ウルトラブライルーブ!サンシャイン!!   作:焼き鮭

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私のNEW WORLD(B)

 

「ウオオォォ――――――――――……!!」

 

 ルーゴサイトは両腕から触手を伸ばし、グルジオレギーナの胴体に巻きつけて拘束。動きを封じてからトゲミサイルを食らわせる。

 

「ギュオオオォォォ―――――ン!!」

 

 グルジオレギーナはトゲを浴びながらも三つの砲身から砲撃を発射して反撃。激戦を繰り広げながら、アルトアルベロタワー周囲に設置してあるバリア発生装置の領域内に近づいていく。

 

『あと……少し……! うあああああっ!!』

 

 ダメージが積み重なって息も絶え絶えの状態だが、必死に身体を支えて戦い続ける。

 そして、触手を振りほどいてルーゴサイトに掴みかかり、全力で押し込んでいく。

 

「ギュオオオォォォ―――――ン!!」

 

 ルーゴサイトがずりずりと動いていき、その身体がバリア発生装置の内側に完全に入った。

 

『バリア起動っ!!』

 

 複数の装置からタワーの頂点のアンテナにエネルギーが送られ、タワーを中心にバリアが展開していく。その内部にグルジオレギーナとルーゴサイトはすっぽり入る形となった。

 戦場へ移動している克海たちも、ギリギリでバリア内に滑り込む。

 

「間に合ったか……!」

「ここじゃまだ遠い……もっと接近するぞ!」

「うん!」

 

 功海の呼び掛けに応じ、危険も恐れずに怪獣たちの元へ近づいていこうとする千歌たちだが、

 

「ウオオォォ――――――――――……!!」

「ギュオオオォォォ―――――ン!!」

 

 ルーゴサイトが再びグルジオレギーナを触手で捕らえ、投げ飛ばす。その際にグルジオレギーナの下敷きになって粉砕した建物の瓦礫が、千歌に飛んできた!

 

「えっ……!」

「危ないっ!」

 

 聖良が咄嗟に、千歌を突き飛ばしてかばう。だがそのために、聖良が瓦礫に襲われた!

 

「きゃああっ!」

「姉様!!?」

「せ、聖良さんっ!!」

 

 理亞たちが真っ青になって、倒れた聖良の元へ駆け寄る。

 

「姉様! 姉様!! しっかりして!!」

「動かしちゃ駄目よ! 頭を打ってるかも……!」

 

 激しく狼狽する理亞を鞠莉が制し、聖良の容態を確かめる。不幸中の幸いで直撃は免れたようであるが、すぐに立ち上がれる状態にはない。

 

「聖良さん、ごめんなさい……! 私のために……!」

 

 助けられた千歌が謝罪するのを、かすかに意識がある聖良が手を向けて止め、克海たちに呼び掛ける。

 

「私のことはいいから、先に行って下さい……」

「……すまないッ!」

「千歌たちは、聖良ちゃんを頼むぜ!」

「うん……!」

「私と曜ちゃんは、克海さんたちと一緒に行くわ!」

「美剣さんは私たちが止めるから!」

「お願い、梨子ちゃん曜ちゃん……!」

 

 残るメンバーに聖良を頼み、克海と功海は梨子、曜とともに先へ進んでいく。

 

 

 

「ウオオォォ――――――――――……!!」

 

 ルーゴサイトがバリアの外へ脱け出そうと、障壁に腕を叩きつける。だがバリアが破れることはなかった。

 

『逃がさん! お前は、ここで私と死ぬのだっ!』

 

 そこにグルジオレギーナが、背後からエルガトリオキャノンを撃ち込む。

 

「ギュオオオォォォ―――――ン!!」

 

 不意打ちの直撃を食らわせてもなおルーゴサイトに負傷は与えられず、トゲミサイルで反撃される。

 

『ぐぅっ……1300年間、この時を待っていた……! レイエネルギーと、このクリスタルの力で……!』

 

 沙紀はルーゴサイトを逃げられないようにした上で、大量の怪獣クリスタルを握り締める。

 

『今度こそこの星もろともっ! お前を、お前を倒すっ!!』

 

 そして自らの身体にクリスタルを取り込み、エネルギーを急激に上昇させる。

 

「ギュオオオォォォ―――――ン!!」

 

 極限まで高めた自身のエネルギーと、一点に集結させたレイラインを反応させ、地球を巨大な爆弾にしようというのだ!

