「ウオオオオオ―――――ン!」
『『おぉぉッ!』』
綾香の街を蹂躙するホロボロスに向かっていくロッソとブルは、滑空しながら突撃。飛行の勢いを乗せた拳を相手の腹部に入れ、大きく殴り飛ばした。
「ウオオオオオ―――――ン!」
『はッ!』
ホロボロスが地面に叩きつけられると、着地したロッソとブルが手の平を叩き合って呼吸をそろえる。
『『縄文土器作戦開始!』』
構えを取って宣言したロッソたちに、起き上がったホロボロスが大きく吠えて飛び掛かっていく。
ロッソたちが戦っている頃、ルビィたちは、
「ま、待ってよぉ千歌ちゃーん!」
「本気!? 危ないわよ!」
戦場に向かって走る千歌を慌てて追いかけていた。
善子が思いとどまるよう叫びかけるが、千歌の足が止まることはなかった。
こちらに目掛け迫り来るホロボロスに、ロッソが土の塊を投げつける。
「『グランドコーティング!!」』
ロッソが次々に投げつける土の球がホロボロスの五体を順番に包み込んでいき、全ての球を投げた時には全身が土で固められていた。
しかしこのままでは、恐るべき筋力のホロボロスを長く抑え込んでいることは出来ない。そこでブルの出番だ。
「『フレイムバーン!!」』
両手の平から火炎放射を繰り出すブル。火で焼かれた土がコチコチに固まり、ホロボロスの身動きを完全に封じ込めた。
『「よしっ! 今の内だよ!」』
『「ええ! 一気に決めましょう!」』
曜の呼びかけにうなずき返す梨子。ロッソは掲げた両手の間に土を集め、巨大な岩の爆弾を作り上げる。
「『グランドエクスプロージュン!!」』
これを身動きの取れないホロボロスに放ち、猛烈な爆発をまともに食らわせた!
『やったか!?』
『よっしゃあッ!』
確かな手応えを感じたロッソたち。だが――。
「――ウオオオオオ―――――ン!」
『何!?』
渾身の一発が直撃したというのに、ホロボロスは倒れてはいなかった!
「ウオオオオオ―――――ン!」
むしろ更に凶暴化したように、暴れ狂いながら爪を振りかざして切りかかってきた。
『うわッ!』
ホロボロスの飛びつきを咄嗟にかわすロッソとブル。梨子と曜は冷や汗を垂らす。
『「今のを受けても何ともないなんて……!」』
『「丈夫すぎるよこいつぅっ!」』
ホロボロスの屈強すぎる肉体に、作戦が破られたロッソたちは追いつめられていた。ホロボロスの単純な強さには弱点がなく、そのせいで活路を見出せずにいた。
『こうなったら作戦も何もなしだ! 全力で相手するぞ!』
『このヤロー! いい加減倒れろぉーッ!』
ロッソとブルは捨て身の覚悟でホロボロスに飛び掛かっていき、肉弾の勝負に打って出るも、やはり肉体の強度には大きな開きがあって、瞬く間に叩き伏せられていく。
「ウオオオオオ―――――ン!」
『うわッ!』
『ぐわぁぁッ!』
ロッソとブルのコンビネーションを物ともせず、爪や脚による攻撃で二人を返り討ちにするホロボロス。追いつめられる二人の元に、千歌が走ってくる。
「克海お兄ちゃんっ! 功海お兄ちゃーん!」
『『千歌!?』』
千歌に振り返ったロッソたちがギョッと目を剥いた。
『「な、何で千歌ちゃんがここに!? 避難したんじゃ……!」』
「ごめん! 千歌がどうしてもって聞かなくて……!」
曜が戸惑っていると、千歌を追いかけてきた果南たちが声を張って謝った。
『くッ……! 何としても奴を倒さなければ!』
目の前にはホロボロスがいる。最早退くことが出来なくなったロッソたちは、尋常ならざる覚悟を固める。
『「曜ちゃん! クリスタルチェンジよ!」』
『「うん! 全力を絞り尽くそう!」』
梨子と曜はクリスタルチェンジし、自分たちの持てる力の全てを出し尽くせる状態となる。
『「ビーチスケッチさくらうち!」』
『「ヨーソロー!」』
[ウルトラマンロッソ! フレイム!!]
