聖戦士†有双 (恋姫†有双分岐ルート)   作:生甘蕉

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13話 目標

 華琳ちゃんが俺の双子を()()した。

 

「どうやら両方ちゃんと使えるようね。量も倍になっているのかしら?」

 

「それはここんとこご無沙汰でずいぶんと溜まっていたから……」

 

 だってさ、こっちではフィナが一緒のことが多くて自分で処理することもできなかったんだよ!

 

「私1人で両方受け止めるのも面白そうではあるのだけど、ここは人数を増やして楽しみましょう」

 

「え? でも季衣ちゃんや春蘭たちはバイストン・ウェルにきてないよね」

 

 来る可能性があるとしたらドレイクによる次の召喚だろう。

 今回はショウ、トッド、トカマクの代わりに華琳ちゃん、孫権、北郷君で、先に召喚された愛紗も合わせれば無印恋姫の三国の主要人物が揃ってしまった。

 そう考えると次はアレン、ジェリル、フェイではなく張飛、孔明、周瑜あたりだろうか?

 ……中の人を考えるとアレン・ブレディが貂蝉になってる可能性が高そうで怖い。

 

「なにを言っているの? 関羽がいるでしょう」

 

「なんでそこで愛紗が出てくるのさ」

 

「ご主人様と呼ばせているじゃない」

 

「そ、それは成り行きでね。俺は浮気なんてしてないからね!」

 

 愛紗は一刀君の嫁じゃないか。

 ここの愛紗は一刀君と面識がなかったけど……。

 

「孫権でもいいわ。そのつもりで連れてきたのでしょう?」

 

「なんでそうなるの? 彼女はいきなりこんな世界に1人召喚されて不安になっているはずだ。そんなことできるはずないでしょ」

 

「北郷は置いてきたのに? 素直に北郷から奪うつもりだと白状なさい」

 

 むう。双子を見せても嫌われてないみたいなのは嬉しいけど、なんか暴走していないか?

 やさしく華琳ちゃんを抱きしめる。

 

「華琳ちゃんもこんな世界に召喚されて混乱してるんだね。大丈夫、俺がついているから」

 

「なにを勘違いしてるのよ、もう……少しは逞しくなったじゃない」

 

「鍛えてますから」

 

 華琳ちゃんを抱きしめてなかったら「シュッ」とポーズを取ったのに。

 若返ったのとカンストオーバーのおかげで疲れにくくはなってるけど騎士たちとともに身体を鍛えるのは必要なんだよね。

 オーラバトラーってオーラ力で動くけど、戦闘ともなると体力も消耗するしさ。高機動戦闘ってすごい疲れるんだ。

 

「嫌われなくてよかった。捨てられちゃうんじゃないかとずっと不安で」

 

「安心なさい。皇一は私のものよ。……褒めた途端にもう泣くの? 道場では堪えたのに」

 

「華琳ちゃんの前でだけだよ。今まではずっと我慢してたんだ」

 

 王様だからってさ。

 そんな俺の頭を華琳ちゃんがそっとなでてくれている。

 

 結局、検査だけで華琳ちゃんと合体することはなかった。

 やっぱり気持ち悪いの?

 

 

 ◇ ◇

 

 

 華琳ちゃん、孫権、そして愛紗。

 革命かと思われる恋姫世界から召喚された3人の美少女とオウエン、ザン、マスタードラウゲンを交えて今までの状況、そしてこれからのことを説明する。

 もちろんフィナもいるよ。

 

「まず最初に言っておくが黒髪の騎士の正体は関羽。地上人だ。そしてマスタードラウゲンはゴード・トルール。このリの国の王」

 

 仮面を取る2人。

 愛紗のことは既に華琳ちゃんは気づいていたけどね。

 

「今の王はコーイチ王ですぞ。儂は隠居した身じゃ」

 

「皇一が無理矢理簒奪した、というわけではないのね」

 

「王様なんかになったって嬉しくないよ。必要だから……やらされている」

 

 それこそ華琳ちゃんにこの座を譲りたかったんだけどね。

 

「私はあなたたちより先にドレイクに召喚されたが、ご主人様の手引きによって脱出することに成功したのだ。バーンはフェラリオを使って地上に返せるようなことを言っていたが、疑わしいものだった」

 

「関羽もドレイクに召喚されたのね。皇一はどうなの?」

 

「よくわからない。あの道場での選択の後、俺はこの国に出現したんだ」

 

 聖戦士伝説でもその辺、ハッキリとしてないんだよね。

 エ・フェラリオだったフィナが主人公を召喚して、罰でミ・フェラリオにされて記憶まで失ったという説もあったけど、それをにおわせる文章はゲームには全く出てこなかった。

 もしかしたら俺が乗ったあのゲドに召喚されたんだったりして。

 

 

 ◇

 

 

「そう。だいたいの現状はわかったわ。戦乱の兆しが見えているのね」

 