 状況がいよいよ危険域に達したことを律子に告げるウッチェリーナ。

 

[レイエネルギー、数値急上昇してます!]

「美剣さん、早まらないで! ハドロン衝突型加速器、作動!」

 

 律子は何が何でも沙紀の自爆を止めるべく、アルトアルベロタワー地下の大型ハドロン衝突型加速器を運転させ、次元の壁に揺らぎを作り出す。

 

「ウッチェリーナさん、転送先はこの座標軸に!」

 

 律子からの指示に、問い返すウッチェリーナ。

 

[この数値ですと、アルトアルベロタワーごと虚数次元に転送されることになります! ディメンションホールの入り口は破損し、二度と戻ってくることは出来ません……!]

 

 律子は、事もなげに返答した。

 

「それでいいのよ。出入り口を壊せば、もう誰もルーゴサイトに絶対手を出せなくなるから」

 

 

 

 千歌たちと別れて先を急ぐ克海たち四人は、グルジオレギーナが急激に発光し出したことにはもちろん、タワー上空に時空の穴が開いたことに驚きを見せる。

 

「あの穴は……!?」

「まさか時空を歪めて、ディメンションホールを作り出そうとしてるのか!」

 

 推理する功海に三人の目が集まる。

 

「ディメンションホール?」

「異次元に続く穴さ! 秋月さんはこのまま、ルーゴサイトを異次元に追放して閉じ込めようとしてる……恐らく、自分も一緒に……!」

「えっ……!?」

 

 絶句する梨子ら。

 

「そんな……それが、先生が考え出した手段……!?」

「自分一人を犠牲に、私たちを助けようとしてるの……!?」

 

 直後、タワーのアンテナから対怪獣拘束ビームが最大出力でルーゴサイトに照射され、麻痺させて動けなくさせる。

 

「ウオオォォ――――――――――……!!」

 

 それからバリアも解除されて、戦場にいる克海たちや、千歌たち、沙紀に対しても、律子が呼び掛けた。

 

『みんな、早くここから離れて! バリアの外側まで逃げれば、ディメンションホールには吸い込まれないわ! ルーゴサイトを呑み込めば、異次元の道は破壊されて誰も通れなくなる! 地球は救われるのよ!』

「だ……駄目ですよそんな! 先生はどうなるんですか!?」

「私たちのために、先生を犠牲にするなんて出来ませんっ!!」

 

 曜と梨子の叫び声に、律子は反応せず、作戦を強行する。こうすれば、全員逃げるより他なくなるという判断だ。

 

「先生……!」

「くそッ、どうすれば……!」

 

 沙紀も止めて、律子も止めるべきか、仲間たちを逃がすべきか、どうすれば良いのかが分からなくなる克海たち。

 だがその時――虚空からの砲撃が、タワーのアンテナを破壊した!

 

「え!!?」

 

 拘束光線が途切れて、ルーゴサイトが自由になってしまう。何が起こったのか。

 

 

 

 アンテナの破損と同時に、律子が操作しているアイゼンテックのコンピューターにいきなり多数のエラーが発生し、作戦の進行がストップしてしまう。

 

「何事!?」

[システムがウィルスに汚染されました! ディメンションホールは維持できていますが、ルーゴサイトを吸引できません!]

 

 今この状況で、こんなことをするのは、()()の他にいない。

 

「でも、外部接続は全て物理的に切断してるのに……!」

[あらかじめ、特定の操作をしたら発動するトラップを仕込んでたのでは……!]

