ズール星人は、グルジオから光り輝きながら現れた人型の誰かに驚愕し、スカルゴモラから離れた。
『『ト、トレギア様! あれをご覧下さい!』』
『貴様は何者だッ!』
指を向けて問いかけるトレギア。
光り輝く者は、女性のウルトラマンの姿で、千歌の声を発した。
『カンカンミカン! 私はウルトラウーマングリージョ! 悪い人たちは、めっ! するんだから!』
ビシッ! とポーズを決める、真の姿に覚醒したグリージョ!
……戦場と真逆の方向を向いて。
『……あれ? みんなどこ行ったのぉ!?』
『『こっち! こっちだって!』』
『あっ……間違えちゃったぁ!』
ロッソとブルの呼び声で振り向き、てへっと照れ隠しするグリージョの姿に、梨子たちはでっかい汗を垂らした。
「千歌ちゃん……」
「あれ、千歌ちゃんだ……」
八人とも確信していた。
気を取り直して、グリージョが両手にエネルギーを宿す。
『グリージョチアミカン!』
ミカン型のエネルギーボールをロッソ、ブル、ジード、スカルゴモラに飛ばして、彼らの体力を回復させた。皆のカラータイマーが青に戻る。
『「何でミカン……」』
『やったー!』
八幡のツッコミを、グリージョはスルー。
『ふざけた奴だな……!』
やたらとイライラしているトレギアに対して、ロッソたちが毅然と言い放つ。
『俺たちの絆をなめるなよ!』
『一人より二人!』
『二人より三人!』
『三人より四人!』
『「五人、六人、多けりゃ強いのは当たり前だろ!」』
『「お前らも身を以て思い知れよ! 俺みてぇに!」』
並び立つ光の戦士たちだが、トレギアにひるむ様子はない。
『もっと強いものがある……! それは孤独な者の叫びだッ!!』
トレギアのトレラアルディガイザー、スネークダークネスのトラジェディシャウト、ダークオーヴァーゼットンのダークオーヴァーメテオが襲い来る!
『グリージョバーリア!』
三体の猛攻撃を、グリージョがバリアで防御。闇のエネルギーを完全に遮断し切った。
『ちッ……!』
トレギアは苛立たしそうに肩をかきむしり、スネークダークネスとダークオーヴァーゼットンを連れて突進してくる。
『行くぞッ!』
『おうッ!』
『よぉーしっ!』
それを迎え撃つロッソたち!
ロッソとブルがスネークダークネスに蹴りかかり、ジードがトレギアを捕らえて肉弾にもつれ込む。スカルゴモラはオーヴァーゼットンにぶちかまして押し込んでいき、グリージョは兄たちに混ざってスネークダークネスと戦う。
『えいえいえいっ! パーンチ!』
ロッソとブルが抑えるスネークダークネスをポカポカ殴るグリージョだが、効果がない。ならばとトレギアに拳を向けるも、軽々止められ殴り返される。
『わぁっ!』
『おっと、しぃつ礼』
『千歌ッ!』
「あぁっ! 千歌ちゃんに何するんだーっ!!」
激怒する曜たちの耳に、ある叫び声が聞こえる。
「ゆきおっ! ゆきおーっ!」
中年女性が、そう叫びながら必死に無人の街を走り回っているのだ。
ロッソがそれを目にして、驚愕する。
『戸井のお母さん……!』
『何だって!?』
ジードたちもギョッと振り返った。
戸井の母親の幸江は、消えた息子をひたすら捜し回っていたのだ!
「と、戸井さん! 危ないですよ! 早く逃げて下さい!」
果南たちがすぐに幸江の下へ駆け寄って逃がそうとするが、彼女は踵を返さない。
「放して! 私の息子がどこにもいないの!! あの子を置いて逃げられないっ!」
その時、スネークダークネスが全身から火炎弾を見境なく乱射する。
『わぁぁぁッ!』
『危ないッ!』
ロッソたち兄妹が足を取られる中、火炎弾が幸江らにも及びそうになったので、ジードが身を挺して彼女らをかばった。
『うわああぁぁぁぁぁぁぁッ!!』
「ジードさんっ!!」
ルビィたちが悲鳴を上げる中、ジードは火炎弾の雨を防ぎ切ったものの、変身が解けて八幡が投げ出された。
「くぅッ……! 大丈夫ですか!」
八幡はそれでも幸江をかばい、彼女を助け起こした。
ジードの変身が解けたことで、トレギアは気を良くする。
『おっと、楽しいひと時はあっという間だなぁ。そろそろとどめと行こう。スネークダークネス!』
スネークダークネスが、動けないロッソたちを狙う!
