ウルトラブライルーブ!サンシャイン!!   作:焼き鮭

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元気全開アイゼンテック(B)

 

 千歌たち三人が避難していったアルトアルベロタワーの地下シェルター内では、アイゼンテック社員たちが皆不安な面持ちでいた。その中で高海母が三人を見つける。

 

「千歌、克海と功海は一緒じゃないの?」

「お母さん。それが、お兄ちゃんたちは行くところがあるって……」

「そう……。きっと何かあったのね。あの子たち、昔から妙に正義感が強くて困ってる人なんかをほっとけない性分だから……」

 

 高海母がため息を吐いていると、シェルター内の巨大モニターに光が灯った。

 

「みんな、飛行船からの映像が届いたよ! おお、これはッ!」

 

 愛染が説明をしながら、モニターに映し出された地上の様子を大仰に指差した。

 

「ウルトラマンだぁーッ! ウルトラマンが怪獣と戦ってるぞぉー!」

「ほんとだ! ウルトラマンさん!」

 

 映像の中では、克海と功海が変身したロッソフレイムとブルアクアがまさにガーゴルゴンに立ち向かっているところであった。愛染は暗い表情だった社員たちを囃し立てる。

 

「ウルトラマンは我々のために怪獣を退治しようとしてるのだ! みんなでウルトラマンを応援しよーうッ!」

「う……ウルトラマン……!」

「がんばってくれー!」

「私たちを助けてぇっ!」

 

 心が弱っているところに希望の光が差し込んだことで、社員たちは口々に映像の中のロッソとブルに声援を送り出した。

 

「ふふ……」

 

 それに愛染はこっそりと、満足そうにほくそ笑んだ。

 当のロッソとブルは、二人でガーゴルゴンの背後に回り込んで相手を捕らえ、後ろに倒れ込む形で地面に激しく叩きつけた。

 

「やった!」

 

 曜がぐっと手を握ったが、ガーゴルゴンは倒れた姿勢のまま二股の尻尾を伸ばし、ロッソたちを突き飛ばす。

 

「あぁっ!?」

 

 起き上がったガーゴルゴンは口を開くと、その中に隠されてあった目玉を露出。

 

「何あれ!? 口の中に目が!」

「気色悪い……!」

 

 地球の生物ではありえない肉体構造に、梨子はブルリと悪寒に震えた。

 それだけではない。ガーゴルゴンは目玉から怪光線を発射! 地面をなぞりながらロッソとブルに光線が迫る!

 

「危ないっ!」

 

 ロッソとブルは左右に分かれて回避したが、背後にあった鉄塔に光線が当たると、鉄塔はたちまち石に変わってしまう。

 

「鉄塔が石に……!?」

「! もしかして、あの時の……!」

 

 梨子はアイゼンテック社に訪れた時、空から石の鳥が落下してきたことを思い出した。そういうことだったのだろう。

 

「あれ、超やばいじゃんっ!」

 

 震える曜と同じように、ロッソとブルもガーゴルゴンを警戒。だがガーゴルゴンはロッソに肉薄して抑え込むと、ブルに向けて石化光線を放った。

 反射的にかわしたブルだが、光線はガラス張りのビルに当たって反射。それが運悪くブルの方に飛んできた!

 

「あぁーっ!?」

 

 光線が命中したブルは、あっという間に石像に変えられてしまった!

 

「功兄ぃーっ!」

「え?」

 

 曜は思わずそう叫んでしまい、千歌が呆気にとられて振り向いた。

 

「功兄ぃ? 功海お兄ちゃんがどうかしたの?」

「あっ……!?」

 

 失言に気づいた曜は慌ててごまかす。

 

「ち、違うよ。今のは石にぃーっ! って言ったの。ウルトラマンさんが石にされて、超ピンチだよ!!」

「だよね! 負けないで、二本角のウルトラマンさん!!」

 

 千歌と同じように周りの社員たちの声援が強まるが、無情にもガーゴルゴンは拘束したロッソにも石化光線を食らわせようとする。絶体絶命だ!

 しかしその時、梨子がロッソのある異変を見止めた。

 

「あれ? 何か、角が光って……」

 

 

 

『え……?』

 

 ロッソ自身も、ガラス張りのビルが鏡となって、己の角が発光していることに気がついた。

 咄嗟に角に両手をやったロッソ。すると……角からふた振りの片手剣型の武器を引き抜いた!

