ウルトラブライルーブ!サンシャイン!!   作:焼き鮭

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兄弟Hand in Hand(B)

 

「うっ……くぅっ……!」

 

 どんなに腕に力を込めても柱がびくともしないことを悟った曜は、近くに転がっている鉄パイプに目をつけた。

 

「ちょっと待ってて!」

 

 それを拾い上げて柱の下に差し込み、てこの原理で柱を持ち上げようとするも、柱が重すぎてやはりどうにもならない。

 

「何してんだよ! 逃げろって!」

 

 曜だけでも逃がそうとする功海であるが、それでも曜はこの場から離れようとしなかった。

 

「功兄ぃ、頑張って!」

「くッ……!」

 

 必死にジャイロに手を伸ばす功海。だがこちらも、あと少しのところでジャイロに手が届かない。

 

 

 

 姿の見えない功海と曜を懸命に捜す克海であったが、一向に見つからなかった。

 

「グアアアアァァァァ!」

 

 その間にブラックキングはますます町を蹂躙していく。最早猶予はないと感じた克海は腹をくくった。

 

「こうなったら俺が変身するしか!」

 

 戦う覚悟を決めてルーブジャイロを取り出すが――その時に、功海の手がジャイロのグリップを掴んだ。

 この瞬間、克海の視界が功海とつながった!

 

『もう俺はいいから、逃げろ曜ッ!』

『駄目だよ! 兄弟はいつでも、一緒に頑張るんだよ! だから功兄ぃは、克兄ぃと千歌ちゃんを置いていっちゃったらいけないんだからっ!』

 

 功海を必死に助けようとする曜に、ブラックキングが迫る。その光景を垣間見た克海は、功海たちのいる場所を判じた。

 

「功海! 今行くッ!」

 

 即座に駆け出す克海。――その姿を梨子が見つけた。

 

「克海さん、一体どこに……!? 危ないわ!」

 

 克海のただならぬ様子を見て取った梨子は、彼がブラックキングの方向へまっすぐ走っていくのに慌て、反射的に追いかけた。

 

 

 

「うぅぅ……!」

 

 どんなに柱が重くとも、あきらめずに功海を助けようとする曜。だがその後方でブラックキングが炎を口に溜めていた。

 

「グアアアアァァァァ!」

 

 再び熱線を放射するブラックキング。その爆発の衝撃が、曜に襲いかかる!

 

「きゃああぁっ!」

「曜――――――――――ッ!」

 

 弾き飛ばされる曜。そのまままっさかさまに地面に叩きつけられる――。

 すんでのところに克海が駆けつけ、曜を受け止めた。

 

「克兄ぃ!」

「克兄ぃ……」

「よく頑張ったな、曜ちゃん。後は任せてくれ!」

 

 曜をそっと下ろした克海は、彼女に代わってパイプを掴んで渾身の力で柱を持ち上げた。

 

「功海大丈夫か!」

 

 克海が作った隙間で、功海はジャイロを持って柱の下から脱け出すことに成功した。

 

「早く曜を安全なところに!」

「ああ!」

 

 負傷した功海だがどうにか立ち上がり、克海とともに曜の側へ駆け寄る。

 

「曜、立てるか?」

「ごめん……さっきので足が……」

「分かった。克兄ぃ!」

「ああ!」

 

 二人で曜を支え、ブラックキングから逃がしていく。が、その行く先から梨子が走ってきた。

 

「克海さん、功海さん! 渡辺さんも……無事だったんですね!」

「桜内さん! 何で来たんだ!」

「それは……」

「とにかく、曜と一緒に逃げ……!」

 

 曜とともに逃がそうとする克海と功海だったが、ブラックキングは近くで動く彼らに目をつけ、熱線を吐き出そうとしていた。

 

「グアアアアァァァァ……!」

「まずいッ! もう余裕が……!」

 

 もう逃げ切れないと判断した二人は、目と目を合わせてうなずき合った。

 

「やるしかないな……!」

「ああッ!」

「功兄ぃ、克兄ぃ? やるって何を……」

 

 功海に抱えられながら呆気にとられる曜だが、兄弟は答える暇もなく、手と手を叩き合って同時にジャイロを構えた。

 

「俺色に染め上げろ! ルーブ!!」

 

 二つのジャイロから光が放たれ、曜と梨子の視界を塗り潰した。

 

「きゃっ!?」

 

 白い光の中で功海がクリスタルホルダーから火のクリスタルを選び取った。

 

「セレクト、クリスタル!」

 

 クリスタルから一本角を出して、ジャイロにセットする。

 

[ウルトラマンタロウ!]