『まずいッ!』
『「おいやめろぉッ!」』
スカルゴモラがスネークダークネスに飛びつこうとしたが、オーヴァーゼットンに殴り返されて止められる。
「くッ!」
八幡が精いっぱい身体を広げて少しでも梨子たちの盾となろうとしたが――幸江の叫び声で、スネークダークネスに異常が起こった。
「ゆきおっ! ゆきおぉーっ!」
「……!」
幸江の声に、スネークダークネスが反応して振り向いたのだ。
『『何だ? どうした?』』
スカルゴモラと殴り合っていたオーヴァーゼットンも、スネークダークネスの動きが急に鈍ったことに戸惑う。
ジードは八幡の身体から、スネークダークネスに向けて叫んだ。
『おいッ! この声が聞こえないのか! 君のたった一人のお母さんだろ!!』
「え……」
幸江がその声を受けて、スネークダークネスを見上げた。
彼女と目が合ったスネークダークネスは、ますます狼狽える。
『母……さん……』
幸江を思い出し、スネークダークネスに変貌している戸井が正気を取り戻しつつあるのだ。
固まっているスネークダークネスにトレギアが詰め寄る。
『おいおいどうした! お前は最強最悪のスーパースターだったろ? 今更親子の情がどうとか言うんじゃないだろうな。踏み潰せ』
『お……俺はぁ……ッ!』
冷酷な命令に苦悩する戸井に、ロッソが呼び掛ける。
『戸井ッ! そこにいるんだろ? 戻ってこいッ! 悪意に呑まれるな! 自分だけ心地のいい場所にいるな!』
『『ええい、うるさい奴め……!』』
ロッソの説得に横槍の暗黒火球を撃とうとするオーヴァーゼットンに、スカルゴモラがタックルを決める。
『「邪魔すんなよッ!」』
『『ぬぅぅッ!』』
力を振り絞って押し、遠ざけていく。
『たとえ傷ついても俺たちは、先に進まないといけないんだよ!!』
『あ……あ……!』
母と親友の言葉に、戸井が苦しみながらも自分を取り戻そうとしている。
だが、
『あーあ……いつまで家族のみみっちい話を見せられなきゃいけないんだよッ!』
トレギアが手の平から闇のエネルギーをスネークダークネスに浴びせ、戸井の意識を暗闇の中に呑み込んだ!
『うッ、うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――!!』
『戸井ぃぃぃぃ!?』
スネークダークネスから完全に戸井の心が消え去り、完全に凶悪な怪獣となり果てて滅茶苦茶に辺りを焼き払い出す!
「キュオオォォ――――――――ッ!!」
『うわあぁぁぁぁぁ――――!!』
トラジェディシャウト・ヘルで纏めて吹っ飛ばされるロッソたち。トレギアの所業を目の当たりにしたデュエスは絶句。
『「き……汚ねぇッ!」』
八幡は幸江の腕を引いて必死に逃がす。
「戸井さん、早く!」
「私たちも!」
「ルビィもこちらへ!」
「うん! ……あれ?」
果南たちも逃げようとする中、ルビィがあることに気づいた。
「鞠莉ちゃんは?」
「えっ……いないわ! いつの間にか!」
善子たちが辺りを見回し、鞠莉が欠けていることを知った。
そこに、綾香まで乗ってきた『四つ角』の送迎車が彼女たちの前に走ってくる。花丸が吃驚。
「あれ!? 誰が運転してるずら!?」
「私よ! 早く乗って!」
「鞠莉ちゃん!!」
運転席のドアを開いたのは鞠莉であった。
「鞠莉ちゃん、準備いいずら!」
「予知能力の持ち主では……!」
「馬鹿言ってないで急いで! ここは危ないわ!」
鞠莉の言う通り、トラジェディシャウト・ヘルが彼女たちへ飛んでくる!
