ルーブの大奮戦を、固唾を呑んで見守っていた聖良と理亞だが、とうとう倒れ、カラータイマーが点滅する姿に希望が絶望に転移する。
「そ、そんな……!」
「ここまでやって……それでも、勝てないの……!?」
梨子たちも、動けないルーブににじり寄っていくルーゴサイトを見ていられずに顔を覆った。
「もう駄目……!」
皆が悲嘆に暮れる中――曜は、ハッと振り向いてあることに気づいた。
「千歌ちゃんがいない……!?」
その千歌は――ルーブの前に駆けつけ、ルーゴサイトに向かって目いっぱい腕を広げていた。
「止まれぇぇぇーっ!!」
『『千歌!!?』』
全員の絶叫が轟き渡る。
「ウオオォォ――――――――――……!!」
ルーゴサイトは千歌の言うことを聞くはずもなく、ルーブもろとも消し飛ばそうとゲネシスレクイエムを放とうとしている。
しかし、千歌に恐れの色はなかった。
「兄弟が力を合わせれば、何でも出来る……! 私は、お兄ちゃんの妹としてやってきたんだもんっ!」
死を撃ち込もうとしているルーゴサイトを、力いっぱいににらみ返して宣言する。
「私にも、出来ることがあるっ!!」
――千歌の想いに呼応して、曜が抱えていたジャイロが、ひとりでに浮き上がって千歌の元へワープする。
「ジャイロがっ!」
目の前に飛んできたジャイロに、千歌が反射的に手を添えた――。
その瞬間――千歌の脳裏に、ずっと眠っていた『記憶』が噴出した。
――ルーゴサイトに敗れ、光になって霧散した『私』の魂は、地球の空に散っていくはずが、代わりにディメンションホールの中に吸い込まれていった。
異次元の内部は、時間の流れが存在しない世界。そこをさまよう『私』の魂は、覚えのある人のバイブス波に引き寄せられた。
『八年前……これだけ時間をさかのぼれば、グラキエスに打つ手もあるはず……!』
異次元を通り抜けている最中の、秋月律子。『私』は彼女にくっついていくように、三次元世界、ただし過去の世界へと舞い戻った。その時には、異次元のエネルギーが魂に染み込んだことで、『私』の肉体は再構築できるようになっていた。
だけど復活した肉体は、元の姿ではなかった。『私』が一番なりたかった、『私』の姿……。
『グルジオ様ってほんとにいるのかな? いるのなら、おれがショーライみつけてやるぜ!』
『ハハッ、こんなおとぎ話を信じるなんて、功海はまだまだ子どもだな』
『なんだと~!? おれ、子どもじゃねーし! もう小学生になったんだし!』
そして降り立った先は、一番会いたい人たちがいるところ……。『私』の姿は、その人たちと対面するのに、最も相応しい状態で復活していた。それが、『私』の望みだったから……。
『『ん?』』
振り返った『あの人たち』は、『私』の精神と感応して、『私』が『誰』なのかをひと目で知覚した。そして『私』が最期に唱えた言葉を、名前として呼んだ。
『千歌ー! そんなとこで何やってるんだよー!』
『こっちこいよ千歌ー! にいちゃんたちが、えほんよんでやるぜー!』
『私』はすぐに、『あの人たち』を、こう呼び返した。
『おにいちゃん!!』
ずっと忘れていた。
――こうして『私』は、『私』になったんだった――。
――全てを思い出した千歌が、ポツリとつぶやく。
「そうだったんだ……。沙紀ちゃんは……ずっと……私のすぐ側にいたんだ……」
そして彼女が握ったジャイロから、一枚のクリスタルが誕生し――。
放たれたゲネシスレクイエムを、クリスタルから生じたシールドが防ぎ切った。
[真クリスタル!!]
――克海と功海の精神世界に、『真』と刻まれたクリスタルを携えた千歌が現れる。
『千歌……!』
克海と功海も、転生とともに失っていた記憶を思い出した千歌の精神と感応し、彼女の、『自分たちの』真実を理解していた。
『君は……1300年前から、俺たちの妹だったんだな……』
『俺たち……三人でもう一度集まるために、生まれてきたのか……!』
うなずいた千歌が、克海と功海に真クリスタルを差し出す。
『お兄ちゃん……今度こそ、みんなで帰ろう!』
『『――ああ!!』』
克海と功海が手を伸ばし――兄妹三人の心が、一つに重なり合う――!
[重ねろ!! 三つの魂!!!]
[ウルトラマングルーブ!!!]
