克海と功海がウルトラマンに変身してグルジオキングと対峙している中、千歌の元へとAqoursの一年生組と三年生組の六人が駆けつけてきた。
「千歌さん!」
「あっ、みんな!」
「克兄ぃたち、行ったんだね……!」
「うん。梨子ちゃんと曜ちゃんも」
七人は固唾を飲んで、グルジオキングに立ち向かおうとしているロッソとブルの姿を見守る。
「功海、克海……今度こそ勝利の凱歌を鳴らしなさい……!」
「ふんばルビィ!」
善子とルビィが応援の言葉を向けると、ロッソたちが咆えるグルジオキングに勢いよく飛びかかっていった。
『俺が奴の気を引く! 功海は背中の大砲を!』
『合点!』
指示したロッソがブルとともに駆け出し、グルジオキングの正面から飛び蹴りを浴びせる。ブルは一旦ビルの陰に身を潜めて、グルジオキングの隙を狙う。
『「昨日のようには行かないわよ!」』
梨子がパワーを送り、力を増したロッソがパンチを繰り出す。その一撃でグルジオキングを押し返すが、向こうも強化された怪獣、さして効いた様子は見られない。
「ギュオオォォ――――ン!!」
ロッソ+梨子のパワーにも対応するグルジオキングはロッソをいなしてブルを捜すが、ブルは隠れているために見つけられず周囲に目を走らせた。
『はッ!』
そこにロッソがミドルキックを入れ、グルジオキングの注意を引きつける。狙いははまり、グルジオキングが完全にロッソの方を向いた瞬間にブルがビルの陰から立ち上がった。
「ギュオオォォ――――ン!!」
グルジオキングの振り下ろした角を白刃止めするロッソ。動きを一瞬止めた隙に、ブルが後ろから飛びかかった。
『おりゃあッ!』
グルジオキングの背負うキャノンに蹴りを食らわせるブル。衝撃を受けたグルジオキングがそちらに振り返ろうとするが、ロッソが首を抑え込んで阻止した。
『「これ以上暴れるのは許さないわ!」』
『「こんな危ないの壊しちゃえ!」』
ロッソが抑えつけている間にブルがキャノンをねじ上げ、破壊しようとする。
「ギュオオォォ――――ン!!」
しかしグルジオキングがすさまじい怪力を発揮し、二人を思い切り弾き飛ばした。
『「わぁっ! 何てパワー……!」』
『「実際戦ってみると、とんでもない力の持ち主だとよく分かるわね……!」』
二人がかりを物ともしないグルジオキングの恐るべき戦闘力を肌で感じ、曜と梨子が冷や汗を垂らした。
グルジオキングに苦戦を強いられるロッソとブルをながめ、沙紀がつぶやく。
「古き友は言った。正義よりも厄介なもの、それは、力を持たぬ正義だ。オスカー・フィンガル・オフラハティ・ウィルス・ワイルド」
グルジオキングに押しのけられるロッソとブルに向けて言い放つ沙紀。
「友情だ兄弟愛だと言ったところで、力がなければ世界は救えない!」
『「くぅっ……きつい……!」』
グルジオキングのパワーに押されて、曜が早くも息を切らし始める。その時にロッソが叫んだ。
『来るぞッ!』
グルジオキングが姿勢を下げ、キャノンをロッソとブルに向けた。直後に砲口から猛烈な破壊光線が発射される!
『『はッ!』』
咄嗟に空に飛び上がって砲撃をかわす二人。だがグルジオキングは射角を修正し、次弾を放とうとしてくる。
最も警戒すべき攻撃に対し、ロッソたちは一計を講ずる。
『あいつが次撃ってくるまでに何秒掛かる!?』
『2.5秒ってとこかな!』
『その間が攻撃のチャンスだ!』
二人は下手に動かずにグルジオキングの挙動を注視し、発射のタイミングを見極める。そして飛んできた極太の光線を、左右に分かれることでギリギリ回避した。
『「今ですっ!」』
ギガキングキャノンの威力はすさまじいが、その反動で砲撃後の一瞬は完全に無防備。その隙を突いて、ロッソたちは逆転の一手を投ずる!