 

『そういうことかッ!』

 

 双剣を手にしたロッソは首に巻きついた尻尾を払うと、素早くガーゴルゴンの目玉を切り裂いた。不意打ちに反応できなかったガーゴルゴンは斬撃をまともに食らう。

 

「キュウッ! アァオ――――――――!」

 

 痛恨の一撃を食らったガーゴルゴンが後ずさりし、目玉が潰されたことでブルの石化が解けて元に戻った。

 

『大丈夫か?』

『何とか……』

 

 意識が戻ったブルはロッソの横に並ぶと、彼が握る双剣に目を留める。

 

『そんなすげぇもん、どこで見つけたんだよ?』

『頭に武器が仕込んであったんだ』

『よぉーし! だったら!』

 

 ブルもまた己の一本角に手を添える。そしてこちらは一刀の両手剣が出てきた。

 

『これであいつを仕留めてやる!』

『よく見ろ。下手に戦うとまた石だぞ!』

 

 武装して調子づいたブルに、ロッソが注意を促した。

 

 

 

「角から武器が……!」

「すっごーい! いっけぇー!」

 

 窮地から一転して武器を得たロッソとブルに、曜たちが盛り上がって応援に熱を入れる。

 ロッソとブルは剣でガーゴルゴンの稲妻光線を切り払いながら接近し、波状攻撃による斬撃を浴びせていく。武装した以上、数で優勢のウルトラマン側に戦況が転ぶ。

 が、ガーゴルゴンもしぶといもので、稲妻光線でロッソとブルの周囲を薙ぎ払って二人に爆撃を食らわせた。

 

「あぁっ! あの怪獣強いよぉ!」

「頑張って……!」

 

 千歌たちはロッソたちを信じて応援する以外にない。

 そうしていると、ロッソとブルはクリスタルチェンジ。ロッソアクアはブルフレイムを自分の後ろにつかせると、ガーゴルゴンが飛ばしてくる稲妻光線を回避することに専念し出す。

 攻撃がことごとくかわされるガーゴルゴンは痺れを切らしたように、再生した目玉から石化光線を繰り出す!

 

「またあの光線だっ!」

「危なぁいっ!」

 

 悲鳴を発する千歌だが、ロッソは恐れず、水のバリアを作り出して光線を受け止めた。水のバリアは鏡となり、石化光線をガーゴルゴン自身に跳ね返した!

 

「おおー!?」

「あったまいいー!」

 

 パチンと指を鳴らす曜。自分の光線を食らったガーゴルゴンは、自分自身の下半身が石となってしまった。

 

「動きを封じたわ!」

「今だぁ! いっけぇー!」

 

 曜の応援が届いたかのようにブルがガーゴルゴンにジャンプ斬りを浴びせ、再び目玉を潰すと、ロッソとブルのコンビネーションによる斬撃をお見舞いした!

 それが致命傷となって、ガーゴルゴンは大爆発を起こして消滅したのだった。

 

「やったぁー!」

「みんなッ! ウルトラマンが怪獣を倒したぞぉー! 私たちは助かったのだぁーッ!!」

「わぁぁぁぁぁぁ――――――――!!」

 

 ロッソとブルの大勝利に、シェルター中が歓声で包まれたのであった。

 

 

 

『おっさき~』

『おいちょっと!』

 

 ガーゴルゴンを撃破したブルは空に飛び上がって地上から離れていく。つられて飛び上がったロッソはブルに追いつくと、こう問いかけた。

 

『いきなり飛んでどこ行くんだよ?』

『だって、『一難去ったら全身で翔ばたけ』だろ?』

『しょうがねぇなぁ……』

 

 愛染の言葉を引用したブル。ウルトラマン兄弟はそのまま、地平の彼方へと飛び去っていった。

 

 

 

 ――ロッソとブルに倒されたことで戻ったガーゴルゴンクリスタルは、複数の怪獣クリスタルが収められているケースに嵌め込まれた。

 クリスタルを収納した愛染が、にこやかに首を振った。

 

 

 

 その日の晩、『四つ角』で功海は何やらうなりながらウロウロしていた。

 

「う~ん……ルーブソード、ルーブエッジ……ダメだなぁ~安直だ……」

「功海どうしたんだ。そんな檻の中のクマみたいに」

 

 克海が気を掛けると、功海は次のように答えた。

 

「今日手に入れた武器の名前を考えてんだよ。名前あった方が便利だろ?」

「名前? そんなん何でもいいだろうが」

「いやいや! ここは気分が盛り上がるように、かっこいい名前決めようぜ~! 克兄ぃ、何か思いつかねぇ?」

「名前ねぇ……」

 

