グルーブ・サンシャインはスネークダークネス、ジード・ウルティメイトアドヴァンスはトレギアとぶつかり合う。
「キュオオォォ――――――――ッ!!」
「ハァァァァッ! ヘアァッ!」
十一人もの絆を合わせて力を引き出しているグルーブは、スネークダークネスの攻撃を最早寄せつけない。クローをあっさり弾いて、打撃だけで押し返す。
「フッ!」
ジードのギガファイナライザーの振り下ろしを、トレギアは飛びすさってかわした。ひっかきや回し蹴りをジードも防御。
「ハァッ!」
「『ギガスラスト!!」』
オーヴァートレラケイルポスを、ギガファイナライザーから発生した光の槍が相殺する。
『まだまだ……オーヴァートレラアルディガイザーッ!』
トレギアが放った最大の光線は、ジードではない、グルーブに向けられた!
「ワァァァァッ!?」
不意打ちに吹っ飛ばされたグルーブは、ビルを何棟も巻き込みながらも止まらず、数キロも引きずられてやっと停止した。
「フハハハハ! フハハハハハハハッ!」
卑怯な手に出て嗤うトレギアに、雪乃たちは蔑視を向ける。
『「涼しい顔して、汚泥にも劣るクズね……! 八幡くんだってかわいいわ」』
『「お前って奴は、こんな時までなぁ……」』
『「えーっと、グルーブさんだっけ。大丈夫!?」』
結衣の呼び掛けに、グルーブは胸を張って立ち上がることで答えた。
「フッ!」
『「ふふ、別世界の子たちもたくましい」』
『「今度はこっちの番ですよっ!」』
ジードがトレギアに肉薄し、ギガファイナライザーを振るう。
「ハァァッ!」
「フゥッ!」
身をくねらせて棍をよけるトレギアは、脇に挟み込んでジードと顔を突き合わせる。
「アァァァァ……!」
トレギアはやたらと怒気を含んで、ジードに眼を飛ばした。
「キュオオォォ――――――――ッ!!」
グルーブは戦線復帰して、スネークダークネスのクローを受け止めると顎に輝くアッパーをぶち込んだ。
「シュアッ!」
「キュオオォォ――――――――ッ!!」
のけ反ったスネークダークネスが背を向け、先端が裂けた尾を伸ばす。
グルーブはそれを捕らえ、脇に抱え込みながら一本背負い!
「ヘアァァーッ!」
「キュオオォォ――――――――ッ!!」
トレギアを振り払ったジードは、すかさずギガファイナライザーの羽より光線を発射。
「『ライザーレイビーム!!」』
「グゥッ!」
高威力の光線がトレギアを撃ち、大きくひるませる。
ここでグルーブは背中からルーブコウリンを取り出し、絆クリスタルをセット!
[煌めけ!! 絆の力!!!]
「「「「『『『フレイム・ボルテックバスター!!!!!!」」」」』』』
コウリンから放たれた、虹色に燃え盛る螺旋状の光線が、トレギアに直撃!
「グワァッ!?」
凄絶な爆撃が、トレギアの暗黒の鎧を砕いた!
『「強いのは孤独な者の叫びだって? 中二病は痛々しいだけだぜッ!」』
そしてジードがギガファイナライザーを側に置き、腕を大きく回しながら光と闇のエネルギーを充填し、十字を組んでほとばしらせる!
「「「「「『レッキングゴッドノヴァ!!!!!!」」」」」』
神々しく輝く光線を、一身に浴びるトレギア!
「グワアアアァァァァァァァァァァァァ―――――――――――――!!!」
「キュオオォォ――――――――ッ!!」
ジードと背合わせになるグルーブが、コウリンから水に包まれた光刃を投げ飛ばす!
「「「「『『『アクア・コウリンショット!!!!!!」」」」』』』
光刃に貫かれたスネークダークネスが、水泡に覆われて完全に動けなくなった。
「ハァァァァァッ!!」
ジードの必殺光線を受け続けるトレギアが、うめきながら叫ぶ。
『これが絆の力か……! 勉強になったぁぁぁぁぁ―――――――――ッ!!!』
それを断末魔に、トレギアは木っ端微塵に消し飛んだ。
トレギアが遺した悪意、スネークダークネスには、頭上を取ったグルーブが最後の一撃を見舞う。
「「「「『『『グルービングサンシャイン!!!!!!」」」」』』』
十字に広げた四肢と全身より、虹色の煌めきの光線を放射! スネークダークネスに降り注ぐ!