[ウルトラマンブル! アクア!!]
ロッソフレイムとブルアクアに変身した二人が、すかさずダブルドロップキックを仕掛ける。
『『はぁぁぁぁーッ!!』』
「ウオオオオオ―――――ン!」
全身全霊の攻撃が決まり、ホロボロスも流石に蹴り飛ばされたが、押されたのは一瞬だけ。すぐに体勢を立て直してロッソたちに再度襲い掛かってくる。
「ウオオオオオ―――――ン!」
『うわぁッ!』
ロッソとブルにタックルをかまし、捕らえたまま締め上げようとするホロボロス。だが、ロッソたちはひたすらに踏ん張って抵抗し、ホロボロスを押し返そうとする。
『「こ、ここから先は絶対通さない……!」』
『「すぐ後ろに、千歌ちゃんたちがいるんだ……!」』
千歌たちを護るため、全身から汗を噴き出しながら力を出し続ける梨子と曜。しかし持久戦となってはウルトラマンに分が悪く、やがてカラータイマーが点滅を始める。
それでも決してあきらめずに拮抗し続けていると、千歌がオーブリングNEOを再び取り出し、それに願いを込め始めた。
「お願い……! どうか、お兄ちゃんたちに力を……! お兄ちゃんたちを、助けて……!」
リングをぎゅっと握り締めながら、万感の想いを捧げる千歌。
「お兄ちゃん……! 私、信じてる! だから負けないで!!」
必死の願いを、あらん限りの声で叫ぶ千歌。
すると、
「ずらっ!?」
「な、何ですの……!? リングが、光って……!」
千歌の手の中のリングから、すさまじい閃光がほとばしった。あまりの光量にダイヤたちは直視できず、反射的に目をそらす。
「す、すごい光……! 私たちが使った時も、こんなには光らなかったのに……!」
驚きを見せる鞠莉。そしてリングはひとりでに浮き上がって千歌の手から離れ、ホロボロスに苦しめられているロッソとブルの元へと一直線に飛んでいった。
ホロボロスとの間に入り込んだリングが更なる閃光を発して、目を焼かれたホロボロスはロッソたちから手を放して後ろに倒れる。
「ウオオオオオ―――――ン!」
解放されたロッソたちは安堵するより、見たことがないほどに光るリングに驚愕する。
『「オーブリングNEO……!」』
『「すごい光ってる……!」』
驚くとともに、リングの輝きに勇気づけられた梨子と曜は、リングへと手を伸ばした。
『「私たちから行くよっ!」』
曜がリングを手に取り、中央のボタンを押す。リングから生じるエネルギーが、ブルの身体にみなぎった。
「『スペリオン光線!!」』
十時に組んだ腕からほとばしった光の奔流がホロボロスに押し寄せる。
「ウオオオオオ―――――ン!」
前回と同じように弾き返そうとしたホロボロスだが――光線は爪を粉砕! 自慢の武器を砕かれ衝撃を受けるホロボロス。
『「梨子ちゃんっ!」』
『「ええ!」』
曜がリングをパスして、受け取った梨子がボタンを押して光と闇のエネルギーを解放する。
「『ゼットシウム光線!!」』
ロッソの腕から放たれた一撃がホロボロスに突き刺さり、その巨体を空中に吹っ飛ばした。
「ウオオオオオ―――――ン!!」
「す、すごいですわ……!」
「ヨハネたちの時とは、全然違う威力……!」
一転してホロボロスを追いつめるロッソとブル、それを可能としたオーブリングNEOの威力に目を見張るダイヤたち。果南は唖然としながら千歌に振り向いた。
「千歌が、手にしたから……?」
ロッソは今こそが勝機と見て、ブルたちに呼び掛ける。
『俺たちの想いをひとつにするんだッ!』
『分かったぁ!!』
『「梨子ちゃん、お願い!!」』
『「任せてっ!!」』
