聖戦士伝説ならばいよいよオーラロードを開くイベントである。
ドレイクも新しい地上人3人をやっと出撃させる。
張遼、呂布、馬騰の武将3人を。
「待ちかねたで」
「ん……出る」
「戦場はオレたちの方が慣れている。もうちょいマシな指揮をしろ若造」
指揮をするショットは大変そうだ。後方支援なんかでおさまる雰囲気じゃないけどわかってるのかな。無理だろうなあ。
俺だってあの3人をおさえられる自信はない。
おっと、ちょっとよそ見してる間にデートの相手がやってきてしまった。
「来たな北郷君!」
俺のサーバインに勢いよく向かってきた藤色のダンバイン。
そこにバストールが強引に割り込もうとしてくる。
「カズトは私が討ちます!」
「……北郷君、ガラリアになにしたのさ!?」
一騎打ちに入ろうとしたのを邪魔されるなんて。
聖戦士伝説だとここは自分でやるかガラリアにまかせるかの選択になるのに、今は3人で戦っている状況だ。ガラリアは譲ってくれそうにない。
「俺はなにも!」
言いわけしながらも斬りつけてくるダンバイン。
さすが一刀君と同じ男。鋭い剣筋だ。
さすがショウ・ザマ担当。やっぱりオーラ力が増大している。
むう、このタイミングで3人での戦いってダンバインの小説版、つまり『オーラバトラー戦記』っぽいな。となると……。
「ガラリアの気持ちをもてあそんだんじゃないのか?」
北郷君ならばありえるかもしれない。オーラバトラー戦記のガラリアは主人公のジョクに恋愛感情があったんだし。
「そ、そうではないコーイチ王!」
あれ、違うの?
そう悩んでいる間にも3機のオーラ力がぐんぐん高まっていき、やがて七色の光が発生し始める。
「カズト!」
「俺はなにもしてない! と、とにかくお前を倒す! コーイチ!」
「いや今はそんなことしてる場合じゃないって……もう! ガラリア、北郷君!」
攻撃を回避しながらサーバインの剣を鞘にしまい、右手でダンバインの、左手でバストールの腕をそれぞれ掴む。
逸れたらやっかいだ。この手は絶対に離さない!
俺の強い意志でさらにオーラ力が増大したのか、視界が七色の光で満たされてしまった。
……3機で浮上ってやっぱり小説版かよ。
◇ ◇
「コーイチさん!」
フィナに起こされると、キャノピーの外に見えるのは見覚えのない場所だった。
サーバインはダンバインとバストールの腕を掴んだままだ。
「ガラリア、北郷君! 目を覚ませ!」
バストールとダンバインを軽く揺らしながら声をかける。
「んっ、こ、ここは……? ダンバイン!」
「フランチェスカの男子寮じゃないか!」
あ、やっぱり北郷君のとこの地上界だったか。俺んとこじゃなくてある意味ほっとした。
俺、若返ってるから身分証明もできそうにないんだよね。
「2人とも落ち着け。今は戦っている場合じゃない」
「ですが!」
「ここは地上界だ。なんで?」
「北郷君はわかったようだな。どうやら俺たちは地上界に出てしまったらしい。非常事態だ。一時停戦するしかない。ガラリア、従ってくれ」
サーバインのキャノピーを開き、できるだけガラリアを刺激しないように説得する。
アニメだとバストールのミサイルランチャーで何十万人もの犠牲者が出てしまうのだ。それは防ぎたい。
俺に合わせるようにバストールとダンバインもキャノピーを開いてくれた。
「バイストン・ウェルでは大気に満ちているオーラの力が火器の爆発力を抑えているというのを聞いたことがないか?」
「あるけど、それが?」
「もしその話が本当ならば迂闊に発射すれば地上界に甚大な被害を出す。自分のオーラバトラーも爆発に巻き込まれてお陀仏だ。絶対に火器は発射しないように!」
これって結局さ、バイストン・ウェルの火薬が強力だってことでいいのかね? バイストン・ウェルでは威力が落ちているってだけで。
「ならば剣で戦えばいいのでしょう!」
「だから落ち着けって! 北郷君はここに見覚えがあるんだな?」
「ああ。ここは俺が通っていたフランチェスカ学園の男子寮だ」
そう言われても『春恋』はやってないんでよくわからん。
共学化したばかりの元女子校、でいいんだっけ?