「纏うは火! 紅蓮の炎!!」

 

 ジャイロのレバーを三回引いてエネルギーをチャージ!

 

[ウルトラマンブル! フレイム!!]

「はあぁぁーッ!」

 

 火柱に包まれた功海の肉体が変化し、ウルトラマンブルフレイムとなって左腕を振り上げた。

 

「セレクト、クリスタル!」

 

 克海は水のクリスタルを取り、クリスタルから二本角を出してジャイロにセットした。

 

[ウルトラマンギンガ!]

「纏うは水! 紺碧の海!!」

 

 ジャイロのレバーを三回引いてエネルギーをチャージ!

 

[ウルトラマンロッソ! アクア!!]

「うおぉぉーッ!」

 

 克海は水柱に覆われて、ウルトラマンロッソアクアとなって右腕を振り上げた。

 

『『はぁッ!』』

 

 そして変身した二人のウルトラマンは、熱線を打ち返してブラックキング自身に食らわせた!

 

「グアアアアァァァァ!」

『はぁッ!』

『うりゃッ!』

 

 ひるんだブラックキングのボディに回し蹴りとパンチを入れ、転倒させる。ブラックキングの凶行を止めたロッソとブルの後ろ姿を、内浦の人々が一斉に見上げた。

 

「あの時の巨人さんたちだ……!」

「また出てきた……」

 

 千歌と果南も、二人のウルトラマンの背中をじっと見上げていた。

 ブラックキングが倒れている内に、ロッソは手の中に保護した梨子をそっとブラックキングから遠ざけて下ろした。梨子は、ただただ唖然としてロッソの顔を見つめている。

 

「嘘……克海さんたちが、巨人に……!」

 

 梨子を救出したロッソであるが、ふとあることに気づいてブルの方に振り向いた。

 

『功海、曜ちゃんはどうしたんだ!?』

 

 曜の姿が見えない。確か曜は功海が抱えていたはずだが……そう思っていると、ブルは何故だかバツが悪そうに答えた。

 

『えーっと、それがさ……』

 

 ロッソはギョッとして、ブルを見つめた。視線はその身体の表面を通り抜けて、ブルの内側へ。

 何とブルの内部の、炎に満たされた超空間の中に、曜はいたのだった!

 

『「ここどこ!? そこの青い巨人さんが……まさか克兄ぃなの!?」』

 

 曜は混乱し切ってブンブン首を振り回していた。ロッソは目を見張ってブルの胸を指差す。

 

『おいおいおい!? 何でそんなとこに曜ちゃんが!?』

『俺だって分かんねぇよ! ただ、一番安全なところにかくまわなきゃって思ってたら……』

『早く出してやれ! 戦いに巻き込む気か!?』

『やり方分かんねぇって!』

 

 弁明するブルだが、二人が話している間にブラックキングが起き上がってきた。

 

「グアアアアァァァァ!」

『くッ、しょうがない……このままやるしかないか!』

『おう!』

『「えええぇぇ!? やるって……!」』

 

 ブルは応ずるが混乱の解けない曜は慌てふためく。そしてブラックキングが接近してくると、

 

『「ちょっとやだぁぁぁっ! こっち来ないでよっ!」』

 

 ブンブンと手を振って顔を背けた。するとその動きがブルに伝わり、ロッソとともにブラックキングにぶつかっていこうとしていたブルは足が止まってしまう。

 

『うッ!?』

『功海!? うわッ!』

 

 一人だけでブラックキングを止める形となったロッソは力負けし、地面に叩きつけられた。

 

『「あっ、克兄ぃ!!」』

『曜、悪りぃけどちょっとじっとしててくれ! お前の動きに釣られちまうんだよ!』

『「う、うん、ごめん……」』

 

 ロッソがやられて動揺した曜は、ブルの指示に従って動きを止めた。身体のコントロールが戻ったブルは改めてブラックキングに向かっていく。

 

『だぁッ!』

 

 跳び込むような形でロッソを乗り越えてブラックキングの懐に入ったブルだが、ブラックキングに頭を掴まれて強烈なパンチをもらった。

 

『うわッ!』

「グアアアアァァァァ!」

 

 二人に向かって熱線を繰り出すブラックキング。ロッソとブルは咄嗟に飛びすさって回避した。体勢を立て直すと、ロッソがブルに指示する。

 

『俺は奴の熱線をディフェンス! お前は攻撃だ!』

『オッケー!』

 

 二人でサムズアップし合うと、ロッソがブラックキングの左方に回り込んで水のボール、ストライクスフィアを投擲した。ボールは炎を吐こうとしているブラックキングの頭部に纏わりついてバリアとなり、熱線攻撃を封じ込む。

