サーラからの情報で目撃されたという白い飛竜の捕獲に、マスタードラウゲンと竜騎士隊をリのアッサーブの森に派遣した。オーラマシンは無しでだ。
これもテストである。
このフリーシナリオはオーラマシンを開発していなければ『パンツァー亜種』という強力な白い飛竜が入手できるのだ。
本来ならばリの国がオーラマシンを開発している現状では他の飛竜との戦闘中に逃げられてしまうのだが、派遣した部隊はオーラマシン抜きで編成し、捕獲を最優先に命じている。
これが成功したら、ゲーム知識を上手く使えればフラグが絶対ではないということになるはずだ。
そしてマスタードラウゲンたちは無事にパンツァー亜種を捕獲して帰城した。ちゃんとテイムできているようだ。
よし! これでルートに悩むことが減りそうだ。だって聖戦士伝説って分岐が多くて大変なんだよね。途中でリカバーできるようになればだいぶ気が楽になる。
第2章のシナリオもこれで終了。
まあ、ちょこちょこ変更されたはずなので、もう章もおかしくなっているかもしれないが。
◇ ◇ ◇
ドレイクからまた使者がきた。
持ってきた書簡によればドレイクの娘リムルとの縁談の申し込みだった。
……はい?
新たに地上人を召喚したからラース・ワウにこいってのじゃないの?
「リムルの嬢ちゃんもコーイチ王の素顔を見てますぜ。一目惚れしたのだろうぜ」
「いえ、ドレイクの地盤固めの一環でしょう。政略結婚の申し込みですな。コーイチ王を一人娘の婿として相応しいと認めたのかと」
ザンとオウエンが勝手なことを言っている。
リムル・ルフトはバーン・バニングスか、クの王ビショット・ハッタが婚約者になっていて、ニー・ギブンの恋人だったはずだよな?
「オウエン、俺の縁談は断ってくれと言ってるだろう」
「それだけではなく、新たな地上人を見せたいのでラース・ワウにこいともあります」
「そうか、ちゃんとそっちもあったか。地上人のことは詳しく書いてないか? 名前や人数とか」
「地上人に関してはそれだけです。メインの内容は縁談の申し込みですな。リムル殿の年齢や趣味など詳しく書かれていますが読みますか?」
なんだよそれ。お見合いするつもりはないんだが。
地上人のことがあるので行かないわけにもいくまいが、気が重い……。
「縁談は断るが召喚された地上人は気になる。
「地上人……大陸のことを知ってる者だろうか?」
黒髪の騎士こと愛紗も行く気らしい。
気になるのはわかるから連れていくか。城に残していってゼラーナ隊にスカウトされても困るし。
サーラも報告にきたが、地上人の報告ではなく国境付近で不審機が目撃されたというもの。つまりはフリーシナリオの情報だった。
これがギブン家のオーラマシンなんだよね。ラース・ワウに行くついでに戦っておくか。
っと、出撃の前に開発可能になったウイングキャリバー『ジームルグ』のプランにゴーサインを出しておかないと。
◇
サーラの報告にあった場所でギブン家のオーラマシンと遭遇した。
「やはりゼラーナ隊か」
「やっこさんたち、やる気のようですぜ」
「こないだ助勢を求めにきたのに、リの騎団の強さを知らないのかね? 各機、戦闘開始!」
マーベル担当の愛紗がいないのでどうするか気になっていたが、ダーナ・オシーにはニー・ギブンが乗っていた。
聖戦士伝説でもギブン家の兵が乗っていることもあるけど、俺的にはダーナ・オシーには女性キャラが乗ってもらいたい。フォウに乗ってるキーン・キッスと代わりなさい!
そしてゼラーナのパイロット表示はドワ・グロウ。中の人的に貂蝉じゃないかとかなり不安だったが違ったようでなによりだ。
聖戦士伝説の再現なのか、俺は意識を集中するとオーラマシンのパイロットの姿と名前もわかるようになっている。さらにウィンドウを開けば敵だろうとステータスまでわかるように。便利すぎる。
恋姫世界でもこれがあれば……あってもあまり意味はなかったか。もしも俺が管理職なら多少は役に立ったかな、って程度だろう。
マーベル無しのゼラーナ隊は敵ではなかったが、ゼラーナとナムワン級では圧倒的に速度が違いすぎて逃げられてしまった。
「相手の動きを観察しすぎたか。……それとも世界の制約で絶対に逃げられた?」
「ご主人様、追いますか?」
「いや、ラース・ワウに向かおう」
あいつら、もしかしてラース・ワウへ向かうタペヤラを待ち伏せてたつもりだったんだろうか?
◇
ラース・ワウには昼頃ついたがドレイクは、地上人はまだ戸惑っているから会わせるのは落ち着いてからと先送りにしようとする。
今晩の宴席で会わせてくれると言うのだが。
聖戦士伝説と同じだけど……あれ? 地上人を召喚したから俺が呼ばれたんだよね? なんでまだ落ち着いてないの?