 聞かれた克海が、少しの間考え込んだ後に、口を開いた。

 

「じゃあ、ルーブスラッガーってのはどうだ?」

「スラッガー?」

「野球で、強打者を示す言葉だ。ほら、剣とバットって似てるだろ? それでさ」

 

 バットを振る動きをした克海に、功海は満足げに表情を輝かせた。

 

「いいなそれ! 響きが気に入ったぜ! じゃ、俺のがルーブスラッガーブルで、克兄ぃのがルーブスラッガーロッソな!」

「ああ。全く、子供っぽい奴め……」

「いいじゃんかよー。それより、千歌たちはどうしたんだ?」

 

 聞かれて、克海は天井、千歌の部屋を指差した。

 功海が二階に上がって、そっと襖を開くと……。

 

「ここでステップするより、こう動いた方が、お客さんに正対できていいと思うんだけど……」

「じゃあ、ここで私がこっちに回り込んで、サビに入る?」

 

 あんなことがあったというのに、気を休ませることなく真剣にライブの演出を議論していた。

 

「……」

 

 功海は柔らかに微笑むと、静かに襖を閉じた。

 

 

 

 その後、ライブの打ち合わせに熱中し過ぎたことによりバスの最終便を逃してしまったので、曜を克海が家に送ることとなった。

 軽トラックで曜を送る最中に、克海が不意に話しかけた。

 

「けど、少し意外だったな。千歌がスクールアイドルに、こんなにも夢中になるなんて」

「え?」

「あいつ、割と飽きっぽいだろ。何かを始めてもすぐにやめるし。だから俺も功海も、今回もどうせ長続きしないって思ってたんだけどな」

 

 克海の評に対して曜はこのように返す。

 

「飽きっぽいんじゃなくて、やると決めたことはとことんやるタイプなんだよ。だからやらないと決めたことからはすぐに手を引くんだと思う」

「なるほどな……。流石、俺たちに見えないところもよく見てるな」

「えへへ」

 

 苦笑した曜に、克海は問いかける。

 

「それで、ライブは成功しそうなのか? 今後の活動が懸かってるんだろ?」

 

 しかし、曜は不安げな表情を浮かべた。

 

「上手く行くといいけど……体育館割と広いし。人の少ないここで、ほんとに満員に出来るかと言われれば……」

 

 と弱気な曜に、克海は微笑みかけた。

 

「大丈夫さ。確かにここは何もないような田舎だが、みんな温かい。ここには心がある。だから俺も功海も、千歌も、この町が好きなんだ。……きっと成功するさ」

 

 克海の言葉に曜は少し驚いた顔となり、そして柔らかな笑顔となった。

 

 

 

 運命のライブ当日。だが天候は崩れ、土砂降りの空模様であった。

 

「大分降ってるな……」

「ああ……。千歌たちついてねぇな~……」

 

 軽トラックで浦女に向かう克海と功海は、道中顔をしかめていた。天気が悪いと人は外に出たくなくなる。当然の心理だ。そんな状態で、体育館を埋め尽くせるだけの人が集まるのだろうか……。流石に不安はぬぐい切れない。

 

「まぁ、どんな結果になっても俺たちはあいつのこと、温かく迎えてやろうぜ!」

「ああ。もちろんだ」

 

 自分たちが暗くなっていても仕方がない。浦女が見えてくると、二人は気分を切り替えた。

 しかし学院の校庭が見えてくると、克海たちは激しく面食らうこととなる。

 

「んなッ……!?」

「な、何じゃこりゃあ!?」

 

 ――荒天にも関わらず、校庭は来客の車で埋め尽くされており、さながら人気テーマパークのパーキングエリアみたいになっていたからだ。

 それだけではなく、呆けている克海たちの軽トラの後尾に続々と車がやってきて列をなしていく。この過疎化が進む内浦で、渋滞が出来上がっているのだ。

 

「す、すげぇ……。内浦ってこんなに人いたのか……?」

「この分だと、内浦の外からも集まってきてるみたいだな……。千歌たちのライブに……」

 

 予想をはるかに上回る光景を目の当たりにし、すっかり言葉を失っていた克海たちだが、現実を呑み込んでいくと、みるみる顔を輝かせた。

 

「克兄ぃ! これならライブ大成功だよな!」

「当たり前だろ! 千歌たちも喜ぶに違いない!」

「いぇ~!! 俺たちの妹、超人気者だ~!」

 

