聖戦士†有双 (恋姫†有双分岐ルート)   作:生甘蕉

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お久しぶりです

相変わらずの需要無視ですが、よろしければお読みください
今回は恋姫†有双10話からの分岐ルート



プロローグ

 信じられないことに恋姫†無双の世界に転移してしまった俺は『セーブ&ロード』というチートな能力を授かっていた。

 ただし、セーブスロットは三つしかなくてロードできるのは死んだ時だけというファミコンレベルのチートだけどな!

 

 そのイマイチなチートでがんばってゲームと同じく北郷軍と干吉に操られた曹操軍の戦いを防いだ俺はなぜか華琳ちゃん、季衣ちゃん、春蘭、秋蘭、桂花と結婚。

 俺と同じく手を出した娘たち、つまりは魏以外の恋姫ヒロインたちと結婚した恋姫主人公である心友の一刀君と共に世界の終焉を防ぐために干吉、左慈と最終決戦。

 だけどみんなの願いも空しく、銅鏡が発動してしまって……。

 

 

 ◇ ◇

 

 

 白一色の視界から解放された時はもう俺たちが戦っていた泰山の神殿内じゃなかった。

 

「道場、か」

 

 死ぬたびに戻ってくるもはや見慣れた場所。

 真エンド計画、失敗したか……。

 

「貴様、こんな局面でまた死んだのか?」

 

 怒りが滲む春蘭の言葉に首を横振り。

 それに秋蘭がゆっくりと頷く。

 

「いきなり辺り一面が光ったかと思ったら道場(ここ)にいた。世界が終わったということなのだろう」

 

「たった一瞬。意外と味気ない終わりね」

 

 パニック映画なみの天変地異を期待してたの華琳ちゃん?

 場所的に泰山が噴火するぐらいしか想像できないけど。

 

「ボクたちも死んじゃったの?」

 

 不安そうな表情の季衣ちゃんの頭をなでる。

 死んでてもみんな一緒だから大丈夫だよ、とはさすがに言えなかった。

 

「なにを言っているのよ! 華琳さまが世界の終わり程度で死ぬわけがないでしょう!」

 

 怒鳴る桂花だが、その顔色は悪い。口ではああ言っているが状況がわかっているのだろう。

 この道場は死亡時の休憩所であり、デッドエンドの救済所。

 本来ならバッドエンドを救済してくれるアドバイスを貰える場所のはずだ。……そんなアドバイスなんて貰った覚えないけどな。

 以前は俺しかこれなかったんだけど、俺だけが見えるシステムウィンドウで“ひきつぎ”って項目があって、それで選んだ相手はここにこれるようになって俺と同じように、俺が死んでやり直す前の記憶を引き継ぐことができる。

 その引継ぎができるようになる条件は……俺と合体することだったり。もちろん、釣りバカなサラリーマン的な意味で!

 だから責任取ってこんなおっさんが可愛い嫁さんを5人も貰っているんだぜ!!

 

「死ぬ時の力が抜けてどこまでも落ちていくようなあの言い様のない感覚が無かった。つまり俺は死んでない……なのにここってことは、バッドエンドなのか?」

 

 いい加減ここから解放されたい。

 俺が死ななければこの道場に来ることもないのだが、そのルートは遠いようだ。

 

「なにか条件を満たしてないということなのか?」

 

 体育座りして悩む。元祖ニュータイプのように親指の爪でも噛んだらいい考えが浮かぶだろうか。

 

「条件?」

 

 問いながら華琳ちゃんたちも俺の隣に座った。

 

「干吉たちの儀式が完成してしまったのか、それとも逆で儀式を完成させなければいけないのか?」

 

「北郷一刀が失敗したということはないの? あれが銅鏡を使うことが条件なのでしょう?」

 

「一刀君が一人だけを連れて新しい世界へ行ったとは考えたくない……」

 

 全ての恋姫ヒロインたちとともに現代日本へ現れるという『真エンド』を目指し、ゲームにはなかった結婚までさせた。

 多くのヒロインたちと結婚式まであげておいてたった1人しか連れてかないなんて、連れてかれた方も困るだろう。一刀君はそんな男じゃない。

 

「道場主を名乗るあなたなら何か知ってるのではなくて?」

 

 道場主を自称する孫策に問う華琳ちゃん。

 だけどあんまり期待してない感じを受けるのは道場主の普段の態度のせいだろうな。

 

「さあ? なんか聞いてたのと違う状況みたいなのよー」

 

「聞いていた? 孫堅にということ?」

 

 孫策の前はその母親である孫堅がこの道場の主で、その際はまさに江東の虎(たいがー)道場だったらしい。

 ……今まで気づかなかったけど、もしかして孫策も何度も死に戻って、結局ここの主になることにしたんだろうか?

 

「そ。こういう場合は二周目が始められるようになるって聞いていたんだけどなー」

 

 おっかしいわねー、と頭をかく孫策。どうやら本当に想定外の事態のようだ。それとも演技か?