ルーブの全身が強く輝き――収まった時には、全く違う姿に変身を遂げていた。
「あ、あの姿は……!?」
「何が起こったの……!?」
梨子たちは事態の変遷に理解が追いつかず、驚愕し切っていた。
全身が赤と青、そしてオレンジのクリスタル状のプロテクターに覆われた、銀と黒の体色の超戦士……。それこそが、克海と功海と、千歌……1300年前にこの地で離ればなれになってしまい、そして因縁が収束した現代に再び集った三つの精神が一つに重なり合ったことで生まれ出でた、究極の形態!
その名も、ウルトラマングルーブ!
「シュウアッ!」
三人の声が一つになった掛け声とともに、グルーブが動き――消えた!
「ヌオォォッ!?」
かと思えば、セブンXダークが三体とも宙を舞っていた!
グルーブがまさしく目にも留まらぬ速度で飛び掛かり、光を宿した拳、グルービングスマッシュで纏めて殴り飛ばしたのである!
「は、速いっ!!」
「パワーが、桁違いに跳ね上がってるわ!!」
グルーブが垣間見せた、これまでとは次元の違う戦闘能力に、善子や鞠莉らは愕然としている。
「ハァァッ!」
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥ!」
そしてわずかにでも目を離している内に、グルーブはグランドキングメガロスの頭部に超威力の飛び蹴り、グルービングインパクトを炸裂させ、横転させた。
「ウオオォォ――――――――――……!!」
ルーゴサイトがトゲミサイルを乱射するが、最早グルーブを狙い撃つことは出来ず、全弾回避された。
宙に飛び上がったグルーブは、両腕を十字に構えてエネルギーをチャージする。
『『『グルービング光線!!!』』』
光線は、地上ではなく、全く逆の空へ向けて伸びていく。だが全く見当外れのところを撃っている訳でもない。
三人の心を一つにして生じた神秘のエナジーは、次元の壁を超え――グラキエスが作り出した『歪み』を撃ち抜いて正したのだ!
グルーブの活躍を驚きの顔で見ていた律子は、ハッ! と後ろへ振り返った。
「――この世界のウルトラマンも、やっぱりすごい力持ってるのね」
「あ……あぁぁ……!」
次元の揺らぎの中から歩いてきた一つの人影に、律子はじんわり感涙を浮かべる。
「律子、あなた一人に全部を任せちゃってごめんなさい。心配で、ひと足先に出てきたわ」
園田海未に似たシルエットの人影は、律子に手を差し伸べた。
「さぁ、行きましょう。私たちがやり残して、この地球の人たちに多大な迷惑を掛けてしまったことを、今度こそやり遂げるために」
「ええ……!」
律子はすぐに応じ、その手を取った。
「ギンガさんっ!」『ショオラッ!』
「エックスさんっ!」『イィィィーッ! サ―――ッ!』
「「痺れる奴、頼みますっ!!」」
[ウルトラマンオーブ! ライトニングアタッカー!!]
グルーブに背後から襲い掛かろうとしていたセブンXダークとグランドキングメガロスの前方に、突然まぶしい輝きが高速で降ってきた。
「あれは!?」
目を見張る梨子たち。彼女らの注目の先で、閃光が収まり――巨人の詳細な姿がはっきり見えるようになる。
『「「はっ!」」』
額、両腕などの七箇所に青いクリスタルが埋め込まれた、鎧を着込んでいるかのように硬質化している肉体の巨人。そして、胸には青いリングが燦然と輝いている。
「姉様、あのウルトラマンは……!」
理亞が聖良に呼び掛けた。あの胸のカラータイマーの形は、間違いないと聖良が力強くうなずく。
「ええ……あれこそ本当のオーブ! 秋月さんが、力を取り戻したのね……!」
グルービング光線は異次元の封印を撃ち抜き、力を奪われた状態にあったウルトラマンオーブを解き放ったのだ!
グルーブとオーブは背中合わせにうなずき合う。それだけで気持ちを通じ合うと、グルーブがルーゴサイトへ、オーブがグラキエスの軍勢に立ち向かっていく!
