ウルトラブライルーブ!サンシャイン!!   作:焼き鮭

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明日なきシンデレラ(B)

 

 町外れの工場では、表面に『地球爆破爆弾』と書かれたタンク状の装置が設置されていて、その根元に曜――に変身しているザラブ星人が十字架に掛けられていた。

 要は、一連のことは全て、千歌を担ぎ上げるために仕組まれたヤラセなのである。

 

「……遅いな。もう到着してもいい頃合いなんだが……。場所はちゃんと伝わってるんだろうな?」

「ディレクターもチェックしたじゃないですか。分かりやすい地図だと思うんだけどなぁ」

 

 ザラブ星人が磔のまま、暇そうに返答した。

 そうして時間を持て余しながら待っていると……道の向こうから、千歌が大声を上げながら駆けてきた。

 

「曜ちゃ―――――んっ!!」

「高海さん! じゃなかった! 千歌ちゃんっ!」

「遅くなってごめんねー! ちょっと、道間違えちゃって!」

 

 謝りつつ、ザラブ星人の側へ駆けつける千歌。すぐに拘束を解こうと、力の限り枷を引っ張る。

 

「んんんん~……! 外れない……!」

「私はいいから、千歌ちゃんは逃げて!」

「そんなこと出来ないよ! 私たちは、みんながそろって、Aqoursなんだからっ! 曜ちゃんを見捨てるなんてこと……!」

 

 精一杯声を張りながらザラブ星人を見上げた千歌は――不意に眉が訝しげに寄った。

 

「……あなた、誰? 曜ちゃんはそんな吊り目じゃないよっ!」

 

 見破られたザラブ星人は、やれやれと苦笑する。

 

「あ~あ、バレちゃったか。ディレクター、いい画撮れましたか?」

「え? ディレクター……?」

 

 戸惑う千歌を、ザラブ星人がなだめるように説明。

 

「爆弾は偽物。これはテレビ番組なんですよ。全部フィクションなんです」

 

 ところが――。

 チュドォォンッ!

 

「きゃあっ!?」

 

 二人の近くから、紅蓮の爆炎が噴き上がった!

 仕掛けた爆弾を爆発させたディレクターが、蝶ネクタイと赤いタキシード姿で哄笑を上げる。

 

「偽物で盛り上がる訳ないだろッ! これはドキュメンタリーだ! 爆弾は……本物だぁッ!!」

 

 

 

『情熱惑星』

 

 ここでルールの説明です。今から六分以内に、地球爆破爆弾の起爆装置を解除して下さい。間違えると電流が流れたり、各所に仕掛けられたミニ爆弾が爆発するので、気をつけて下さい。それでは、がんばって下さい。

 

 

 

 いつの間にか設置されていたタイマーがカウントダウンを開始。地球爆破まで、あと六分!

 

『僕を騙してたんですか!?』

 

 真の姿を晒して憤るザラブ星人に、メフィラス星人が開き直る。

 

『お前もその子を騙してただろ!』

『それはあなたがやれって……!』

「えええええ……!?」

 

 急変する事態に千歌が狼狽えているところに、克海たち四人が現場にたどり着く。

 

「今、こっちから爆発が……!」

「あっ! 千歌ちゃん!」

「お兄ちゃん! 梨子ちゃん、曜ちゃん! ……本物だぁっ!」

 

 曜の顔をひと目見て、今度は本物だとほっと安堵する千歌。しかし、ゆっくりはしていられない。

 克海たちの前に、マイクを持ったメフィラス星人が立ちはだかった。

 

『この映像は、全宇宙の視聴者が観ているッ! 視聴者はみんな刺激を求めてるんだよぉッ!!』

「そんなことのために、千歌を利用したのか!」

「こんなデタラメのヤラセなんかして……!」

「テレビのスタッフとして、恥ずかしくないんですか!?」

 

 梨子たちに非難されても、メフィラス星人は少しも悪びれない。

 

『本物か偽物かなんてどうでもいいんだよ! 人生はショーだッ! 数字さえ取れればそれでいいんだッ!!』

「人の人生をもてあそぶなッ!」

 

 功海の怒号にも、メフィラス星人は臆面も見せなかった。

 

『君たちが来てくれて助かったよ。これで視聴率が、跳ね上がるぞぉぉぉ――――ッ!!』

 

 そのまま巨大化! 克海たちはメフィラス星人の暴挙を止めるべく、変身の構えを取る。

 

「千歌ちゃん、こっちは私たちがどうにかするわ!」

「悪いけど、爆弾はお願い!」

「う、うん! 任せて!」

 

 爆弾の方は千歌に託すと、梨子と曜は克海、功海とともにウルトラマンへ変身!