 しかし俺たちを騙したとしてなんの得がある?

 俺たちに道場主を引き継がせて自分は成仏するとでもいうのだろうか。

 

「二周目?」

 

「“はじめから”を選んだ時とだいたい同じで、なんだっけ? “くりあぼーなす”ってのが貰える、だったかな?」

 

「ああ、ゲームでよくあるやつか」

 

 だけど恋姫にはそんなのあったっけ?

 戦闘がスキップできるってだけだったような。

 

「どれ……そんな!? どうなってるんだよ、これ!」

 

「どうしたの、皇一?」

 

 空中に表示させたシステムウィンドウの内容がいつもと違っていた。

 このウィンドウは俺にしか見えないので、大きく深呼吸して落ち着いてから嫁たちに説明する。

 

「“はじめから”と“つづきから”がなくなってる」

 

「そうなのよね」

 

「ん? どういうことなのだ?」

 

 春蘭が不思議そうに首を捻る。特大のため息をついて説明する桂花。

 

「バカね。これでは最初からやり直すことも、せえぶしたところから続けることもできないってことでしょうが!」

 

「なんだと! 誰がバカだ! もっとわかりやすく説明しろ!」

 

「だから大バカだって言ってるのよ! いい、つまりこいつが生き返れないから、私たちもこのままかもしれないのよ!」

 

 やっと春蘭も理解したのか、怒鳴り返すこともせずに硬直している。

 やっぱりわかってなかった季衣ちゃんも事態を把握したようで、泣きそうな顔で聞いてきた。

 

「ボクたち、どうなっちゃうの? ずっとここに閉じ込められたままなの?」

 

 この道場、かなり大きな道場ではあるが閉鎖された空間になっていて、道場の外に出ることはできなかった。春蘭と季衣ちゃんが力任せに破壊しようとしても壁はビクともしないのだ。

 

「他に変わったことはないのかしら?」

 

「かわりに“あらたなせかいへのみち”ってのが増えてる」

 

「新たな世界への道?」

 

「う、うん」

 

 これが悩みどころだ。

 恋姫のエンドの場所であるフランチェスカへの道かもしれない。

 もしかしたら真・恋姫への道である可能性もある。

 最悪の場合、全く別の世界なのかも……。

 

「どこへ行く道なのが不明なのが怖い、と言うのね」

 

「行き先が怖いんじゃなくて、みんなと一緒に行けるかわからないのが怖いんだ」

 

 もし、恋姫とは全く関係のない世界で……そこへ行くのが俺だけだったとしたら……。

 

「やっと結婚できたんだ。それもこんな可愛い嫁さん5人と! 一緒に行けないなんて駄目だ。華琳ちゃんと別れたくない!」

 

「あんたがいなくなるのは万歳だけどここに閉じ込められるのは困るわね。華琳さまとだけならともかく、邪魔なのもいるし」

 

「うむ。使えん能力だな」

 

 ぐっ。俺だってもっと使いやすいチートの方がよかったよ!

 既に決壊寸前だった俺の涙腺は桂花と春蘭の追い討ちで完全に破壊されてしまった。

 

「おっちゃん、泣かないでよ」

 

 今度はさっきとは逆に季衣ちゃんが俺の頭をなでてくれる。自分も不安だろうにいい子だ。こんな嫁さんたち別れることになるかもしれないなんて……。

 

「ちょっとぉ、ここで辛気臭くなられても困るんだけどー」

 

「そう思うんなら改善策を出しなさい。でなければ皇一はずっとここで私たちと暮らすと言い出しかねないわね」

 

 それしかないのだろうか。

 道場主の思いどおりかもしれないけど、ここなら空腹にもならないようだしみんなでいられる!

 ……すぐに退屈になるかもしれないけど。倦怠期の夫婦にならないようにしなくては。

 

「うーん。皇一か別の誰か1人だけ召喚されるかもしれないわよ」

 

 召喚?

 結婚前だったらそれもよかったかもしれない。ただし、召喚手はロリに限るけどな!

 もちろん契約はキスで!

 

「皇一、変わっているのは初めからと続きからがなくなって、新たな世界への道が増えているだけよね? 引継ぎはあるのね?」

 

「え? うん。それはまだあるよ」

 

 ウィンドウの表示から“ひきつぎ”を選ぶと、ページが切り替わって引継ぎ対象が表示されていく。

 最初は???ばかりで誰が対象だかわからない。俺が()()した相手じゃないと名前が出てこないのだ。

 やがて嫁さんたちのゾーンが表示されるのだが。

 

「あれ? こんなに???が多かったか?」

 

 気のせいかな。これまで何度も確認したわけじゃないもんな。

 表示されている嫁さんたちの名前にほっとする俺。

 

???

曹操

夏侯惇

夏侯淵

荀彧

許緒

???

???