梨子が再びリングのボタンを押すと、ルーブジャイロにリングをセットしてレバーを引っ張り出す。
『俺たちの守るべきものを!』
『守り抜くために!』
『「「気持ちを、ひとつに!!」」』
三回目のエネルギーチャージの際に、梨子と曜は一瞬、ほんの一瞬だけ、幻視した。
『「「――あなたは……」」』
頭の左右にリボンを結った、誰しもが持っていそうな親しみがありながら、同時に誰よりも温かい慈愛の感情と輝きを醸し出す、不思議な少女の微笑みを――。
『『はぁぁぁッ!』』
ロッソとブルは胸の前に両手で円を作ると、右腕と左腕を頭上に伸ばしてタッチさせる。その二人の手を中心にエネルギーがあふれ返る。
「ウオオオオオ―――――ン!」
二人からただならぬものを感じたか、ホロボロスはこちらも全エネルギーを集中させて光刃を作り出し対抗しようと構える。
ロッソとブルのエネルギーが頂点に達すると、二人の背後にもう一人の光の戦士――真のウルトラマンオーブの幻像が現れ、三人で四色の煌めきを宿した光の輪を作り出す。
『『はぁぁぁぁぁぁ―――――――ッ!!』』
ロッソとブル、オーブが十字を組み、三人の光線をリングで一つに束ねて発射!
「『「『トリプルオリジウム光線!!!!」』」』
「ウオオオオオ―――――ン!」
ウルトラ戦士たちの光線と、ホロボロスの放った光刃が衝突! 光刃が光線を切り裂いて進もうとするが、
「『「『いっけぇぇぇぇぇ――――――――――――!!!!」』」』
光線が光刃を打ち砕き、ホロボロスの肉体を貫通した!
「ウオオオオオ―――――ン!!」
驚異的な耐久力を誇ったホロボロスも遂に限界を迎え、跡形もなく爆散!
「やった……!」
「か、勝ったぁぁぁぁぁ――――――――!!」
これを見届けた千歌たちが、わっと歓声を上げる。
「よかった……本当に、よかった……!」
「これでやっと安心ずらぁ……」
「ナイスファイトっ!」
「ふっ……これぞ堕天使の祝福……!」
「ほらルビィ、何を泣いていますの。お拭きなさい」
「だって、だってぇ……」
胸を撫で下ろす果南、花丸。健闘を称える鞠莉、善子。思わず感涙してしまうルビィを、ダイヤがあやす。
そして微笑んで見上げる千歌に、ロッソとブルが強くうなずくと、二人で拳を打ち鳴らして手の平をパンッと重ね合わせた。
「――春香……」
変身を解いた克海、功海、梨子、曜の四人は、千歌たちの元へと戻ってくる。
「……ただいま」
「……おかえりなさい」
苦笑を浮かべながら告げた克海と功海に、千歌は微笑とともに返した。
そして、ガバッと二人に抱き着く。
「お、おい!?」
千歌は克海と功海の胸に顔を埋めるようにしながら、声を絞り出した。
「よかった……よかったよぉ……お兄ちゃんたちが、帰ってきて……」
「千歌……?」
「どっか行っちゃうかもって思って……怖かったんだもん……。チカを置いて……行っちゃわないでよぉ……」
ぐすっと嗚咽混じりにつぶやく千歌の背中を、克海と功海が優しくさする。
「ごめんな、千歌……。もう隠し事はしないから」
「兄ちゃんたち、ずっとお前の傍にいるからな」
ぎゅっと抱き合う兄妹たちの姿を、梨子たちは微笑みながら、優しい眼差しでじっと見守っていた。
やがて、鞠莉がパンと手を叩いて場を仕切る。
「さっ! みんなで内浦に帰りまショー! 合宿の続きデース!」
「そうですわ! 結局、特訓をやれてません! 明日から改めて行いましょう!」
「え、えぇー!? あれほんとにやるんですかぁ!?」
気持ちを切り替えた千歌たちが、ダイヤの呼びかけにためらいの声を上げた。