「トアァッ!」
「ウオオォォ――――――――――……!!」
グルーブは背面からルーブコウリンを取り出し、握り締めて突進。ルーゴサイトがトゲミサイルを撃ち込んでくるがコウリンで全て弾き落とす。
ルーゴサイトは向かってくるグルーブから、翼を広げて飛び上がることで逃れる。それを許すはずもなく、グルーブも地を蹴って飛翔し、追いかけていく。
「シュアッ!」
オーブは地響き立てて前進してくるグランドキングに、こちらから突貫。
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥ!」
『「「はぁぁぁっ!」」』
クローを振り上げて構えるグランドキングだが、振り下ろされるより早く、オーブの電撃を纏ったミドルキックがヒット!」
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥ!」
全身に電流が走ったグランドキングは麻痺して、動きが大きく鈍る。
『「「やぁぁっ!」」』
「ウオオオオオッ!」
その間にセブンXダーク三体を纏めて相手するオーブ。振り下ろした拳や、回し蹴り、エルボーなどの打撃に電撃が付与されており、セブンXダークはまるで太刀打ち出来ない。
「ヌオオォォッ!」
二体のセブンXダークが左右からダークワイドショットを発射するが、瞬間にオーブは高く飛んで回避するとともに、四肢をX字に大きく広げる。
『「「アタッカーギンガエックス!!」」』
全身から発した電撃光線が地面に着弾するとともに広がり、二体のセブンXダークを貫いた。
「「ウオオオオオ―――――――!!」」
二体纏めて爆散! そしてオーブが急降下しながら額のクリスタルを輝かせる。
『「セブンさんっ!」』『デュワッ!』
『「ゼロさんっ!」』『セェェェアッ!』
『「「親子の力、お借りしますっ!!」」』
[ウルトラマンオーブ! エメリウムスラッガー!!]
オーブが三本のスラッガーを頭に持った姿にフュージョンアップし、着地とともにビームランプから三つの動作でレーザー光線を発射する。
『「「トリプルエメリウム光線!!」」』
「ヌアアアアッ!」
ダークエメリウム光線で迎え撃つ最後のセブンXダークだったが、本物のエメリウム光線には敵わず、押し返されてまともに食らう。
「グオオオオオォォォォォォォッ!!」
もがき苦しんだ後に、木っ端微塵に吹っ飛んだ!
その上空では、グルーブがコウリンに開かれた真クリスタルをセットする。
[ほとばしれ! 真の力!!]
『『『グルーブコウリンショット!!!』』』
コウリンを三度振り抜き、その都度円形の光刃を飛ばす!
「ウオオォォ――――――――――……!!」
光刃はルーゴサイトの触手、左の羽、右の羽を切断。浮力を失ったルーゴサイトが、地面へまっさかさまに転落していった!
「ハァッ!」
ルーゴサイトを追って、グルーブも堂々と着地!
「すごい強さ……!」
あれほど絶望的な強さだったルーゴサイトを急激に追いつめるグルーブに、Aqoursは完全に目を奪われていた。同時に、彼女たちの目には、グルーブに克海、功海、そして千歌の姿が被さって見えている。
「あれが本当の……兄妹の力なのね……!」
梨子たちの瞳にはもう、希望の輝きしか映っていなかった。
「グワアアアァァァァァァァ!」
グランドキングは四つの突起を飛ばし、オーブに四方からレーザーを浴びせようとする。
『「「はっ!」」』
しかしオーブが頭頂部のスラッガーを投擲し、更に左右のスラッガーも飛ばす。
『「「オーブスラッガーショット!!」」』
三振りのスラッガーがグランドキングの突起を弾き飛ばして、攻撃を阻止。
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥ!」
『「「はぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」』
そして腕をL字に組み、右腕を横に伸ばすことでエネルギーを一点集中した。
「グワアアアァァァァァァァ!」
『「「
グランドキングが腹部から最大威力の光線を発してくるが、こちらも最大の攻撃を十字の腕から発射!
向かってきた光線のエネルギーをも巻き込んで、グランドキングメガロスに風穴を開けた!
「グルウウウゥゥゥゥゥゥゥ……!!」
己のエネルギーまでも上乗せされた一撃で、グランドキングは粉微塵に爆散した。
「やった!」
「姉様、見てっ!」
グッとガッツポーズの聖良だが、理亞が空の一点を指差す。
顔を上げると、グラキエスの飛行船がひたすら高度を上げながら、外装を剥がして鈍色の本当の機体――宇宙船の正体を晒していた。
「たくさんの人の運命をもてあそんでおいて、逃げる気!?」
吐き捨てる聖良。当然オーブが捨て置くはずがない。
『「「はぁぁぁぁっ!」」』
宇宙船からの砲撃をも物ともせず、腕を再びL字に組んでとどめの一撃!
『「「ワイドスラッガーショット!!」」』
地上からまっすぐ伸びた必殺光線は、鮮やかに宇宙船を撃ち抜いた。
グラキエスは大気圏を抜ける前に宇宙船ごと爆破されて、とうとう陰謀に終止符を打たれたのであった。
「やった……遂にやった……!」
「すごいわ……ウルトラマンオーブ!」
聖良と理亞は感激のあまりひしと抱き合って、オーブの勝利を溢れんばかりの感情で称えた。
「ウオオォォ――――――――――……!!」
ルーゴサイトは残ったパワーを全て使い、最大威力のゲネシスレクイエムでグルーブを消し飛ばそうと構えている。
[輝け!! 希望の光!!!]
