「関羽ぅ! よう来てくれたなあ、大歓迎や! おっと、コーイチ王もおひさー」
ショットとの取引を終えた俺たちはミラブロ山の秘密工場に到着した。
ドレイク軍の先発隊の指揮は張遼が執っている。
張遼がアレン・ブレディ担当なのか?
となると呂布がジェリル・クチビか。たしかに髪も赤いけど! ハイパー化しそうなぐらい強そうだけど!
呂布はうちの飛竜に興味持ってたのにまだリの国にきてくれていない。ドレイクが邪魔をしているのだろう。もしかしたらバイストン・ウェルの生物を与えているのかも。
「先発隊の指揮はウチが任されてる。よろしゅう頼むで」
「うん。期待してるよ」
アレンも聖戦士伝説では強い方の地上人だったからね。張遼もきっとオーラバトラーを使っても強いのだろう。アレンは艦長にもなれるけど張遼はどうかな?
張遼は馬騰に気づいたが、あまり驚いた顔もしなかった。
「なんや馬騰も生きとったってのはホンマ……ちっ、さっそく来たようやな!」
もう来ちゃったか。さすがゼラーナ隊は神出鬼没だ。
やはりビランビーで出撃する張遼。うん。アレンといったらビランビーだからね。ビルバイン初登場の引き立て役でもあるけど、そうならないようにしなくては。
ゲームではすぐに使うけど、ショットがなにか仕掛けていてもおかしくないので安全第一だ。馬騰だって
「げぇっ、バルバイン!? このオーラ力はガラリアか?」
ゼラーナ隊に見慣れないオーラバトラーが混じっている。北郷君の藤色ダンバインによく似たカラーリングのトゲトゲしい細身の機体。
バルバインは聖戦士伝説用にデザインされたオリジナルオーラバトラーなんだけど、没になっていてゲームには登場しない謎の機体だ。
聖戦士伝説でのサーバインといいニャムさん、どっからそんなオーラバトラー持ってきてるのさ?
「私はヴァルキリアだ! ガラリアなどという美女戦士ではない!」
キャノピーを開け、口元を覆う覆面をした顔を見せる自称ヴァルキリア。
うん、やっぱりガラリアだね。食事の時には正体バレるけど、それは黒騎士も一緒か。
……ヴァルキリアでバルバインか。ヴァルバインってわけ?
「おもろそうやな。ウチは張遼! 相手したる!」
張遼のビランビーもキャノピーを開け名乗りを上げて突っ込んでいく。
先をこされてしまったか。
バルバインの武器は鉈みたいなオーラソードだけなのかな?
ビランビーとバルバインが空中で激しい鍔迫り合いだ。やはり張遼のオーラ力も強い。
「北郷君……」
「言うな! 俺が言っても聞いてくれないんだ!」
華蝶仮面も止めさせられないもんなあ。
やけになってるオーラ力を感じられる北郷君のダンバインと適当に戦っていると、ゼラーナ隊はすぐに諦めて撤退していった。
「ヴァルキリア言うたあいつ、強いやないか」
「そうだな。バルバインもいい動きをしていた」
張遼はガラリアだと気づかないのか?
それとも気を使っているのか。後で愛紗にも確認しないと。
「あんたもや。おかげさんで工場は無事や。そんでな、工場の中のレプラカーンを一騎、貰うてくれ。ドレイクに言われとんねん。今回の謝礼や」
待ってました! このためにこっちを選んでよかったよ。
プテラノドンの格納スペースはもうないけど、オーラバトラー1体はフォウとドッキングして帰ればいい。
「ありがたく頂戴しよう」
「関羽、また組もうや!」
「ええ、また」
愛紗と話せたからか上機嫌の張遼に見送られ、俺たちはトルール城へ戻った。
張遼も早く味方にしたい。
◇ ◇
「おかえりなさい。商談はどうだったのかしら?」
帰城後すぐに華琳ちゃんに報告。
「ただいま。ガドラムを買ってきたよ。あとライネックも手配できちゃった」
「そう。ミラブロ山は?」
「張遼が対ゼラーナの指揮をとっていたよ。誘き出されたゼラーナ隊にはやはりガラリアが入ってね、ヴァルキリアって名乗っている。使うオーラバトラーはバルバイン、なかなか強そうだった。あとはいつもと同じですぐにゼラーナ隊は撤退。相変わらず逃げ足が速い。報酬としてレプラカーンを1機もらってきた」
「あの下品なオーラバトラーね」
下品って……股間のオーラキャノンをいやらしい目で見るの、禁止!
