった。
焦るブルの視界の端に、青いものが動いたように見えた。
『あそこかッ!』
振り返ったブルの視線の反対側から、ホロボロスが飛び掛かってくる!
「ウオオオオオ―――――ン!」
『うわぁッ!?』
押し倒されるブル。ホロボロスは彼に馬乗りになって、前足の太く頑強な爪で激しく殴打してきた。
「ウオオオオオ―――――ン!」
『ぐあッ!』
『「くぅぅっ! 地獄の番犬め……!」』
ホロボロスを押しのけようとするブルだが、ホロボロスの筋力はすさまじく、まるで抵抗できない。
『「おやめなさい!」』
ブルと善子を助けようと、ロッソがホロボロスの背中に飛びついて跨り、首を引っ張る。
『大人しくしろッ!』
ロッソが後ろからホロボロスの頭を叩くも、ホロボロスは全く応えない。それどころか上半身を振り上げ、ロッソを振り払った。
『うわぁッ!』
仰向けに倒れたロッソの方にホロボロスが飛びつき、喉笛に噛みつこうとするのをロッソが必死で食い止める。
『「うっ……!」』
喉を噛み千切られる恐怖が目前に迫り、ダイヤのこめかみに嫌な汗が流れた。
「お姉ちゃん……!」
ロッソたちの苦戦に、ルビィたちはもちろん、ビーチの千歌たちも焦燥を浮かべる。
『「克海たちが危ない!」』
『力技じゃ駄目だ!』
ふらつきながらも立ち上がったブルが、角からルーブスラッガーを抜く。
「『ルーブスラッガーブル!!」』
更に善子が土のクリスタルをスラッガーに装着する。
[ウルトラマンビクトリー!]
ブルが剣をVの字に振り上げると、そのラインに沿って土のエネルギーが並ぶ。
「『グラビティスラッシャー!!」』
土の破片を斬撃にして飛ばし、ロッソを襲うホロボロスに食らわせた! ホロボロスの力が弱まった隙にロッソが逃れる。
斬撃の連発を食らったホロボロスが倒れ込んだ。
『「決まったわ!」』
ぐっと手を握る善子だったが……倒れたのは一瞬だけで、ホロボロスはすぐにブルに詰め寄ってきた!
「ウオオオオオ―――――ン!」
『うわああぁぁぁッ!』
猛烈な勢いの突進を食らい、吹っ飛ばされるブル。ロッソが追撃されないように彼の前に急いで回り込んだ。
『「大丈夫ですの!?」』
『「う、うぅ……!」』
「効いてないかもしれないんだから、必殺技の後も油断しない! 警戒心バツ!」
サルモーネが別の項目に新たにバツ印を書き加えた。
ブルを助け起こしたロッソは、彼に指示を出す。
『クリスタルチェンジだ!』
ダイヤと善子が、ホルダーから別のクリスタルを取り出した。
『「「セレクト、クリスタル!」」』
[ウルトラマンビクトリー!]
[ウルトラマンティガ!]
ダイヤが土、善子が風のクリスタルをジャイロにセットした。
『纏うは土! 琥珀の大地!!』
『纏うは風! 紫電の疾風!!』
『「ダイヤッホー!」』
『「堕天降臨!」』
クリスタルチェンジで、ロッソとブルはダイヤと善子の得意とする形態に変身する。
『「ここからが本番ですわ!」』
『「堕天使の風を見せてあげる!」』
「ウオオオオオ―――――ン!」
ホロボロスは変身したロッソたちに猛然と突撃してくる。ブルは両手に風を纏わせ、それに向けて一気に放出した。
「『ストームフォース!!」』
放たれた突風がホロボロスの突進を止める。
「ウ……ウオオオオ……!」
あまりの風速と風圧に、さしものホロボロスも前に進めなくなって後ろに引きずられる。この隙を突いて、ロッソが手を横に動かして空中に土の塊を五つ作り出し、一個の巨岩に纏めた。
「『グランドコーティング!!」』
土の塊を投げつけると、ホロボロスの全身を土が固め、完全に身動きを封じ込んだ。
『「今の内ですわ!」』
『ああ!』
土の中に閉じ込めたホロボロスをロッソが念力で封じている内に、ブルが上空に飛び上がって光線の発射用意を行う。
しかしホロボロスはその状態で暴れ、拘束から脱しようとしている。
『くッ……何て奴だ……!』
『「そうは行きませんわよ……!」』
念力を発する手が震えるロッソだが、ダイヤの尽力で抵抗を続ける。その間に、ブルが渾身の一撃を繰り出した!
「『ストームシューティング!!」』
風の光線がホロボロスにクリーンヒット!