グルーブは決して恐れない。コウリンに「真」の一文字のクリスタルをセットして、全ての力を集中してルーゴサイトに向ける。
『『『シン・ボルテックバスター!!!』』』
コウリンから放たれた三色に煌めくボルテックバスターが、ゲネシスレクイエムと衝突!
『『『はぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――――――――!!!』』』
克海、功海、千歌の精神が支えるコウリンが、更なるエネルギーを放出!
結果、破滅を打ち破ってルーゴサイトを貫通した!
「ウ……オオォォ――――――――――……!!!」
ルーゴサイトは一瞬気体状に戻り、すぐに収縮して――爆炎に変貌。塵一つ残ることなく、燃え尽き果てた。
「――勝った!!」
「やったぁぁぁぁあああああああああああ――――――――――っっ!!」
グルーブの完全勝利に、Aqoursは銘々抱き合ったり飛び跳ねたり、全身で喜びを表現する。
「シュアッ!」
コウリンを戻して残心を湛えたグルーブ。役目を果たした真クリスタルが消えていくのを見送る三兄妹と、地球の明日を、燦然と輝く
――地球の明日を懸けた決戦から、早くも一か月近くが経とうとしていた。
地球に接近していた未知の物質――ルーゴサイトのこと――の突然の消失から端を発する、謎の怪獣や黒いウルトラマンの連続の出現、及びウルトラマンたちのこれらの撃破、それと前後する氷室仁の突然の『失踪』と地球爆破計画の頓挫の真相を、世間は何一つ知ることなく、しばらくは様々な憶測が世界中で噴出していたが、次第に収まっていった。
綾香市でこの一か月間に変わったことといえば、まずは秋月律子教諭の突然の辞職。もちろん、彼女本来の居場所に帰るためである。
律子は戦いが終わってすぐに地球を離れると言ったので、ちゃんとした別れをする暇もない千歌たちは大いに惜しんだが、彼女は少し寂しそうに微笑みながらもこう語った。
『私たちにも、待ってくれてる人がいるから。――みんな、よくがんばったわね。あなたたちは立派なウルトラマンよ』
太鼓判を押して、律子はハドロン衝突型加速器が作る時空のゲートを通り、彼女の世界へと帰っていった。――その際、彼女を待つ十二人の乙女と、ハーモニカの音色を響かせる雄大な背中を、克海たちは垣間見たのだった。
そして社長が立て続けにいなくなって混乱に陥ったアイゼンテックの新社長には、高海家の母が就任することとなった。前任たちが残した負債の尻ぬぐいを押しつけられたと本人は大分嫌そうではあったが。――ついでに、母親が割と偉い役職だったということを子供たちはここで初めて知った。
もう一つ、三兄妹は母に、千歌のことを全て正直に打ち明けることにした。これからも家族として暮らす以上は、隠している訳にはいかないと千歌自身の要望によるものだ。
『え? 今更何言ってるの? 千歌が元々ウチの子じゃないなんて』
だが母は非常にあっさりと、克海たちの度肝を抜くことを言ってのけた。
『えぇ―――!? 知ってたのかよ母さん!』
『当たり前でしょ? 親なんだから、子供の成長記録くらい見返すわよ。と言うか、あんたたちが今頃気づいたという方が驚きなんだけど』
『で、でもそれなら何で何も言わなかったんだ!?』
克海の疑問に、母は快活に微笑みながらこう答えた。
『私もお父さんも、千歌がとってもいい子って分かってたから』
『――お母さんっ!!』
千歌は感極まって母に抱き着いていた。千歌の頭を撫でつつ、母は克海と功海にも告げる。
『克海も功海も、あなたたちが地球を救ってくれたのよね。何も言わなくても分かってるわ。――みんなを代表して、ありがとう』
『『――母さんっ!!』』
克海と功海も気がついたら母に抱き着いていた。
そして、Aqoursにとって一番喜ばしかったのは、地球の危機が回避されたことでラブライブが平常運転に戻ったことだ。千歌たちは改めて、自分たちの夢に歩むことが出来るようになったのだ――。
「それにしても、ほんとに驚きだったよねー。千歌ちゃんが美剣沙紀さんの生まれ変わりだったなんて」
しみじみとつぶやく曜。皆も、その事実には驚嘆するばかりであった。
「千歌ちゃんに出会った沙紀さんが、千歌ちゃんを羨みながら時間をさかのぼったことで、千歌ちゃんの姿で克海さんたちの妹として復活するなんて……」