「そんな軟弱な気持ちではいけませんわよ! 克海さんたちだって、全力を出し尽くしたところではありませんか! 見習わないといけなくてよ!」
「いや、それとこれとはちょっと違うと俺も思うんだけどな……」
「えらい張り切ってんなー……」
ぼやく克海と功海だが、やる気満々のダイヤは結局誰にも止められそうになかった。
そんなこんなで、一同は和気あいあいと話し合いながら内浦へのバス停へと歩いていく。
「それにしても、最後の一撃すごかったよね。何か背後霊みたいなのまで出てきちゃってたし!」(果南)
「あれこそ光と闇を併せ持つ真なる堕天の使徒……。あるいは、幽波」(善子)
「あんなこと出来るのなら、もっと早くやればよかったのにずら」(花丸)
「いやー、急に頭の中に浮かんできたんだよね。やり方」(曜)
「ええ。実際やってみて、あんなすごい技あったんだってびっくりだわ。無我夢中だったから気にならなかったけど」(梨子)
「ウルトラマンってすごいんだね~……」(ルビィ)
「今更ながら、常識では計り知れない存在だと見せつけられましたわ」(ダイヤ)
「ウルトラマンにはまだまだ俺たちの知らない力があるみたいだな」(克海)
「それって、お兄ちゃんたちがもっともっとカッコよくなるってことかな!?」(千歌)
「何にせよ、今夜は怪獣撃退パーティーやろうぜ! 俺シャイ煮食ってみてぇ! いいよな!」(功海)
「Of course! 一杯十万円デース!」(鞠莉)
「え……!?」(功海)
――団欒とともに立ち去っていく兄弟とAqoursの背中を、謎の少女が密かに見つめていた。
彼女は、特にAqoursに注目してひと言つぶやく。
「……ウルトラマンとともにいる、あの娘たち。何故……」
彼女の頭上の空では、アイゼンテックの飛行船がゆっくりと旋回していた――。
『Aqoursのウルトラソングナビ!』
ダイヤ「ダイヤッホー! 今回ご紹介しますのは、『Shine your ORB』ですわ!」
ダイヤ「この歌は『ウルトラマンオーブ』のエンディングテーマですの。歌手はvoyagerさんと、クレナイガイ役の石黒英雄さんに加え、SSPのお三方の『オーブ』レギュラー陣の皆さまですわ!」
ダイヤ「オープニングの『オーブの祈り』が典型的なヒーローソングだったのに対して、こちらはゆったりとしたメロディで、エンディングらしい落ち着いた曲調となってますわ。一方で、こちらの歌詞も『オーブ』の内容が強く反映されてますわ」
ダイヤ「ところでオーブの存在は『R/B』の中盤で物語に大きく関わっていましたが、肝心のロッソとブルとは意外な関係があったことが終盤になって語られました。驚かれた方もいらっしゃることでしょう」
克海「そして今回のラブライブ!サンシャイン!!の曲は『想いよひとつになれ』だ!」
功海「第一期第十一話のライブシーンで使用された歌だな! ストーリーの都合上、ここでは梨子を除いた八人という珍しい人数でのライブとなったんだぜ」
克海「このライブに至るまでの経緯が十一話の主題だ。千歌と曜ちゃんの関係にスポットが当たる話だから、この組み合わせが好きな人は必見だな」
ダイヤ「それでは、また次回でお会い致しましょう」
克海「ラブライブの予備予選に臨む千歌たちだが、梨子ちゃんが抜けた穴を埋めるのに苦労していた。曜ちゃんが代役を務めることになるんだが……」
鞠莉「曜はチカっちに複雑な気持ちがあるみたい。これはほっとけないわ」
克海「そんな時に現れる新手の怪獣! 千歌たちの邪魔はさせないぞ!」
鞠莉「次回、『ふたりの星で踊るんだもん!』!」
克海「俺たち色に染め上げろ! ルーブ!!」