気になるのはわかるけどさ。リの騎士たちにも不評だったし。
「2機とも機械の館で調査している。なにも仕掛けがなければ馬騰ちゃんにガドラムをと思うんだ」
「あの蟹みてえなやつか」
「見た目は蟹だけど強いからね」
後期型と思われるぐらいにドラムロが性能のいい聖戦士伝説。その改良型のガドラムも当然高性能である。ショットもドラムロ4機分と自信ありげだったから、こっちでも同じはずだ。
ちなみに馬騰はつい「ちゃん」付けしてしまうのだがすぐに慣れてくれた。代わりに真名は教えてくれなかったけどね。
「巨大戦艦の方はどうなってる?」
「ラウの部隊がリの領土に侵入してきたわ。襲ってきた中にボチューンもいたけれど歯応えがなさすぎて不満よ」
やっぱりか。
ラウに直接リが仕掛けたことはないんだけどなあ。フォイゾンは先が見えてないね。
エレちゃんとパットフットはだいぶこちらのことを理解してくれているんでラウに渡せば向こうの態度も変わるかもしれないけど、わざわざ危険な場所に送るのも考えものだ。
「今回回収した残骸と以前に回収したものを合わせれば、ボゾンとボチューンがなんとか開発ができそうだとボウが報告しております」
ボチューンは反ドレイク陣営の主力オーラバトラーなんだけど、聖戦士伝説ではそれほど強くないユニットだったりする。『ボテューン』って紛らわしい名前の上位機種がいるせいだろうけど。
「ボゾンはいらないだろう。腕のボゾン砲と携行武器のガッシュだけを調べておいてくれればいい。ボチューンは改良型を造れないか研究してほしい」
もしかしたら『重装甲ボチューン』ができるかもしれないしさ。ボチューンの売りである移動力が下がったオーラバトラーだけどそこ以外は強い機体だからほしいよね。色も黒いし。
「わが国の巨大戦艦建造は順調に進んでおります。コーイチ王がお望みの機能が一番難しいぐらいですな」
オウエンから嫌味を貰ってしまった。
でもさ、しょうがないよね。
各国が建造中の
総合力と堅牢性を誇る、アの国の『ウィル・ウィプス』。
巨大さと艦載数が尋常ではない、クの国の『ゲア・ガリング』。
オーラノバ砲をはじめ火力自慢、ラウの国の『ゴラオン』。
城のような外見で優美な、ナの国の『グラン・ガラン』。
どこの国のもそれぞれ特色がある。
では、リの国の『ヨルムーンガント』は……一言で言えば地味。
聖戦士伝説で登場するゲームオリジナルの巨大戦艦は特に目立った特徴はなかったりするのだ。
アイロンと喩えられる外観も別に優雅ではないし、絶大な破壊力を持つ主砲もない。機動性も装甲も普通だ。積載量は聖戦士伝説では関係ないので不明だったが、たぶんそれなりかな?
だけどさ、どうせなら自慢できるものがほしいでしょ。
ならば、もはや機動母艦には定番ともいえる巨大浴場しかないわけで。
リの騎団の強さの秘訣はハイレベルな騎士にある。その長所を発揮させるためにも生活環境の充実は絶対に必要なスペックだと理屈をでっちあげてゴリ押したよ。
「楽しみだな。引き続き、巨大戦艦建造地の防衛には力を入れてくれ。俺も兵の育成に力を入れる」
「了解しました。あまりご無理をなさらぬ様にお願いします」
「巨大浴場でゆっくりするから大丈夫さ」
巨大戦艦ができたらそれこそゆっくりしている暇なんてないだろうけどね。
今のうちに鍛えて稼いでおかないと。
若返ってない俺だったら疲労で倒れていたかもしれない。……
「それに俺がいなくても問題ないだろ。またちょっとみんなと離れる予定だけど、心配しないでくれよ」
「また地上へ行かれるのですか?」
「いや、今度は『嵐の玉』さ。必ず戻ってくるから信じて待っててくれ」
これが聖戦士伝説でのロウルートへ移行する最後のチャンス。
どうするかな。
迷うけど、ショットからライネックが来る予定だしズワァースもまだ買ってないからそこまで悩むほどでもないか。
「ご主人様を信じてはおりますが……ご無事で」
「うん。約束するよ、絶対に帰ってくる」
「そう、絶対ね。戻ってこなかったら楽しみね」
これ以上嫁さんたちと離れたくないんだ。
早く季衣ちゃんたちに道場以外で会いたいよ。
会ったら春蘭と桂花に遅いって怒られるのはわかっているけどさ。