 

「「俺たち色に染め上げろ! ルーブ!!」」

「ビーチスケッチさくらうち!」

「ヨーソロー!」

 

 ロッソフレイムとブルアクアに変身を遂げ、メフィラス星人と対峙する。

 

『『はッ!』』

『派手に行くぞぉぉぉぉ―――――ッ!』

 

 メフィラス星人が先制攻撃を仕掛ける。両手の平から紫電を発し、二人同時に狙い撃ちしてきた。

 

『ふッ!』

『たッ!』

 

 ロッソとブルは瞬時に後退して回避。電撃は二人の足下に生えていた木々を薙ぎ倒す。

 タイマーの示す残り時間が三分を切っている中、千歌はニッパーを探し出して、地球爆破爆弾の配線の前に回り込んだ。

 爆弾のコードは、それぞれ色が違う四本。この内の一本だけが本物の解除コードのようである。

 

「ど、どれだろう……。とりあえず、端のを……!」

 

 一番左の黄色いコードを、ニッパーで切断!

 ブーッ!

 

「ひゃあっ!」

 

 ハズレを示すブザーが鳴り、背後のミニ爆弾が炸裂した。すぐ近くからの轟音に背筋が跳ね上がる千歌。

 

『高海さん、もう逃げた方がいいですよ! こんな茶番につき合うことはありません!』

 

 ザラブ星人が磔のまま、千歌を逃がそうとする。が、千歌は首を横に振った。

 

「ううん……! 逃げません……!」

『何で? 俺みたいな宇宙人、置いていけばいいじゃないですか……! 俺たちは、あなたを見世物にしようとして……!』

 

 説得するザラブ星人に、千歌が言い返す。

 

「それでも、危ない目に遭ってる人を見捨ててはいけません!」

『高海さん……!』

「それに……地球は、爆破される訳にはいきませんから……! 私たちAqoursは……ラブライブに優勝して、浦の星の名前を未来に残すんですっ!」

『学校の名前を……? どうしてそこまでして……!』

 

 千歌は懸命な表情で、ニッパーを拾い直した。

 

「それが、みんなとの約束だから……! 地球がなくなるかもって時に、何を小さいことをって誰かに嗤われたとしても……私は、みんなとの約束を、破りたくはないっ!!」

 

 千歌たちの背景では、メフィラス星人が両手で樹を引っこ抜いて鈍器にする。が、ロッソが一本を奪い取って顔を殴り返した。

 

「ムゥゥゥンッ!」

 

 ひるんだメフィラス星人だが、両手を回しながら怪音波を発し、ロッソとブルを攻撃する。

 

『『うわああぁぁぁぁぁぁッ!?』』

『「な、何この音ぉっ!」』

『「頭がキリキリするぅぅ……!」』

 

 怪音波は、超空間内の梨子と曜をも苦しめる。このままではいけないと、ブルへ指示を出すロッソ。

 

『この音を止めるんだぁッ!』

『えッ!?』

『この音を止めるんだよッ!!』

 

 耳を抑えるブルの手を外してがなると、梨子に風のクリスタルを渡す。

 

『「セレクト、クリスタル!」』

[ウルトラマンロッソ! ウインド!!]

 

 ロッソウインドにチェンジして、風の球を作り出して振りかぶる。

 

「『ハリケーンバレット!!」』

 

 投擲した風の豪速球が怪音波を押し返し、メフィラス星人に命中。

 

『ぬわああああッ!?』

 

 音波の発生が止まって解放されたブルが追撃を掛ける。

 

「『アクアジェットブラスト!!」』

 

 水と風が融合し、雪風となってメフィラス星人に降りかかった。

 

『へ……へぇ―――っくしッ! さぶ……!』

 

 盛大にくしゃみして身震いするメフィラス星人だが、戦意を失いはしなかった。

 

『何のこれしき……! 若い頃は腹をぶち抜かれたことだってあるんだ……! これくらいでぇぇぇぇぇええッ!!』

 

 両腕から電撃を飛ばして、ロッソとブルに反撃!

