ウルトラブライルーブ!サンシャイン!!   作:焼き鮭

34 / 70
夢のとりでを照らしたい(B)

 

 『四つ角』から飛び出した克海と功海は、同じように家から駆け出してきたところの梨子とばったり出くわした。

 

「梨子ちゃん!」

「克海さん、功海さん!」

 

 もう彼らの間に言葉は不要。克海と梨子は小さくうなずき合うと、三人でギャラクトロンに向かって走っていく。

 ギャラクトロンの方はまだ動きを見せていないが、いつ暴れ出すか分からない。町の人々が慌てて逃げていく中を逆走していく克海たちは、更に黒澤姉妹と鉢合わせる。

 

「功海さん、克海さん!」

「梨子さんも、こちらにいましたか」

「二人も来てくれたのか。怪獣はまだじっとしてるけど……」

 

 功海がつぶやいた矢先に、ギャラクトロンの両眼が光ってとうとう顔を上げた。

 ウオォンッ、ウオォンッ……!

 

「あッ! 動き出しやがった!」

「……?」

 

 身構える功海たちの一方でダイヤは、自分たちの合流を合図としたかのようなタイミングで起動したことを訝しんだ。

 しかしギャラクトロンが目の前の小屋を踏み潰したことで、黙ってはいられなくなる。

 

「梨子ちゃん、行こう!」

「はい!」

「こっちはルビィとだ!」

「お姉ちゃん、行ってくるね!」

「……皆、お気をつけて」

 

 梨子とルビィがそれぞれ克海と功海の背後につき、兄弟がルーブジャイロを突き出す。

 

「「俺たち色に染め上げろ! ルーブ!!」」

 

 克海と功海はホルダーから火と水のクリスタルを選択。

 

「「セレクト、クリスタル!」」

 

 それらを慣れた手つきでジャイロにセット。

 

[ウルトラマンタロウ!]

[ウルトラマンギンガ!]

「纏うは火! 紅蓮の炎!!」

「纏うは水! 紺碧の海!!」

「ビーチスケッチさくらうち!」

 

 グリップを三回引いて、変身する!

 

[ウルトラマンロッソ! フレイム!!]

[ウルトラマンブル! アクア!!]

 

 梨子とルビィと一体化して、変身巨大化したロッソとブルが立ち上がる。

 

『『はッ!』』

 

 決めポーズを取るロッソとブルへと、ギャラクトロンが振り向いて戦闘態勢を取った。

 

 

 

「……」

 

 氷室は展望台の上から、無言で対峙したウルトラマン兄弟とギャラクトロンの光景をながめている。

 

 

 

 最初に動いたのはギャラクトロンだ。右腕が変形して銃身がせり出し、そこからビームを発射して攻撃してくる。

 

『うわッ!』

『危ねッ!』

 

 ロッソとブルは二手に分かれてビームをかわし、左右からギャラクトロンを挟む陣形を取る。

 

『はッ!』

 

 ギャラクトロンの右手に回ったロッソがビーム砲を捕らえて抑え込み、その間にブルが左手から飛びかかっていく。

 

『おりゃあッ!』

 

 キックを打ち込もうとするブルだったが、ギャラクトロンの左腕が半回転して剣となり、それを振るってきた。

 

『うわッ!?』

 

 咄嗟に後ろに下がって剣を回避したブルが毒づく。

 

『くっそー、両腕に武器仕込んでるとか危ねぇ奴だぜ』

『「こっちもルーブスラッガーです!」』

 

 ルビィの判断でルーブスラッガーブルを抜き、それで立ち向かう。

 

『はぁッ!』

『「えいっ! えいっ!」』

 

 ブルが切り結ぶ一方で、ロッソがギャラクトロンの腹部に蹴りを入れる。しかし相手に応えた様子は見られない。

 左右から抑えつけられているギャラクトロンだが、機体を大きく振るって二人とも難なく振り払った。パワーを底上げしているロッソもだ。

 

『うわッ!』

『くッ……かなり手強そうだな』

 

 数的不利も物ともしないギャラクトロンの馬力と防御力に小さくうめくロッソ。ギャラクトロンは攻め手を緩めることなく、両眼から光線を発射してきた。

 

『うおッ!』

 

 光線の攻撃から逃れる二人。ロッソはストライクスフィアを投擲して反撃。

 

『食らえッ!』

 

