もはや我が家ともいえるリの王城トルール城にでっかい土産を持って帰城する。
途中でシーラが暴れるかとも思ったがそんなことはなかった。
「ガロウ・ランから逃げ出せたのです。悪の聖戦士からとて逃げ出す機会もありましょう」
「スゴイ理屈だ。で、俺が悪の聖戦士か」
正義を名乗るつもりは毛頭ないけど、自分から悪を名乗るのも中2くさい。
そしてシーラは用が済めばウロポロス城に送るつもりだから逃げる機会もないだろうね。
「コーイチ王はその美貌で多くの女性を誑かしもてあそんでいると聞きます。だからといって私までたやすく堕とせると思わないでください」
「そんなことをした覚えは一度もないんだけど!」
あ、リムルがそれっぽいか。
けどそれは俺が狙ってやったワケじゃないのだ。
もてあそんでいるってのもなんか違う。リムルには手を出していない。というか狙われているが逃げている。
関係があるのは嫁さんとだけなの!
なのにエル・フィノが俺の顔を蹴ってくる。
「お前、シーラ様の身体を狙っているのか!」
「エル、この身が
だから俺の用はそんなんじゃないっつの!
そりゃシーラは美少女だしダンバインキャラでは好きなキャラでもある。この密着した状況を堪能させてもらっているけどさ、俺には可愛い嫁さんたちがいる。浮気なんぞできる筈もない。
……華琳ちゃんが我慢できないって可能性もあるが。トルール城は美少女が不足しているっていつも嘆いているもんなあ。
あの城は現在、バイストン・ウェル一美少女が集まっているというのに!
◇ ◇
帰城後、まずはみんなの無事を確認する。
騎団の誰も欠けることなくそこにいてほっと一安心。嫁さんやリの騎士たちが強いのはわかっていてもやはり心配はしてしまうものだ。
「注文どおりナブロの砦も落とさなかったわ。その子が?」
「うん。シーラ・ラパーナ、ナの国の女王だよ」
ダンバイン一と評判の美少女を前にして目が輝いている華琳ちゃんに紹介した。あと紹介するのを忘れたエル・フィノにまた蹴られた。
「よくやったわ。私は曹孟徳。皇一の妻よ」
「関雲長。ご主人様の剣であり、妻でもある者です」
「私は孫権。コーイチさんの妻だ」
3人の超美少女嫁によるジェットストリーム妻宣言に俺は感動で泣きそうになるのをぐっと堪える。
一方シーラは絶句。だが驚くのはこれからだ。
「オレは馬騰だ。よろしくな」
「パットフット・ハンムです」
「エレ・ハンムです。シーラ女王、聖女王と名高いあなたにお会いできて光栄です」
「リムル・ルフト。いずれコーイチ王の妻になる者です!」
最後に余計なことを言った困ったのがいるけど、俺の嫁さんたちも入れて姫、王妃な者が大集結だね。ロイヤルなお茶会ってやつ?
「やはり噂は本当だったのですね」
「だから違うから!」
無茶言うなよ。俺にそんなことができるはずがない。
顔目当てにくる女性なんて御免だっての。
「もっと増やしてもいいのに」
「俺は君たちだけだってば」
まだ季衣ちゃんたちとも会えていないのにこれ以上増やしたくはないんだが。
早く直接会いたい。元気でいてくれよ。
北郷君が
「ゴード王がどんなお気持ちでご自分の国を託されたか……」
「あ、それなら本人に聞いてくれ」
「さすが聖戦士、気づいておられたか。……ゴード・トルール。先のリの王である」
俺に促されマスタードラウゲンがゆっくりと仮面を外して名乗るとまたシーラが絶句してしまう。
聖戦士伝説のシーラはこっちの話もろくに聞かずに理想を押し付けてくるので、実際に会うことになっても説得される気にはならなかったんだよね。
だから先手を打ちまくる。
「シーラ女王、あなたが聖戦士と言う地上人の気持ちを考えたことがあるか?」
「世界救済の……」
「勝手にこんな世界に連れてこられたのに、そんなことを考えるのか? シーラ女王、異国へと強引に連れてこられたその身なら少しは想像できよう。君は自分をさらった異国のために働くのが正しき道と押し付けられて、それを納得できるのか?」
これが言いたくて説得なんて聞かずにいきなり連れてきたのもあるんだよね。
世界のためと言うのなら、シーラにはこの国のために働いてもらおうか。
「オレは娘や領民を残してバイストン・ウェルに来た。コーイチのおかげで病は治ったが、それでも早く西涼へ帰りたいぜ」
「私も地上界に残してきた領民と可愛い子たちが心配よ。戦乱はバイストン・ウェルだけではないわ。地上界にも戦乱が起きている。故郷をほっておいて、自分をさらった世界を救済しろと言うのかしら?」
馬騰ちゃんと華琳ちゃんにそう言われてはシーラも強く出れないようだ。
よかった。俺1人だったら言いくるめられてたかもしれないもんな。
「ですが、ドレイク・ルフトの野望はバイストン・ウェルに災いをもたらします!」
「俺はバイストン・ウェルがどうなっても構わない。シーラ女王だって地上界がどうなってもいいと言っているも同然だから文句はないよな。俺も王だからリの国だけは護るけどさ」
うーん。シーラの困った顔を見るのがなんだか楽しくなってきちゃった。華琳ちゃんのドSがうつったんだろうか?