「ドレイクはバイストン・ウェルの制覇を目論んでいる。ドレイクと同じアの国の地方領主であるギブン家が対抗しようとしていて、当主はマシだと思いたいが息子の方はドレイク憎しで周りが見えていない」

 

「ラース・ワウを襲撃した賊ね」

 

「あの場にはドレイクが新型オーラバトラーと地上人を見せびらかすために、俺のような他国の重鎮も呼ばれている。あの襲撃事件でドレイクの評判を落とすこともできただろうが、ギブン家討伐の大義名分を与えてしまった」

 

 地上人の召喚を防ごうと焦ったんだろうけど間に合ってないし、どうせやるならキッチリとドレイクを仕留めるまでやらなければいけない。それができなかった時点で行き当たりばったりの襲撃でしかない。

 それともニーもギブン家オリジナルのオーラマシンを見せびらかしたかったんだろうか?

 

「各国にオーラマシンが出回っているのでしょう? 世界制覇を目指す者が現れるのは当然よ」

 

「アの王が愚王だというのはわかった。まるで袁術の話を聞いているようでドレイクに感情移入したくなるわ。私を誘拐した者でなければ力を貸しただろう」

 

 華琳ちゃんと孫権はそんな意見か。武将だもんな。厳しい見方になるのは当然か。

 

「愛紗はどう思う?」

 

「今のところ、ご主人様の選択におかしな点はないと思います。ドレイクのギブン家討伐への助勢も断っておりますし、主張は一貫しているかと」

 

 そうじゃなくて、正義はどっちかなんてことを俺は聞きたかったんだけど。わかってて避けたのかな?

 

「そうか、うん。……それならこれからのことを話そうか。これを話すと愛紗が俺の元を離れそうで怖かったんだけど、いつまでも黙っているわけにもいかない。いい機会だから聞いてくれ」

 

「ご主人様?」

 

「さっき、俺はこの世界の『物語』を知ってると言っただろう、当然、この先も知っている」

 

「この先……」

 

 北郷君にダンバイン知識があるか、聞いておけばよかったかな?

 まあ、知っていたらドレイクに協力はしない可能性が高いか。きっと『ラウ』ルートか『ナ』ルートを選ぶに違いない。

 聖戦士伝説は知らないかな? 知ってたならリの国にきてくれただろうし。

 

「細かな違いは分かれるけど、大まかに分けるとこの物語の終わり方は3つ。バイストン・ウェルでドレイクを倒して戦乱に終止符を打つか、地上界に出てドレイクを倒して戦乱に終止符を打つか、同じく地上界に出て全滅するか」

 

「全滅?」

 

「ここバイストン・ウェルは魂の休息所って言われている。つまり地上界からこっちに戻ってくるために『浄化』されるって終わり方かな」

 

 聖戦士伝説、ロウルートは『浮上』しちゃうとグッドエンドでもそれだから、やってられない。そりゃアニメに忠実なエンドだけどさあ。

 

「地上界に出るというのは大陸に戻れるということ?」

 

「たぶんね。もしかするとショットやゼット、それに北郷君の方の地上界かもしれないけど」

 

 もしそうなるのなら、浮上の直前にその3人をオーラマシンから降ろしておけばなんとかなるかもしれない。

 それでも駄目なら最悪、彼らにはその前に死んでもらうしかないわけだが。

 

「その時は別の方法を考える必要がありそうね」

 

「うん。そして、ドレイクや諸外国のオーラマシン、乗り手も一緒だ。エ・フェラリオのお偉いさんで仙人みたいなやつが、戦乱の原因だってオーラマシンを乗り手ごとバイストン・ウェルから排除するんだ」

 

「オーラマシンも一緒となると地上界も大混乱しますな」

 

「ああ。だからみんなに相談したいんだよ。残念だけど俺たちが無事に地上界に戻るにはそれが一番確立が高い方法なんだ」

 

 俺の告白に恋姫たちの表情がそれまで以上に真剣なものに変わる。

 自分たちが帰ると、余計なものまでついてくるとならば当然だろう。

 

「ドレイクは地上界の方でも世界制覇を目論む。ドレイクに協力するクの国の王、ビショット・ハッタも。それを防ごうとするのはギブン家の生き残りにラウの国、ナの国の連合軍。オーラマシンの戦いは地上界に持ち込まれる」

 

「それならばギブン家と協力してドレイクをさっさと討てばよかったんじゃないかしら?」

 

「そうかもしれないけど孫権、俺は地上界に戻りたかったからね。たとえバイストン・ウェルや地上界を戦乱に巻き込んでも華琳ちゃんたちの元に帰りたかった」

 

 セーブしてあるからやり直しきくし、とは言えない。俺の『セーブ&ロード』の能力は極秘事項だ。嫁にしか教えるつもりはない。

 

「各国には既にオーラマシンが広まっている。たとえドレイク・ルフトがいなくなっても、野望を持つ者が現れる。コーイチ王がどう決めようともバイストン・ウェルの戦乱は避けられなかったであろう。リの国はコーイチ王の選択に従うよ」

