ウルトラブライルーブ!サンシャイン!!   作:焼き鮭

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滅望の邪願獣

 

 克海たちが、別次元の宇宙のウルトラマン、ジードと遭遇した翌日――克海は、綾香の町の中をがむしゃらに駆け抜けていた。

 

「うぅぅ……!」

 

 克海が歯を食いしばりながらひたすらに疾走している、その理由は、戸井にあった。

 克海は全てを投げ出して自堕落になっている戸井を放っておくことが出来ず、これまでの経験と、出会った人たちの言葉を踏まえた上でひたすら考え抜いた意見を携えて、彼に思い直してもらおうと思いの丈をぶつけたのだ。

 

「夢ってのは、翼が生えてるんじゃない……。夢には足が生えてるんだ……! 夢はその足で、一歩一歩這い上がって成長する……! 夢は自分と一緒に歩いてくものなんだ!」

 

 ――だが、戸井の心には届かなかった。

 

「お前だって夢あきらめただろッ! どのツラ下げて説教してんだッ!!」

 

 ――妹たちは大勢の人を感動させてきたというのに、自分は、かつてはともに笑い、ともに泣いた一人の人間の心すら動かすことが出来ない。

 克海は無力さと悔しさに苛まれ……みじめに逃げ出すことしか出来なかった。

 

「うわあああぁぁぁぁぁッ!!」

 

 薄暗い陸橋下の地下通路に駆け込んだ克海は、やり場のない感情が溢れ出て喚き散らす。

 

「功海もッ! 千歌もッ! 夢に進んでッ! 俺には何もなぁいッ!!」

 

 虚しい慟哭が地下に響き渡り――それに交じるように、拍子木がカンカンと打ち鳴らされた。

 

「……!?」

「さぁ~良い子のみんな~! 楽しいウルトラマンの紙芝居が始まるよ~!」

 

 顔を上げると、いつの間にか、知らない老人が紙芝居の用意をして、克海の目の前にいた。

 

「紙芝居……こんなところに……!?」

 

 あまりにも不可解なシチュエーションに困惑する克海をよそに、老人は当然のように白紙のページをめくって、表題を晒す。

 

「今日は、ウルトラマンロッソのお話だぁ!」

「!!?」

 

 表紙に描かれているのは、紛れもない赤いウルトラマン――自分だ。

 老人は陽気に、唖然としている克海一人を相手に紙芝居を進める。

 

「内浦に暮らす普通の若者、高海克海くんはある日突然、1300年前から続く巨大な因縁に巻き込まれてウルトラマンロッソになった! それから苦しい戦いの日々! 次々現れる恐ろしい強敵たち! 地球の危機! どうしようもないような逆境の連続に、それでもロッソは戦い抜いて、遂に地球を救った! すごいねぇ!」

 

 オーブダーク、グルジオ、ルーゴサイトらに立ち向かうロッソの絵のページがめくられると、彼が人間たちの非難を受ける絵が出てくる。

 

「それなのに、人間たちはロッソの頑張りを認めず、勝手なことばっかり! 街が壊れる、よそでやれ、迷惑だ! ひどい話だねぇ! 遂には克海くん、友達の戸井くんにまで突き放された!」

「!!」

 

 衝撃を受ける克海。話が現在の状況にまで進んできた。

 

「あんた何者……!」

「そんな克海くんに一大事件! 人生の分かれ道が訪れるぞぉ~!」

 

 克海の問いかけをさえぎり、最後のページをめくる老人。その下から液晶画面が現れる。

 

「克海くんはこう問いかけられる! 『君の夢は何だ?』!」

 

 老人の声が、画面から出てきた青い腕の声を被さった。

 

「!!?」

『私はトレギア。宇宙から、君の夢を叶えに来た……!』

 

 目を見張る克海を相手に、青い腕が嘯く。

 

「夢を、叶える……!?」

 

 克海は、昨晩に聞いた話を思い返す。――夢を叶えると囁き、星を滅亡に追いやる青い悪魔……。

 

「何者なんだ、お前らッ!」

『私たちのことなどどうでもいいじゃないか。それより、君には二つの道が開けてる』

 

 青い腕は克海の問いには何も答えず、二つの道とやらを提示してくる。

 

『一つは、このまま人間として、平和な生活を送る道。もう一つは、ウルトラマンとして、宇宙に飛躍する道』

 