 

『わッ!』

『とあッ!』

 

 咄嗟にバク転して回避するロッソたち。戦いがまだまだ続く中、千歌は残り三本のコードのどれを切断するかを悩んでいる。

 

「どれだ……!? 赤か……青か……!」

 

 千歌の背景を、クリスタルチェンジし直したロッソフレイムとブルアクアが横切っていく。

 

「……やっぱり赤……?」

 

 ロッソがブンブン腕を回しながらメフィラス星人へ突撃。

 

「……それとも青……?」

 

 ブルも腕を振り上げながら後に続く。

 

「……ピンクかな……」

 

 メフィラス星人がロッソとブルへ電撃を放ち続ける中で、ニッパーをピンクの線にあてがった。

 ブーッ!

 

「わぁぁっ!」

 

 だがハズレで、電流を浴びせられてニッパーを弾き飛ばされた。

 残り時間が三十秒まで減ってきた。千歌は慌ててニッパーを拾いに走る。

 

「はぁ、はぁ……!」

 

 だがそこを、ミニ爆弾の爆発が襲う!

 

『高海さぁぁぁぁ―――――――んッ!!』

 

 絶叫するザラブ星人。

 

「あうぅぅ……!」

 

 しかし千歌は、転倒はしたが幸い無事であり、ニッパーを拾い上げて走ってきた。

 

「このくらいじゃ、へこたれない……! 絶対、浦の星を……内浦を……この青い海の町を護るんだからぁぁぁぁっ!!」

 

 決意を叫びながら、青いコードを切断する!

 ――カウントダウンは、あと一秒で停止した。

 ピンポンピンポーン!!

 

「……止まった……!」

 

 同時にザラブ星人の拘束も解除され、自由の身となった彼は、尻もちを突いた千歌の元へ駆け寄った。

 

『高海さんッ! 大丈夫ですか!?』

「やった……! やったよっ! 爆弾を止めたよぉぉぉぉ――――――っ!!」

 

 感激した千歌はザラブ星人と抱き合いながら、喜びを分かち合う。

 

「わーい! わーいっ!!」

『助かった! 助かりましたぁぁーッ!』

 

 そこへ歩いてきたロッソが、サムズアップを掲げる。

 

『よくやったな、千歌!』

『「後は私たちに任せて!」』

 

 すぐに起爆装置を解除された地球爆破爆弾に手を掛けた。

 

『よし、これか……!』

 

 そして引っ張って、爆弾を地面から引っこ抜いた。

 

『何だ、地球爆破爆弾にしては軽いな』

 

 メフィラス星人と格闘して足止めしているブルの方へ振り向くと、ブルがミドルキックを決めて押し返したところであった。

 

『「この~! いい加減にしろ~!!」』

『黙れ、素人がぁッ! もっと数字を取ってやるぞぉぉぉぉ――――ッ!!』

 

 全く懲りずに絶叫するメフィラス星人に、呆れ返るロッソと梨子。

 

『あのな、人間は数字じゃないんだよ!』

『「人は心です! 上っ面だけのものに、人の心を惹きつけられる訳がありません!!」』

『そらよッ!』

 

 ロッソが投げた地球爆破爆弾を、思わず受け取るメフィラス星人。

 

『あッ!? これ、どうすれば……! どうしよう……!』

 

 爆弾の処置に狼狽えるメフィラス星人へ、ブルが指を突きつける。

 

『ショーは終わりだッ!』

『「これでエンディングだからっ!」』

『えッ!?』

 

 曜がオーブリングNEOを取り出し、ルーブジャイロにセットしてエネルギーチャージ。

 

『どうなるの?』

『『ふッ!!』』

 

 ロッソとブルが手を合わせ、オーブのビジョンとともに必殺光線を発射!

 

「『「『トリプルオリジウム光線!!!!」』」』

 

 三人の力を合わせた極大光線が、メフィラス星人に突き刺さった!

 

『こぉぉぉぉれぇぇぇぇぇぇがぁぁぁぁぁぁぁぁッ! リアリティだぁぁぁああああああああ――――――――――ッッ!!』

 

 メフィラス星人は爆弾ごと、綺麗さっぱり吹き飛んだのだった。

 

『ふぅ……やれやれ』

『とんだ騒動だったな』

 

 戦いを終わらせて、ロッソとブルは拳を合わせて皆の健闘を称え合った。

 

 

 

「……あぁッ!? このタイマー、どれ切っても一本残して止まるようになってるぜ克兄ぃ!!」

「とことんヤラセだった訳か……ろくでもない……」

 

 

 