「ご主人様、あまりシーラ女王を責めなさいますな」
理想を口にしようとする姿が劉備とダブったのか、愛紗が助け舟を出した。
まあ、本題は別だからこれぐらいにしとくか。
「そうだな。シーラちゃんをイジるのも楽しいけど、そろそろ本題に入るか。シーラ女王、それに他のみんなもよく聞いてくれ。リと俺たちがなにを考えて戦っているのかを」
◇ ◇
「そんな、エ・フェラリオの長がオーラマシンを排除するというのですか?」
「うん。バイストン・ウェル中のオーラマシンをね。フェラリオの長ジャコバ・アオンは命がけでやるよ。俺たちはそれに乗じて地上界へと帰る」
「帰れるのか!」
馬騰ちゃんにはまだ説明してなかったね。
ここんとこ忙しかったもんなあ。
「だからオーラマシンは余り造らない方がいいんだよ。もう巨大戦艦を造っているだろうけどさ。決戦に赴くのならバイストン・ウェルから排除される覚悟を持ってくれ」
「まさか地上界へ戻るために国々にオーラマシンを広めたのですか?」
「それはドレイクとショットがやったことだ。俺は止めなかっただけ」
俺の責任ではない。
ま、いいわけだけどね。
「コーイチ王は地上界に戻ってどうするのです? ドレイクも地上界へと出てしまいますよね?」
「倒すさ。ドレイクとビショットは地上界の制覇を目論むだろうが、それは絶対に阻む。もしフォイゾン王やシーラ女王が覇者ならんとするならば戦うこともあるだろうが、そうでないならば地上界では共闘することを約束しよう」
華琳ちゃんの野望のために、とは言わずにエレちゃんの質問に答えた。
そして父親を倒すと言われたわりにはあまりショックを受けた様子がないリムル。
「コーイチ王はいつ私と結婚なさってくれるのですか?」
「そのつもりはないって言ってるでしょ。俺には地上界にも嫁さんがいるの。彼女たちも大事なの! 余計な嫁なんて増やせるか!」
「ご主人様、つまり私と蓮華殿は余計ではなかったのですね!」
「もちろん。愛紗と蓮華も大事な嫁さんだよ」
嫁はみんな大事さ。
流されて結婚した部分も大きいけどね。
「それなんだけどよ、孫権とは孫家との縁固めの意味もあるんだろ? ならよコーイチ、うちの娘ももらっちゃくれねーか?」
「はい?」
「ドレイクまで地上界に出るんじゃ西涼が心配だからな。オレたちにも力を貸してほしいから、お前を婿にするのが確実だろ。お前が身内に甘いのはわかってるからな」
また政略結婚か。
馬騰ちゃんまでがそんなことを言い出すとは思ってなかった。
「オレの留守中に男ができてんなら話は別だが、ちいと望み薄でな……。お前さんならいいと思ってるんだ」
「そ、それは本人に意見を聞いてからじゃないと駄目だろ。男だって紹介されてないだけかもしれんぞ」
「よし、決まりだな! あいつらの意見が賛成ならお前は結婚してくれると。忘れんなよ!」
強引だなあ馬騰ちゃん。ってか、あいつら?
ああ、革命世界なら馬休と馬鉄もいるってことか。
そりゃ俺だって馬超は嫌いじゃないけどさ。というか、嫌いな恋姫ヒロインなんていないし!
だからと言って馬超と結婚……華琳ちゃんが嫌じゃなきゃアリか?