「きゃあっ!?」
『「おおおおおッ!」』
そこへスカルゴモラが走り、自らの身体で熱線を受け止める。
「『デュエス!!」』
『「ぐああああああッ!!」』
肉が炭化するほどの重傷を負うが、それでもデュエスは必死に立っていた。
『「やらせるか……正気に戻った時に、母親手に掛けたなんてこと見せつけられるかよ……!」』
『『まだこの地球人が元に戻ると思ってるのか!? どこまで愚かになったのやら!!』』
『「がぁぁぁぁぁぁッ!!」』
オーヴァーゼットンも火球を食らわせるが、身体を支え続ける。
デュエスが時間を稼いでいる内に、八幡が幸江たち皆を車に乗せる。
「みんなはこの人を安全なところに!」
「任せて!」
「あの……!」
鞠莉が敬礼する中、八幡の腕を掴んだ幸江に、彼は無言でうなずいた。
「……!」
何も言わなくとも理解した幸江は、息子の命運を託して、鞠莉たちと車で逃げていく。
「キュオオォォ――――――――ッ!!」
「ピポポポポポポ……!!」
『うわぁぁぁッ!』
『ぐうッ!』
文字通り身を焼かれるデュエスをかばって火炎弾をロッソたちが食らったところへ、八幡が駆け戻ってくる。
『もう……駄目……!』
ぜいぜいあえぐグリージョに、ジードが叫んだ。
『あきらめるな!』
『え……?』
『君は言ったよな。家族の絆は、もっと大きなものだって!』
八幡も倒れている兄妹たちへ告げる。
「決して絆をあきらめるな……! それが家族!! それがウルトラマンだぜ!!」
そしてジードとともに、ギガファイナライザーを握り締める!
「ウルティメイトファイナル!」
『シェアッ!』
エボリューションカプセルのスイッチを入れ、ギガファイナライザーのスロットに装填。ジードライザーでスキャン!
[アルティメットエボリューション!!]
「『つなぐぜ! 願い!!」』
スイッチを押してレバーをスライドし、穂から羽をせり出して駆け巡るエネルギーを纏った。
「『ジィードッ!!」』
ジードが本来の姿を経て、更に進化した形態へと変身!
[ウルトラマンジード!! ウルティメイトファイナル!!!]
「シャアアアアッ!」
究極形態のジード・ウルティメイトファイナルが堂々着地し、八幡のホルダーから二本のカプセルが飛んでデュエスの手にキャッチされた。
『「これは……!」』
ネクサスカプセルとウルティメイトゼロカプセル。決してあきらめない心に反応して、力を貸し与えるというのだ!
デュエスはうなずき、カプセルを交換する。
『「ユーゴーッ! アイゴーッ! ヒアウィーゴーッ!!」』
[ウルトラマンジード! ノアクティブサクシード!!]
スカルゴモラが光に包まれ――銀の鎧と剣を装着したもう一人のジードとなった!
『「はぁッ!」』
デュエスはジードの起こす奇跡、ジードマルチレイヤーでウルトラ戦士の資格を授かったのであった!
『『ふざけた真似を……! クズがウルトラマンになったところでたかが知れぐべぇぇぇぇぇッ!?』』
ズール星人の侮蔑は、音速で飛んできたノアクティブサクシードの拳で途切れた。バウンドして吹っ飛ぶダークオーヴァーゼットン。
『『ぎえええぇぇぇぇぇぇぇッ!! 目がぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――ッ!!』』
顔面に拳がめり込んだオーヴァーゼットンが奇声とともにのたうち回る。それに呆れた眼差しを向けるトレギア。
『みっともない……何てザマだ』
デュエスはジードの隣に並んで、顔を向ける。
『「最初からやれよ」』
『「お前野暮だろそれは」』
ロッソたち三兄妹は、ジードたちの勇姿を見上げて、奮起していた。
『決して絆をあきらめない……それが家族ッ!』
『『『それが、ウルトラマン!!!』』』
ロッソ、ブル、グリージョが円陣を作り、手と手をつなぐ。
『『『ふッ!』』』
三人のカラータイマーから発したエネルギーが一つに交わり――消え去った真クリスタルが戻ってきた!
