聖戦士†有双 (恋姫†有双分岐ルート)   作:生甘蕉

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22話 バイストン・ウェル帰還

 七色に輝くオーラロードを通ってバイストン・ウェルに戻る俺たち。

 だが途中で無人のバストールが大きく振動し、それに驚いたのかダンバインがバストールから手を離してしまう。

 やはり念のためにガラリアを北郷君に預けて正解だったか。

 

 視界の片隅で機体を立て直すことに成功したダンバインが写っていたので無事にオーラロードを抜けたとは思うが、俺たちは逸れてしまったようだ。

 こちらも地表に激突することなく飛行を維持する。

 

「ここは?」

 

「コーイチさん!」

 

 フィナが指差す先には巨大な鳥のような強獣、ギャラウー。

 でかっ! 全長は50メットだっけ。

 俺たちはバイストン・ウェルに帰ってこれた!

 聖戦士伝説と同じくボンヤー山なのかな。アニメだとギャラウーじゃなくてズ・バダなんだよね。データ節約の都合上でギャラウーを使い回しているんだろうけど、ズ・バダはたしか5メットぐらい。

 10倍のサイズ差はちょっとあんまりなんじゃないの、と実際に対面してる俺は思うわけで。

 

「ここにこいつがいるってことは……いた!」

 

 予想どおりやはり2人の女性がいる。それなら逃げるわけにもいかない。

 バストールを抱えなおしてオーラショットをギャラウーの顔面に発射。命中したギャラウーは倒れることはなかったが大きく鳴いて羽ばたき、高度を上げて去っていった。

 

「逃げてくれたか」

 

 よかった。バストールを抱えたままでは戦いにくいもんな。

 見つけた2人の近くにサーバインを着陸させる。

 

「漆黒のダンバイン……いえ、それはサーバイン! リの国のコーイチ王!」

 

 そう声をかけてきたのはピンク色の特徴的な髪型をした少女だ。

 辺りを警戒しながらコクピットハッチを開き、サーバイン付属の操縦用の兜を外して声をかける。

 

「そうだ。俺がコーイチ・アマイ。お初にお目にかかります、パットフット王妃、そしてエレ王女」

 

 そこには聖戦士伝説と同様にパットフットとエレがいた。

 この後面倒な話になりそうなんで2人を置いて帰りたいけど、そうもいかないか。

 

「美しい……」

 

「その美貌、たしかにコーイチ王のようですね」

 

 判断基準、そこなの?

 サーバインを動かせてるんだからそれで判別でいいじゃん!

 

「ここは危険です。失礼ながら、そのオーラバトラーに乗ってはいただけませんか?」

 

「なっ!?」

 

 バストールを置き、サーバインから降りて軽く見回して異常がないのを確認。操作してコクピットハッチを開く。

 

「ドレイクに組する者に従うとでも!」

 

「こっちにだって理由がある。それに、リが組まなくてもドレイクはミを落としていたよ」

 

「そんな考えだからドレイクがつけ上がるのです!」

 

「ドレイクのことはわかっている。話は乗った後でもできるよ。狭いだろうけどサーバインの手で直接運ぶよりはマシだ。いつさっきのギャラウーが戻ってくるかわからない。素直に従ってくれ」

 

 あの巨鳥とはうかつに戦えない。倒すことができても、その落下で地上のエレとパットフットが危険なのだ。

 

「私たちのことは心配御無用です」

 

「エレ王女、それでいいのか? このままここに残ればパットフット王妃を死なせることになるぞ」

 

「脅しには屈しません」

 

「一瞬視えたよ、この地で銃弾に倒れるパットフット王妃の姿が。君にも視えたんじゃないか?」

 

 一瞬どころか聖戦士伝説だとパットフットはジェリルたちの弾丸に倒れることを知ってるからね。ただのハッタリではないのだ。

 こっちだとジェリル担当は呂布だからどうなるか微妙だけど、連れてきた兵士が先走って攻撃することもありえる。

 

「そんな……コーイチ王にも霊力があると言うのですか!?」

 

「エレ・ハンム、霊力の修行はなんのためだ? 大事な母親を犠牲にしてまで続けたいものなのか?」

 

「わ、私は……」

 

「安全は保障しよう。フォイゾン王が君たちを拒絶したのも知っている。今さらラウの国に対しての人質にもならないだろうし、しようともせん。そんなことをすれば聖戦士の名が落ちるだけだ」