「運命ずら~」
「ええ……運命の神が巡り合わせた奇跡とした言いようがないわね」
いくつもの偶然が重なり合って実現した、時空を超えた輪廻転生に、梨子、花丸、善子は今も感嘆している。
一方で、ダイヤは怪訝そうに眉をひそめていた。
「……ちょっと待って下さい。原因と結果がつながってしまってますわ。沙紀さんが千歌さんになりたいと願って、千歌さんになって沙紀さんと出会って……では最初の千歌さんは、どこから来ましたの?」
「ダイヤったら、細かいことはいいじゃなーい♪ 今千歌っちがいれば、それだけで♪」
鞠莉はコロコロと笑い、タイムパラドックスを投げ捨てた。
それから、ルビィがはにかみながら述べる。
「でも、もっとすごいのは、功海さんと克海さんが沙紀さんのお兄さんたちの生まれ変わりってことだと思う」
「律子先生の話だと、正確には彼らの意志と精神を受け継いでるってことだけど。よく分かんないよね」
肩をすくめる果南。
律子に曰く、人が受け継ぐのは物理的な要素だけでなく、宇宙の科学でも未だ解き明かせない、魂と呼ばれる精神的なものも後の世代に受け継がれることがあるという。
先代のウルトラマンは地球を救い切ることが出来ず、妹も独りにしてしまった。その未練が、因縁が収束する1300年後の特異点に生まれ出でた兄弟に継がれ、兄妹三人が1300年ぶりに再会する運命を導いた――との推測であった。
「因縁だの生まれ変わりだの運命だの、色々言われたけどさ。そんなん俺たちにはもうどうでもいいことだよ」
当の功海たちは、そんなことは最早気にも留めていない。
「ああ。大切なのは、俺と功海と千歌の未来がここに、これからもみんなとあり続けるってことだ」
克海が結論づけて、千歌に振り返る。
「千歌、早くしないと飛行機出ちまうぞ」
「もうちょっと! これで良しっと!」
色々と助けてもらった聖良たちへのお土産をバッグに詰めた千歌が、元気良く立ち上がった。Aqoursはこれから、ラブライブ北海道地区予選の観戦に招待されたことで、Saint Snowが待つ函館へ出発するために空港のロビーにいるのだ。
己の素性を全て思い出した千歌だが、彼女は今まで通りの千歌だ。かつての自分――そして友達の沙紀の願いの通りに、1300年の迷い子ではなく、高海家の末っ子の一スクールアイドルとしてこれから先の未来を生きていくのだ。
飛行機の搭乗案内が始まり、見送りの克海と功海が妹と仲間たちを笑顔で送り出す。
「Saint Snowによろしくな!」
「気をつけて行ってこい!」
「「「「「行ってきまーすっ!!!!!」」」」」
Aqoursは、心の輝きを身体から溢れさせながら、スクールアイドルとしてラブライブの頂を目指していく。これからが、彼女たちの戦いなのだ――。
『Aqoursのウルトラソングナビ!』
千歌「最後のウルトラソングナビ! 紹介するのは、『Hands』だよ!」
梨子「この歌は『ウルトラマンR/B』の主題歌です!」
果南「歌うのは最近注目を集めてるシンガーソングライターのオーイシマサヨシさん!」
ダイヤ「歌詞は園田健太郎さんが、作品の全容を読まれた上で書かれたそうですわ」
曜「最終回まで追いかければ、歌詞の意味がとてもよく理解できるね!」
善子「十七話では特別に作られた
花丸「十一話や最終回では戦闘シーンのBGMにも使われてるずら!」
鞠莉「特に最終決戦でのこの歌は、盛り上がること必至デース!」
ルビィ「みんなもこの歌を思い出して、毎日をがんばルビィ!」
克海「そして最後に紹介するラブライブ!サンシャイン!!の曲は『君のこころは輝いてるかい?』だ!」
功海「Aqoursというユニット、サンシャインという作品のスタートを切った第一曲だ! 当然、語る上で絶対外せねぇな!」
克海「片田舎の少女たちでしかなかった千歌たちが、スクールアイドルの道を少しずつ昇っていく。そのテーマを表現した紛れもない名曲だ」
千歌「それじゃあみんなも!」
それは――
『私はトレギア。君の願いを叶えに来た……!』
ウルトラマン――
「決して絆をあきらめない……それが家族ッ!」
次回、特別編
『Select!! Rainbow Crystal!!!』