「そうか。ならば北郷君の部屋はあるのか? とりえずそこでゆっくり話がしたいのだが」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
ダンバインから降りる北郷君。
それを見て、影から覗いていた者が声をあげる。
「かずピー!?」
「及川!」
どうやら北郷君の友人のようだ。
無印恋姫の最初に出てくるやつってこいつだったかな?
「行方不明なった思たら怪獣と一緒に帰ってくるとか自分、宇宙人やったんか!?」
「ちげーよ! ありゃロボット! それより、俺の部屋ってまだあるか?」
「警察がきおって調査しとったけど、まだ始末はされてないはずや」
「警察……マジかよ。そ、そういうことみたいですけどー?」
うん。聞こえてたから降りることにするか。サーバインから降りる俺。一応、念のためフィナには残っていてもらおう。操縦席はまだ改装してないので、操縦は無理だろうけどさ。
北郷君もチャムを残すようだ。
「ガラリアも来てくれ。思うところはあるだろうが、まずは情報が必要だろう」
渋々なのか、無言で降りてきたガラリア。
そういえばバイストン・ウェルではテレパシーで言葉がわからなくても会話できてたけど、ガラリアは地上界ではどうやって会話してるんだろうね?
恋姫世界でも普通に会話できてたから今さらだけどさ。
「このロボ、どうすんねん?」
「あー……適当に誤魔化しといてくれ。学園祭用のオブジェとかなんとか」
「うわ、なんやこのイケメン?」
っと、眼鏡眼鏡。
いい加減サーバインの操縦席直したいなあ。
オーラバトラーのことを北郷君の友人にまかせて寮内へ移動する。
「ここだ」
北郷君の部屋は広くはないが、綺麗にはなっていた。
「警察が来たって言ってたけど、荒らされた感じはしないな。誰かが片付けてくれたのか?」
「誰かって彼女かい?」
「そんなのこっちにはいない」
こっちには、か。
バイストン・ウェルにはいそうだな。やっぱりキーン・キッス?
「ここが地上界というのはわかりました。ですが、なぜ北郷と和んでいるのです!」
「落ち着けってば」
「これが落ち着いていられるか!」
ガラリア、情緒不安定だな。
北郷君の彼女の話題で怒ったんだろうか。
「ガラリア、ここで争ってもバイストン・ウェルには帰れないぞ。地上で死ぬのは犬死だろう、俺たちがどうして地上界に来てしまったかを考えるんだ」
「バイストン・ウェルに帰る?」
「当たり前だ。あっちには嫁さんたちがいる。俺は絶対に帰るぞ! ……北郷君はどうしたい? せっかく地上界に戻ってこれたんだ。むこうに行く必要はないよな?」
そうすれば敵として戦わずにすむ。浮上イベントで恋姫世界への帰還の障害もなくなるだろう。
アニメのショウ・ザマみたいに家族仲が壊滅的で居場所がないってわけじゃないだろうし……ならなんで実家じゃなくて学生寮の方に出てきたんだ?
「俺だってバイストン・ウェルに戻りたい」
「……そうか。こっちにきた原因に心当たりは?」
「たぶん、さっきの戦いでオーラ力が増大しまくってオーラロードを開いたんじゃないか?」
さすが北郷君、察しがよすぎる。
このまま味方につけたいところだ。
「もしそれが本当なら、また3人でオーラ力を高めれば再びオーラロードを開くことができるかもしれないな。ガラリア、北郷君を倒してしまったらバイストン・ウェルに帰れなくなるかもしれない。今は諦めてくれ」
「そんな……」
「きっと戻れるさガラリア」
にっこり微笑む北郷君にガラリアの頬が染まった。さすがギャルゲ主人公様だ。心友の一刀君を思い出すよ。
「ここにきたのは北郷君が自分の住処であるこの学生寮を望んだからじゃないのか? だとしたらガラリアや俺たちのフェラリオがバイストン・ウェルを望めば帰るはずだ」
「それも道理か」
「バイストン・ウェルを望む……」
アニメやゲームでの台詞なら故郷だったんだけどな。北郷君の場合、浅草の実家か鹿児島の道場に出現って可能性もあったかもしれない。
「そうだ北郷君、俺たちはできればすぐにでもバイストン・ウェルに帰りたいが、君は家族に連絡を取った方がいいんじゃないか? もうこっちに戻ってこれなくなるぞ」
「コーイチはいいのか?」
「俺はこっちには家族はいないんだ」
俺のとこに帰ってたらどうしたかな?