 気持ちが昂った克海と功海はパンッ! と手を叩き合った。

 レインコートを纏って下車し、体育館の出入り口に向かうと、そこで更に意外な人物と出くわした。

 

「やーやー高海兄弟くんッ! 生憎の雨だが、ここは大盛況だねぇ~!」

「愛染さん!?」

 

 愛染と氷室が体育館の扉の前にいることに克海たちは仰天。

 

「まさか、ほんとに来てくれたんですか!? お忙しいでしょうに……」

「なぁ~に! この愛と正義の伝道師愛染正義、新しいスクールアイドルの誕生を祝福しない訳にはいかな~い! 高海君も来られたらよかったんだけど、彼女には急な出張が入ってしまってね~。そこは実に申し訳ない」

「と、とんでもない! 千歌たちのためにわざわざ来ていただけただけで、十分すぎますって!」

 

 功海は未だ信じられないといった顔でブンブン首を振った。克海は愛染の後方に控える氷室に顔を向ける。

 

「そちらの方は?」

「ああ、これはウチの副社長の氷室仁(じん)だ。堅物に見えるけど、これもアイドル好きでね~。一緒に来ちゃった!」

「氷室仁です。どうぞ『今後とも』お見知りおきを」

「ふ、副社長さんにまで! 何か俺もう、倒れちまいそうだよ~……」

「おいおい! お前が倒れてどうするんだっての!」

 

 思わずよろめいた功海を支えた克海は、氷室にペコペコ頭を下げた。

 

「氷室さん、どうも母がお世話になってます」

「いえ。それよりも、ライブの開始時刻は1時半で間違いありませんよね」

「? そうですけど……?」

 

 唐突に尋ねてきた氷室に、呆気にとられる克海。今は1時を少し過ぎたくらいであり、ライブ開始にはまだ早い。

 

「ですが今しがた中を確認したら、既に舞台でAqoursの皆さんが歌われていたのですが」

「「へ?」」

 

 一瞬変な顔となった克海と功海は、互いに顔を見合わせる。

 

「まさか……」

 

 二人は扉をわずかに開き、自分たちの目で体育館の内部を確かめると、停電したのか明かりの点いていない舞台上に、確かに千歌たちAqoursの姿があった。

 それでおおまかな事情を理解した克海と功海は――思い切り扉を開け放って舞台上の千歌に向かって叫んだ。

 

「おいバカチカー! 開始時間間違えてんぞー!!」

「さぁ、皆さんどうぞ中に」

 

 克海が来客を体育館の中へ誘導し、直後に照明が復旧。

 体育館を埋め尽くし、それでも入り切らないほどに集まった人たちの姿が光の下に晒された。

 

「……ほんとだ。私、バカチカだ……!」

 

 暗闇の舞台上で涙をこらえていた千歌は、それを振り払って、曜と梨子とともにライブを改めて開始した!

 

(♪ダイスキだったらダイジョウブ!)

 

 舞台の上で歌い、踊る千歌たちを見守りながら、克海はふぅと嘆息した。

 

「全く、おっちょこちょいな奴だ。こんな大勢の前で早まるなんて、兄として恥ずかしいな」

「でも、結果大成功でよかったじゃん。マジで体育館満員にしてさー」

「確かに、こんなにも集まったのは正直予想外だったな……」

 

 と話していると、功海に手を振る一団が出てくる。

 

「おーい高海ー! お前の妹のライブ、ちゃんと来たぜー!」

「あッ! あいつら……」

 

 その一団の顔に、克海は見覚えがあった。

 

「あれってお前の大学の友達の……何だ、結局二百人連れてきたのか?」

「し、知らねー。あいつらが勝手に来たんじゃね?」

 

 功海はわざとらしく口笛を吹いて素知らぬ顔をした。

 そこに今度は、克海に飛びついてくる人影が。

 

「オーウ克海ー! 二年ぶーりデースっ!」

「うわッ! 鞠莉ちゃん? 帰ってきてたのか?」

「イエース!」

 

 克海に抱きついてきた金髪の少女に、功海は目を丸くした。

 

「克兄ぃ、その子は?」

「あ、ああ。この子は小原鞠莉。あの小原グループのとこの子だよ。話したことあるだろ?」

「ああ、その子がそうなのか」

「小原鞠莉デース! 浦女三年生にして、ここの新しい理事長デース!」

 

 鞠莉の自己紹介に今度は克海が驚かされた。

 