「くっ……読まれてたってこと……!」

 

 あと少しのところでまんまとしてやられた律子がギリリと奥歯を噛み締め、即座にウィルス除去に取り掛かった。

 

 

 

 虚空からは更に、グルジオレギーナに拘束光線が撃たれる。

 

『うわぁっ!?』

 

 空の一画が歪み、ステルス迷彩で隠れていたグラキエスの飛行船が姿を現す。

 

『グラキエスめ……ここまで来て、邪魔を……!』

 

 飛行船へ憎悪の目を向けた沙紀だが、すぐにそうしてはいられなくなる。ルーゴサイトが、ゲネシスレクイエムをグルジオレギーナに向けて放とうと用意しているのだ。

 グラキエスはこのまま、ルーゴサイトに沙紀を葬らせようという魂胆なのだ。

 

『うぅぅっ……!』

 

 沙紀は必死にもがくものの、どう見ても麻痺が解けるより早く撃たれる!

 

「まずいっ! 間に合わないっ!」

 

 律子の作業も、残り数秒で完了するものではない。

 沙紀の絶体絶命の窮地に、克海たちは決断を下した。

 

「「俺たち色に染め上げろ! ルーブ!!」」

 

 火と水のクリスタルをジャイロにセットして、変身する!

 

「ビーチスケッチさくらうち!」

「ヨーソロー!」

[ウルトラマンロッソ! フレイム!!]

[ウルトラマンブル! アクア!!]

 

 ロッソとブルの二人がグルジオレギーナの正面へと飛び出し、放たれたゲネシスレクイエムをフレイムスフィアシュートとアクアストリュームで食い止める。

 

『うッ……うおおおぉぉぉぉぉぉ――――――――ッ!!』

『はぁぁぁぁああああああ――――――――ッ!!』

『「くぅぅぅぅぅぅっ!!」』

『「やぁぁぁぁぁぁっ!!」』

 

 途轍もないエネルギーがぶつかってくるのを、ロッソ、ブル、梨子、曜は全力の、上限をも突き抜けるほどのエネルギーを絞り尽くして止め続ける。

 

『……!!』

 

 その後ろ姿を目の当たりにした沙紀に――在りし日の、自分をかばって散った兄たちの横顔がフラッシュバックして、自爆しようとしていた肉体が急速に静まっていった。

 

 

 

 律子はグルジオレギーナの前に飛び出したロッソとブルの姿を目にし、息を呑み込んでいた。

 

「何てこと……!!」

 

 

 

「『「『あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――!!!!」』」』

 

 ロッソたちは体力が枯れるほどに光線を発し、遂にゲネシスレクイエムを食い止めた!

 

『ど……どうだ……!』

『止めてやったぜ、この野郎……!?』

 

 しかし――ルーゴサイトは翼を展開し、更に強力な光線を放とうと構え直している。

 

『嘘だろ……!? 連射できるのかよ……!!』

『くッ……!!』

 

 ロッソたちは一瞬の判断の後に――カラータイマーに手をやり、光の雫を地上へ放った。

 

「きゃあっ!?」

「い、功兄ぃ克兄ぃ!?」

 

 光の中から出てきたのは、梨子と曜。二人を外へ投げ出したロッソとブルは、腕を広げてひたすらに沙紀をかばう。

 

『来いッ!!』

『止めてやるッ!!』

 

 それが意味するところは、言わずとも明らかである。

 

「やめてぇぇぇぇぇっ!!」

「駄目ぇぇぇぇぇっ!!」

 

 梨子と曜の絶叫は、ゲネシスレクイエムの発射の轟音にかき消される。

 ――その轟音を上回る声で、沙紀が叫んだ。

 

 

 

『嫌だっ!! 置いてかないで!! お兄ちゃんっ!!!』

 

 

 