 克海の周囲の光景が突然揺らめき――全く別の場所の、三つの太陽が空に昇る世界の景色に塗り替えられた。

 

『この宇宙における全ての生命のために戦う……君はそんな力を持っているんだよ』

 

 幻影の景色の中に浮かぶ克海の前に、青い腕がどんどんと全体を現していき――胸部を×印型のプロテクターで覆い隠した、青い超人が姿を披露した。

 

「俺に接触して……何が目的なんだッ!」

 

 トレギアはやはり何も答えず、ただ足下を指差す。

 その先では――この世界に生きる赤い生き物たちが、手が三日月型のカミソリブーメランとなっている怪獣に追い立てられていた。

 

「ギャアアゴオオオ!」

 

 怪獣は腕のブーメランを飛ばし、地面から生えている石柱をバッサバッサと切り倒す。その崩落に巻き込まれそうになって、赤い生き物たちは必死に逃げ回る。

 

『この星のピグモンたちは、レッドキラーに襲われて滅びつつある。この種が滅べば、生態系は崩壊し、この惑星から生命は消える。それを、ウルトラマンとして放っておけるだろうか?』

 

 周りの景色が、元の地下通路に戻った。

 

『私なら異次元の扉を開けて、君を助けに行かせられる……。その代わり、一度行けば再び帰れる保証はない』

 

 トレギアは画面から腕を突き出したまま、克海に選択を迫る。

 

『君はウルトラマンか? 高海克海か……?』

 

 押し黙る克海。彼の答えは――。

 

 

 

 『四つ角』に駆け込んできたデュエスは、功海と千歌に開口一番に尋ねた。

 

「おい……ロッソはいるか!?」

「えっ……克海お兄ちゃん?」

 

 突然の質問に面食らう二人。何故わざわざ聞くのかを話すデュエス。

 

「どうにも悪寒がするんで、全員の無事を確かめてたんだが……ロッソの反応だけがたどれねぇ。お前らロッソを見てねぇか?」

 

 千歌が功海に振り向く。

 

「今朝は功海お兄ちゃんと一緒だったよね。知らない?」

「……何か考え事してたみたいで、急にどっか出掛けてったんだけど……」

 

 それから克海の顔を見ていないことで、功海たちもやおら不安に襲われてきた。

 

 

 

『――はぁぁぁッ!』

 

 レッドキラーの襲撃を受けるピグモンたちの元へ、トレギアの魔法陣を通り、ロッソが飛び出していった。着地と同時にブーメランを払いのけ、今まさに切り殺されそうだったピグモンたちを救う。

 

「ホアッ! ホアァッ!」

「ギャアアゴオオオ!」

 

 レッドキラーはすぐさまブーメランを腕に戻し、ロッソに狙いを移して接近していく。

 

『ルーブスラッガーロッソ!』

 

 ロッソも双剣を手にして、地を蹴って飛び掛かる。

 

「ギャアアゴオオオ!」

『ふッ!』

 

 投げつけられるふた振りのカミソリブーメランを弾き返し、レッドキラーに交差する斬撃を食らわせた。

 

『とあぁッ!』

「ギャアアゴオオオ!」

 

 まともに攻撃を受けたレッドキラーがばったりと倒れる。

 ここぞとばかりにロッソはオーブリングNEOの力を発動し、腕を十字に組む。

 

『ゼットシウム光線!』

「ギャアアゴオオオ!!」

 

 発射された光線がレッドキラーを貫き、跡形もなく爆散させた。

 変身を解いて地上に降りた克海に、救われたピグモンたちが感謝の声を上げる。

 

「ホアーッ!」

「キュウッ! キュウッ!」

 

 思わずはにかも克海だが――後ろから飛んできた野球のボールを、反射的にキャッチした。

 

「……!?」

 

 ただのボールではない……戸井のところに置いてきたはずの、友情の証たる「夢」のボールだ。

 

「お前がウルトラマンだったのか……」

 

 そして克海の前に出てきたのは――。

 

「戸井……!? 何でここに……!」

 

 様子のおかしい戸井は、克海を鋭い目でにらんでくる。

 

「俺には何もないとか言ったか……。だがお前はウルトラマンだ……。全部持ってるじゃねぇかぁぁぁぁァァァッ!!」

 

 絶叫した戸井から暗黒エネルギーが噴出し――巨大怪獣へと変貌した!