若返ってなきゃ実家に顔を出したんだろうけど。電話ぐらいならしたかも。
「す、すまない」
「いや、気にするな。君は俺の分まで家族と話してくれ。ガラリアだってそれぐらいは許してくれるさ」
「あ、ああ。最後の別れになるだろうしな!」
「……ありがとう。でもやっぱいいよ。声を聞いたら決心が鈍りそうだ」
泣きそうな顔で北郷君は言った。
俺だったら泣いてたな、絶対。
「本当にいいのか?」
「ああ。さっさとバイストン・ウェルに帰ろう」
「その前に機体の状態を確認しよう。オーラロードを通る時になにか異常があったかもしれない」
今の俺ならステータスの確認で故障はすぐにわかるのだ。
◇
「ガラリア……バストールを使うのは止めておいた方がいい」
「どういうことだ、コーイチ王?」
「コンバーターに違和感があるだろう? バストールはパイロットに合わせての細かい調整が利く新型のオーラ増幅器を使っていると聞く。その調整がオーラロードを通る時におかしくなっているようだな」
異常は見つからなかったが適当なことを言ってみる。
聖戦士伝説だとガラリアは条件が揃えば無事にバイストン・ウェルに帰れるが、バストールはアニメ版の性能を持ってるし、3人での浮上はオーラバトラー戦記だ。そのどちらもガラリアはバイストン・ウェルに帰れずに死亡してしまう。
両方の作品とも主人公は1人(+妖精)であっさり帰るけどな。ガラリアとの苦労は一体なんだったんだっていう。
「北郷君、ダンバインにガラリアを乗せてくれないか?」
「え? 2人乗りってこと?」
「あたしもいるじゃない!」
北郷君が数に入れてなかったチャムが抗議の声を上げた。
チャムはやかましいだろうけど、あのお尻はちょっと見てみたかったりもする。
「そうだ。ほら、俺のサーバインはコクピットの構造的に2人乗りは無理だろ」
「それはそうだけど」
やっぱり無事に戻ったら操縦席を換装しよう。
嵐の玉でもその方がいいだろうしさ。
「ガラリアもいいな? バイストン・ウェルに帰るためだ、万全を期す」
「バストールはどうする?」
「地上界に残すのも問題だから持っていくさ。帰った時に動くようだったら乗ればいい」
「……わかった」
よし。これでガラリアも無事に帰れそうだ。愛紗も悲しまないですむ。
もしかしたら敵が増えるかもしれないけれど、それは気にしないことにする。
「北郷君、ガラリアを頼む」
「いいか! 変なところを触るなよ」
なんか俺が見たとこフラグが立って脈ありそうだし、北郷君がんばってくれ。
……でもそうなるとヴァルキリアになってゼラーナに行っちゃうんだろうか?
話がまとまった俺たちはオーラバトラーで日本からはるかに離れた洋上へと移動した。
どっかのレーダーや衛星には補足されているだろうけど、今のとこ付近に機影は見当たらないのでさっさと始めることにする。
サーバインの操縦席に元々ついてなかったため、キャノピーに強引にくっつけた通信用モニターに写るのは北郷君とその膝の上のガラリア。
「ガラリア、北郷君、準備はいいか?」
「あ、ああ」
「まかせて!」
「そっちのフェラリオも大丈夫のようだな」
北郷君のかわりに返ってきたチャムの声。
羨ましい。あの声を近くでずっと聞いていたのか、北郷君は。
「あたしはチャム・ファウよ!」
「そうかチャム。始めるよ」
バストールをサーバインとダンバインで抱き合う様に抱えがら急上昇する。
「フィナ、ガラリア、チャム、故郷を想ってくれ、バイストン・ウェルを強く念じてくれ!」
それぞれの返事が返ってきて、機体がまた七色の光を発生し始めたので急降下に移る俺たち。
海面が近づいているが構わずに速度を維持し、海面に激突する瞬間、七色の光に包まれた俺たちは、オーラロードに突入した。
「帰るぞ、みんなで!」
「ええ! バイストン・ウェルへ!」
季衣ちゃんたちのことを考えてたらあっちの大陸に行けるか、ちょっと試したくなるな。
……華琳ちゃん抜きで行ったら春蘭と桂花に殺されるか。
スパロボTってヴェルビン出てるのか~
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