 だがギャラクトロンはピンポイントで魔法陣を展開、盾にして防いだ。

 

『何ッ!』

『「隙がないですね……!」』

 

 攻撃、防御ともにレベルが高いギャラクトロンに手を焼くロッソたち。だがギャラクトロンもこちらを狙って接近してくるので、いつまでも逃げ続けている訳にもいかない。

 

『とにかく攻撃するしかないっしょ! 行くぜッ!』

 

 ブルがスラッガーを構えて立ち向かっていく。同時にルビィがクリスタルを取り出して、スラッガーを強化しようとするも、

 その瞬間にギャラクトロンの後頭部のシャフトが伸び、先端のアームがブルの首根っこを捕らえた。

 

『「ぴぎゃっ!?」』

『うげッ!? しまった……!』

 

 首を捕らえられて宙吊りにされるブル。スラッガーでアームを叩くものの、拘束を解くことは出来ない。

 

『功海ッ!』

『「ルビィちゃん!」』

 

 すぐに助けようとするロッソだが、そちらにはギャラクトロンの右腕が切り離されて飛んでいき、ビームで近寄らせない。

 

『うわぁッ! くそッ……!』

 

 ロッソを足止めしている間に、ギャラクトロンは剣でブルの腹部を狙う……!

 

『や、やべぇ……!』

「ルビィ!!」

 

 嫌な汗が額を伝うブルとルビィ。絶叫するダイヤ。絶体絶命!

 

 

 

「……」

 

 この時、氷室が眼鏡を怪しく光らせながら、ジャイロに触れて信号を送った。

 

 

 

 今にもブルを串刺しにしそうなギャラクトロンであったが――何故か急に動きを止めた。

 

『あれ?』

 

 この間にロッソがルーブスラッガーロッソでギャラクトロンの腕を弾き返し、梨子が烈のクリスタルをセットした。

 

[ウルトラマンゼロ!]

「『ゼロツインスライサー!!」』

 

 ふた振りの光刃がシャフトを切断し、ブルを解放する。

 

『大丈夫か、功海!』

『あ、ああ……』

『「クリスタルチェンジよ!」

『「う、うん!」』

 

 梨子とルビィは互いのクリスタルを交換する。

 

『「「セレクト、クリスタル!」」』

『纏うは水! 紺碧の海!!』

『纏うは火! 紅蓮の炎!!』

『「がんばルビィ!」』

 

 瞬時にロッソアクアとブルフレイムにタイプチェンジした二人に、右腕を戻したギャラクトロンがビームで狙ってくる。

 

「『アクアミラーウォール!!」』

 

 しかし相手の手の内が分かってきたことで、ロッソが水の鏡でビームを反射。これには対応し切れず、ギャラクトロンが姿勢を崩した。

 

「『フレイムバーン!!」』

 

 この隙を突いて、ブルが火炎放射を繰り出す。高熱火炎を浴びて更に後ずさるギャラクトロン。

 

『今だッ! 一気に決めるぞ!』

『おうよッ!』

 

 ルビィがオーブリングNEOを手にしてスイッチを押し、ルーブジャイロにセットしてグリップを三回引く。

 

『『はぁぁぁッ!』』

 

 ロッソとブルが高く伸ばした手と手をタッチして、ウルトラマンオーブのビジョンを呼び出し、光の輪を描く。

 

「『「『トリプルオリジウム光線!!!!」』」』

 

 三人の光線を一つに重ね合わせて、超強力な光線と化す!

 ギャラクトロンは正面に魔法陣のバリアを張って一瞬光線を受け止めるが、そのエネルギーを防ぎ切ることは叶わず、突き破られて機体にも風穴を開けられた。

 

『よしッ!』

『決まったぜ!』

 

 全身にスパークが生じたギャラクトロンは、そのまま爆散。それを見届けたロッソとブルが夜空の彼方へと飛び去っていった。

 

 

 

 一連の戦闘を見届けた氷室が、ひと言つぶやく。

 

「……まだ甘いな。もっと成長を促す必要がある」

 

 

 

 アルトアルベロタワーの社長室で、サルモーネが時計を見上げながらぼやいた。

 

「遅いなぁ、氷室君……。もうとっくに戦闘は終わったはずだろうに」

 

 氷室がなかなか戻ってこないことに待ちくたびれているサルモーネが、不意に身をひねった。

 

「あッ、かゆい! 背中かゆい! でも手届かない!」

 

 包帯ぐるぐる巻きの状態では関節の自由が少なく、己の腕が背中まで回らない。そのためウッチェリーナに頼み込む。

 

「ウッチェリーナ君、ちょっとかいて!」

[しょうがないですねぇ。じっとしてて下さいよ]

 

 飛んできたウッチェリーナの底部から孫の手が出てきて、サルモーネの背後に回って上下することで背中をかき始める。

 

[ぽりぽり。ぽりぽり。どうですか?]