「コーイチ王、済まぬが私も準備で忙しい。その間はリムルにお相手させましょう」
「いや、ならばこそ早く地上人に合わせてくれ。同郷の者が説明した方が理解も早いだろう」
宴席ではゼラーナ隊が襲ってくるからな。ゆっくり会話もできん。
どうしても! と強く出てやっと地上人に会わせてもらった。
「ご紹介いたそう」
ドレイクがもったいぶっているが、俺は紹介されるより先にその名を呼ぶ。
待ち焦がれた愛しい名を。
「華琳ちゃん!」
あ、やばい。真名で呼んでしまった。もし俺の華琳ちゃんじゃなくて別の曹操だったらどうしよう?
「皇一」
「本当に華琳ちゃん? 俺の華琳ちゃん?」
「お知り合い、なのですか?」
その場に居合わせた全員が驚いていたが、真っ先に復活した仮面愛紗が聞いてきた。
「あ、ああ。彼女は曹操。俺の妻だ」
もうはっきりとわかった。華琳ちゃんだ、間違いない。なんでわかるかは夫婦だからだ。俺たち通じ合ってるもん!
なのにさ。
「本当に我が夫かどうかまだ疑わしいところがある。眼鏡を外しなさい」
「いや、俺だってわかっているよね? 華琳ちゃんならわかるよね?」
「眼鏡を取りなさい。そうでなければはっきりしないわ」
絶対に華琳ちゃんだ。だって口元が笑ってる。
俺だってわかっていて言っている。
この前道場で会った時に確認したじゃんさ!
けれどやっと会えた妻の要求だ。素直に従うしかないだろう。
「わかったよ、これでいい?」
「ええ。お前は私の夫よ。間違いないわ」
「華琳ちゃん!」
やっと抱きしめることができた。
うっ、いかん。涙が。
「相変わらず泣き虫なのね」
「ず、ずっと会えなかったんだ。堪えられるわけがない」
けど、いつまでも泣いているわけにはいかないのですぐに切り替える。
若返ったおかげで涙腺もちょっとは強いのだ。
「恥ずかしいところを見られたな」
「い、いえ……ご主人様、結婚なされていたのですか?」
あれ、愛紗には説明してなかったっけ?
「皇一、その者は?」
「彼女は黒髪の騎士。わけあって顔を隠しているけど俺の直属の騎士だよ」
察してくれ華琳ちゃん。
今の愛紗は関羽であることを隠していると。
「そう。夫が世話になっているわね」
「いえ、私こそお世話になってばかりです」
それを聞いた華琳ちゃんはこっちを向いて微笑んだ。よくやった、って褒めてくれている……わけじゃなそうなのがちょっと怖い。
もしかして怒っている?
ここは話を変えた方がよさそうな雰囲気。
「ドレイク殿、我が妻の保護、感謝する」
「まさかコーイチ王の奥方とは……」
「そちらは孫権殿か?」
「え? は、はい」
急に名前を呼ばれて驚く孫権。
まさか自分の名を俺が知っているとは思ってなかったようだ。
髪も長いんでまだ孫策は生きているみたいだな。
「俺は天井皇一。今はこちら風にコーイチ・アマイと名乗っている。君たちよりも先にこのバイストン・ウェルへときて、色々あって隣国リの国王となった。そっちの君は?」
「北郷一刀だ。その名前だと日本人? 俺と同じくらいの年なのに王様ってすごいな」
「こう見えておっさんなんだよ」
召喚されたのは華琳ちゃん、孫権、そして北郷君の3人か。愛紗と同じように、北郷君と孫権は俺のことを知らないようだ。
真・恋姫以降の人物なんだろう。
俺の心友とは別人なのか……。
「ドレイク殿、この3人、リの国に連れて帰るがよろしいか?」
「奥方だというソウ・ソウ殿はわかるが、残りの2人もと言うのであるか?」
「孫権殿は、本人とは直接面識がなかったのだが彼女の姉妹には世話になっていてな。妹君の孫尚香殿は私と曹操の結婚を後押ししてくれた恩人なのですよ」
「そうね。小蓮のおかげ、になるのかしら」
シャオちゃんにも会いたいなあ。俺の心友の方の一刀君たちと幸せに暮らしていてくれるといいんだけど。
「姉君の孫策殿は……一応は我が師匠ということになる」
「姉様が?」
あの道場の主で俺が弟子ポジだもんな。
ブルマははかなかったけどさ。
「我が恩人の姉妹は我が恩人と同じ、だろう? リで地上界への帰還までお世話するのが当然というもの」
「ではカズト・ホンゴウは?」
「彼は地上界でも私と同郷の者。つもる話もあるのですよ。北郷君が残ると言うのであれば無理にとはいきませんが。どうする北郷君?」
心友と違うとはいえ、ここに残すのも気がひけるからね。
焦ったドレイクは露骨に妨害する。
「コーイチ王、それを決めるのは宴席の後でもいいのではありませんかな?」
「ふむ。俺も焦りすぎましたな。北郷君、よく考えてみてくれ」
「わかった」
ドレイクに説得されなきゃいいけど。
それにしても、彼はどのルートの北郷君なんだろうか?
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