『よっし!』
『「いくら何でも、これで……!」』
全力を叩き込んだ善子が額の汗をぬぐうが、
「ウオオオオオ―――――ン!」
これでもホロボロスは倒れず、大ジャンプしてブルに一回転からのかかと落としをお見舞いした!
『うわあああぁぁぁぁぁ―――――――!!』
『「きゃああああぁぁぁぁぁっ!!」』
痛恨の一打を脳天に食らい、地面に真っ逆さまに叩き落とされるブル。
『功海ぃッ!!』
『「善子さんっ!!」』
『「よ、ヨハネよ……!」』
大ダメージをもらいながらも、善子が残る力を振り絞ってブルにエネルギーを分け与え、どうにか立ち上がらせる。しかし戦闘が長丁場になっていることで、カラータイマーが点滅して限界が近いことを報せた。
『まずい、もう時間が……!』
『「早く決めないとっ!」』
焦った善子がオーブリングNEOに手を伸ばした。掴んだリングが光り輝き、ボタンを押して光のエネルギーをスパークさせる。
「『スペリオン光線!!」』
「ウオオオオオ―――――ン!」
だがリングを使った攻撃は既に見切られており、光線はホロボロスの爪で弾き返された。
しかも流れ弾が当たったビルが吹き飛び、ビーチに落下していく!
「きゃあああ―――――――!?」
『しまった!!』
ビーチに残っている千歌たちが悲鳴を上げた。ブルは高速移動で彼女たちの前に回り込み、ビルの残骸を受け止めて助ける。
「ウオオオオオ―――――ン!」
しかし直後にホロボロスが横から突進してきて、ブルをはね飛ばした!
『うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――ッ!!』
「功兄ぃぃぃぃぃ―――――!!」
「善子ちゃんっっ!!」
絶叫する曜たち。
これがとうとうとどめとなり、ブルはエネルギーを使い果たして消え去っていった。
『この野郎ぉぉッ!』
『「いい加減になさいまし! この狂犬っ!」』
「ウオオオオオ―――――ン!」
怒ったロッソがホロボロスに飛び掛かるも、後ろ蹴りで返り討ちにされる。
『ぐッ、俺たちもエネルギーが……!』
『「こうなれば、残った力を全てぶつけましょう!」』
最早活動時間の猶予が残されていないロッソは賭けに出て、頭上にエネルギーの全てを注ぎ込んだ巨大な土のボールを作り出す。これをぶつけて、異様なタフさのホロボロスを一気に押し潰すつもりだ。
『食らえ……!』
『「ま、待って!」』
だがいざ放とうとしたその時に、ダイヤが血相を抱えて止めた。
『「ここからだと、千歌さんたちを巻き込んでしまいます!」』
『あッ……!』
ホロボロスはビーチを背にしており、巨岩を投げつけようものならそこにいる人たちにまで攻撃が当たってしまう! ロッソの手が止まる。
「ウオオオオオ―――――ン!」
その隙を突かれ、接近してきたホロボロスの固い爪がロッソを殴り飛ばした。
『ぐわあああぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――ッ!!』
「克海さぁんっっ!!」
「お姉ちゃあああ―――――――んっ!!」
ロッソもまたエネルギーを使い果たして斃れ、消え去っていった。
「他人をかばって自分がやられてたら、その後誰が戦うんだぁぁぁぁぁぁッ! 判断力バツバツバぁぁぁぁぁぁツッ!!」
サルモーネが癇癪を起したように用紙に滅茶苦茶にバツを書き込んで、フンッと鼻息を吹いた。
「決まりだな」
「うッ、うぅ……!」
活動時間の限界を超え、変身が解けた克海と功海は道路の上に倒れ込んでいる。その側には、ダイヤと善子が力を使い果たしてぐったりと気を失っていた。
「みんなぁっ!」
そこに果南たちが急いで走ってくるが、彼女たちの到着より先に、投げ出されたオーブリングNEOを拾う者が現れた。
「サルモーネ……!」
「『負け犬のわおーん』」
もう立ち上がる余力もなく、サルモーネを憎々しげに見上げるしかない克海と功海に、サルモーネは目の前に短冊を投げ捨てた。
「ヒーローは遅れてやってくるんだよ。つまり……君たちは前座ッ! ウルトラマン失格ぅッ! もう変身しちゃダメだからねぇッ!!」
「それを返しなさいっ!」
「おっと」
果南が駆け込んでリングを奪い返そうとしたが、サルモーネはひらりと身をかわした。
「ハハハッ。君たちはぁ、スケールが小さいんだよ。町を守る? 学校を守るぅ? ウルトラマンもアイドルも、もっと広い世界を舞台に活躍するものだよ。んんぅ?」
「……あなたは、何のために戦うというの!?」
鞠莉がキッとにらみつけて問い返すと、サルモーネはにやついて答えた。