『――あ、あ、あああ……!』
輝きに満たされて、闇に沈んでいた戸井の精神がよみがえってきた。
「キュオオォォ――――――――ッ!!」
そうしてスネークダークネスの肉体は光に昇華されて爆散。それを背にしたグルーブが決める。
「「「「『『『これが、真の家族の力だ!!!!!!」」」」』』』
戸井はスネークダークネスから解き放たれ、地上に伏せながらも無事に生還した。
ジードとグルーブは面と向かい、拳を打ち鳴らし合って健闘を称えた。
「うッ、うぅぅッ……俺……俺は、何てことを……!」
横たわりながら、正気に返ったことで自責の念に駆られている戸井の元へ、克海たちが駆けつけてきた。
「……!」
克海は無言で、戸井に「夢」のボールを握らせる。
「これはお前が持ってろ!」
「……うぅぅぅ……! 俺が……俺が馬鹿だった……!」
戸井は泣きじゃくりながら、ボールをひしと握り締めた。克海は笑顔になる。
果南たちも、戸井に励ましの言葉を掛けた。
「戸井さんのゲームが世に出るの、いつまでだって待ってるからね」
「ああいう怪獣が出てくるのばかりでなく、スクールアイドルのゲームも所望しますわ」
「スクールアイドルのリズムゲーとか、待ってるデース!」
「ありがとう……ありがとうッ……!」
「ゆきおー!」
戸井から大粒の涙がこぼれるところに、高海家の母に連れられた幸江が息子の下へと駆けつけてくる。
「母さん……! 母さーんッ!」
「ゆきおぉッ! 良かった……!」
母親とひっしと抱きしめ合う戸井。
「母さん、今までごめん……! 俺、もう夢捨てないから……! 頑張るから……!」
「そう……ゆきおは偉いわね……」
全てが解決し、腐っていた心がよみがえった戸井を見つめながら、克海は思う。
――結局、俺はウルトラマンなのか、高海克海なのか……正解はどこにもない。だから、少しずつ正解を作っていくしかないんだ。俺は歩き続ける……夢と一緒に!――
事件解決後、リクたちは内浦の外れの森に停めたデュエスの円盤で、彼らの世界に帰還することとなった。
「こんなに間近に円盤ずら! 未知との遭遇ずら~!」
花丸が興奮している一方で、いろはは唇を尖らせる。
「私たち、さっき来たとこなのにもう帰るなんて。ゆっくり出来ないんですか~?」
「小町さんたちが心配しているのよ。早く八幡くんの顔を見せてあげないと」
「ちぇ~」
残念がるいろはを尻目に、リクとペガは克海たちに頭を下げる。
「皆さん、お世話になりました」
「ありがと、お土産!」
千歌はリクたちに笑顔を返す。
「またこっちの世界に来たら、今度は『四つ角』に泊まってね!」
「今度は父さんの料理を食べさせてあげるよ」
克海も歓迎するが、功海だけは釘を刺す。
「ただし! 男どもは千歌にはあんま近づくなよ~。特に比企谷は、千歌に抱き着かれやがって」
「ちょッ! その話は……!」
八幡が慌てて止めようとしたが、その肩に後ろから、雪乃の手がポンと置かれた。
恐る恐る振り返ると……そりゃあもうすごい笑顔の雪乃。
「八幡くん……帰り道に、詳しい話を聞かせてもらいますわよ?」
「ゆ、雪乃さん……口調がおかしいですことよ……」
どんな敵を前にした時よりもビビッている八幡の様子に、結衣たちは肩をすくめた。
「もう、ハッチーったら、ゆきのんがいるのに……」
「先輩……ちょっと目を離したらこれだ」
「比企谷も何のかんのでタラシだからな……」
「待ってくれよ! 誤解だこれはッ!」
「お前ら……アホやってると置いてくぞ」
デュエスが呆れ顔で円盤を親指で指し、搭乗を促した。
「皆さん、短い間でしたがお世話になりました」
「今度はゆっくり会おうね~!」
「息災でな! いい男も紹介してほしい!」
「失礼致しま~す!」
雪乃、結衣、平塚、いろはと円盤に乗り込んでいく中で、八幡がデュエスにひそひそ話しかける。
「ところで……あのトレギアって奴の最期の言葉、おかしくなかったか? 勉強になったって……」
「確かに。どう見ても爆死したんだがなぁ……」
腕を組んで怪訝な顔をするデュエス。
「まぁでも、稀に死んでもよみがえる奴もいるしな。予断は出来ん」
「説得力ありすぎだろ……」
「お前にゃ負けるぜ」
軽口を叩き合いながら、見送る千歌たちに手を振り返して円盤に乗っていく二人。
「それじゃ」
「皆さんありがとう! またね~!」
最後にリクとペガが手を振り、全員を乗せた円盤が地球を離れていく。
「さようなら~!」
「お元気で~!」
千歌たちが大きく手を振り続けて、円盤が見えなくなるまで見送った。
そして帰路に着く中、曜がつぶやく。
「それにしてもすごかったよね、真の家族の力! 合体してる間、テンション爆上がりだったよ!」