 

『食らえーッ!』

 

 この間にブルが両手に炎を溜め、光線として発射するフレイムエクリクスを放った。

 しかしブラックキングは水のバリアを蒸発させ、熱線でフレイムエクリクスを防御。弾けた炎のつぶてが町に降り注いでしまう。

 

『『うわぁぁぁぁ―――――!!』』

 

 飛散した炎を食らい、がっくりと膝を突くロッソとブル。

 

『くっそぉー! もう一回!』

 

 悔しがったブルが再び光線を撃とうとしたが、そこをロッソに制止された。

 

『駄目だ! 炎同士がぶつかって被害が広がる!』

「グアアアアァァァァ!」

 

 攻撃をためらった二人にブラックキングが突進。

 

『『わあああぁぁぁぁぁッ!!』

 

 ロッソとブルははね飛ばされて、建物を押し潰しながら倒れ込んだ。

 

『ああ、壊しちゃった……』

 

 破片をつまんで悔やむブルに、ロッソが指示する。

 

『功海、俺に考えがある! クリスタルを交換してくれ!』

『よっしゃ! ……いや、この場合どうすればいいんだ?』

 

 言われた通りにクリスタルをロッソへ飛ばそうとしたブルだが、はたと止まった。

 先の戦いでは自分自身でジャイロを操作したが、今そこにいるのは曜だ。こんな時はどうなるのか。

 

『早くしてくれ!』

 

 しかしロッソに急かされるので、考える間もなく行動に移した。

 

『しょーがない! 曜、悪いけど俺の代わりにクリスタルチェンジしてくれ!』

『「ええ!?」』

 

 自分の目の前にルーブジャイロが出てきたので、曜は思い切り面食らった。

 

『「な、何が何だか分からないけど……分かった!」』

 

 理解が追いつかないながらも、曜はジャイロからタロウクリスタルを外してロッソの方へ投げ渡した。

 

『セレクト、クリスタル!』

[ウルトラマンタロウ!]

 

 ロッソはタロウクリスタルをジャイロにセットしてタイプチェンジする。

 

『纏うは火! 紅蓮の炎!!』

[ウルトラマンロッソ! フレイム!!]

 

 ロッソの色が赤に変わり、火の力を身体に纏った。

 そして曜の方には、ロッソから渡されたギンガクリスタルが飛んでくる。

 

『そのクリスタルをジャイロにセットして、三回レバーを引くんだ!』

『「う、うん……!」』

 

 戸惑いつつも、クリスタルをその手に握る曜。

 

『「セレクト、クリスタル!」』

 

 ロッソの台詞を真似して発し、ジャイロの中央にクリスタルを嵌め込む。

 

[ウルトラマンギンガ!]

『纏うは水! 紺碧の海!!』

 

 ブルの合図とともに一回、二回とレバーを引いて、最後にジャイロを掲げた。

 

『「ヨーソロー!」』

 

 エネルギーのチャージが完了し、ブルが水の力で覆われる。

 

[ウルトラマンブル! アクア!!]

 

 タイプチェンジを完了して二人並び立つと、ロッソが自分の身体の調子を確認しながらつぶやいた。

 

『やっぱり、俺は火の方が扱いやすいみたいだ。功海はどうだ?』

 

 と聞くが、ブルからの返事がない。

 

『功海?』

 

 振り向くと、ブルが何やら小刻みに跳びながらそわそわしていた。

 

『な、何やってんだ?』

 

 面食らって問いかけると、ブルは興奮を抑え切れない様子で告げた。

 

『克兄ぃやばいよ! 何か、力が身体の内側からむんむん湧き上がってくる!』

『は?』

 

 ブルだけでなく、水に満たされた空間に包まれた曜も興奮していた。

 

『「ここ、ほんとの水の中みたいで心地いい! 今なら何でも出来ちゃいそう!」』

『よぉーしッ! 行くぜ曜ッ!』

『「ヨーソロー!」』

『あッちょっと……!』

 

 ロッソを置いてブラックキングに飛びかかっていくブル。ブラックキングは拳で迎撃しようとしたが、ブルはすさまじいパワーで弾き返した。

 

『おりゃおりゃおりゃあッ!』

「グアアアアァァァァ!」

 

 ブルの猛ラッシュがブラックキングを押し込み、更にチョップを角に打ち込んでひびを入れた。

 

『今だ克兄ぃ!』

『お、おお!』

 

 急にパワーアップしたブルに困惑しながらも、ロッソがブラックキング目掛けジャンプからのかかと落としをかました。

 