「『フレイム!!」』
「『アクア!!」』
「『「『ハイブリッドシュート!!!!」』」』
次の攻撃が来る前に、ロッソとブルが必殺光線の合体技を繰り出した! 身動きの取れないグルジオキングはまともに食らう!
「イエース! ヒットしましたー!!」
「やったずらー!」
爆炎に呑まれるグルジオキングを見届けて、鞠莉たちが一斉に歓声を発した。ロッソとブルも、パンと手を叩き合って作戦成功を祝した。
氷室がウッチェリーナに問いかける。
「ウッチェリーナ。中継を見ているネットユーザーはどんなコメントをしている?」
[検索中……超SUGEEEE、これは決まったっしょ、といったコメントが大半を占めてます]
「そうか。私ならこうコメントする」
氷室は真顔のまま、次のように言った。
「今のが攻撃のつもりとかwww草生えるwwwwww」
ウッチェリーナに振り向く氷室。
[お、おぉ……]
ウッチェリーナはわずかに身を引いた。
『どうだ! 俺の作戦勝ちー!』
『いやいや考えたのは俺だろ!』
『「私たちだって力振り絞ったんだよぅ!」』
安堵してはしゃぐブルたち。だが、立ち昇る硝煙を見ていた梨子が顔を強張らせて警告した。
『「待って! 何か変……!」』
直後にギガキングキャノンがロッソたちを襲う!
『『うわあぁぁぁッ!!』』
油断したところに砲撃を食らって撃ち落とされるロッソとブル。ダイヤたちも驚愕して絶叫した。
「克海さんっ!!」
「功海っ!!」
グルジオキングはハイブリッドシュートの直撃を食らって、平然としていた!
『「当ったりぃ~!!」』
墜落したブルたちは、大ダメージの苦痛にあえいでいた。
『「あうぅ……! 硬すぎる……!」』
『駄目だ……やられる……!』
まともに立ち上がることが出来ず、顔が青ざめるブル。そこにロッソが呼び掛ける。
『もう一度試そう! あのクリスタルをッ!』
『え!? だってあれは……!』
『「功海さん! 私と曜ちゃんがついてます!」』
『「私たちがいれば、昨日とは違うかも!」』
『……分かった!』
梨子と曜の説得で、ブルとロッソは彼女たちの前に光と闇のクリスタルを出現させた。
『「「はぁぁぁっ!」」』
二人がクリスタルに手を伸ばし、掴み取ろうとするが――ほとばしるエネルギーを彼女たちでも抑えることが出来ず、反発でロッソとブルがはね飛ばされた。
『『うわあぁぁぁぁッ!!』』
『「「きゃああぁぁっ!!」」』
背中から落下したロッソたちが更なる悲鳴を発する。
『「私たちの力を足しても、駄目なの……!?」』
『「もう、どうしたらいいか……!」』
何をしてもダメージが重なるばかりで、梨子と曜がいよいよ顔面蒼白となった。
沙紀は倒れたまま立ち上がれないロッソとブルを、冷めた目で見やっている。
「所詮お前たちにあのクリスタルは使えない。さらばだ――素人ウルトラマン」
沙紀は二人に見切りをつけて、背を向けこの場を去ろうとする。
「お兄ちゃんっ……!」
「千歌さん! あまり近づくと危ないですわ!」
追いつめられるロッソとブルを見ていられず、千歌はいてもたってもいられずに二人の近くまで駆けてきた。それを追いかけてダイヤたちもやってくるが、グルジオキングの脅威が迫ってきているので必死に千歌を押し留める。
千歌は皆に抑えられながらも、声を張ってロッソとブルに呼びかけた。
「あきらめないで、お兄ちゃん! 兄弟が力を合わせれば、出来ないことはないんだよ! 思い出してっ!」
千歌の呼び声で、ロッソたちは顔を上げる。
『兄弟が力を合わせれば……!』
『何でも出来るッ!』
二人の声と、心がそろったその時――光と闇のクリスタルから放出されるエネルギーが収まっていき、クリスタルの状態が落ち着いた。
『「! 曜ちゃんっ!」』
『「うんっ!」』
それを見た梨子と曜がクリスタルに手を伸ばし――その手の中に包み込んだ。
『「触れたっ!」』
梨子が光のクリスタルを指で弾き、二本角を出す。曜は闇のクリスタルから一本角だ。
そして梨子が光のクリスタルをジャイロにセットした。
[ウルトラマン!]