[真クリスタル!!]
『『『セレクト、クリスタル!!』』』
克海の精神が真クリスタルを手にして、角を開く。
[重ねろ!! 三つの魂!!!]
真の文字の下から、三人が一つとなった戦士の顔の絵が現れ、クリスタルをジャイロにセット!
ロッソ、ブル、グリージョのビジョンが一つに融合する!
『『『纏うは真!! 不滅の真理!!!』』』
ジャイロのグリップが三回引かれると、兄妹の精神の元に「真」の一文字が浮き出た。
[ウルトラマングルーブ!!!]
『『『はぁぁ―――!!!』』』
三人の声が一つの声となって、合体超戦士が極彩色に煌めく光の中を、腕を突き上げ飛び出していく!
「シュワッ!」
高く飛び上がり、悠然と着地したのは、今ここに再び降臨した三兄妹の絆の極致、ウルトラマングルーブ!
『フフフ……! 何だ、面白いな……!』
あまりの事態に逆に肩をゆすって笑うトレギアの両隣に、スネークダークネスとダークオーヴァーゼットンが並ぶ。
グルーブの元にも、ジード・ウルティメイトファイナルとノアクティブサクシードが並んで、光と闇の陣営が対峙した。
『フッ……私は残業はしない主義でね。失敬するよ』
トレギアは真っ先に冗談めかして飛び上がり、卑劣にも幸江たちを乗せて逃げる車を追いかける!
『『『待て!』』』
当然許さず、空を飛んで追うグルーブ! ジードたちはスネークダークネスとオーヴァーゼットンと衝突した!
「シュワッ!」
「フンッ!」
追ってくるグルーブにトレラアルディガを放つトレギア。防いだグルーブがトレギアに飛び掛かり、腕を掴んで蹴り飛ばす。滑りながら着地するトレギアから全速力で逃げる鞠莉たち。「きゃああっ!」グルーブのパンチをかわしたトレギアは背後を取って両眼からオプトダリクスを照射。車をかばって受けたグルーブは、車が離れるとトレギアに向かっていく。ヒラリとよけて二発目を放つトレギアに、グルーブは光線を手で防ぎながら己のエネルギーを拳に溜めて、一気に距離を詰める。「ハァッ!」グルービングスマッシュがトレギアの頬に突き刺さった! 「グアアアアッ!」だがトレギアは耐え、グルーブの腕を掴んで投げ飛ばす。グルーブは飛行しながらトレギアと激しく肉弾を交わし、走る車の前方にはダークオーヴァーゼットンがワープしてきて暗黒火球を放つ。「ピポポポポポポ……!!」『「おおあッ!」』だがノアクティブサクシードが車を追い抜いて火球を斬り捨て、オーヴァーゼットンに体当たりして突き飛ばす。車が左に曲がって離れる中、グルーブがトレギアに拳を振るうがよけられ、顔面に飛び蹴りを食らう。「ハァッ!」「ウアアアアッ!」車道に押しつけられた上に投げつけられたグルーブが、陸橋に激突した。
「グゥゥ……!」
「シュアッ!」
トレギアは更にグルーブに飛び掛かり、高層ビルに叩きつける。ビルを貫通するグルーブ。
「ウワァァッ!」
「ハッハッハッ!」
ジードもスネークダークネスにビルに抑えつけられ、ジードが横に転がって逃れたところに、トレギアとグルーブがそのビルも貫通した。
グルーブは空中でトレギアを押しのけ、胸にエネルギーを集中。
『『『デルタブレストランサー!!!』』』
『トレラアルディガ!』
グルーブとトレギアの光線がぶつかり合い、撃ち合いに発展する真下ではジードがギガファイナライザーでスネークダークネスを打ち据える。
「キュオオォォ――――――――ッ!!」
「ハァッ!」
「ゼットォーン……! ピポポポポポポ……!!」
『「だぁッ!」』
ノアクティブサクシードも空を舞いながらオーヴァーゼットンと剣と鉤爪で競り合い、グルーブから遠ざける。グルーブはトレギアのトレラケイルポスで狙われる。
「フハハハハッ!」
「ハッ! トォッ!」
光線を受けながら前進するグルーブがトレギアと四つを組み、一瞬の隙に拳を浴びせた。
「タァッ!」
「グゥッ!」
地上のスネークダークネスはクローでギガファイナライザーを押さえ、ひねり上げてジードの手から弾き飛ばす。
「キュオオォォ――――――――ッ!!」
「ウゥッ!」
至近距離からトラジェディシャウト・ヘルを撃たれるも、耐え続けるジード。
[ほとばしれ!! 真の力!!!]