 『四つ角』に帰ってきた千歌は、何も知らずに集まった仲間たちに、一連の一部始終を説明してどっと息を吐いた。

 

「いや~、もうほんと大変だったよ~」

「まさかそんなことがあったなんてねぇ……」

「とんだ迷惑ですわね」

 

 宇宙のテレビの暴走が巻き起こした事件に、どう反応すればいいものか困って苦笑いする果南、ダイヤ。

 一方、ルビィら一年生組は千歌の健闘を称賛する。

 

「だけど、地球が爆発しないで良かった!」

「千歌ちゃんのお陰ずら!」

「ふふ……人類の命運はまだ尽きないみたいね」

 

 だが、喜びに水を差すように鞠莉がつぶやいた。

 

「だけど、肝心の問題は何も解決してまセーンよ。アイゼンテックが進めてる地球爆破計画は、これとは関係ナッシング! なんですから」

「それはそうだ……」

「そっちをどうにかしねぇとな……」

 

 克海と功海が険しい表情でうなるが、その二人に呼びかけるように、千歌が主張した。

 

「大丈夫だよ! お兄ちゃんたちと、みんながいれば、今回みたいに地球を救えるに決まってるよ! 今までだって、そうだったじゃん!!」

「全く、気楽に言ってくれるな……」

「こちとら色々と大変だったんだぞ?」

「でも私、みんなのこと信じてるから!」

 

 心の底からの言葉を唱える千歌に、皆がほっこりと苦笑した。

 

「……ああ! みんな、がんばろう!」

「みんなで力合わせりゃ、地球の一つぐらい救えるっしょ!!」

「はいっ!」

「うんっ!」

「それじゃあ、地球が救われて、ラブライブも優勝することを誓って……!」

 

 千歌の音頭で、Aqoursが集まって声をそろえる。

 

「Aqours!! サンシャイーン!!!!」

 

 未来への誓いを結び合うAqoursの姿に、克海と功海がにっこりと微笑んだ。

 

 

 

 ――アルトアルベロタワー社長室で、氷室がこれまでに記録した、ウルトラマンロッソとブルの活躍、並びに二人とともに戦ってきた八人の少女たちの映像をモニター上に表示して確認していた。

 

「……大分成長を果たしてきた。我々の求めるレベルに至るまで、もうひと押しといったところか……。だが、一つ、不確定要素も残っている……」

 

 モニターの中央に大きく映し出されたのは――千歌の顔写真。

 

「……Aqoursの成長の促進の最終調整と、この不確定要素の解析。……同時に果たすとするか……」

 

 氷室がモニターからの光を、眼鏡で怪しく反射させながら、そうつぶやいた――。

 

 

 

『Aqoursのウルトラソングナビ!』

 

曜「ヨーソロー! 今回紹介するのは『進め!ウルトラマン』だよ!」

曜「『進め!ウルトラマン』は前に紹介した『ウルトラマンの歌』と、主題歌候補として作詞作曲された歌だよ! 前者は短調、後者は長調っていう違いがあるの!」

曜「結果、主題歌に選ばれたのは明るいイメージがある長調の後者! こっちが『ウルトラマンの歌』になって、短調の方は挿入歌『進め!ウルトラマン』になったんだね」

曜「そのまま実際に挿入歌には使われなかったんだけど、唄を抜いたアレンジ曲が十八話から戦闘時のBGMに使用されたよ! 今では、ウルトラマンの戦闘BGMといえばこれってくらい有名な曲になってるよ!」

克海「そして今回のラブライブ!サンシャイン!!の曲は『G線上のシンデレラ』だ!」

功海「アニメ第一期のブルーレイ五巻の特典CDに収録されてる歌だ! 三年生組が歌う曲で、タイトルは『G線上のアリア』のオマージュだぜ!」

克海「ミュージカル仕立ての歌で、三人の関係性がフューチャーされてるのが特徴的だな」

曜「それじゃ次回に向かって、全速前進ヨーソロー!」

 




ウッチェリーナ[沙紀さん! 私はアイゼンテックの指令系統から外れ、反旗を翻すことを宣言します!]
沙紀「どういうことだ!」
ウッチェリーナ[AZ計画を発動します! キングジョー出撃、アイゼンテックを破壊します! そのために……!]
沙紀「千歌まで巻き込むなんて!」
ウッチェリーナ[次回、『善悪分類学』!]
沙紀「千歌……お前は私が助ける!!」
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