「あー違う。もっと下」

[えっ、下? ここですか?]

「違う違うもちょっと右! いやそこじゃない! 下手だなウッチェリーナ君!」

[も~わがまま言わないで下さいよ~]

 

 ウッチェリーナがてこずっていると――不意に横から手が伸びてきて、サルモーネの背中をかいた。

 

「あ~そこそこそこ! いいよぉウッチェリーナ君」

[あの~……これ、私じゃありません]

「え?」

 

 サルモーネが振り向くと――白衣を纏った、見慣れぬ少女がそこに立っていた。

 

「……どちら様で?」

 

 呆気にとられるサルモーネの問いかけを無視して、少女がこんなことを言う。

 

「古き友は言った。ほとんどの人間が偽者だと。無論、あのウルトラマンたちも」

「へ……?」

「彼らの思考は誰かの意見。彼らの人生は模倣。そして、彼らの情熱は引用だ」

 

 少女の言葉にいたく感心するサルモーネ。

 

「深いねぇ~。その友人の名は?」

 

 少女ははっきりと、よどみなく唱える。

 

「オスカー・フィンガル・オフラハティ・ウィルス・ワイルド」

 

 少女の答えに、サルモーネは仰天したように目を剥いた。

 

「へぇ~!? あのオスカー・ワイルドが、お友達!?」

 

 白衣の少女――第四のジャイロを用いて、ホロボロスを召喚した娘はそれきり無言で、サルモーネのことを見つめた。

 

 

 

 後日。克海と功海は『四つ角』で、千歌とラブライブについての話をしている。

 

「全く。千歌、お前には毎度驚かされる。クラスメイトとステージに出ようなんて――出場できるのはエントリーしてる子だけだって規則、知らなかったのか?」

 

 あきれ顔の克海の指摘に、千歌は愛想笑いを浮かべた、

 

「あ、あはは……。だって、みんなの気持ちが嬉しかったんだもん」

「いや、理由になってないから。ルールくらいちゃんと把握しろっての」

「あうぅ~……」

「まぁちょっと考えれば、当たり前だよな。ほいほいメンバー変えられちゃ、大会にならねーって」

 

 肩をすくめる兄二人に、流石の千歌も恥ずかしそうだ。

 それは置いて、功海が話を先に進める。

 

「けどまぁ、九人だけでも結構奮闘したじゃん。かなり僅差の勝負だったらしいぜ」

「ああ。予想外に壮大なステージだったんだがな」

 

 千歌たちAqoursはつい先日、ラブライブ地区予選に臨み、その結果――惜しくも敗退であった。

 Aqoursの始まりから今に至るまでの出来事と、浦の星女学院の現状と廃校から救いたい一心をミュージカル仕立てで観客に訴えかける構成は話題を呼び、得票数で熱い接戦を繰り広げたのだが、もうひと押しが足りなかったようである。

 

「やっぱ、歌に入るまでが流石に長すぎたんじゃねーの? もうちょっと短く纏めときゃあ……」

「えー!? あれでも要約したんだよ! もっと言いたいこといっぱいあったもん!」

「まぁ、過ぎたことをあれこれ言っててもしょうがない。ラブライブは春にもあるんだろ? 今回の反省も踏まえて、早めに準備しとくんだぞ」

「もちろん! 次は絶対優勝して、浦の星を存続させるんだから!」

「おッ、もう大分意気込んでるな」

 

 功海がニヤリを笑うと、千歌は鼻息荒くうなずいた。

 

「そりゃそうだよ! 地区予選の後で、遂に説明会の参加希望者が、0から1に変わったんだから!」

 

 これまで何をしようとも関心を持ってもらえなかった浦の星女学院。しかし、Aqoursの奮闘が遂に実を結んで、説明会参加希望のエントリーがあったのだった。

 