『たぁッ!』

 

 ひびの入っていた角はその一撃に耐えられず、へし折れて吹っ飛んでいった。

 

「グアアアアァァァァ!」

『どーよ! 俺たちの力!』

 

 一本角を失ってたじろぐブラックキング。自慢するブルだが、その時に胸の発光体が二人とも赤く点滅し出した。

 

『あッ、カラータイマーが!』

『功海、時間がない! お前の技で奴を空中に!』

『分かった克兄ぃ!』

 

 ブルが走り出してスライディングし、ブラックキングに下方から水流を撃つ。

 

『食らえー! アクアジェットブラストぉーッ!』

「グアアアアァァァァ!」

 

 ブラックキングの身体は水流によって持ち上げられ、空高くに打ち上げられた。それを追いかけたロッソが猛スピードの飛び蹴りを見舞い、兄弟のダブルキックで追い打ち。

 

『『うりゃあッ!!』』

 

 ブラックキングは真っ逆さまに地上に叩き落とされ、グロッキーとなった。

 

「グアアアアァァァァ……!」

 

 いよいよとどめ。ロッソとブルはブラックキングの頭上からエネルギーを集中し、必殺光線を発射する!

 

『フレイムスフィアシュート!』

『アクアストリューム!』

 

 二人の同時攻撃を食らったブラックキングは、瞬時に爆散。着地したロッソとブルはそれを見届けた。

 怪獣を倒したブルが曜に呼びかける。

 

『曜、お前の言った通りだったな』

『「え?」』

『兄弟が力を合わせれば何だって出来る! いや、曜の力も一緒だったな!』

『「……うん!」』

 

 思わず笑顔がこぼれる曜。ロッソとブルは、ぐっと手と手を握り合って兄弟の絆を感じ合った。

 

「わああぁぁぁぁ―――――!」

「ありがとー!」

 

 内浦の人たちは、町を守ったロッソとブルに割れんばかりの歓声を送った。それを一身に受けながら、二人はスゥッと消えていく。

 ロッソとブルの退場を見届けた千歌は、果南にそっと呼び掛けた。

 

「果南ちゃん。あの巨人さんたち……凶暴なんかじゃないね」

「うん。むしろ、とても優しそうな人たちだった……」

 

 ロッソとブルの活躍を生で見た果南が、そう評価した。

 

 

 

 破壊された町の瓦礫の中に、ブラックキングクリスタルが落下。それを何者かの手が拾い上げて、回収していった……。

 

 

 

 ブラックキングの内浦襲撃から、数日後。克海と功海は居間で話をしていた。

 

「へ~。それでその桜内梨子って子、千歌と曜とスクールアイドルすることになったんだ」

「ああ。千歌がそう言ってた」

 

 聞いた話によると、千歌の勧誘を拒み続けていた梨子だが、一緒の作詞作りを通してすっかりと打ち解け、遂にスクールアイドルの仲間になってくれたのだという。それから毎日、三人で自主レッスンに打ち込んでいるということだ。

 

「初めはどうなることかと思ったが、案外千歌の奴、順調にやってるみたいだな。と言っても、まだ三人だけだが……」

「けどさ……確かその子が、あの時の女の子なんだろ」

「……ああ、まぁな……」

 

 指摘されて、克海は微妙な顔つきとなった。

 猶予がなかったとはいえ、克海たちは梨子と曜の目の前で変身してしまい、二人に正体が知られる結果となった。どうにか頼み込んで秘密にしてもらえることにはなったが、他の人はどうだか分かったものではない。次からはもう少し慎重に行動するようにしよう、と克海は決意した。

 

「しかし、あれは驚いたな。功海、お前が曜ちゃんを身体の中に入れて、しかもそれでパワーアップしたと来たもんだ」

「俺と曜は水と相性いいみたいだ。相乗効果って奴かな。曜なんか、水泳やってるしな!」

「そんな単純な……」

 

 と話し込んでいたら、千歌が二人の元へ駆け込んできたので、咄嗟にウルトラマンの話を打ち切った。

 

「功海お兄ちゃーん!」

「こら千歌! 家の中で走るなって言っただろ!」

「ごめんなさい! でも大事な用があるの!」

 

 克海に叱られながらも、千歌は功海にすがりついてきた。

 

「功海お兄ちゃん、私たち来月の初めにスクールアイドルとしてライブを行うことにしたのね」

「へぇ?」

 

 手作りのチラシを見せながら功海に説明する千歌。

 