 

「!!?」

「キュオオォォ――――――――ッ!」

 

 その姿は、戸井が世の中への不満と恨みを込めて描き上げた怪獣、スネークダークネスと全く同じものであった!

 

「どういうことだ……!?」

 

 スネークダークネスは肥大した右腕で岩山を粉砕し、岩雪崩を克海へ飛ばしてくる。

 

「ああああぁぁぁぁぁぁ―――――――ッ!」

 

 ピグモンたちが慌てて逃げる中、克海はジャイロを回して瞬時にロッソに変身する。

 

[ウルトラマンロッソ! グランド!!]

 

 ロッソグランドが突っ込んできたスネークダークネスの頭を抑える。

 

『ぐッ……!?』

「キュオオォォ――――――――ッ!」

 

 だがスネークダークネスの膂力は恐ろしく、押されたうえで右腕のクローに腰を掴まれた。必死に抵抗するロッソ。

 

『やめてくれ戸井ぃーッ!』

 

 呼び掛けて止めようとするが、スネークダークネスに弾き飛ばされる。

 

『ぐはッ……!』

「キュオオォォ――――――――ッ!」

 

 怪獣の勢いは止まらない。ロッソはやむなく、力ずくででも止めようとする。

 

『グランドエクスプロージョォーンッ!』

 

 巨岩を投げつけて食らわせるが……一瞬押し潰されただけのスネークダークネスは、平然と起き上がってくる。

 

『痛ってぇなぁ……ウルトラマンは全ての生命を救うんじゃなかったのか……? 怪獣だって生命だろうがぁ――――ッ!!』

『……!?』

 

 先ほどレッドキラーを手に掛けたばかりのロッソは、思わず動きが止まる。

 

「キュオオォォ――――――――ッ!」

 

 その隙を突いて、スネークダークネスがクローで殴りつけてくる。

 

『うわぁぁぁッ!』

 

 岩山に叩きつけられるロッソを、スネークダークネスは容赦なく殴り続ける。

 

『お前はどうなんだ……! 夢は歩いてくものだと……? 口でなら簡単に言えるぜッ! ウルトラマンに依存してる男でもなぁッ!』

『や、やめろ……!』

 

 ひたすら殴られ、痛めつけられるロッソ。

 

『どうなんだ克海ぃぃぃぃ――――ッ!!』

『ぐわああぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――!!」

 

 殴り飛ばされたロッソの身体が崩れ去り、克海が地面に投げ出される。

 

『ハハハハ……ハハハハ……ハハハハハハハッ!』

 

 スネークダークネスは背部からのジェット噴射で空に飛び上がり、トレギアの異次元のゲートの中に消えていく。

 

「くそぉッ……くそぉ―――――――ッ!!」

 

 無残に叩き伏せられた克海の叫び声だけが、無人の荒野に鳴り渡った――。

 

 

 

 紙芝居の枠に嵌め込んだ画面から、紙芝居屋の老人が克海のありさまをながめて嘲笑っていた。

 

「流石トレギア様! シナリオ通りの展開ですなぁ」

 

 老人の振り向いた先で、次元の狭間に潜むトレギアがほくそ笑む。

 

『フフフ……劇はまだまだ始まったばかりさ。さぁ、第二幕を始めよう……!』

 

 

 

「克兄ぃッ! どこだ克兄ぃ!」

「克海お兄ちゃんっ!」

「克兄ぃー!」

「克海さん! どこにいらっしゃいますの!?」

「克海! いたら返事するデース!」

 

 千歌たち一同は集合し、行方が分からなくなった克海を手分けして捜し回っているが、一向に見つけられないでいた。

 

「駄目……内浦にも綾香にも、どこにもいない……!」

「戸井さんの家を訪問してたってとこまでははっきりしてるんだけど……」

 

 散々走り回って汗だくの梨子と曜が、息を切らしながら情報を交わす。

 ジード組は高海家の母に事情を説明してウッチェリーナを借り、街中の人間の照合をしているものの、やはり克海は捜し出せていなかった。

 

[克海さん克海さん……見つけられませーん!]

「まずいぞ……ロッソの方が狙われたみてぇだ……!」

「克海さん……!」

 

 事態の深刻さを感じ取り、リクたちも冷や汗を垂らす。

 そんな時にウッチェリーナが警報を鳴らした。

 

[大気中に、コロナ放電を確認! 大型の生命反応、出現します!]