「まぁ、私たちは家族とは違うんだけどね」
梨子が自嘲するが、千歌たちは皆に振り向いてニコニコと笑いかける。
「そんなことないよ! 私だってお兄ちゃんたちの妹なんだし、Aqoursのみーんな家族だよ~!」
「ちょっ!? 千歌ちゃんそれは……!」
「い、意味分かって言ってるの……!?」
「ほえ?」
梨子たち八人は、克海と功海の顔を一瞥して、真っ赤になって顔を背けた。
変な空気になる中で、今度は克海が皆に呼び掛ける。
「みんな、ちょっと聞いてほしい。俺の夢の話だ」
「おッ、克兄ぃ。自分のやりたいこと決まった?」
功海に力強くうなずいて、克海が宣言する。
その目に映るのは、絆を結び合った大事な仲間たち。そして彼らがいる町の景色。
「俺はみんながいる内浦が好きだ。綾香市が好きだ。『四つ角』が好きだ。――だからこの町を、ウチをもっといいところにして、世界中の人にも知ってもらいたい。……宿泊業の勉強がしたいんだ!」
「宿泊業の……」
「勉強……!」
功海や千歌たちが感心する中で、鞠莉が克海に申し出る。
「それなら……パパの会社の系列で、ミラノでマネージャーを募集してるホテルがあるの。そこで勉強してみない?」
「いいのか、鞠莉ちゃん……!」
「私からパパとママに口添えするわ。ただし、かなり大変よ? 知ってる人がいない、全然違う環境に放り出されて、克海はめげないでいられるかしら~?」
あえて意地悪なことを聞く鞠莉に、克海は全力で答えた。
「やり切ってみせるさ! 戸井との約束だ!」
待ち望んでいた答えに、功海たちは笑顔を交わし合った。
――カリフォルニアとミラノ、それぞれの場所への旅立ちの国際空港で、克海と功海は新しい出発の時を迎えていた。
「功兄ぃ、克兄ぃ! 海外でも元気でね!」
「長いお休みの時は、お顔を見せに帰ってきて下さい!」
「その時は海外の美味しいお土産、楽しみにしてるずら~!」
「ふふ……どこにいても、堕天使ヨハネはあなたたちを見守っているわ!」
曜、ルビィ、花丸、善子が二人に激励の言葉を掛けている。
克海の海外就職を推薦した鞠莉は、電話で親に礼を告げていた。
「Thank you! ママ! 克海の話、快く受け入れてくれて!」
『いいデースよ、これくらい! と言うより……そういうことなら、もっと早く言ってくれれば良かったデスのに』
今の発言に、鞠莉が小首を傾げる。
「? 何の話……」
『またまたぁ~。だから結婚の話、あんなに嫌がってたんデースね! もうこれと決めた人がいたのなら、ママに報告しておいてほしいデス!』
鞠莉が一瞬固まった後……ピーッ! と頭から湯気を噴き出した。
「Wait!! ママ、そ、それは誤解……!」
『OK, OK. 後のことはぜーんぶママに任せてくっだサーイ! 彼をどこに出しても恥ずかしくない、立派なオハラの跡継ぎに育て上げてみせマース!!』
「だ、だからぁっ! そりゃ、そういうことちっとも考えてない訳じゃないけど……!」
「鞠莉ちゃん……?」
ハッ! と振り向くと、梨子、果南、ダイヤがすっごい顔で立っていた。
「聞き捨てならないわね、今のは……」
「そんな工作する下心あったんだね、鞠莉……知らなかったよ……」
「今晩はじっくり語り合いましょう……ええ、それはもうじっくり……」
「ま、待ってみんな! 落ち着いて! は、話せば分かりマース!!」
アー!! と鞠莉が叫んでいるのを尻目に、千歌が兄たちに笑いかける。
「克海お兄ちゃん! 功海お兄ちゃん! チカたち、お兄ちゃんたちの夢が叶うのをずっと応援してるからね!」
「ありがとな、千歌」
「俺たちも、みんなの歌を海外でも聴いてるからな」
「えへへ……がんばってね!!」
千歌たちに見送られて、それぞれの搭乗口へと別れる手前で、克海と功海が顔を合わせる。
「いよいよ新しい生活の幕あけだな……」
「これからも色んなことが山積みなんだろうな」
「ああ……いっぱい楽しんで、いっぱい苦しんで、いっぱい笑って、いっぱい泣こう!」
「ああ! 俺たちの冒険は……」
「「始まったばかりだ!!」」
兄弟はパンッ! と手を重ね合わせて、それぞれの道への第一歩を踏み出した。
「「「「いってらっしゃーい!!!!」」」」
Aqoursが兄たちの旅立ちを、盛大に送り出した。
そう……ここからが、彼らの始まりだ――!
『Select!! Rainbow Crystal!!!』
終
トレギア『何だ、まだいたのか? 全く暇な奴だな。もしかして、嘘次回予告があるとでも思ったかい? 残念だけど、そんなものはないよ』
トレギア『私は忙しいんでね、この辺で失敬するよ。また会おう』
トレギア『フフフフフ……フハハハハハハハ! ハハハハハハハハハッ!!』