「えッ、理事長? じゃ、部の承認の条件を出したのって……」

「私デスよー。それくらい出来ないようじゃ、スクールアイドルとして成功するなんて無理ですからね」

 

 鞠莉と親しげな克海の様子に、功海は下世話な顔となる。

 

「何だよ克兄ぃ~。小原のホテルに困ってるふりして、ちゃっかりしてんじゃんか。将来は合併かぁ?」

「まぁ、合併だなんて……」

「馬鹿、お前が想像してるようなんじゃねぇよ。鞠莉ちゃんは果南ちゃんの……あー……友達なんだ。その縁で知り合っただけだ」

「あぁそうなんか。果南の」

 

 克海がそう鞠莉を紹介すると、鞠莉は少し複雑そうな表情をした。

 

「……まぁ、再会のご挨拶はこれくらいにして、今は彼女たちの初ライブに集中しましょう」

「そうだな……。ちゃんと見届けてやらないと」

「ああ」

 

 鞠莉にうなずいて、克海と功海は舞台の千歌たちの方に集中した。

 ――そうして千歌たちが歌い終わると、体育館中に歓声が沸き上がり、体育館が割れんばかりの拍手に包まれた。

 それを一身に受けながら、曜、梨子、千歌は順番に語り出した。

 

「彼女たちは言いました!」

「スクールアイドルはこれからも広がっていく!」

「どこまでだって行ける! どんな夢だって叶えられると!」

 

 その時に、人の間を抜けて早足で舞台の前に向かっていく人影が現れる。

 

「ダイヤちゃん……!」

 

 浦女の生徒会長でこれまでずっとスクールアイドル部の承認を拒み続けていた黒澤ダイヤである。彼女は千歌たちに向かって言い放った。

 

「これは今までのスクールアイドルの努力と、町の人たちの善意があっての成功ですわ! 勘違いしないように!」

 

 きつく釘を刺すダイヤだが、千歌たちは動じなかった。

 

「分かってます! でも……でも、ただ見てるだけじゃ始まらないって! 上手く言えないけど……今しかない、瞬間だから!」

 

 千歌は梨子と曜と手をつなぎ合わせ、宣言した。

 

「「「輝きたいっ!」」」

 

 ――三人のその言葉を、克海たちは皆、再びの拍手で称えたのだった。

 

 ――その中で二人だけ。壁際で拍手をしていない愛染と氷室が、囁き合った。

 

「いやぁ~、彼女たちいいもの持ってるね~。氷室君、そう思わない?」

「おっしゃる通りで、愛染社長」

 

 眼鏡を光らせる氷室と、にんまりと口を吊り上げる愛染が、千歌たちの様子をじっと見つめ続けた。

 

 

 

『Aqoursのウルトラソングナビ!』

 

梨子「ビーチスケッチさくらうち! 今回ご紹介するのは、『Unite ~君とつながるために~』です!」

梨子「これは『新ウルトラマン列伝』内で放送された『ウルトラマンX』のエンディングテーマです。「ユナイト」は『X』のキーワードの一つなので、エンディングのタイトルとしてはピッタリですね!」

梨子「歌詞の内容は『X』という番組の趣旨、他者との理解をとても直接的に表現してます。でも変にひねらず、直球の言葉での表現は、それだけ心に訴えかけるものがあるのではないでしょうか」

梨子「映画でも主題歌として使用されましたが、こちらはボイジャーに加えて、2000年代のウルトラソングをよく担当したProject DMMも一緒に歌ったバージョンとなってます! 彼らの歌声に懐かしい気分となった方もいらっしゃるんじゃないでしょうか」

克海「そして今回のラブライブ!サンシャイン!!の歌は『元気全開DAY!DAY!DAY!』だ!」

功海「サンシャインのミニユニットシングル第一弾に収録された曲だな! 担当したのはCYaRon!の千歌、曜、ルビィちゃんの三人だ!」

克海「Aqoursの中でも元気いっぱいの三人に相応しい、明るさいっぱいなのがタイトルの時点で伝わってくるな」

千歌「それではまた次回をお楽しみに!」

 




曜「功兄ぃと克兄ぃの前にまた怪獣が現れた! しかも今度のはメチャ強い!」
梨子「このままじゃ、克海さんたちには勝ち目がない……!」
曜「功兄ぃ、克兄ぃ、私やっぱり……!」
梨子「私……私は……!」
梨子「次回、『勇気があったらダイジョウブ!』!」
曜「全速前進ヨーソロー!」
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