「誰のためでもなぁい。強くてかっこいいヒーローは、誰の心にも希望を与えるのさぁ」
文句が美しいだけの、何の重みもない言葉であった。
克海と功海が梨子たちに介抱されながら、サルモーネに侮蔑を向ける。
「お前には、守りたいものがないのかッ!」
「哀れな奴だ……!」
サルモーネは二人に、せせら笑いで返した。
「すぐ隣にいた人すら守れなかったのに、なーに言ってるんだか。まッ、どっちが正しいか、じっくり見物してるといい。あッ! 就職と留学の件、決心ついたら連絡してねぇ~!」
「待ちなさいっ!」
背を向けて立ち去ろうとするサルモーネを捕まえようとする果南だが、その前にホロボロスが飛ばした瓦礫が降ってきて足止めされてしまった。
「うわっ!」
「果南ちゃん危ないっ!」
咄嗟に果南を引き戻す曜。瓦礫の向こう側から、サルモーネが最後にひと言吐き捨てた。
「あばよ」
「ウオオオオオ―――――ン!」
「うわあああぁぁぁぁぁぁ―――――――――!!」
ロッソとブルを打ち負かしたホロボロスは山の頂上に飛び乗って、遠吠えを発して内浦中を威圧する。怪獣の猛威に、町中の人々が恐れおののき逃げ惑う。
サルモーネはその逃げる人波の間を格好つけて逆行していた。
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全 け め 々 望 の
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「そのヒーローこそ私! サルモーネ・グリルドだ!」
サルモーネはドリンクショップの出店まで戻ると、テントの中に隠れて椅子にドカッと座り込んだ。
「今こそ全世界待望! ウルトラマン伝説の幕開けの時なのだぁーッ!!」
サルモーネが握ったリングが闇に染まり、中央のボタンが押される。
「絆の力……お借りしまぁすッ!」
リングの力を使い、サルモーネが闇のウルトラマンに変身する!
[ウルトラマンオーブダーク!]
『でゅわッ!』
「ウオオオオオ―――――ン!」
山の頂上を陣取るホロボロスの正面に、オーブダークが出現。逃げ惑っていた町の人たちは、その姿に思わず足を止めた。
『銀河の光がオレも呼ぶ! 我が名は、ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツ!!』
魔剣オーブダークカリバーを構えるオーブダークを見上げ、克海たち四人を安全なところへ連れていこうとしていた曜たちが息を呑んだ。
「ああ……!」
――函館では、聖良と理亞が内浦からの中継映像で状況を目の当たりにして、絶句していた。
「姉さま、これ……!」
「嘘……! どうしてこいつが、また……!」
世界中の人間の目を集めながら、偽りで塗り固められたウルトラマンがホロボロスへと剣を向けて気取った。
『でゅうわ……!』
『Aqoursのウルトラソングナビ!』
曜「ヨーソロー! 今回紹介するのは、『誓い』だよ!」
曜「この歌は『ウルトラギャラクシー大怪獣バトル』の第二期『NEVER ENDING ODYSSEY』の主題歌だよ。このシリーズは、当時の筐体カードゲーム『大怪獣バトル』のメディアミックスとして制作されたテレビ番組で、ウルトラマンじゃなくて怪獣使いレイオニクスのレイを主役にした、いわば番外編なんだ」
曜「歌手は中西圭三さん! 作詞作曲も担当してるよ! とっても勇ましいイメージの歌で、大怪獣バトルの映像作品にぴったりの雰囲気! 最後の目的地が地球だから、地球を目指す旅路を想像させる歌詞にもなってるの!
曜「中西さんはエンディング曲の『愛のしるし』も担当してるよ。この二つの歌で、『大怪獣バトルNEO』を彩ったんだ!」
克海「そして今回のラブライブ!サンシャイン!!の曲は『サンシャインぴっかぴか音頭』だ!」
功海「名前の通り、夏祭りには定番の音頭だな。舞台の沼津市の企業と公式コラボを推し進めたサンシャインならではって言えるぜ」
克海「振りつけもあるんだが、何とそれは幼稚園の先生が考えたものを逆輸入したという逸話つきだ。幼稚園の先生すごいな」
曜「それじゃ次回に向かって、ヨーソロー!」
千歌「二人のウルトラマンさんがやられた後に現れたのは、三人目のウルトラマンさん! 怪獣と戦うウルトラマンさんだけど……」
克海「違う……あいつはウルトラマンじゃない!」
功海「これ以上あいつの好きにさせてたまるかよ! 俺たちは負けねぇぜ!」
功海「次回、『アイゼンTrapper』!」
千歌「かんかんみかん!」