 ――グルジオレギーナがロッソとブルの前に飛び出して、ゲネシスレクイエムを一身に受けた。

 

「なぁっ……!!」

 

 グルジオレギーナが貫かれ――沙紀が放り出されるありさまに、全員が目を剥いた。

 

「沙紀ちゃぁんっ!!!」

『『美剣ぃぃッ!!!』』

 

 千歌がダッと、沙紀の元へと走り出す。ロッソとブルは怒り狂い、ルーゴサイトへとがむしゃらに突撃していく。

 

『『うおおおぉぉぉぁぁぁぁぁぁぁッ!!』』

 

 ロッソウインドとブルグランドに変わり、ハリケーンバレットとロックブラスターを放つが、バリアで防がれる。それでも距離を詰め、ルーゴサイトに殴り掛かる二人。

 

『『ああああああああああッ!!』』

 

 滅茶苦茶に、力の限りに殴りつけるも、ルーゴサイトがひるむことは全くなかった。

 

 

 

「沙紀ちゃんっ!! 沙紀ちゃぁんっ!! どこ!!?」

 

 千歌は必死に沙紀を捜し回り、声を張って呼び掛け続ける。

 そして、瓦礫の山の間に、沙紀が倒れているのを発見した。

 

「沙紀ちゃんっ!!」

 

 側に駆け寄った千歌は、懸命に沙紀へ呼び掛ける。

 

「お願い、しっかりして!! 死んじゃ嫌だよ!! 沙紀ちゃんっ!!」

 

 ロッソとブルが死に物狂いでルーゴサイトと戦うのを背景に沙紀にすがりつく千歌の耳に、かすれた声が聞こえる。

 

「私は……グリージョ……」

 

 それは、沙紀が残された力で紡いだ言葉だ。

 

「え……?」

「グリージョ……それが……私の、本当の名前……」

 

 グリージョ――その名に、千歌には妙な既視感があった。

 

「グリージョ……」

「私は、ずっと……暗闇の中を生きていた……私の光は、お兄ちゃんたちだけ……だから、お兄ちゃんを奪われたことが、ずっと、許せなかった……」

「しゃべらないで! 早く手当てを……!」

 

 何とかして沙紀を助けようとする千歌だが、手立てが思い至らない。沙紀――グリージョは、千歌の忠告に構わずに話し続ける。

 

「お前が、羨ましかった……千歌……」

「え……?」

「私と反対に、光の中にいる……たくさんの友に囲まれ、愛され……楽しく歌い、笑い……温かい兄がいて……私が無くしたものを、全部持っている……」

 

 グリージョが千歌の手を握って、瞳を覗いた。

 

「嫌っ!! 行かないで! 言ってくれたじゃない! 私の、すぐ側にいるって!」

「お前は、生きるんだ……新しい世界を……私が生きられなかった、この世界を……千の歌を、歌いながら……」

 

 その言葉を最後に、グリージョの腕から力が抜け、ダランと垂れ下がる。彼女の身体が、光に包まれる。

 

「千歌! ……!!」

 

 果南たちが千歌を追いかけてきた時には――グリージョの肉体は光の粒子に変わり果て、天に昇っていくところであった。

 グリージョのジャイロが、支えを失ってカラリと地に落下する。

 

「沙紀ちゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――んっっっ!!!!」

 

 ディメンションホールが渦巻く空に上がっていく光の粒子を仰ぎ、千歌の絶叫がこだました――。

 




千歌「ねぇ、克海お兄ちゃん、功海お兄ちゃん。チカね、これまで本当に幸せだったよ」
千歌「曜ちゃんがいて、梨子ちゃんがいて、Aqoursを結成して、みんなでスクールアイドルやって……苦しいことも、戸惑うことも、悲しいこともあったけど……全部大切な思い出なの」
千歌「お兄ちゃん……チカ、ずっとそばにいるから……だから、未来を生きて――」
千歌「次回。『君のこころは輝いてるかい?』」
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