インナースペースに光が溢れ、梨子の背後に銀と赤の巨人のビジョンが現れる。
曜も闇のクリスタルをジャイロにセット。
[ウルトラマンベリアル!]
インナースペースに闇が広がり、黒い巨人のビジョンが浮かび上がった。
そして梨子と曜が、ルーブジャイロのグリップを一回、二回、三回と引いてエネルギーを解放する!
[弾けろ! 最強の力!!]
二枚のクリスタルのエネルギーが一つとなって生まれる円形の塊に、更に火、水、風、土のクリスタルが合わさっていく。
『「何が起こってるの……!?」』
『「いつものクリスタルの反応と違う……!」』
ただならぬ事態に、ジャイロを操作した梨子たちも驚きを禁じ得ない。
六枚のクリスタルのパワーが一つになったそれは――全く新しいクリスタルの形となって具現化した!
沙紀も並々ならぬパワーの発生を感じ取って、足を止め振り返った。
「何……!?」
『「あれっ!? 曜ちゃん!?」』
『「梨子ちゃん! 何でこっちに!? いや、私が克兄ぃの方に移ったの!?」』
気がつけば、別々のインナースペースにいるはずの梨子と曜が、同じ空間に並んでいた。その二人の前に、新たなクリスタルとルーブジャイロが現れる。
『「「!!」」』
曜が反射的にジャイロを手に取り、梨子はクリスタルの方を掴み取った。
[極クリスタル!!]
『「「セレクト、クリスタル!」」』
二人で声をそろえて宣言し、梨子が新しいクリスタル――極クリスタルに指で触れて、三本角を展開させた。クリスタルが開いて「極」の文字が現れる。
[兄弟の力を一つに!]
極クリスタルを梨子が、曜の構えているジャイロにセットする。この二人の背後に、元となった六枚のクリスタルのウルトラ戦士たちのビジョンが並んで立ち上がって極の紋章となった。
『『纏うは極! 金色の宇宙!!』』
梨子が左、曜が右のグリップを握り、二人の息を合わせてジャイロを回す。
一回、二回で極の字が赤、青と変わり、三回目で叫んだ。
『「「サンシャイン!!」」』
極クリスタルが金色に輝き、ジャイロのエネルギーが頂点に達する!
[ウルトラマンルーブ!!]
虹色と金色に煌めく光の中から、左腕を振り上げたウルトラ戦士が飛び出していく――!
「デュワッ!!」
ロッソとブルの姿が消えたかと思うと、二人のいた場所に、金の縁で彩られた銀と黒の巨人が堂々と立ち上がった。
「ハッ!」
その雄々しき立ち姿に、千歌も、仲間たちも、沙紀も、氷室も目を奪われる。
新たなるウルトラ戦士と対峙する形となったサルモーネは、首を傾げた。
『「どちら様?」』
梨子と曜をインナースペースに収めているウルトラ戦士は、ロッソとブルの融合した姿――だが、その容貌は二人のどちらにも、全く似ないものであった。
その名はウルトラマンルーブ! かの背中を見上げる鞠莉たちも驚嘆している。
「あれってまさか……!」
「克兄ぃと、功兄ぃが合体したの!?」
「でも全然違う姿ずら!」
「エ……
グルジオキングが火炎を吐いて、ウルトラマンルーブに攻撃を仕掛ける。
「フゥッ!」
それをルーブは、エネルギーを張った手の平で受け止め、そのまま前進。炎を押し返しながらグルジオキングに接近し、距離を詰めるとグルジオキングの口を掴んで抑え込んだ。
「グゥゥ……!」
「ハァッ!」
グルジオキングの顎を押しのけると回し蹴りをボディに打ち込む。それまでどんな攻撃でもびくともしなかったグルジオキングが、一発で横転した。
「倒れたっ!」
「何という力……! 一気に強くなっていますわ……!」
目を見張る黒澤姉妹。ルーブは意趣返しのように手招きして、グルジオキングを挑発。
「ギュオオォォ――――ン!!」
起き上がったグルジオキングはそれに乗せられるようにギガキングキャノンにエネルギーを充填する。
その瞬間に曜が「新」のクリスタルを取り出し、一本角を出してジャイロにセットした。
[ニュージェネレーションヒーロー!]