 

 エレは迷っていたが、どこからか強獣の大きな声が聞こえたので従う気になったようだ。

 そりゃ50メートルのギャラウーに襲われてたんだからよほど怖かったのだろう。

 バストールをあまり揺らさないように気をつけながら飛ぶと暫くしてエレは寝てしまったようだった。狭いながらも母に抱かれての安全な状態に気が緩んだか。

 

「よくがんばったな」

 

 俺の声が届いたのかパットフットが泣き出してしまった。こちらに聞こえないよう必死に声を殺して涙している。

 空気を読む俺は見なかったことにするしかない。つか、こんな状況で声なんかかけられないっての。

 

 

 ◇ ◇

 

 

 2人を乗せたバストールを運びながらなのでゆっくりとトルール城に帰ると、聖戦士伝説で発生するはずのラウ軍との戦闘がすでに終わっていた。

 俺の帰城が遅かっただけでなく、華琳ちゃんがいて指揮系統に問題がなかったのですぐに戦闘が終わってしまい間に合わなかったのだろう。

 

「おかえりなさい。遅いわよ、皇一」

 

「それはバストール? ガラリアがどうかしたのですか?」

 

「ただいま。遅れてごめん。詳しい話はあとでしよう。今は彼女たちを休ませたい」

 

 城の者にはバストールから出てきた2人を丁重に扱うように告げた。

 ついでにサーバインのメンテと操縦席の換装も命じておく。

 

「あれがパットフット・ハンムとエレ・ハンムね。楽しむにはエレは幼いわよ。あれぐらいの方が皇一の好みなのはわかっているけど。それともパットフットかしら? あなた処女でなくてもよくなったの?」

 

「そんなつもりで連れてきたんじゃないから!」

 

 もしかしたら助けられたかもしれないピネガン王への罪悪感を多少なりとも誤魔化したいだけだ。

 

「マスタードラウゲン、パットフットたちのことをお願いします」

 

 こういう場合の扱いは本当の王様に丸投げしておこう。上手く行けばいい仲になってくれるかもしれんと期待もしながら。

 俺も休みたかったが、無事に帰ってきたと3人の嫁さんにキスして留守中の埋め合わせもしなければいけない。

 

 そうか、しまった!

 あっちでなにか土産でも買ってくればよかったぜ……。

 

「ガラリアが北郷と一緒なのですか?」

 

「うん。たぶん無事だろう。もしかするとゼラーナ隊に取り込まれるかもしれないよ」

 

「ガラリアは敵前逃亡扱いをされたと聞きます。もはやドレイクの下には戻れないでしょう。ご主人様の仰ることもわからないでもない」

 

 聖戦士伝説のロウルートでもそうだった。命がけで帰ってきたのに味方からよりにもよって父と同じ敵前逃亡扱いされてしまい、ドレイク軍を離れるのだ。その後、どこでどうやったか知らないけどサーバインを入手して覆面で正体を隠し――全くもって隠せていないが――ヴァルキリアとして仲間になる。

 

「たしかに北郷ならありえるわね」

 

 華琳ちゃんはあの一刀君を知ってるだけに深く頷いてくれた。

 もしかしたらもう攻略されちゃっているかもしれない。

 傷心のガラリアをほっておくとは思えないもんね。

 

「コーイチさん、地上界は北郷の故郷の方だったのね?」

 

「ああ。俺のとこやみんなの大陸じゃなかったよ。ただ、イメージすることでバイストン・ウェルに戻ってこれたから、決行の時は大陸を、あの世界を強く思い浮かべるようにしてくれ」

 

「早く帰りたいわね」

 

「俺だって季衣ちゃんたちに早く会いたい。もう少し待っててよ」

 

 ここで1回死んで道場に行った方がいいんだろうか?

 華琳ちゃんが俺を殺さない限り、死ぬことがないんだよな。戦闘だって限界突破(カンストオーバー)しているおかげで苦戦しないしさ。

 

「エルフ城はどうなった?」

 

「フラオン・エルフが死んだわ。もはやアの国の王はドレイク・ルフトよ」

 

「予定どおりか。まあ、ガラリアのこととか、パットフットとエレを拾ったとか多少の違いがどう影響してくるか……」

 

 これにて聖戦士伝説第4章の分は終わる。第5章はロウルートへ移行の最後のチャンスがあるけど、どうしようかな?

 

 




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