「でね、功海お兄ちゃんにも来てほしいなって思って。大学の人、二百人ほど誘って……」

「はぁ!? 二百人だぁ~!?」

「体育館満員にしないと学校の公認がもらえないの! ウチの全校生徒じゃ足りないし、ねぇお願い~」

 

 媚びを売って頼み込む千歌だが、功海からは頭を軽くぐりぐりされる。

 

「このバカチカが~! 兄貴に頼るようでスクールアイドルなんてやれると思ってんのか~!?」

「だってだって~!」

 

 功海が千歌とじゃれていると、アイゼンテックの番組が始まった。

 

『数日前、新しい巨大生物が内浦を襲った事件ですが、またも二体の巨人が現れ、彼らが町を救ったと話題になっていますが、愛染さんはどうお考えですか?』

 

 先日の事件について触れられているので、克海と功海は千歌を放してそちらに食い入った。

 

『愛と正義の伝道師、愛染正義です。私も、彼らには愛と正義の心があると感じてます。故に私は、彼らを超ヒーローという意味で……』

 

 愛染はもったいぶってから、今度はさえぎられることなく前回言いそびれたことを地上波放送に乗せた。

 

『ウルトラマンと! そう名づけますッ!』

 

 この発言に、克海と功海はギョッと目を剥いた。

 

「ウルトラマンさんか~……流石愛染さん! いい名前考えるね!」

 

 千歌は純粋に褒めそやしていたが、「ウルトラマン」の名を既に知っている克海たちは思わず目を合わせた。

 

「何故アイゼンテックの社長がその名前知ってるんだ?」

「偶然か……?」

 

 訝しむ二人に、千歌がはたと手を合わせて功海に呼びかけた。

 

「そうそう功海お兄ちゃん。お兄ちゃんの部屋にこんなの転がってたけど、これ何? 新しいメンコ?」

 

 と言って差し出したのは、二枚のルーブクリスタルだった。

 

「ああ!?」

「大学でこういうの流行ってるの?」

 

 慌てた功海は千歌からクリスタルをひったくるように受け取った。

 

「これはだなッ! そ、その……まぁそんなとこだ! あはははは~!」

「功海! ちゃんと仕舞えって言っただろッ!」

「ごめんよ克兄ぃ~!」

「?」

 

 笑ってごまかそうとする功海と克海の態度に首を傾げる千歌。と、その時に、出社前の兄弟の母が功海の手の中のクリスタルに目を留めた。

 

「あら? そのメダルみたいなの……社長が同じようなのを持ってたような」

「「えッ!?」」

 

 克海と功海はバッと母に振り返り、ぐぐいっと顔を近づけた。

 

「母さん! 今の話本当!?」

「母さんの会社アイゼンテックでしょ!? その社長って……!」

「え、ええ。愛染正義さんよ。確か、研究対象だって……」

 

 兄弟の妙な様子に困惑しながらも母が答える。それを聞いた克海と功海は、再び顔を見合わせた。

 

「ひょっとして……」

 

 

 

『高海兄弟&曜のウルトラソングナビ!』

 

曜「ヨーソロー! 今回紹介するのは『ウルトラマンギンガの歌』だよ!」

曜「主役ウルトラマンさんの名前が入った曲って主題歌のイメージが強いけど、この「ギンガの歌」は珍しく挿入歌だよ! でもギンガさんが優勢の時は大体この歌がバックで流れるから、印象深い人も多いんじゃないかな」

曜「歌詞は王道のヒーローソングの一方で、まるでラブソングそのものでもあるの! これは『ギンガ』無印の青春ドラマの側面が歌に反映されてるってことかな?」

曜「今からしてみると、「時を越え」って部分はギンガさんの正体に関する伏線だったのかもね。最近のウルトラソングは歌詞に今後の内容が込められてることが多いよ!」

克海「そして今回のラブライブ!サンシャイン!!の歌は『決めたよHand in Hand』だ!」

功海「第一期第一話のラストに、エンディングテーマの代わりに流れた挿入歌だな! 千歌、曜、梨子ちゃんの三人で踊るPV風の作りになってた!」

克海「二年生組三人でのダンスで一話を締めるのは、μ'sからの伝統ってとこかな」

曜「それじゃ次回に向かって、ヨーソロー!」

 




功海「アイゼンテックがウルトラマンの研究をしてたかもしれない。俺たちはアイゼンテックに突撃した!」
曜「大変だよ功兄ぃ! また怪獣が現れた!」
功海「何だってぇ!?」
曜「って克兄ぃが新しい武器持ってる!?」
曜「次回、『元気全開アイゼンテック』!」
功海「俺色に染め上げろ! ルーブ!!」
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