グリップを三回引いてエネルギーを解放すると、ルーブを中心としてギンガ、ビクトリー、エックス、オーブ、ジードの五大戦士のビジョンが出現。
「『「『ニュージェネレーションバリア!!!!」』」』
発射されたギガキングキャノンに対して、ギンガクロスシュート、ビクトリウムシュート、ザナディウム光線、オリジウム光線、レッキングバーストを一つにした極大光線で受け止め、光線を押し返してキャノンを破壊!
「ギュオオォォ――――ン!!」
そしてルーブが己のカラータイマーに手をかざすと、それを囲む金縁からリング状の武具が現れる。
『「新しい武器の、光の輪……ルーブコウリン!」』
梨子が握りしめた武具の円周に、六本の青い刃がせり出す。
更に梨子がインナースペースで前に出ると、極クリスタルが輝き、文字が「桜」に変わってルーブのボディに赤と桜色のラインが走った。
[ルーブ・ブロッサム!!]
更に変身を重ねるルーブにビクッと一瞬震えるグルジオキング。
「『ルーブコウリンロッソ!!」』
ルーブ・ブロッサムが握るコウリンが燃え上がり、紅蓮の炎が宿る。これを片手に勇猛果敢に飛びかかっていくルーブ!
「ギュオオォォ――――ン!!」
グルジオキングは電撃を纏った鉤爪でコウリンに対抗するが、炎を灯すコウリンをぶつけられて爪が砕け散った。
「ハァッ!」
コウリンが腹部に叩きつけられると、爆発が起きてグルジオキングの装甲を破壊していく。更に下から振り上げて顎を狙うのを、グルジオキングが咄嗟にコウリンを両手で挟み込んで止めたが、
「ハァァァァッ!」
コウリンの刃が回転して、炎の輪を下顎に浴びせる。
『「あぢッあぢッ熱いぃぃぃッ!!」』
顎が焦げつくグルジオキングが慌てて下がって逃げた。
今度は曜が交代して前に出ると、クリスタルの文字が「航」に変わって、追加されたラインが青と水色に変色した。
[ルーブ・クルーズ!!]
更にコウリンを手にする曜。
「『ルーブコウリンブル!!」』
コウリンの刃が炎から水に包まれ、ルーブの足下に水のジェット噴射が発生する。
「ハァッ!」
紺碧の海をかき分けるようにジェットスキーで駆け出すルーブ。そのスピードをグルジオキングは目で追うことも出来ず、水の刃で全身を斬りつけられていく。
「すごいずら! 全部のクリスタルの力が使えるずら!?」
火と水の力を用いてグルジオキングを一方的に追い込むルーブに花丸が興奮した声を上げると、ルーブの状態を観察した鞠莉が首を振った。
「いいえ。きっと……梨子と曜のポテンシャルを引き出して、力に変えてるのよ!」
全身を切り刻まれたグルジオキングの動きが大きく鈍る。そこで梨子が曜と交代すると、クリスタルが再び「桜」となってルーブ・ブロッサムに変わった。
[高まれ! 究極の力!!]
極クリスタルのエネルギーを解放しながら、ルーブコウリンにセット。背面に手の平を合わせると、エネルギーがコウリン全体に宿っていく。
「『「『ブロッサム・ボルテックバスター!!!!」』」』
ルーブコウリンから螺旋状の灼熱光線が発射され、グルジオキングに迫る!