グルーブは太陽をバックに、ルーブコウリンに開いた真クリスタルをセットして、トレギア目掛け光線を発射!
『『『グルーブボルテックバスター!!!』』』
直撃を食らって転落していくトレギア!
「ウワァッ!?」
一気に地上へ突き落とされたトレギアが、スネークダークネスと激突。もつれ合って倒れた。
『『ぬぅぅぅ、何ということ! おのれ邪魔だぁぁぁぁッ!』』
ズール星人が憤慨して、最大威力のダークオーヴァーメテオをノアクティブサクシードに発射!
『「おおおおおおッ!」』
しかしノアクティブサクシードはきりもみ回転しながら突撃し、火球を真っ二つに裂いてオーヴァーゼットンに肉薄! 咄嗟にバリアで身を守るが、
『「ソードレイ・オーバードライヴ!」』
Z字の斬撃が、バリアも破ってダークオーヴァーゼットンに刻み込まれた!
『『ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――――!!!』』
肉体が崩壊しかけるオーヴァーゼットンが、頭を振って起き上がるところのトレギアの足下にワープしてきてすがりつく。
『『トレギア様ぁぁぁ! お助け下さいッ、トレギア様ぁぁぁぁ!』』
必死に懇願するズール星人に――トレギアはニヤリとほくそ笑んだ。
『いいところに来た。お前に貸した力、返してもらうよ。利息も込みでね……』
『えッ……!?』
オーヴァーゼットンの首根っこを鷲掴みにして宙吊りにすると――肉体を破壊してエネルギーに変え、吸収していく!
「フゥゥゥゥゥ……!」
『ぎやあぁぁぁぁ――――――――――!? ト、トレギア様ぁぁぁぁぁぁ―――――――ッ!!』
トレギアの凶行に、グルーブたちが唖然。
「ハッハッハッ……!」
ズール星人の命ごとパワーを吸い取ったトレギアが、ゼットン型の鎧を装着し――ウルトラマントレギア・ダークオーヴァーにパワーアップした!
『「何しやがるッ! 仲間だぞ!?」』
八幡の非難も、トレギアは意に介さない。
『力は一つにするのに限る。君たちと同じさ……』
『『『違う! 絆の力は、犠牲を強いる心じゃない!!』』』
グルーブが否定しても、トレギアには聞く耳もなかった。
「ハァァァァァァ―――――――ッ!!」
オーヴァートレラアルディガイザーが、グルーブたちを一挙に吹き飛ばす!
「ウワアアァァァァァァッ!!」
街ごと爆破で薙ぎ倒されるグルーブたち。中でも、あくまで仮初であるノアクティブサクシードがカラータイマーを点滅させて片膝を突いた。
『「ここまでか……!」』
『「お前、何弱気吐いてんだ! ここまで来といて!」』
八幡の叱咤に、デュエスは不敵に笑み返す。
『「いいや。こっちも借りた分、返すってことだよ。倍返しでなッ!」』
残された力で剣を空中に振り抜き――次元の道を開く!