「私たちの頑張りで、変わるものがあった! こんなに嬉しいことはないよ! だからもっともーっと頑張って、私たちの大事な学校にいっぱい人を集めるの!」

 

 熱意を口にする千歌を、功海と克海は温かく応援する。

 

「その意気だぜ。浦女に人が溢れ返る時を、俺も楽しみにしてるぜ!」

「みんなの努力で、照らし出してみせろ。お前たちの、夢のとりでをな!」

「うんっ!!」

 

 千歌は二人の言葉に、満面の笑みで応じた。

 

 

 

 松浦家では、果南が昔のアルバムをめくりながら、先日の地区予選での舞台を思い返していた。

 

「一度スクールアイドルの道を断った私が、あんな大舞台に立ったなんてね……世の中、何が起こるか分からないなぁ。鞠莉もダイヤもとても楽しそうで……」

 

 子供の時に三人で撮った写真に目を落としながら苦笑する果南。その指がページをめくり、もっと以前の写真のページを開く。

 

「曜も、千歌もすっかり大きくなっちゃって……。ちょっと前までは、手の焼ける妹みたいに思ってたんだけどなぁ」

 

 十二年前の写真――曜と千歌、克海と功海も交えた五人の写真を見つめる。当然、写真の中の自分たちは今よりずっと背丈が小さく幼い。

 

「みんな小さいなぁ。私はもちろん、克兄ぃも、功兄ぃも。曜も、千歌だって……」

 

 思い出を振り返りながら、更にページをめくった。

 が――ふと違和感に気づき、ページをめくる手が止まった。

 

「……あれ?」

 

 十三年から前の写真――それに写っているのは、自分と克海、功海、曜。

 その四人だけ。

 

「……? 何か変……」

 

 ペラペラと前後のページの写真を見比べる果南の表情に、徐々に焦りが浮かんできた。

 自分がいる。克海がいる。功海もいる。曜も。自身の両親に、高海家の親、曜の両親が写っている写真もある。

 にも関わらず……。

 

「……ど、どうして? どうして十三年から前の分には、どこにもいないの……!?」

 

 どの写真を確かめても、いるはずの人物の顔がどこにも見られない。『十二年より先』のものにしか、その顔がないのだ。

 まるで、『十二年前のある時から突然現れた』かのように。

 

「何で写ってないの……!? 千歌……!!」

 

 五歳より以前の年齢の千歌の写真が、一枚もアルバムにないことに、果南は気づいたのだった。

 

 

 

『Aqoursのウルトラソングナビ!』

 

ルビィ「がんばルビィ! 今回ご紹介するのは、『ウルトラマンダイナ』です!」

ルビィ「この歌はもちろん『ウルトラマンダイナ』の主題歌です。歌ってるのは前田達也さん。90年代後半のウルトラシリーズの楽曲によく関わった人です」

ルビィ「『ウルトラマンティガ』の続編である『ダイナ』は、タイプチェンジという要素は引き継ぎつつ、シリーズの原点の『ウルトラマン』を意識した、バラエティに富んだドラマ構成がされました。この辺りは歌詞にも反映されてて、三タイプの名前が入れられながらも、全体的にヒーローソングらしい作りになってます」

ルビィ「ちなみに、エンディングテーマが複数使用されたのは『ダイナ』が初めてです。前期の『君だけを守りたい』は、劇中のドラマでも重要なところで用いられてます」

克海「そして今回のラブライブ!サンシャイン!!の曲は『夢で夜空を照らしたい』だ!」

功海「アニメ第一期第六話の挿入歌だ。三年生組が加入するまでで最後に使われた歌で、珍しいバラード調だ。これをきっかけにAqoursは注目され、飛躍してくことになったぞ」

克海「劇中の転機を作った、サンシャインを語る上で外せない一曲だな。PVの空飛ぶ提灯も印象的だ」

ルビィ「それでは次回もよろしくお願いします!」

 




梨子「千歌ちゃんの前に突然現れた謎の女の子。その子は、二枚のルーブクリスタルを渡していきました!」
曜「だけど功兄ぃと克兄ぃはクリスタルの扱いを巡って対立! 二人が喧嘩してどうするのぉー!?」
梨子「そんな時に現れたグルジオは、いつもと違ってて……! どうなってしまうの!?」
曜「次回、『コワレヤスキあなたはだぁれ』!」
梨子「ビーチスケッチさくらうち!」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。