 

 天空に魔法陣が現れ、スネークダークネスが地上に解き放たれる!

 

「キュオオォォ――――――――ッ!」

「怪獣だ! こんな時に……!」

「……何だあいつは……見たことねぇ……」

 

 デュエスはスネークダークネスを見上げて、訝しげに目を細めた。

 

「キュオオォォ――――――――ッ!」

 

 すぐに暴れ始め、混乱に陥る綾香の街。功海たちは一か所に集合し、スネークダークネスへの対処に行動し始める。

 

「千歌たちは避難してろ!」

「ここは僕たちが!」

「功兄ぃ、私も一緒に行くよ!」

「リク、俺も力を……!」

 

 曜と八幡も進み出るが、デュエスに呼び止められる。

 

「待てッ!」

「デュエス?」

「……あの怪獣、何か変だ……! 一度、様子を見た方がいい……」

 

 デュエスはスネークダークネスから、言い知れない不気味さを感じ取って警告した。

 

「……分かった。リク、功海さん、頼む!」

「ああ!」

 

 八幡たちが身を引き、功海とリクで変身を行う。

 

「ジーッとしてても」「染め上げろ!!」

「混じっちゃった……」

 

 巨大化したブルアクアとジード・プリミティブが、スネークダークネスに立ち向かう。

 

「キュオオォォ――――――――ッ!」

「ハァッ!」

『はッ!』

 

 右腕のクローをかわすと、ブルがクローを押さえつけ、ジードがキックを首に決める。

 

「キュオオォォ――――――――ッ!」

 

 スネークダークネスは二人のウルトラマンに挟まれながら、クローを振り回して抵抗していた。

 

 

 

 別の大地で打ちひしがれている克海の元に、異次元の窓が開いて、地球での戦闘が彼に見せつけられた。

 

「や、やめろッ! 戸井ぃッ!」

 

 

 

[ウルトラマンジード! アクロスマッシャー!!]

[ウルトラマンブル! グランド!!]

 

 ジードとブルはタイプチェンジすると、スマッシュビームブレードとルーブスラッガーブルを構えて、左右からすれ違いざまに斬り裂く。

 

「キュオオォォ――――――――ッ!」

 

 スネークダークネスが大爆発の中に姿を消す。

 

 

 

「戸井ぃぃぃ――――――!!」

 

 スネークダークネスが爆炎に呑まれたところを目の当たりにした克海が絶叫。

 その前に、トレギアが姿を現す。

 

『フフフフ……彼らは上手くやったじゃないか。君なんか必要なかった』

 

 トレギアは映像を消して、克海に詰め寄る。

 

『昔、私がいじった宇宙の免疫機構を破ったというからどんなものかと思えば……こうもあっさり罠に嵌まるなんてねぇ。張り合いがないよ』

「お前……!」

『残念だけど、君はもうウルトラマンにはなれないし、高海克海の生活も送れない……。まぁ人生先のことは分からないものだよ』

 

 トレギアは場所も知らない土地に克海を置き去りにして、姿を消していく。

 

『じゃあ、これからも頑張って……』

 

 克海は何もすることが出来ず、立ち尽くすしかなかった……。

 

 

 

「やった!」

「思ったよりも呆気なかったわね」

 

 ブルとジードの活躍に、ルビィや善子が喜ぶ。

 が、八幡がそれをさえぎる。

 

「いや、まだだッ!」

 

 黒煙の中で、巨大なものが蠢くのを彼の目は捉えていた。

 

「キュオオォォ――――――――ッ!」

 

 スネークダークネスは爆発に呑み込まれて、傷一つ負っていなかった!

 

「な……!!」

 

 動揺が走るダイヤたち。ブルとジードは身構え直して、改めてスネークダークネスに向かっていく。

 

『たぁぁぁぁッ!』

「ハァァッ!」

「キュオオォォ――――――――ッ!」

 

 スネークダークネスは急に背を向けたかと思うと、長い尾が蛇のようにもたげ、先端が二つに割れてジードの首を挟み込んだ。

 

「グッ!?」

『はッ!』

 

 ブルがハサミを外そうとするが、あまりもの力でびくともしない。

 

[ウルトラマンジード! マグニフィセント!!]