 

「うん。ちゃんと五人とも名前があるよ。……んん?」

 

「なにか違いがあったの?」

 

「みんなの名前が真名じゃない?」

 

「なにを言っている?」

 

 ああ、みんなには見えないんだっけ。

 

「引継ぎ欄の名前がさ、前は華琳ちゃんの以外は真名だったはずなのに名前になってるんだ」

 

 華琳ちゃんだけは真名じゃなかったんだけど、みんなのも名前になっちゃっている。どういうことだ?

 悩みながら空中に浮かぶウィンドウの曹操の行をクリック。

 

「あ」

 

華琳

夏侯惇

夏侯淵

 

「え?」

 

 表示が変わったと同時に華琳ちゃんが声をあげた。引継ぎ欄から視線を移すとさっきまでと大きく違う。

 

「服が……真のになった?」

 

 大胆に開いた胸元。髑髏の髪飾りのデザインがデフォルメされたものになり、リボンもピンクから紫へと変わっている。オーバーニーも白になって、金属パーツも増えている。

 この姿は完全に真の華琳ちゃんだ。

 ……んん、ちょっと違うような?

 

「こ、これは……」

 

「どういうことだ?」

 

 春蘭と秋蘭も違いに気付いたらしい。

 

「もう一回試してみる」

 

 再度華琳の表示をクリック。今度は反転していた行が元に戻る。

 

「華琳さまが!」

 

 視線を戻すと華琳ちゃんが消えていた。慌ててもう一回クリック。表示は曹操に。

 

「華琳さまが戻った!」

 

 ふう。やっぱり引継ぎナシも選べるのか。

 

「どうなっているの?」

 

 そう聞いた華琳ちゃんは無印(いつも)の衣装だった。

 

「たぶん……モードを決定できるんだ、ここで」

 

 言いながらクリックして表示を華琳に。服装が真のになっているのを確認したら、今度は残りのみんなの表示も真名に変更する。

 

「かっこいいです、春蘭さま!」

 

 春蘭と秋蘭もやはり胸元が大きく開いた服になっいる。そんなに片乳をさらけ出さなくても。

 

「うむ。季衣は……桂花もだがどこか変わったのか?」

 

「季衣ちゃんはベルトがついたり微妙に変わっているね」

 

 季衣ちゃんといえば見せパンだが、できれば俺以外には見せないでほしいと頼んだおかげで最近はキッチリとホットパンツを閉めてくれている。

 なのに衣装が変わったせいでまた開いていて、その開きも以前よりも大きくなっておりズリ落ちないようするためかベルトをするようになっていた。

 

「桂花の新しい服も可愛いわ」

 

 二人は前の衣装と並べればわかるだろうけど、その程度の変化でしかない。桂花が素足に靴から靴下を履くようになったのは大きな変化だと思うけどさ。

 

「これはもしかして真じゃなくて英雄譚とか革命の衣装?」

 

「英雄譚? 革命?」

 

 最新の恋姫シリーズのデザインで……?

 あれ、最新のは萌将伝じゃなかったのか?

 おかしい。俺の記憶にない記憶が有る?

 

「君たちの出てくる物語の新しいので……俺が知ってるはずのない物語。なんで俺が知っている?」

 

「ああ、異常が皇一にも現れはじめたみたいね。そのうち落ち着くんじゃない?」

 

「そうも言ってられないようよ。見なさい。皇一の姿が薄くなってきている」

 

 いくら俺の影が薄いからってそれはあんまりじゃない?

 そう思いつつ手を見ると、ぼんやりと向こう側が透けて見えていて。

 

「どうやら選ばなくても、新たな世界へ連れて行かれるようね。……それとも」

 

 華琳ちゃんは座り込んだままの俺の胸倉を掴んでぐいっと引き寄せて唇を奪う。

 熱を持った舌が俺の口内を蹂躙し、ゆっくりと離れた可愛い唇から紡ぎだされた言葉は。

 

「もしかしたら、以前にあなたが話した北郷一刀のように存在自体がなくなろうとしているのかもしれない」

 

「そんな……」

 

 真・魏ルートの一刀君は結局、最後どうなったかわからずじまいだ。

 俺も消えてなくなってしまうのだろうか?

 

「そうしないためにも新たな世界への道を選びなさい」

 

「でも……」

 

「引継ぎが残っているのだから大丈夫よ」

 

 果たしてそうだろうか?

 しかし悩んでいる間にも俺の手はどんどんと透けていく。

 

「華琳さまが大丈夫と言うのだ。問題はない。さっさとしろ! 消えてしまうぞ!」

 

「おっちゃん!」

 

 春蘭と季衣ちゃんにも後押しされて、俺は“あらたなせかいへのみち”をクリックする。

 

「華琳ちゃん、季衣ちゃん、春蘭、秋蘭、桂花。愛して……」

 

 最後まで言い終える前に、俺は七色の光に包まれた。

 

 




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