愛紗から流れてくる冷気は気づかないことにしたい。ブルブル。
「コーイチ王、もしも地上界にエレが行ってしまった時は……その時はエレをお願いします」
「パットフット王妃?」
「私たちにもこの話をしてくださったということは、エレをフォイゾンの元へ送るつもりなのでしょう? 恋を取り、国を捨てた愚かな娘ならともかく、孫だけならばフォイゾンも受け入れるはずです」
「お母さま?」
「母のことは気にせずにお行きなさい。それがラウの民のためにもなりましょう」
意外と鋭いのね、パットフット。
2人に浮上のことを話したのは全くそのとおりで、フォイゾンにもこちらの計画を流してリの国への攻撃を控えさせるためだったりする。
思惑どおりにはいかない可能性もあるが、その時はその時だ。
「エレちゃんはラウの巨大戦艦ゴラオンやオーラマシンには乗らないでいてくれるといいんだけど」
「それではドレイクがほってはおくまい。フォイゾン王のそばが一番安全であろう」
ゴードの発言にエレちゃんも頷く。
いやいや、一番安全なのはうちだろう!
「以前にコーイチ王が仰った巨大な影を感じるようになってしまいました。そのこともおじいさまに告げねばなりません」
「……感じたのか」
「はい。お母さまへの不安はなくなったのですが……コーイチ王にはたいへんにお世話になりました。できれば、お母さまのことをよろしくお願いいたします」
深々と頭を下げるエレちゃん。以前俺を父の仇に与する者と言った彼女とはまるで違う。
「俺が余計なことを言っちゃったか。やっぱりフォイゾン王に渡すのが惜しくなってくるよ。ずっとうちにいてくれてもいいんだ。ラウには別の方法で伝えてもいいだろう」
「ありがとうございます。ですが、おじいさまには私から伝えねばならぬのです」
「無理はしないでくれよ」
やばい。泣きそう。
エレちゃんも死なないで済むようにしたい。いい子だもんな。
「今のままだとフォイゾン王はドレイクの巨大戦艦を墜とそうとオーラバトラーで自ら出陣して命を失う可能性が高い。ドレイクは一騎討ちなどに応じる相手ではないと言い聞かせてやってくれ」
「必ずや伝えましょう」
フォイゾンが生き残ればエレちゃんの苦労が減るだろうから。
エレちゃんの話を聞いてくれるといいのだが。
「シーラ・ラパーナ。リの国はこの戦いでナの国に仕掛けるつもりはない。俺たちは地上界へ帰りたいだけだからリとナは戦う必要がない。二国間で不戦協定を結ばないか」
「信じられません。現にドレイクと共にミの国を滅ぼし、ラウの国ナブロの砦を襲ったではありませんか」
「ラウの国はむこうが先にリ本土へと攻撃を行っている。何度もだ。国としてこれを放置することはできないだろう? ミの国は協力しなければ今ごろはドレイクがミの民を労奴としていたよ。あれが欲したのは労働力だったからな」
ドレイクもうちに気を使って一応は表立って過酷な労働をさせることはしてないみたいだ。
「ではあなた方は、オーラマシンが排除される日まで傍観するとでも言うのですか」
「それができるならリに最も被害が少なくて済むからな。リは決戦には志願兵だけで赴くつもりだ。……本当は俺たちだけでいいんだけど付き合うって言ってくれる者も多くてね。できればもっと減らしたい」
「聖戦士のお供を願うのはリの騎士の本懐であります!」
リの国には聖戦士の伝説があって、子供の頃からそれを聞かされて育った者が多い。伝説というか憧れの存在、それが聖戦士だったりする。
「聖戦士がこのようなことを企んでいたなどと……」
「たぶん北郷君もジャコバとの邂逅を済ませて君のとこへ行った時にはオーラマシンの排除を言い出すと思う。だからその時にも考えてくれ。ドレイクを止めるために多くの者を犠牲にするのかを」
「犠牲?」
「オーラマシンを使っていたら兵を地上界に連れていくことになるだろ。こっちへ帰る方法はない。それともバイストン・ウェルは魂の安息地だからって、浄化とか言ってみんなで死ねば帰ることになる、とでも?」
アニメ最終回の浄化エンドって結局そういうことだよね?
そのせいで聖戦士伝説もロウルートは浄化エンド、つまり全滅エンドしかない。だからカオスルートの方が好きだったりする。
「シーラ・ラパーナ。頼る者のいない地上界で兵を養うためにあなたはどうするのかしら? もし行くあてが見つからなかったら私を頼りなさい」
「曹操?」
「代金はあなたでいいわ」
地上に出たら俺はリの王様をもうやらなくていいだろうから華琳ちゃんに全権を渡したいんだけど……どうしたもんかな?
あくまで聖戦士伝説のシーラへのアンチ(?)です