 

「ありがとうございます、ゴード王。リからは地上界に行く者はできるだけ少なくしたい。本来なら俺たちだけで行ければいいんだけど……」

 

「王はあなたですぞ、コーイチ王。そうは言ってもあなたと共に行きたいと言う騎士や兵士も多そうでしてな」

 

 リにはゲームのタイトルにもなっている『聖戦士伝説』が元々あって、王にもなった俺の人気はかなり高いらしいんだよね。信じられないことにさ。

 ぽっと出の俺をちょっと引くぐらい心酔している騎士も多くて驚いているよ。

 

「地上界だとて、ほっておいても戦乱の世になるでしょうね。漢王朝があれでは」

 

「私がこちらにくる前でも既に乱世と言ってよかったでしょう。漢王朝は腐敗し、賊が蔓延っていました。それをなんとかしようと劉玄徳殿と立ち上がったのです」

 

 うーん。華琳ちゃんも愛紗もオーラマシンの戦闘の規模を軽く見てるのかな?

 でも恋姫でも兵の数は多かったしなあ。

 

「……それじゃ、2人は賛成だと思っていいのかな? 孫権はどうする?」

 

「わ、私は……こんな時、姉様だったらすぐに決められたでしょうね」

 

 そりゃ迷うか。

 帰りたいけど、そのせいで戦乱が大きくなるって言われちゃなあ。

 

「あの人は勘で決めそうだ。それも面白そうな方にね。だから、参考にしちゃ駄目だよ」

 

「本当に姉様の知り合いなのね」

 

「まあね。もしかしたら俺のことは忘れているかもしれないけど」

 

 孫策には道場の記憶が残っているのかな。

 少しは世話になっているから、呉ルートのように死ぬのは防いであげたいけど。

 ……あれ? 革命だとしたら孫堅ママも生きているのだろうか?

 

「コーイチ王は地上界に戻れたらどうするつもりなの?」

 

「ドレイクとビショットを倒すつもりだ。他の国(ラウとナ)の方が先になるかもしれないけど」

 

「その後に大陸制覇かしら?」

 

「それをしたいのは華琳ちゃんでしょ。……まあ、必要だったらしなきゃいけないのかな?」

 

 聖戦士伝説でもカオスルートだと世界制覇しちゃうエンドがベストエンドだっていわれているしさ。

 

「そう……孫呉の民はどうなる?」

 

「うーん。孫策か孫権に治めてもらえればいいんじゃないかな? 多分、下につくのは嫌だって戦いにはなるだろうね」

 

 ラウやナと組まれなきゃいいけど。劉備は性格的にナと組みそうで心配だ。

 ゼラーナ隊は蜀と? 劉備と……孔明ちゃんと早く会う必要がありそうだな。

 

「孫権か孫尚香を嫁に差し出してくるかもしれないわね」

 

「政略結婚は勘弁してよ。俺には華琳ちゃんたちがいるんだしさ」

 

「たち? ご主人様、まさか他にも奥方がいるのですか?」

 

「う、うん。あと4人、むこうに残っている。だからどうしても地上界に帰りたいんだよ」

 

 愛紗の迫力に圧されて即答してしまった。

 女好きって軽蔑しないでくれよ。

 

「英雄色を好むというのは本当なのね」

 

「関羽も皇一のものにおなりなさい」

 

「なっ! わ、私がご主人様の……」

 

「別に私のものでもいいのよ」

 

 完全に愛紗をロックオンしちゃっているな。

 ……それともやっぱり1人だと俺のジュニアの相手が不安なんだろうか。

 

「曹操殿よりご主人様とがいいに決まっているでしょう!」

 

「そう。決まりね。よかったわね、皇一」

 

「え? ……ご主人様、い、今のはですね、売り言葉に買い言葉というかですね、曹操殿の狡猾な話術に嵌っただけであって!」

 

 うん。わかってるから。そんなに慌てなくてもいいから。

 

「落ち着いてくれ愛紗。華琳ちゃんも愛紗で遊ばないの。こんなおっさんとなんてありえないでしょ」

 

「それは皇一と結婚した私たちを馬鹿にすることになるのだけれど。皇一は関羽とは嫌なのかしら?」

 

「ご主人様!? わ、私のことがお嫌いなのですか?」

 

 え? なんでそんな泣きそうな顔でこっち見るのさ、愛紗。

 あれか、春蘭に結婚が嫌と言われた時の俺のような気持ちなんだろうか?

 

「いや、愛紗は好ましいと思うよ。レベルアップの時だって胡散臭いだろう作業にもちゃんとついてきてくれた。俺を疑ってもおかしくないのに」

 

「私はご主人様を信じています!」

 

「なら、俺の思いも信じてくれるよね?」

 

「は、はい!」

 

 うむ。ちょっと、いやかなり卑怯な逃げ方をした気がするが、これで上手くお茶を濁せただろうか。

 ……華琳ちゃんを見ると不敵に微笑んでいるので駄目っぽい。

 

 




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