 

 ジードはマグニフィセントにチェンジすることで、超パワーで振りほどく。

 

「ドォッ!」

 

 そこにスネークダークネスが口から灼熱の光線、トラジェディシャウトを吐き出す。

 

『危ないッ!』

 

 ブルがバリアを張って受け止めるが、一瞬で破られて吹っ飛ばされた。

 

『うわああぁぁぁぁぁッ!』

 

 倒れたブルへ突っ込んでくるスネークダークネスを、ジードが掴んで止めた。

 

「フッ!」

 

 ジードが食い止めている間に身体を起こすブルの前に……ビルの液晶画面から、トレギアが顔を出してくる。

 

『全くお前らは……ウルトラマンロッソがいないと何も出来ないなぁ』

『お前が黒幕かぁッ!』

 

 嘲笑ってくるトレギアを見据えて、怒りを向けるブル。

 デュエスはトレギアの姿を目にして、戦慄を覚えていた。

 

「あいつ……間違いない! 仮面で隠してるが……あれはウルトラマンだぞッ! それも複製とかじゃない、純正のッ!!」

「え!!?」

 

 八幡たちが衝撃を受ける。まさか、裏で糸を引く者の正体が……一番大事な仲間であるジードらと同じウルトラマンだとは!

 トレギアはブルたちに向けて、堂々と嘯く。

 

『私は夢を提供しているだけさ。悪が欲しければ悪を、正義が欲しければ正義を……するとどうなる? 夢はどんどん膨れ上がって暴走し、他人を攻撃し出すのさ』

 

 ジードとスネークダークネスが激しく格闘し、人々は壊れていく街から逃げようと我先に走っていき、混乱が広がっていく。

 

『欲望を満たすということは、他人のものを奪い取るということ……。人と人は我先に奪い合い、争いが広がり、全てが壊れていく……』

 

 トレギアが指を突きつける。

 

『君たちの言う絆は、簡単に壊れる……!』

 

 スネークダークネスが吐いたトラジェディシャウトを至近距離から食らい、ジードが吹き飛ばされる。

 

「グワァァァッ!」

 

 ブルもクローを叩きつけられて、殴り倒された。

 

『うわあぁぁッ!』

「ま、まずいずらぁっ!」

 

 悲鳴を上げる花丸。この状況に千歌は奮起し、ジャイロを取り出した。

 

「私も戦う! 沙紀ちゃんが遺したこのジャイロで……!」

 

 ジャイロにグルジオレギーナのクリスタルを嵌め込もうとするが……それをさえぎるように拍子木の音が鳴り響いた。

 

「何!?」

「さぁ~良い子のみんな! 今日はウルトラマンブルとウルトラマンジードの紙芝居だよぉ~!」

 

 千歌たちが振り返った先に、いつの間にか老人が紙芝居をめくっていた。

 

「あいつ……!」

 

 八幡たちが身構える。老人は場違いなほど陽気に、紙芝居を進める。

 

「脅威の大怪獣スネークダークネスと戦うブルとジード! だけど、トレギア様のお力が生んだスネークダークネスは無敵だぁ! ブルもジードも、ぜーん然敵わない!」

『わぁぁぁぁぁッ!』

 

 スネークダークネスが肩から放つ光弾によって、ブルとジードが薙ぎ倒された。

 

「功海お兄ちゃんっ! リクさんっ!」

「スネークダークネスを止められる者はいやしない! ウルトラマンたちはやっつけられて、世界中みーんな、おしまぁぁぁ~いッ!!」

 

 老人は光線銃を抜いて、千歌に向けて発砲してきた!

 

「えっ……!?」

「グリージョッ!」

 

 デュエスが棍を取り出し、八幡が咄嗟に千歌を伏せさせて銃撃をかわす中で老人に光弾を撃ち返す。

 

「ワハハハハッ!』

 

 老人は身を翻して逃れ――目玉が前に突き出た緑色の肌の怪人に変貌した。デュエスが叫ぶ。

 

「ズール星人ッ!」

『ハハハハハハハハッ! お前たちのような甘っちょろい連中に、偉大なるトレギア様の計画は止められやしないぞ! トレギア様ににらまれた星は、滅び去る運命なのだぁぁーッ!!』

「キュオオォォ――――――――ッ!」

 

 ズール星人の叫びに合わせて、闇のウルトラマンの陰謀の産物たるスネークダークネスが大気を震撼させた。

 

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