『「うっうー……」』
着弾の瞬間に紅蓮の桜が咲き誇り、グルジオキングは遂に跡形もなく爆発四散した!
「や……やったぁぁぁぁぁぁ―――――――――!!!」
ルーブの大勝利に、ルビィたちが感極まって大歓声を上げていた。
「……」
最終的に戦闘を見届けた沙紀は、小首を傾げながらも、無言のままその場を後にしていった。
氷室はモニターにアップにしたルーブの姿を見つめてつぶやく。
「予定通り……いや予想以上の結果だな。まさかこのようなことになるとは……期待がより膨らむ」
一人ごちると、次にグルジオキングが消滅した箇所にカメラを移す。
「さて……」
ルーブの変身が解けると、克海たち四人は力を使い果たして、その場に横たわった。
「はは……!」
それでも克海と功海は腕を上げて、手と手を打ち合わせて勝利を称え合った。梨子と曜はぼんやりしながらため息を漏らす。
「すごかった……」
「うん……。勢いで突っ走ったけど、とんでもないことの連続だったね……」
克海は仰向けのまま、功海に呼びかける。
「何だかんだで、俺はお前が羨ましかったみたいだ……」
「俺が羨ましい? 克兄ぃが……?」
「ああ……。功海は何か自由に生きてる気がしてさ……」
「俺も克兄ぃにコンプレックス持ってたよ……。スポーツも出来るし、旅館も父さんと切り盛りして、近所の人気者だし……」
ふと克海が顔を向けると、梨子と曜がニヤニヤしながらこっちを見ていた。
「ああッ恥ずかしッ! もうこんな話やめようぜ」
「そうだな……やめやめ」
「克兄ぃ! 功兄ぃー!」
功海らが肩をすくめていたら、果南たちが四人の元へと走ってきた。
「もう、こんなところに寝転がって。風邪ひくよ?」
「ほらほら大丈夫デースかぁ? 立って立って」
「もうお昼ずら。ご飯にするずら」
「実に見事な堕天だったわね。いえ、この場合昇天と言うべきかしら?」
「よせよヨハネー。その言い方不吉だろ」
善子らと談笑しながら、肩を貸してもらう功海と克海を、千歌が遠巻きにながめている。
「兄弟が力を合わせれば、出来ないことなんてない……。その通りだった!」
初めは満足そうな千歌だったが……その表情に、影が差した。
「兄弟……『兄』『弟』……か……」
――アルトアルベロタワー、社長室。
「氷室ぉぉぉぉぉぉおおおおおおおッ!! お前これどういうことだぁぁぁぁぁあああああああああああッッ!!」
ボロボロになりながらもどうにか帰還したサルモーネは、社長の席にどっかりと腰を据えている氷室へと怒号を発した。
「何で私が社長辞任することになってんだぁぁぁぁぁ! お前が後任だとぉぉ!? いつ私がそんな話をしたというのだおいぃぃッ!?」
サルモーネが指差した先のモニターには、ニュース番組の録画――怪獣拘束の失敗の責任を負い、愛染正義がアイゼンテック社社長を辞任。後任は氷室仁氏という内容の映像が映されていた。しかしながら、サルモーネ当人は全く知らないことであった。
このことについて、氷室は淡々と返答する。
「あなたのウルトラマンごっこには、もうつき合えないということですよ。愛染元社長」
元の部分を強調する氷室に、サルモーネはこめかみに血管を浮き立たせた。
「何だとぉ!? よくもごっこなどと……! それにお前、私が十五年も掛けて築き上げてきたものを全部、丸ごと奪い取ろうというのかぁッ! そもそも、怪獣拘束システムを使ったのも解いたのもお前じゃないかッ! よくも私の責任にしてくれたなぁッ!」
「部下の行いは上司の責任……でしょう?」
「なッ……! 都合のいいことばかり抜かすんじゃあないッ!」
「ふッ……どの口が言うのか」
怒り狂うサルモーネに冷笑で返す氷室は、書類の束をパンパンと手の甲で叩く。
「ともかく、もうマスコミへ発表をしましたし、手続きも全て完了しています。今更撤回など出来ません。あなたは最早社長でも何でもない、ただの一般人ということです。……ああ、アイドル学校の理事長のポストはいらないので、これは『くれてやり』ますよ」