『「さぁ、来いッ!」』
『何の真似だ……!?』
強く警戒するトレギア。
全ての力を使い果たして消えていくノアクティブサクシードに代わるように、次元の道から光の雫がジードのカラータイマーに飛んできた。
そしてインナースペース内の八幡の元に、四人の女性たちが並ぶ。
『「やっと見つけたわ」』
『「急にいなくなったって聞いたから、すっごい捜してたんだよ!」』
『「全く、私まで呼び出すとは……」』
『「また大変なことになってますねー、先輩」』
『「……雪乃! 結衣! 平塚先生に、一色も!」』
八幡とジードの仲間たちだ! デュエスは最後の力で、彼女たちをこの世界に呼び寄せたのだ。
『「デュエスが待機するよう連絡したのは、こういうことだったのね」』
肩をすくめる雪乃。デュエスは路上でへたり込みながら、満足げに笑う。
「はははッ! 本当の切り札は、最後まで隠しとくもんさ」
八幡たちはすぐにやるべきことを理解し、五人の手を重ね合わせた。
[エボリューション・アンリミテッド!!]
「「「「「『願いをつないで!! 限界の先へ!!!」」」」」』
ジードたちの心と絆が合わさり、ウルティメイトファイナルがパワーアップする!
「「「「「『ウルトラマンジード!! ウルティメイトアドヴァンス!!!」」」」」』
ソリッドバーニングの右腕、アクロスマッシャーの左腕、マグニフィセントの下半身、ロイヤルメガマスターの胸部とマントの、限界突破した奇跡の形態! ウルティメイトアドヴァンス!
「ジードさんが、更に進化を……!」
「すごい……!」
梨子たちの車の前に、アイゼンテックの社用車が停まる。
「みんな、ここからは戸井くんのお母さんは私に任せて!」
「克海くんのお母さん! 相変わらずお若い!」
運転してきたのは高海家の母だ。素早く幸江を預かると、Aqoursにグルーブを目で指す。
「話はウッチェリーナから聞いてるわ。あなたたちは、うちの子たちを助けてあげて。みんなの力を合わせれば、戸井くんを取り戻せる!」
「千歌ちゃんのお母さん……!」
「みんなは輝くスクールアイドルのAqoursだもんね! どんな闇も照らせるわよ!」
高海家の母の言葉に、Aqoursは気力に溢れた。
「「「「はい!!!!」」」」
そして幸江を託し、八人の車は反転してグルーブに向かって駆けていく。
「克海さん!」
「功兄ぃ!」
「「「千歌ちゃーんっ!!!」」」
「「「「今行くからねー!!!!」」」」
心いっぱいの想いを乗せた声が、グルーブに届く。
『『『みんな!!!』』』
Aqoursの声に反応して、三つのジャイロが回転し――Aqoursの想いをクリスタルに具現化した!
真円の、「絆」と刻まれた虹色のクリスタルだ!
「「「「!!!!」」」」
そしてAqoursは絆クリスタルと光になって、グルーブのカラータイマーの輝きと一つになる。
『『『はっッ!!!』』』
[絆クリスタル!!]
絆クリスタルを受け取った克海、功海、千歌の周りに、Aqoursの八人が並び立った。
彼らに言葉はいらない。ここにいるだけで気持ちは通じ合い、絆クリスタルがルーブジャイロへ飛んでいく。
「「「「『『『セレクト、クリスタル!!」」」」』』』
[つながれ!! 日輪の如く!!!]
クリスタルがジャイロに嵌まり、十一人の心が一つに重なる!
「「「「『『『纏うは絆!! 永久なる希望!!!」」」」』』』
グリップが三回引かれて、皆のパワーが合体した!
[ウルトラマングルーブ!!! サンシャイン!!!]
「シュワッチ!」
グルーブの身体に、桜色、翠、赤、水色、白、黄色、紫、ピンクのラインが巡って、パワーアップ!
これが兄妹とAqoursのたどり着いた世界、希望の太陽たるウルトラマングルーブ・サンシャインだ!
『ぁぁああああッ! 限界を知らないのかお前たちッ!!』
絆の起こす奇跡をまざまざと見せつけられたトレギアは、いら立ちが最高潮になって全身をかきむしった。
『「その先へ行ってるって言っただろうが!」』
『『『希望は決して消えない!!! 闇の底まで照らしてみせる!!!』』』
究極をも超越したジードとグルーブは、全ての決着を着けるために飛び出していった!