その書類の入った封筒を、サルモーネの足下に紙屑のように無造作に投げつける。
サルモーネの青筋が、ビキビキと余計に浮き上がった。
「き……貴様
その場で地団太を踏んで喚き散らすサルモーネ。
「ふざけるのも大概にしろぉッ! アイゼンテックは私の会社だッ! 綾香市はオレの街だッ!! ここにあるものは全て、オレのもの……ッ!!」
と言いかけたところで、氷室がスイッチを押して社長室の奥の壁を開いた。
途端にサルモーネが愕然。
「んッ!? お、おい……オレの765プロコレクションを、どこへやった!?」
隠し部屋に並べていたはずのグッズが、一つ残らず、綺麗になくなっていたのだ。
これについて、氷室は何でもないことのように、
「捨てた」
「なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁにいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッ!!?」
ショックのあまり白目を剥くサルモーネ。
その瞬間、氷室は手の平を向け――放たれた電撃を浴びせかけた。
「あばばばばッ!」
これにより、愛染正義という人間の身体に取り憑いていた、精神寄生体サルモーネ・グリルド本来のガス状の肉体が剥離される。
そして氷室がウッチェリーナに命じた。
「ウッチェリーナ、換気を」
[空気洗浄機、作動します!]
壁の一面が開いて、換気システムが動作し始めた。気体のサルモーネはそれに引っ張られた。
『あああぁぁぁぁぁ!?』
[除菌クラスターモード、オン!]
吸引が強くなり、サルモーネがどんどんと空気清浄機に引き寄せられていく。
『吸い込まれるぅぅぅぅぅぅッ! こ、こんなところで終わりだなんてぇぇぇぇぇぇッ! オレの、AZ計画がぁぁぁぁ……!!』
それを断末魔にサルモーネが完全に換気システムに引きずり込まれ、壁が閉ざされた。残った愛染の肉体はその場にガクリと膝を突く。
「残念無念、そうバイバイ……」
最後にひと言言い残して、力尽きて床に突っ伏した。
氷室はその身体の上にオーブダークの人形を投げ捨て、侮蔑の言葉を放った。
「最後まで愚かな奴だ。仮にも光の力を手にして、己の自己満足のためにしか使えんとは」
おもむろに天を見上げ、続きを述べる。
「大いなる力は、大いなる目的のために使われないといけないのだよ」
『Aqoursのウルトラソングナビ!』
果南「ハグしよっ! 今回紹介するのは、『ウルトラマンの歌』だよ!」
果南「これはシリーズの原点、『ウルトラマン』の主題歌! 歌うのはみすず児童合唱団とコーロ・ステルラ! ウルトラシリーズの主題歌は、80の後期オープニングまでは少年合唱団が歌ってたんだ」
果南「『ウルトラマン』は抜群の人気を誇った特撮番組だったんだけど、その影響は歌にまで及んでて、60年代当時の子供番組の主題歌としては異例のミリオンセラーを叩き出してるの。すごいよね!」
果南「ちなみにこの歌は、番組内で三つのバージョンがあるの。聞き比べてみるのも面白いかもね」
克海「そして今回のラブライブ!サンシャイン!!の曲は『勇気はどこに?君の胸に!』だ!」
功海「アニメ第二期のエンディングテーマだ! けど、回によって歌うメンバーが変わるという特殊な仕様になってるぜ! これは無印の時と同じなんだ」
克海「十一話での分は特に変化が大きい、特殊なバージョンだ。是非観て聴いてほしい」
果南「それじゃ、次回もよろしくね!」
果南「千歌が家出した!? まさか、私の言ったことを気にして……捜さなくちゃ!」
善子「しかし、そんな時に現れたるは姿無き魔物! 我らが行く手を阻もうというの!?」
果南「千歌……あなたは私たちの大事な仲間だよ!」
善子「次回、『君の絆を巡る冒険』!」
果南「次回も、ハグしよっ!」